あさが来た 22話 新政府が巨額の上納要請

連続テレビ小説(朝ドラ)『あさが来た』
2015年10月22日(木)放送
第4週 第22話 「若奥さんの底力」

『あさが来た』第4週 第22話 「若奥さんの底力」あらすじ

鳥羽伏見の戦いで勝利を収めた新政府が上方の両替屋を招集。招集に応じた正吉は十万両の上納を求められ腰を抜かしてしまいます。新政府の要請は山王寺屋にもありました。新政府に上納すべきと主張する惣兵衛は、幕府再興を確信する菊と激しく対立します。

正吉も迷っていました。新政府に賭けるべきか幕府再興に賭けるべきかを。迷う正吉にあさは言い切りました。ここは借金してでも新政府に上納するべきだと。あさは考えていたのです。日本はこれから新しい朝を迎えるのだと。

正吉はあさの考えに乗る決断を下しました。加野屋は新政府に賭けると決めた正吉は早速、加野屋にある有り金の計算を命じました。そんな中、新政府の発表した通貨統一の政策で加野屋に動揺が走りました。銀貨の廃止が決定されたのです。

ほどなくして混乱に陥った大坂の商人たちが、銀目手形を金貨に変えるために加野屋に押しかけて来ました。店の主人を出せと迫る客たちと雁助は店先で対峙。その騒動を収めようと店の中から出てきたのは正吉でも新次郎でもなく、あさでした。

<<前回21話 | 次回23話>>

『あさが来た』第4週 第22話 「若奥さんの底力」
 事前発表あらすじのレビューと解説

あさが痛快なほどにリアルに徹した決断を下します。

鳥羽伏見の戦いで勝利を収めたものの、旧幕府勢力に比して新政府はその経済力において圧倒的に劣っていました。そして、鳥羽伏見の戦いを緒戦とする戊辰戦争を戦い抜き、旧幕府勢力の力を削ぎ落とすには新政府には莫大な軍資金調達が必要でした。

そこで新政府は、富を蓄えている(と思われていた?)大坂の両替商に目をつけます。

一方、あさは新政府に上納などしたくありませんでした。大切なお金を戦争で費やされてしまいたくはありませんでした。しかし、そんな感情を押し殺しあさは決断します。今は借金してでも新政府に上納する時であると。

前々作『マッサン』では、不安に怯える従業員を前にして経営の現実と理想の追求の間で揺れ続ける主人公が描かれました。しかし『あさが来た』の主人公は、迷いなく現実的な道を即断で選択。リアルに徹するその姿勢が実に痛快です。

ちなみに原案小説『小説土佐堀川』によれば、実家の当主が新政府に賭けたことを知った浅子が、婚家の当主の決断に影響を与える場面が描かれています。

『あさが来た』第4週 第22話 「若奥さんの底力」
 朝ドラ観賞後の感想

加野屋さんと天王寺屋さんの明暗

次週描かれる加野屋さんと天王寺屋さんの明暗。その分岐点が今回描かれました。

時代の変化を嗅ぎ取るあさちゃん。そのあさちゃんの慧眼に賭けた正吉さんの眼光がこれまで見たことがないほど鋭い。

あさちゃんの言葉に乗ると決断を下した正吉お父ちゃんの慧眼もまた素晴らしい。二人の会話は聞いていてゾクゾクするほどでした。

一方、白蛇はんも時代の変化をしっかりと察していた。栄達お父ちゃんもこれまでの言動から白蛇はんと同じ考えだったかと思います。

しかし、店の窮地に焦るあまり菊お母ちゃんの判断が狂った。

梨江さんが山王寺屋さんにやって来た頃から菊お母ちゃんは店の経営の窮状に焦りを募らせていたに違いない。

その後、ことあるごとにはつちゃんに辛く当たっていたのも、焦るあまりの八つ当たりだったのでしょう。

焦るあまりに近視眼的になってしまった菊お母ちゃんが痛い。

あさちゃんと新次郎さまのポジションが逆転

あさちゃんの幼少時は当然のこととして、結婚後も大人でしたたかな新次郎さまの前では子供にしか見えなかったあさちゃん。

この二人の大人と子供のアンバランスな関係は、今回で一挙に大人と大人の対等な関係になったのではないかと思います。

夜な夜な出かける新次郎さまに、男子の囃子、茶の湯は毒薬より恐ろしい。心の中で思うことすらならぬと井原西鶴の教えを諭すあさちゃんの言葉にも、おはようお帰りやす送り出すあさちゃんの言葉にも、皮肉な響きがまったくない。

皮肉や当てつけが一切ないだけに、新次郎さまも反論すら出来ない。

この出来事で、あさちゃんと新次郎さまのポジションは横並びとなり、翌朝の銀目廃止騒動を経て、明日には二人のポジションはついに逆転となるのでしょうか。

しかし、逆転しても尚、あさちゃんは新次郎さまを旦那さまと呼んで夫を立て続けるのでしょう。その謙虚さ、その器の大きさ。間もなくこれまでにない新しいヒロイン像を見ることになるのかもしれません。

【解説】銀目廃止とそれに伴う騒動

今回描かれた銀目廃止とそれに伴う騒動の原因。そして騒動の影響について簡単にまとめてみます。

銀目廃止
江戸時代を通して、日本の通貨は大雑把に分けて東日本は金、西日本は銀が流通していました。江戸時代初期に、幕府はこれを統一することも検討したそうですが、銀に馴染んだ西日本の商人たちの人心を収攬するため、統一を断念したと言われています。

ところで金と銀の併存は、現代であれば日本国内に円が流通する地域とドルが流通する地域があるようなものです。

そして、現代の銀行などが円とドルなどの外貨の両替で手数料を取るように、金と銀を交換する際に手数料が発生。この手数料が両替屋の主たる収入源でした。(一説には、預かった金銀を運用し相場差益を取る現代のFXに近い取引で得る利益のほうが大きかったとか)

銀目廃止の銀目とは銀貨のこと。そして通貨が全国で廃止されてしまうと、両替屋は主たる収入源である手数料収入を失ってしまうのです。

銀目手形
江戸時代の江戸を舞台にした時代劇では金の小判がしばし登場しますが、江戸では現金決済が主流だったようです。

一方、大坂で主に流通していた銀は換算方法が複雑な上に大口取引では膨大な量の銀貨を必要とするため、商人たちは銀貨を両替屋に預け、一方銀貨を預かった両替屋は商人たちに証文を発行。この証文は銀目手形と呼ばれるもので現金の代わりに流通していました。

今回、加野屋の前に集まった商人たちが手にしていた紙切れが銀目手形で、そこには白岡正吉と大書されていたので加野屋発行の銀目手形なのでしょう。表現は適切ではないかも知れませんが、銀目手形は今でいう預金通帳と小切手をミックスしたようなものでしょうか。

さて、銀目すなわち銀貨の廃止が新政府により通達され、商人たちは銀目手形がただの紙切れになると思い込みました。

実際には銀目手形は金貨に換金されることが保証されていたのですが集団ヒステリー状態に陥った商人たちにその理屈は理解出来なかった。だから、銀目手形を一刻も早く現金に交換しようとした。それが今回の騒動です。

恐らく次回あたりに描かれると思いますが、商人たちの求めに応じて加野屋は銀目手形を現金と交換。山王寺屋も恐らく現金を払い出すのでしょう。

結果として山王寺屋は現金がなくなってしまい破産。一方、加野屋は当座の現金を確保するため、あさちゃんが次なるアクションを起こし、加野屋の窮地を救います。

<<前回21話 | 次回23話>>

Sponsored Link
Sponsored Link
いつも、当ブログ『朝ドラPLUS』をご覧頂き誠にありがとうございます。当ブログでは、誤記、誤変換、事実誤認をなくすべく努めておりますが、もし文中に誤りや表現の不明な点がございましたら、ご指摘頂けますと幸甚に存じます。今後とも『朝ドラPLUS』をよろしくお願い致します。ありがとうございました。

icon_mareicon_mareicon_mareicon_mareicon_massanicon_hanakoicon_umechicon_umechicon_umechicon_itokoicon_umechicom

関連記事

8 Responses to “あさが来た 22話 新政府が巨額の上納要請”

  1. 当麻 より:

    初めまして。
    すごく分かりやすい解説をありがとうございます。おかげで、あさが来たを何倍も楽しく見ることが出来そうです。ありがとうございます。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。
      当ブログがお役に立てて光栄に思います。
      今後とも当ブログをよろしくお願いいたします。

  2. 千秋様ファン より:

    今日は、ちりとてちんの劇中劇を思わせる演出も、楽しかったです。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。

      > ちりとてちんの劇中劇

      同感です。新次郎さまの大黒様(?)姿、良くお似合いでした。

      『ちりとてちん』といえば、同作劇中で登場した落語『鴻池の犬』の鴻池家は、加野屋のモデル加島屋の並びにあったそうです。

  3. ちぃちぃ より:

    おはようございます。

    新政府に上納した方がいいと主張する惣兵衛さんに対し、「今の店の苦境はお前のせいだ」と一蹴する菊さん。
    一方で、あさちゃんに意見を求め、その意見を採用して新政府への上納を決断する正吉さん。

    つぶれる会社と発展する会社の構図がまさにここにありますね。

    銀目手形を金貨に変えるべく両替商に殺到する町民たちの姿を見て、数ヶ月前のギリシャを思い出しました。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。

      > 銀目手形を金貨に変えるべく両替商に殺到する町民たちの姿を見て、
      > 数ヶ月前のギリシャを思い出しました。

      似たような映像をリアルで見た直後だけに、今回の騒動が生々しく迫ってきますね。

      そんな騒動の中、時代の先を見据えていたあさちゃんの慧眼が素晴らしい。ギリシアの騒動の映像を見ても、僕にはその騒動の先にあるものが全く見えませんでした(涙)

  4. りょう より:

    おもしろい!
    思わず誰かに話たくてコメントしてます。

    幕末の大きく時代が変わった時
    世の中でどんな風に変わったのか
    大河よりも分かりやすくて
    やっぱり庶民目線の朝ドラだから良かったのかなと……
    (どこかで朝ドラが大河を越えたって書いてあったけど)

    あさちゃんの魅力にどんどん惹き付けられて目が離せません。
    今から「あさがきた」が終わってしまうこと考えると寂しくて仕方ないです。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。

      > 今から「あさがきた」が終わってしまうこと考えると寂しくて仕方ないです。

      全く同感です。一年くらい続けてほしいほどです。
      朝ドラ史はもとより、日本のテレビドラマ史の中でも傑作として名を残すのではないでしょうか。

コメントを残す

サブコンテンツ

ページトップへ