昭和9年、神戸の坂東家 / べっぴんさん 第1話

連続テレビ小説(朝ドラ)『べっぴんさん』
2016年10月3日(月)放送
第1週 第1話「想(おも)いをこめた特別な品」

『べっぴんさん』第1週 第1話 あらすじと見どころ解説

昭和20年(1945年)9月。米軍の空襲により焦土と化した神戸の街で新たな出発を心に誓う一人の女性がいました。その女性の名は坂東すみれ。この物語の主人公です。その日の24年後、すみれは自ら創業した子供用品店「キアリス」を率いる立場になっていました。

昭和9年(1934年)、坂東すみれが9歳の頃。すみれは思ったことをなかなか口に出すことが出来ない口下手な少女でした。しかしその集中力は並外れ、好きなことに夢中になると時間が経つのも忘れ、夜を明かしてしまうことも度々でした。

その頃、すみれの父で繊維会社「坂東営業部」を創業者・坂東五十八は、新築したばかりの神戸の高台にある洋館の家に家族とともに移り住みました。しかしその時、すみれの母・はなは入院していました。

すみれは、はなに元気になってもらいたい一心で刺繍のハンカチをつくるものの、その出来栄えの悪さを父に指摘され傷ついてしまいます。はなにハンカチを手渡すことが出来なかったすみれは、悔しさを胸につくりなおしに挑むのでした。

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midokoro
物語のはじまりです。

今回描かれる時代はヒロインすみれが決起した終戦直後の昭和20年。その時の誓いが実を結んだ昭和40年。そしてすみれの少女時代の昭和9年。

当ブログはじまって以来の変則パターンの第1回です。

『べっぴんさん』第1週 第1話 事前発表あらすじのレビューと史実解説

本作『べっぴんさん』は坂野惇子さんをモチーフとした作品ですが、史実を「原案」とした創作ストーリーに限りなく近い物語となるようです。

ところでブログ主はモチーフとなった坂野惇子さんはじめ、坂野惇子さんが創業した「ファミリア」の歴史を調べてみました。

そしてその関係者たちが織り成すリアルのストーリーがとにかく面白い。腕の良い劇作家が著したようなドラマチックな人生を送った方ばかりなのです。

こんな素敵な史実を埋もれさせてしまうのはあまりにも惜しい!

というわけで、本作『べっぴんさん』では、これまで通り事前発表のあらすじをまとめつつも、劇中のエピソードのモチーフとなったリアルのストーリーを可能な限り毎回、本欄にてお伝えしようと思います。

朝ドラ『べっぴんさん』と、もう一つのリアルの『べっぴんさん』の物語。二つの『べっぴんさん』を当ブログの読者の皆さんと楽しみたいと思います。

『べっぴんさん』第1週 第1話 観賞後の感想

登場人物の紹介が中心となる回ということもあり、特段のストーリー展開はありませんでしたが、一人ひとりのキャラクターが生き生きと描かれているところに期待がもてる。そんな感想を持った初回でした。

すみれちゃん

少女時代から大好きだった丘の上から眺める神戸の街並み。冒頭のカットで、その大切な場所が空襲で焼き尽くされてしまい涙を流しつつ再起を誓う大人のすみれちゃん。

そして今回の最後の場面。刺繍の出来栄えを五十八さんと執事の井口さんに揶揄され、悔しさと悲しさを噛み締めながらも、もっと上手につくれるようになろうと決意を固めるリトルすみれちゃん。

最初と最後の二つの場面のすみれちゃんが一つにつながりました。

口が重く五十八さんの質問にも即答出来ない。ちょっとうすぼんやりしているあたり、子役の渡邉このみちゃんがなかなかいい味だしてます。リトルすみれちゃんのこの味わいが、成長後のすみれちゃんにも反映されると嬉しい。

しかし、うすぼんやりした見た目のその奥に見え隠れする集中力が、明け方までの読書で上手に表現されていました。

ハンカチの刺繍の花は「ゆりとすみれ」。ハンカチに姉妹の名前の由来となった花をあしらうあたり、姉への優しさと姉妹に花の名前をつけてくれた両親への深い愛情もあらわれていて、さりげなくグッとさせられます。

五十八さん

家庭にあっては妻に優しく娘を心から愛する。仕事の現場では、事業を大成功させながらもその手柄を部下の力によるものだと心からたたえる謙虚な人柄。

そんな完全無欠な人格者キャラは一歩間違えると鼻につくキャラになりがちですが、絶妙なバランス感覚で短気なところやちょっとだけ気遣いに欠けるところなどを描きこむことで、リアルで親しみやすい人物像がつくりあげられているかと思います。

きっといつかこのお父様に泣かされる日が来るんだろう。そう思わずにはいられない、なかなか素敵なお父様でした。

はなさん

五十八さんの部下・尾上政蔵さんがさりげなく口にした「奥さまの内助の功」というセリフが、はなさんのこれまでの歩みをすべて物語っていました。

そしてまだはなさんが病気を患っていなかった頃に撮影した記念写真でしょうか。家族と揃って写っている写真の中のはなさんを見つめる五十八さんの寂しそうな表情。

その表情がまた、はなさんの存在感を際立たせます。

はなさんへの周りの人々の想いを積み上げることで、第一週から描かれるヒロインの肉親との死別の場面は前作『とと姉ちゃん』以上に泣かされる場面となりそうです。

金曜日は要注意ですね。

ところで、肉親が第一週で亡くなるという点では前作と同じですが、今回は母親の死がヒロインの人生を左右するほどに大きな影響を与えるようなことはなさそうです。

はなさんの出番はナレーションを除けば今週限り。第一週のみの登場で、その後はナレーションでの登場となるパターンは、本日再放送がはじまった『ごちそうさん』と同じです。

四つ葉のクローバー

「勇気、愛情、信頼、希望」

はなさんにその意味するところを語らせることで登場した四つ葉のクローバー。

今後はヒロインが創業する子供服店のシンボルマークにもなるそうですが、四つ葉は子供服店を創業する四人の女性を暗示しているのでしょうか。

アバンタイトルでは焼け跡で途方に暮れる四人の創業者の女性たちが登場し、放送が終わった直後に登場する視聴者の写真も四人の女性が映っている写真でした。

もしかすると本作は、すみれ・良子・君枝・明美の四人のクアトロヒロインの物語として展開されるのかも知れない。

ふとそんなことを思いました。

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22 Responses to “昭和9年、神戸の坂東家 / べっぴんさん 第1話”

  1. アーモンド より:

    それと夫の堺雅人さんが大河ドラマ、妻の菅野美穂さんが朝ドラと、夫妻でNHKですね。

  2. アーモンド より:

    ここ何作か女性実業家の物語が続きますね。
    そして前作と似ているのは、片親が病ですぐ他界するようですね。
    違うのはすぐ他界する母役の菅野美穂さんがナレーションを勤めるということ。多分回想シーンだけで出演しながらのナレーションがみどころ。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。

      > 回想シーンだけで出演しながらのナレーション

      こうなるとすると、亡き親の影響力は前作以上に大きなものになるかも知れませんね。

  3. まいもん より:

    始まりましたね。

    どの朝ドラでもそうなのですが、子役の出演する最初の週とヒロインにバトンタッチしてからの一週で続けて観るかどうかを決めています。

    そういった意味ではリトルすみれは非常に期待を持たせてくれました。

    朝蔵さんのレビューや感想、皆様の感想と共にじっくりと判断しながら観てゆこうかなと思っていますので、よろしくお願いします。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。

      > リトルすみれは非常に期待を

      大阪局制作の朝ドラのヒロイン少女時代は、優等生的良い子からちょっとズレたところが大好きなのですが、リトルすみれちゃんもまさにそんなタイプ。僕は今回だけで気に入ってしまいました。この「ちょっとズレ」が成長後のヒロインにも継がれると感激です。

  4. もんすけ より:

    差し出されたハンカチの刺繍を見て、(はっ!)とした表情の母・花さん。
    周りの人達は、その出来栄えに目がいったのでしょうが、さすが、お母さんですね。すぐさま、何を刺繍したのか、すぐにわかったのでしょう。
    今から【要注意の金曜日】が不安で不安で…。

    ゆりとすみれ…。
    華やかで芳しい香りのする<ゆり>。
    それに対して、(品種によって差はありましょうが)香りはさほどしないけれど、深く深く根を張り、種をぶんぶん飛ばしては株を増やしつつ、毎年春になると一心に芽を出し、可愛らしい花をつける<すみれ>は、誰からも愛され、生命力も強い花。すみれちゃんのキャラクターと少し共通しているように感じます。
    前作登場の星野さんだったら、<ゆり>と<すみれ>を植物学的にどんなふうに講釈してくださるでしょう。ちょっと伺ってみたいです(笑)

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。

      > ゆりとすみれ

      深い話をありがとうございます。二人のキャラクターの性格と将来を暗示しているような姉妹の名前の由来、深く納得出来るものでした。

  5. サエモン より:

    初めまして
    雑巾縫いがヒロイン選びの
    決め手とか言ってましたね
    友人役で創業メンバーは最終までは
    残ったみたいですね。
    昨年からドラマやCMで見かけるようになった彼女が朝ドラヒロインですか

    メイキングでは夫の生死を不明にしてたのに
    初回で無事の帰還を知らせて居るのは
    先の楽しみが減りそこだけは
    残念でした

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。

      > 雑巾縫いがヒロイン選びの決め手

      雑巾縫いの姿が不自然だと絵になりませんからね。昭和44年の場面での老けメイクも様になっていたので期待出来そうだなと今からワクワクしています。

  6. tonton より:

    ファミリアの変名の会社の昭和44年(1969年)の創立20周年記念
    パーティーのシーンですが、生瀬おとうはんがいなかったので、その頃は他界しているかもしれませんね。

    クセがありながらも愛情溢れる父親に見受けられるので、ドラマから
    去った時にはロスが起こるんだろうな~。
    なんだかんだ言って最終週まで見ちゃうかも(笑)?

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。

      > クセがありながらも愛情溢れる父親

      リトルすみれちゃんが全力で駆け込んで帰宅して記者(?)をすっ飛ばした時、「こらっ!あさっ!」ならぬ「こらっ!すみれっ!」を期待してしまいました。・・・忠興お父はんは素敵でした。

  7. ぺぺ より:

    10年前に亡くなった伯母は、暮らしの手帳が愛読書で、私達、姪、甥によくファミリアの服を買ってくれました。
    家電を買う時は、暮らしの手帳を参考にし、ファミリアの服は上品だと、いつも言っていました。(伯母は結婚はしていたものの子供がいませんでした。)
    生きていたら、きっと大騒ぎしてこの2つの朝ドラを見ていた事と思います。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。

      > 暮らしの手帳を参考にし、ファミリアの服は上品だ

      伯母様が愛されたアイテムが続けてドラマ化されたのをご覧になっていたら、さぞかし喜ばれていたことでしょう。また同時代の方の中にはそんな気持ちでご覧になっている方も多いのかも知れませんね。

  8. えびすこ より:

    べっぴんさん始まりました。
    べっぴんさんでブレイクする若手男性俳優も今後出てくるのでは?

    BSではごちそうさんのアンコール放送も始まりましたが、回数が同じならべっぴんさんとちょうど同じ日程になるのでは。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。

      > ブレイクする若手男性

      何人も出てきそうですね。今のところ年内放送分のみの登場となりそうですが、岩佐栄輔というキャラクターを演じる松下優也さん。彼の役回りから言っても、前々作の五代さまのような注目を集めるかも知れません。

  9. うつ より:

    このドラマは前作と似た部分があるようですね?
    ・片親が早々に死ぬ
    ・戦争で多くを失う
    ・戦後の悲惨な状態の女性たちを見て自分に何が出来るかを考える
    ・会社を興す
    ・癖の多いスタッフに囲まれながらも何とか営業を安定させる

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。

      > 前作と似た部分

      ヒロインが活躍する時代も重なります。前作の三姉妹が今度は四人の創業者という点もどこか通じるものがありますね。前作と異なる点は、本作がその大部分を戦後の時代の描写に割くこと。

  10. koji より:

    近年は(マッサンのシャーロットは異例として)知名度の高い女優さんがヒロインに選ばれてますが、本作の芳根京子ちゃんは花子とアンの出演歴があるにせよ殆ど無名と言える女優さんの久しぶりの起用となりましたね。

    それゆえに期待度も高まります。

    今から明日が楽しみです。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。

      > 殆ど無名と言える女優さん

      知名度でなく実力だけでヒロインの座を勝ち取った女優さんですからね。本当に楽しみです。

  11. 日赤太郎 より:

    朝蔵さん、おはようございます。
    べっぴんさんが始まりますね。
    朝蔵さんの新しい試みのフィクションとノンフィクションを両方、紹介する事、私はそのように理解したのですが、素晴らしいと思います。現実の世界は脚本家が描いた作品より視聴者に訴える事が大きい事が多々有ると思います。だからこそ渡辺淳一さんの小説は我々、医療従事者にとってみれば日常、一般の読者にとってみれば非日常なので人気があったのではないかと思っています。
    話しは変わりますが、亡くなった母は神戸の近くの西宮の生まれでした。ミス大阪大会で2位になり、松竹に入るのですが、東京に長く住んでいても綺麗な女性を見るとべっぴんさん、べっぴんさんと言っていたので懐かしい言葉です。
    フィクションとノンフィクション、両方を伝えるのは大変な作業ですが、ますますこのサイトの人気が出ると思います。頑張って下さいね!

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。

      > フィクションとノンフィクションを両方、紹介する事

      ご明察です。そして励ましの言葉ありがとうございます。実際に歴史の中で活躍された方々にも思いを馳せながら『べっぴんさん』を楽しんで頂ければと思います。

      > ミス大阪大会で2位になり、松竹に入る

      それはスゴイですね!真剣にびっくりしました。小津安二郎作品など往年の松竹名作が大好きなので、ワクワクがとまりません。

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