すみれと母・はなの別れ / べっぴんさん 第5話

連続テレビ小説(朝ドラ)『べっぴんさん』
2016年10月7日(金)放送
第1週 第5話「想(おも)いをこめた特別な品」

『べっぴんさん』第1週 第5話 あらすじと見どころ解説

主治医から、残された時間はあとわずかであることを宣告されたはなは、医師のはからいにより一日だけ退院し帰宅することが許されました。願いがかなって自宅に戻ったはなは五十八に告げました。ゆりとすみれの姉妹をお願いすると。

はなはゆりとすみれに問いかけました。将来は何になりたいのかと。ゆりは英語を勉強し、坂東営業部を継ぐことが望みでした。すみれにも将来の希望がありました。しかし、すれみはそれを言葉にすることが出来ずにいました。

はなは手作りのタペストリーをゆりとすみれに贈り、それに感激したすみれはやっと自分の望みを言葉にすることが出来ました。すみれははなに言いました。自分は大人になったらもらった人が喜んでくれるような別品(べっぴん)をつくれるようになりたいと。

はなが亡くなってから8年後の昭和17年(1942年)。すみれは女学校の最高学年になっていました。その頃もすみれは、亡くなる間際の母と約束した別品づくりを続けていました。すみれの刺繍は二人の友人、君枝と良子を心から喜ばせるのでした。

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midokoro
本作のタイトルにもなっている重要なキーワード「べっぴん」を、ヒロインが一生の仕事にしようと心に誓う重要な場面の登場です。

そしてその直後に描かれるのは、すみれの最愛の母・はなの死です。前作に引き続き主人公の肉親の死で、第1週から泣かされることになりそうです。

『べっぴんさん』第1週 第5話 事前発表あらすじのレビューと史実解説

すみれの実在モデル・坂野惇子さんは、刺繍のみならず洋裁全般にプロ級の腕前を持っていたと伝えられています。

それは女学校時代から結婚直後にかけて洋裁の様々な分野で一流と呼ばれるプロから、洋裁の指南を受け続けていたからです。

坂野惇子さんの主な洋裁学習履歴は以下の通りです。

・女学校時代にフランス人から刺繍と西洋人形づくりを習得
・伊東茂平洋裁学校(洋裁の草分け的存在)を卒業
・阪神間で著名だった洋裁家・木川章子に学ぶ
・洋裁家・北島政子に手芸を学ぶ

また、坂野惇子さんが洋裁を学んでいる頃、神戸にある洋裁店で英国製の毛糸やフランス製の刺繍糸、英国・リバティ社のオリジナル生地や、同じく英国・ウイリアムホリンズ社のビエラなど高級ブランドの生地を大量に買い集めていました。

この時に集めたコレクションの数々が、戦後のインフレ政策で困窮していた坂野惇子さんを実業の道へと導き「ファミリア」創業の道を開くきっかけとなったのです。

『べっぴんさん』第1週 第5話 観賞後の感想

なんか、なんかな

リトルすみれちゃんの口ぐせ「なんか、なんかな」は今回が聞き納めでしょうか。

劇中でリトルすみれちゃんがはじめてこの「なんか、なんかな」を口にしたのは、ある朝、五十八お父様から新調した洋服の感想をたずねられた時のことでした。

言葉を尽くして新しい洋服への感激を語るゆりちゃんのその一方で、リトルすみれちゃんは感想を問われても即答できず、終始「なんか、なんかな」を繰り返す。

それに対して五十八お父様は短気を起こしましたが、少なくない数の視聴者もその時は思ったはずです。この子、大丈夫なのかな?って。

一番はじめの「なんか、なんかな」は誰にとっても意味不明な言葉でしたが、劇中で「なんか、なんかな」が繰り返されるうちに、その意味するところがいつの間にか明らかになってきました。

リトルすみれちゃんにも言いたいことはいっぱいある。

しかし、それを言葉にあらわすボキャブラリーが足りていなかったのかも知れません。言いたいことが多すぎてまとまらなかったのかも知れません。

実はリトルすみれちゃんの頭の中では、もしかすると誰よりも豊かなイメージに満ちあふれているのだと思います。

リトルすみれちゃんの「なんか、なんかな」への理解がそこまで進んだ今回の、はなさんから将来何をしたいのかを尋ねらる場面は切なかった。

はなさんと一緒に過ごせる時間はあとわずか。にも関わらずこんな大事なときに言葉が出てこない。リトルすみれちゃんもさぞかしつらかったかと。

この時、またしても短気を起こす五十八お父様。その短気をはなさんが静かに制してくれましたが、五十八お父様もリトルすみれちゃんの「なんか、なんかな」のその奥に言葉にしきれないイメージがいっぱいあることに気がついてくれたでしょうか。

でも、はなさんがつくったタペストリーがリトルすみれちゃんに言葉を与えてくれました。

「別品をつくる人になりたい」

はなさんが亡くなる間際にリトルすみれちゃんが言葉をはなさんに伝えることが出来たこの場面。『べっぴんさん』の物語がはじまった瞬間を見たような気がしました。

その直後の、はなさんの死は悲しかったけれど、前作と異なりはなさんがずっとすみれちゃんを見守ってくれるのでそこが救いです。

「旅立つ者は知っている。大切な人を見守ってゆけることを」

この言葉が「魔の金曜日」を明るくしてくれました。

昭和9年(1934年)から昭和17年(1942年)へ

二・二六事件や日中戦争開戦前の明るく豊かだった昭和初期の時代から、真珠湾攻撃の後の時代にスキップ!

ジワジワと世の中が暗くなる時代を大胆に省略した時間の経過描写が新鮮です。

新鮮というより初めてかも知れません。

昭和初期を扱ったドラマの中で、二・二六事件から真珠湾攻撃までを省略し、その間の人々の暮らしが苦しくなる様まで大胆にカットしたこんな展開を観るのは。

乏しい食糧事情やモンペもさらりと描くだけで、ことさらそこに注目しない演出もその新しさに驚かされました。

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16 Responses to “すみれと母・はなの別れ / べっぴんさん 第5話”

  1. しょこりん より:

    いつも興味深く拝見しております。リトルすみれちゃんは、無垢で無防備な、全く計算してない感じがたまらなく好きでした。ちょっと、まわらない感じの話し方が可愛くて、、。言葉以外でもこちらに色々伝わる空気感を持っていますね。自分の娘のように身近に感じ、こんなに愛しい娘を残して逝かねばならない母親はどんなに切ないかと重ねて涙しました。木、金のすみれの思いを話す 場面はいつまでも印象に残ると思います。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。

      > 自分の娘のように身近に感じ

      本当に親心をくすぐる女の子でしたね。危なっかしくて目を離していられない、そんなオーラが親心をくすぐったのでしょうか。

      > こんなに愛しい娘を残して逝かねばならない

      「旅立つ者は知っている。大切な人を見守ってゆけることを」

      このはなさんの言葉が救いになりました。

  2. まいもん より:

    金曜日のうちにヒロインの交代。

    大体土曜日のラストシーンで交代する事が多いような気がするので、少し意外な気がしました。

    ただ流れからするとこれで良かったのかなと思う反面、リトルすみれの見納めには一抹の寂しさも覚えたりして・・・

    さて、物語が本格的に動き始めました。

    成長したヒロインのお手並み拝見といった感じで暫くは観て行きたいと思っています。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。

      > 金曜日のうちにヒロインの交代

      当ブログで扱った朝ドラの中で、幼年時代が省かれた『梅ちゃん先生』『あまちゃん』『マッサン』を除いて、ヒロインの交代はすべて土曜日放送回の終わる直前でした。

      今回のスキップは本当に新鮮でした。

      > トルすみれの見納め

      僕もリトルすみれちゃんが気に入っていたので残念です。『あさが来た』の時みたいに、すみれちゃんの娘・さくらちゃんの幼年時代で復帰してもらいたいです。

  3. まーちゃん より:

    子役4人の演技が素晴らしくてそれぞれの人物の個性を見事に表していると絶賛したかったのですがもう出番が終わってしまいましたね(涙)

    芳根京子さんはインタビュー等で拝見するとシュッとした都会的なお嬢さんですが、今日子供すみれが大人すみれにスイッチしたとき何の違和感も覚えませんでした。大したものだなと両すみれの役者さんの人物造形の確かさと演技力に感銘を受けました。

    「なんか、なんかな・・・」こういうタイプの子供って結構いると思います。私はイラチなので五十八お父さんと同じ気持ちで「はっきりせえ」って言いたくなるのですが(汗)生瀬勝久さんがすみれちゃんの次の言葉が出てくるのを期待に満ちた眼差しで待っている演技が素晴らしいなと思って見ていました。「ふん、ふん・・・それで・・・結局出てこないんかーい」

    子役4人の好演技により私的には出足好調の「べっぴんさん」ですが半年間の長丁場、山あり谷ありだと思います。朝蔵様も息切れせぬよう頑張ってくださいませ。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。

      > 何の違和感も覚えませんでした

      同感です!この子が大きくなったらこうなるだろうと納得の配役でしたね。


      > 山あり谷あり

      四人も「ヒロイン」がいて、姉もいて、それぞれの家庭も丁寧に得がれてと、盛り上がる要素はこれでもかというくらいあるので、楽しみながら続けられそうです。

  4. ぺぺ より:

    私も、朝蔵さんの忠実を併記する事に賛成です。
    再び1話のコメントに続き私事の伯母の話で申し訳ありませんが、「このファミリアはねレナウンの関係者の女性の方が作られた会社よ」と当時10歳の私は伯母から聞いたのを思い出しました。(40年も前の話です)

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。

      > 忠実を併記

      ありがとうございます。励みになります。せっかくなのでドラマと史実、二倍楽しみましょう!

  5. えびすこ より:

    菅野さん昨日のあさイチに出ていましたね。おそらく出番は今週だけだと思いますが、印象に残りました。
    朝に目が覚める場面で成長したヒロイン登場は斬新ですね。
    今週はすみれがランドセルを背負う場面がありますが、あの時代にランドセルを使えるのは裕福な家庭の子供だけですね。花子とアンやとと姉ちゃんでは背負っている子供は1人もいなかったような?

    魔の金曜日。やはり起きてしまいました。またも作品をまたいで続けて登場人物が亡くなられました。朝ドラは月~土に放送する帯番組だから「1週の起承転結」で考えたらしょうがないのかな?

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。

      > 朝に目が覚める場面で成長したヒロイン登場

      そう言えば『カーネーション』では朝に目が覚めたヒロインが晩年を迎えてましたね。

      > 斬新

      金曜日のうちに成長後のヒロインを登場させたことが僕には新鮮でした。前例はあるんでしょうか。

  6. ヤジウマン157号 より:

    「五十八さん、あれはゆりとすみれやったよ」

    子供に対しての細やかな「気付き」「気遣い」を感じさせてくれたはなが・・・

    だめだ、書いていても目が滲む。なんか、なんかな。言葉が出ない。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。

      > だめだ、書いていても目が滲む

      8年という時間が悲しみを癒やしたところを見せてもらえたのがせめてもの救いでしたね。

  7. よるは去った より:

    すみれ「友達がモンペでもおしゃれしてみたいって・・・・・。」私の記憶に間違いなければ、前作「とと姉ちゃん」でおしゃれな刺繍とかした小物を持っていて「隣組」から怒られる場面があったような気が・・・・・。間違っていたらごめんなさい。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。

      > 隣組

      前作では騒ぎになってましたね。今で言う民間の「自粛」だったので地域差もあったのかも知れません。これは「適性外国語」の話ですが、軍人は英語を勉強していました。電車の中で英語を勉強していた軍人が「非国民」とののしられ殴打される事件もあったそうです。

  8. 日赤太郎 より:

    朝蔵さんの新しい試み、史実とオリジナルストーリーを併記する。そして観賞後の感想も追記する。私は完璧な構成だと思います。
    朝蔵ファンには異議を唱える方もいるかもしれませが、その様な方は近所の書店に行かれると考えが変わると思います。べっぴんさんの関連本が山の様に積み上がっています。多くの人はべっぴんさんの史実を知りたいのです。
    ドラマはドラマとして楽しむ。でも実在の人物を描いた物語なら史実を知りたいのが本音ではないでしょうが?
    朝蔵さん、頑張って下さい。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。

      > 史実を知りたい

      史実を知ることでドラマをもっと豊かに味わえることが出来ればと思っています。ご賛同いただき大変励みになりました。

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