あさが来た 66話 雁助九州へ/正吉倒れる

連続テレビ小説(朝ドラ)『あさが来た』
2015年12月12日(土)放送
第11週 第66話 「九転び十起き」

『あさが来た』第11週 第66話 「九転び十起き」あらすじ

炭鉱の落盤事故は何者かが故意に仕掛けた事故ではないかと五代友厚は疑っていました。しかし、警察の厳しい取り調べにより、事故の原因はあさが炭鉱夫たちに採掘量を競い合わせたことにあるとされ、巨額の賠償金が加野屋の課せられることになりました。

想定外の事故にあさは深く落胆していました。そんなあさを新次郎が励まします。勝ち進むばかりの人生では人の心がわからなくなると。新次郎の言葉に励まされたあさは、九転び十起きの覚悟を固めるのでした。

一方、雁助は正吉に進言しました。炭鉱は手放すべきだと。事故の処理や坑夫たちの損害賠償で加野屋は大打撃を被ることになる。その上、もう一度このような事故が起きた時、それは加野屋の終わりを意味することだと。

炭鉱からの撤退を主張する雁助に正吉が言います。炭鉱の経営を立て直すことが出来るのは雁助しかいない。炭鉱に行って欲しいと。正吉に頭を下げられた雁助は炭鉱に赴くと、真っ先にサトシに声をかけました。その頃、正吉は再び強い発作に襲われるのでした。

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『あさが来た』第11週 第66話 「九転び十起き」
 事前発表あらすじのレビューと解説

加野炭鉱の落盤が事故ではなく事件である物的証拠をつかんだものの、あさは事件であることを前提にした犯人探しを拒否。

結果としてあさは警察に厳しく取り調べを受け、一方で落盤事故への関与の疑いの眼が注がれていたサトシは辛くもそれ以上の追及を免れることが出来ました。

加野炭鉱の経営は窮地に陥り、ここで加野屋最強の実務家・雁助の登場です。

正吉は雁助に頭を下げて頼みます。この窮地を救えるのは雁助をおいて他にいない。炭鉱を救うために九州に行ってもらいたいと。

このタイミングでの雁助の加野炭鉱への派遣は、この先に三つのエピソードによって回収されます。

一、新次郎とサトシ(松造)の一件。そしてサトシが加野屋に恨みを持っているだろうことを知っているのは本人たち以外では、正吉と雁助だけです。その雁助がサトシの目の前に現れることでサトシが事故に関与した疑いが再び浮かび上がってきます。

二、もとより炭鉱経営に懐疑的だった榮三郎はこの事故を機に炭鉱売却を提言。同様に炭鉱経営に懐疑的な雁助でしたが、正吉の意を汲んで炭鉱再建計画を完成。炭鉱再建に見通しをつけることで炭鉱売却を回避することが出来るようになります。

三、雁助は炭鉱経営に懐疑的でした。しかし、心から心酔する正吉に尽くすために我を折って炭坑再建に道筋をつけた雁助。ところが皮肉にも、正吉のための仕事に取り組んでいたために、誰よりも尊敬する正吉の死に目に雁助は会えなくなるのです。

『あさが来た』第11週 第66話 「九転び十起き」
 朝ドラ観賞後の感想

深く落胆するあさちゃんに逆境を良しとせよと励ます新次郎さんの器の大きさ。その言葉を受けて不退転の覚悟を新たにするあさちゃんの決意。正吉さんと雁助さんのお互いへの思いやりと敬意に満ち溢れた会話。

今日もめまいがするほど見所がいっぱいの『あさが来た』でした。

新次郎さんの激励

深く落ち込んでいるあさちゃんに、いきなり「七転び八起き」と諭したら上から目線の説教になりかねない。そもそも落ち込んだままの人にすぐ立ち上がれと言っても無理がある。

しかし新次郎さんはさすがです。まずは今の苦境をどう受け止めたらよいのかあさちゃんにヒントを与えました。

負けたことのない人生は面白くない。勝ってばかりいたら人の心がわからなくなる。これは神様がくれた試練だ。

苦境から立ち直れと説教するのではなく、苦境の本質に目を向けさせ、その苦境を自分の一部にするように促す。

『ちりとてちん』の正太郎おじいちゃんの「塗り箸の教え」にも通じる深い言葉でした。

追記:炭鉱の落盤事故に係る損害賠償を削るのは人の道に反すること。新次郎さんが珍しく経営に口を挟んだのが強く印象に残りました。

正吉さんと雁助さん

雁助さんが加野屋の炭鉱経営には否定的であること。加野屋の大番頭として店を空けるわけにはゆかないという使命感。そして、師と仰ぐ人物の死に目に会えないことを危惧していること。そんな雁助さんの胸中を正吉さんはすべて察しているはずです。

そして正吉さんとしては全幅の信頼を寄せる雁助さんの気持ちを尊重してあげたい。雁助さんの気持ちは痛いほどわかる。しかし、炭鉱を再建出来るのは今の加野屋には雁助さんしかいない。今の窮地を救えるのは雁助さんしかいない。

そんなギャップに正吉さんはどれほど苦悩したことか。正吉さんの性格から考えても、雁助さんの意に反して雁助さんを炭鉱に派遣するのは苦渋の決断だったに違いない。正吉さんが心を痛めながら雁助さんに頭を下げる姿に胸がヒリヒリする思いです。

雁助さんもまた、正吉さんがどれほど辛い思いをして自分に炭鉱行きを頼んでいるかを深く理解しているはずです。だからこそ、炭鉱を手放すべきだとまで言い切る雁助さんが、よりによって炭鉱を再建するミッションを引き受けたのでしょう。

正吉さんからの頼みを引き受ける時の雁助さんも美しかった。こうした主従関係によくありがちな忠義を誓うような顔など雁助さんは一切見せず、静かに言葉少なにミッションを引き受ける。決意を顔に出さないことが、雁助さんの決意の強さを語っていました。

そして、もしかすると血の繋がった親子以上に心から信頼し合っていた正吉さんと雁助さんが顔を合わせるのはこれが最後になるかも知れない。そう考えると、形容する言葉が見つからないほどに切ない正吉さんと雁助さんの場面でした。

松造か?昔話でもしましょか?

正吉さんが雁助さんを炭鉱に派遣したのは、炭鉱の経営再建はもちろんのことですが、サトシ対策の狙いもあったのかも知れません。

雁助さんがサトシの顔を見て開口一番「やっぱり、大旦那さまの言った通り」。

正吉さんはきっと察したのでしょう。落盤事故は事件かも知れないこと。事件にはサトシが絡んでいるかも知れないこと。そして、サトシが松造であることを。

そしてサトシ=松造の相手がつとまるのは雁助さんしかいないということも正吉さんにはよくわかっているはずです。そしてその正吉さんの狙いは的中しました。

雁助さんがサトシに睨みをきかせて曰く。「松造か?昔話でもしましょか?」言葉の選び方が適当でないかも知れませんが、サトシにとって雁助さんのこの一言はこれ以上考えられないほどの恐ろしい「恫喝」だったかと思います。

追記:よのさん

追記という形で申し訳ないのですが、母乳が出なくなってしまったあさちゃんをねぎらうよのさんの言葉が優しくて泣けました。

「痛かったやろな、一人でよう我慢しましたな」

あさちゃんにとってこれ以上ないほどの癒しの言葉だったかと。天然キャラのよのさんが今週はやけに神々しく見えてしまうのは僕だけでしょうか。

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12 Responses to “あさが来た 66話 雁助九州へ/正吉倒れる”

  1. 南アルプスの天然水 より:

    よのさんの言葉は、当時のお姑さん、いや現代でもなかなか出る言葉ではないと思いました。
    お家のためとはいえ、育児より仕事を優先する嫁に優しい言葉をかけられるよのさんの懐の深さと優しさを感じました。
    それ以上にあささんの「乳が張ったので絞ってしまって…」のくだり、働くお母さんなら痛いほど分かる台詞でした。お乳をあげたいのにあげられない。そのお乳を絞る切なさ、悲しさ、情けなさ。それがあささんの表情によく現れていました。これまでみてきた「あさがきた」で一番印象に残ったシーンでした。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。
      仕事と育児の両立。姑との関係、等々。似た悩みを抱える女性の心に刺さる場面だったと思います。

  2. atsu より:

    治郎作親分、本当に何日坑内に閉じ込められていたんでしょう。ただ、治郎作vs.サトシの無言の睨み合い恐かったです。生き延びられたのは執念もあったからでは。
    炭坑や店では事故に対し毅然と対応していたあさが、新次郎には弱音を吐き、励まされる。よのがあさを労わるシーンもよかったです、あれは子供を生んだ母親ならでは。正吉が死を覚悟して雁助に九州行きを頼み、内心複雑な思いがありながらそれを殺して雁助が炭坑でサトシと向き合う、凄みのある「昔話でもしましょか。」すべてを察しているうめが涙を流していたことが、あさのことばでさりげなく語られる。本当に15分に収まっていたいたのかと思われるほど、凝縮された回でした。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。
      それぞれが自分の思いをいたずらにぶつけ合うのではなく、自分の本心を胸にしまってお互いの気持ちを立てる思いやりが複雑に絡み合った回。本当に15分で収まったのが奇跡と言っても差し支えないほどに濃厚でした。

  3. ごろかこ より:

    初めて投稿します。いつも楽しく拝見しているのですが今日の感想で私も共感したので一言!よのさんの言葉に涙しました。ちょうど私も子供が生まれたばかりで授乳しているので千代ちゃんにお乳をあげられないあさちゃんの哀しさ、それを理解してあげるよのさんの暖かさに泣けました。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。
      よのさんの暖かさ、心に沁みましたね。
      正吉さん亡き後、よのさんは一人で生きて行けるのかと心配していましたが、今回のよのさんを見てその懸念は消えてなくなりました。

  4. さや より:

    最後の雁助さんとサトシさんのやり取りに震えてしまいました……。正吉さんの狙い、当たりましたね……。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。
      たった一言でサトシがぐうの音も出ない。
      雁助さんの一言、最高にパンチの効いた言葉でした。

  5. SOX より:

    既にどなたかが指摘されているかもしれませんが、炭坑で事故があったことを福太郎さんが大阪まで知らせに来て、それからあささんたちが九州に駆けつけるまで、当時鉄道や船など最速の手段を使ってどれぐらいかかるものなんでしょう?その間、親分さんは炭坑の中に閉じ込められていたわけで、それにしても救出されてからピンピンしていたのが、そこが親分さんたるところなのか、こういうことに備えて中に食料や水が用意されていたのか非常に気になるところです(笑)。
    だからといってドラマの出来に突っ込みを入れるものではないですが、ちょっと気になりましたので。
    しかし、今日の放送分は全カットが名シーンに思えました。
    昨日のスタパで長塚さんと雁助さんのやり取りを見たので、最後はちょっと笑いましたが。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。

      『マッサン』の時に調べたのですが、マッサンが余市に移住した当時、余市から広島まで鉄道と船を乗り継いで丸二日。大阪・九州間がその半分としても丸一日。ただし『マッサン』の時代よりも鉄道網が未整備なのでもっとかかるかと思います。馬だと片道で三日くらいは必要かも知れません。そうすると往復で一週間前後。・・・面白く観るためには、このあたりは目をつぶっていた方が良さそうです(笑)

  6. もんすけ より:

    自分の願いに反した事柄がゆっくり進み、それを止めることができない辛さ。
    あさちゃんはもちろん、正吉さんも雁助さんも…。
    とくに正吉さんと雁助さん、雁助さんとうめさんの、
    言葉にできない「別れ」の兆しは、季節柄、赤穂義士を彷彿。
    相手を思いやり、察し、労わり、意志を受け取る優しさと強さが、
    加野屋の屋根の下いっぱいに広がる、本当に切ない回でしたね。

    緊迫した内容の中、亀助さんのくすっと笑える小さなシーンが、
    お口直しのお新香のように、ぽりっとした救いに感じます。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。

      > 相手を思いやり、察し、労わり、意志を受け取る優しさと強さ

      様々な思いが交錯する味わい深い回でした。それぞれ自分の都合や望みがあるものの、それをいたずらに主張せずに他者への敬意を忘れない。大人のドラマを堪能できました。

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