あさが来た 56話 正吉が隠居をいそぐ理由

連続テレビ小説(朝ドラ)『あさが来た』
2015年12月1日(火)放送
第10週 第56話 「お姉ちゃんの旅立ち」

『あさが来た』第10週 第56話 「お姉ちゃんの旅立ち」あらすじ

和歌山行きを拒む菊を意外にもはつが強い言葉で説得しました。惣兵衛は昔の惣兵衛ではない。信じてあげて欲しいと。栄達にも諭された菊はついに惣兵衛の選択を信じることにし、眉山一家は和歌山で一からやり直す決意を固めました。

その頃、あさは榮三郎の襲名披露の準備に追われていました。準備を進める中、亀助が恋をしていることをあさは初めて聞かされました。加野屋の誰もがそのことを知る中、亀助がふゆに熱を上げていることを知り、あさは驚かされるのでした。

一方、正吉が隠居を急いだ理由を新次郎は察していました。正吉が、かねてより体調がすぐれないことに新次郎は勘づいていたのです。正吉は新次郎の推察を認めました。そして新次郎に告げます。新次郎とあさが、まだ若い榮三郎を支え加野屋の暖簾を守って欲しいと。

そんな中、榮三郎の襲名披露の日を迎えました。正吉の命により、あさも襲名披露の式に列席することになりました。五代友厚や大阪中の商人たちが集まる中、八代目当主・榮三郎の襲名披露の式がいよいよ始まります。

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『あさが来た』第10週 第56話 「お姉ちゃんの旅立ち」
 事前発表あらすじのレビューと解説

三男の榮三郎は家督を継ぐにはまだまだ若い。にも関わらず、正吉が引退を急ぐ理由が今回はじめて語られます。正吉引退の理由が劇中で正面きって語られるのは今回がはじめてですが、正吉引退のフラグは前週あたりから立ち始めるようです。

正吉が引退を急ぐ理由は正吉自身の体調の異変にありました。たびたび発作に襲われ、その発作が日を経るほどに強くなる正吉は死を覚悟したのでしょうか。

死にまで至らなくとも、当主としての仕事が出来なくなる最悪の事態に陥った時に備え、加野屋はもとより大阪経済への影響を最小限に食い止めようと自らの地位に拘泥せず潔く身を引く正吉の決断が素晴らしい。

しかし、隠居を決断出来たのはあさの存在が何よりも大きかったのでしょう。その証拠に、榮三郎の襲名披露の場にあさも列席することに。当時、こうした家の大事な席に嫁が連なることはあり得ないことでした。

宇奈山藩の借金取り立てにはじまり鉱山買収による炭鉱経営に至るまで、正吉はあさの時代の先を見通す慧眼に全幅の信頼を寄せてきました。そして今回、正吉は加野屋の将来命運そのものをあさに託すのでしょうか。

『あさが来た』第10週 第56話 「お姉ちゃんの旅立ち」
 朝ドラ観賞後の感想

菊さん

昨日のレビューで、菊さんは山王寺屋をつぶしたのは惣兵衛と思い込んでいると記しましたが訂正する必要がありそうです。

実は菊さんもよくわかっていたようです。山王時屋がつぶれたのは時代の荒波に呑まれてしまったからだということを。しかし、倒産した悔しさを感情に任せて息子にぶつけてしまった。そして振り上げた拳を下ろす機を見出せないまま今日まで来てしまったのでしょう。

はつちゃんに言われないまでも息子のことはよくわかっていた。しかし素直に息子を認めるわけにゆかなくなってしまった。そして、そんな菊さんのねじれた気持ちを深く理解する栄達さんの妻のあやし方、神対応でした。

菊さんの言葉に一切反論することなく、すべての言葉を肯定しながら受け入れる栄達さん。さすが大人の対応です。これで菊さんも、ようやく振り上げた拳を下ろす機会をつかむことが出来ました。

ところで、はつちゃんが言い過ぎたことを反省していました。確かに言葉が過ぎたところがあったことは否めない。しかし、菊さんとしたら最愛の息子のことをあそこまで激賞されて悪い気もしなかったはず。はつちゃんの言葉が菊さんの心を溶解させるきっかけを作ったのかも知れません。

正吉さんと新次郎さんの会話

正吉さんの部屋に茶道具を借りに来たことを言い訳にして、さりげなく正吉さんの身体の具合を尋ねる新次郎さんの繊細な気遣いがたまりません。

身体の具合を尋ねながらも、新次郎さんは口には「身体」という言葉を一切出さない。それでも正吉さんにすべてが通じてしまう。

そして、大したことはないと応じる正吉さんの口にした言葉を、新次郎さんは言葉通りには受け止めていなかったような気がします。

しかし、本当に大丈夫なのかと問い詰めるような野暮なことをしないところもまた粋です。正吉さんと新次郎さんのピタリと息の合った会話は神レベルでした。

よのさんとあさちゃん

襲名披露式への列席を正吉さんから言いつけられたあさちゃんに、自分の勝負着物を貸すよのさん自身が、実は式に一番出たかったのかも知れません。夫が隠居を宣言し、二人の息子をお披露目する晴れ舞台なのだから。

代変わりを迎える加野屋の姑としての覚悟。代が変わっても加野屋を守り抜くという覚悟をよのさんは勝負着物に託したのかも知れません。

そんなよのさんの本心を知ってか知らずか、改めて手をついて礼を述べるあさちゃんの慎ましさが美しい。

こうした気遣いや感謝が劇中に満ち溢れている心地良さが、『あさが来た』が人気の理由なのではないかいと思ったことでした。

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20 Responses to “あさが来た 56話 正吉が隠居をいそぐ理由”

  1. ehーehー より:

    初めましてです。
    「まれ」から拝見させていただいています。
    じつは「まれ」終了とともに朝ドラも終了しようかと
    思っていたのですが、
    あさぞうさんの「あさがきた、で会いましょう」というコメントのおかげで
    とても素晴らしい作品を見逃がさずにすみました。
    本当にありがとうございます。

    さて、今回については菊さんの気持ちを大いに動かしたのは
    栄達父さんの
    「時が時なら、立派な跡継ぎになって、もっと店を大きくしていた」
    という台詞なのかな?と思いました。
    和歌山に行き百姓になることは、山王寺屋を諦めること。
    つまり息子が跡継ぎとして失格であった
    引いては自分の育て方が間違っていた、
    そういう風にも受け取れます。

    無能と詰りながらも
    はつが言ったように「弱いようで誠実」とも思える。
    その良さがあればいい跡継ぎになるんじゃないか、
    ああ、でもまだまだ。じぶんが気負って導かねば。
    前を向いて百姓をする姿が頼もしいとも思えるけど、
    それを認めたら、自ら息子に失格の烙印を押してしまう。
    (自分の育て方にも失格の烙印ですね)
    そういう矛盾の中をいったり来たりして、つらかったのかなと思いました。

    はつと栄達の言葉で、長く大きく振れてていた振り子が収まり
    息子と自分を認めることができた。

    長く書いた割にはうまく表現できませんでした。汗
    本当にこの作品は
    役者さんのかすかな表情で大いに語ってくれて
    見ごたえがあります。
    その分、ながら見ができませんね(笑)

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。

      『まれ』からご覧くださっていたのですか。
      ありがとうございます。

      栄達さんの言葉は大きかったと思います。
      山王寺屋が潰れたのは息子ではなく時代のせいだ。
      菊さんもそう思いたかった。
      けれどそれが出来なかった。
      その菊さんの背中を押してくれたのが栄達さんの言葉だったのでしょう。

      本作は登場人物の言葉と表情のひとつひとつが実に深く、
      おっしゃる通りながら見が出来ません。

  2. キヨコ より:

    お菊さんがスッキリした顔でみかんをふたつも手に取ってルンルン上がって行くのを見た時、
    あらまぁお菊さんたら・・・
    と思ったのですが、ひとつはご先祖様にご報告のためだったんですね。

    お菊さんにも新しい朝がやって来たのですね。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。

      > お菊さんにも新しい朝

      今回、一番すがすがしい朝を迎えることが出来たのは菊さんかも知れないですね。

  3. こきあ より:

    はつちゃんの、強さ、聡明さ、そして美しい着物姿で晴れ舞台に立つ あさ を見ても、ねたんだり羨んだりせず、心からの笑顔で「あさ きれい」とつぶやく、やさしさ…
    女性として、見習いたいです。

    それにつけても 菊さん。栄達さんの前では、かわいい妻の一面も見せるんですね!そしてそのあと、やっとみかんを食べようして、いきなり2個も手に取って高いところで食べようとする姿も、ちょっとかわいかったです。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。
      菊さんの意外な一面が新鮮な回でしたね。栄達さんの菊さんのなだめ方もなかなかなものでした。

      > 2個も手に取って

      みかん、本当は食べたいのにやせ我慢していたのでしょう(笑)

  4. あつぴょん より:

    はじめまして。いつも楽しく読んでます。
    昨日よのさんがあさちゃんの女の勘のことを言ってましたが、私はあの勝負着物の箱を見たあさちゃんが「これは?」って聞いたことに対して言ったのかと思ってました。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。

      > 勝負着物の箱

      おっしゃる通りかも知れません。「女の勘」については同様のコメントを頂き、よのさんの性格から考えても「勝負着物の箱」に勘付いたことかなと僕も考え直しています。

  5. ふー より:

    こんにちは。あまちゃんの頃から拝見していますが、書き込みは初めてです。

    今日、視聴していた思ったのですが、出演者の皆さん、上手に大阪弁をしゃべらはりますね。ただ、やっぱり、東京や全国の皆さんがすぐに分からん言葉は使っていないみたいです。

    今日、「ようお似合いですよ」というセリフがありましたが、大阪・船場なら間違いなく「よう映りますよ」と言っていたはずです。
    また、今日の放映ではありませんが、「借りてくる」は「かってくる」になるはずです。でも、使わないですよね。文章ではなくテレビですから、瞬間的に意味が分からないといけないですから。

    でも、そんな細かいことはどうでもいいです。だいたいの雰囲気が出ていたらそれで良いのです。

    本来、結婚したら眉を剃って、鉄漿にしているはずですから。

    また、明日のオンエアも楽しみです。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。

      長らく当ブログをご覧頂きありがとうございます。

      言葉の詳しい説明ありがとうございました。確かに「よう映りますよ」だったら少なくとも僕はわかりませんでした。「かってくる」は辛うじて知ってました。本作は、大阪と京都の言葉の使い分けもよく出来ていると評判も上々のようですね。

  6. るんるん より:

    今日も素敵な場面ばかりでしたね。その中にさりげなく混ざる笑いの場面もまた、このドラマの面白さですね。惣兵衛のはつへのツッコミに、いい雰囲気がジャマされた後の慌てぶり、雁助のツッコミ、笑わずにいられない場面でした。

    正吉と新次郎のやりとりも、余計な言葉はないけど分かり合ってる感じが伝わってきて素敵でしたね。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。
      はつちゃんのツッコミはビックリポンでした。はつちゃんでもこんなことするのかって。白蛇はんが素直にツッコミを認めるところもなかなか可愛いかったです。笑えて泣けて素敵な回でしたね。

  7. もんすけ より:

    あさちゃんもはつさんも新たな出発、本当に清々しい回でしたね。

    はつさんがキラキラ光る川面をみながら、
    「どうしてあんなこと…」というシーン。
    新次郎さんのことだけではなくて、倒産で知ったみじめな思いや生活、
    またどこかへ行ってしまうのではないかという白蛇さんへの不安、
    御姑さんとの確執、あさちゃんの立場への小さな嫉妬など全部全部流し去って、
    はつさんは新しい一歩を踏み出していくんだろうなと、ジーンとしてしまいました。
    音楽も素敵でした。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。

      > キラキラ光る川面
      > 全部全部流し去って

      詩のように美しいレビューですね!
      新しい出発を予感させる本当に素敵な場面でした。

  8. atsu より:

    よのがあさに自分の大事な着物を譲り、襲名の際の奥の仕事を任せる、緊張感が伝わってきました。その一方で…、
    少女漫画のヒロインは「鈍い=疎いこと」という条件があるのだそうです。男性からの好意をすぐ察して対処してしまうと話が終わってしまうが、疎いヒロインに男性が手を変え品を変え何度もアタックするのを見てる方は気持ちよく楽しめますから。(もしかしたら、壁ドンはしびれを切らした男性の最終手段?!)あさもそういうタイプみたいですね。
    はつが新しい朝を迎えた川の波、きらきら光ってきれいでした。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。

      朝ドラのヒロインたちが揃いも揃って「鈍い=疎いこと」に解せない気持ちでいました。なぜ、わざわざステレオタイプを繰り返すのだろうと。しかしやっと納得の理由を知ることが出来ました。ありがとうございます。

      鈍くて疎いあさちゃんでしたが、亀助さんの浮き足立つ相手が誰なのかと興味津々の表情は鈍さや疎さとは無縁のいい顔してました。

  9. つぶちゃん より:

    こんにちは。
    みかん農家かと思ったら、大根&漬物フラグ立ちました!
    山王寺屋ののれんの漬物御殿、楽しみです。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。
      僕も大根&漬物フラグに「おお!」と反応してしまいました。
      漬物の山王寺屋、あるかも知れませんね。

  10. うみがめ より:

    「儂を信じてくれて、おおきに」。惣兵衛さんはお母様から信じてもらえていないと思って育ったので、はつちゃんの言葉がどれほど嬉しかったかと。はつちゃんもあさちゃんと姉妹ですね。言葉に説得力がありました。

    よのさんがあたたかかったです。きっとあさちゃんが奥の仕事を頑張っているのを喜んでいたんでしょうね。ずっと一緒に奥のことをやっていきたかったでしょうし、その点でも寂しかったのだと思います。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。

      > お母様から信じてもらえていないと思って育った

      はつちゃんに背中を押され、菊さんもこれでようやく息子を素直に認めることが出来るかもしれません。お母ちゃんからも実は信じてもらえていたとわかって、白蛇はんとしては二重の喜びですね。

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