紀夫の手紙がついに届く / べっぴんさん 第41話

連続テレビ小説(朝ドラ)『べっぴんさん』
2016年11月18日(金)放送
第7週 第41話「未来」

『べっぴんさん』第7週 第41話 あらすじと見どころ解説

友人の夫の戦死を聞かされたすみれの不安は募るばかりでした。そのことを相談するすみれに対する五十八の言葉が、すみれの困惑を深めます。五十八は言いました。紀夫のことを諦めて前を向くことも必要だと。

一方、すみれは明美からも紀夫を諦めるべきだと諭されます。すみれが紀夫のことを諦めたところで誰もすみれを責めやしない。紀夫の両親ですら諦めろと言っているのだから。しかし、明美の言葉をすみれは納得ゆきません。

その頃ゆりは潔の頼みごとを引き受けていました。生前のはながそうしたように、ゆりが近江で麻糸を調達し、それを大阪の潔のもとに送って欲しい。遠慮がちに頼む潔の願いをゆりは快諾しました。潔に頼られることがゆりの願いでもあったのです。

深く落ち込むすみれを心配して栄輔が励まします。栄輔が意を決して自分の思いを告げようとしたその時、すみれ宛に郵便物が届きました。それは紀夫からの手紙でした。手紙にはこう書いてありました。桜の花が咲く頃に帰ると。

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midokoro
紀夫の両親から紀夫のことは忘れて欲しいと言われ落ち込み続けていたすみれに、五十八と明美が追い討ちをかけます。

五十八も明美も、紀夫がいない人生を真剣に考えろと言うのです。

すみれがいよいよ追い詰められたその時、物語は急展開を始めます。紀夫が無事を知らせる手紙を送って来たのです。

『べっぴんさん』第7週 第41話 事前発表あらすじのレビューと史実解説

今回のドラマの中に登場する紀夫からの手紙には「桜の花が咲く頃に帰る」と、まるで一編の詩のようなメッセージが記されています。

このポエジーな手紙。花の種類は変えられていますが、ほぼほぼ史実に忠実な文面です。では、史実では桜の花でなく何の花が咲く頃と記されていたのでしょうか。

ズバリ「すみれ」です。

リアルで坂野道夫さんは、妻に宛てた手紙の中で「すみれの花が咲く頃に帰る」と記し、自分の無事を知らせています。

しかも、坂野道夫さんが帰国した際に乗船していた船の名は「すみれ丸」でした。

恐らく『べっぴんさん』のヒロインの名前の由来はこのエピソードにあるのではないかとブログ主は考えています。

『べっぴんさん』第7週 第41話 観賞後の感想

「前ってどこですか?」

五十八さんから前を見ろと言ってもすみれちゃんは前がどこなのかわかりません。五十八さんが前だの後ろだのと言うのは「紀夫」の名前を出すのを避けていたのでしょう。

その一言はすみれちゃんにとっては劇薬ですから。

しかし、すみれちゃんが五十八さんにきっぱりと尋ね返しました。

「紀夫さんのことを考えるのは後ろを見るという意味ですか?」

この切り返しに五十八さんもさぞかし驚かれたかと思います。しかし、そこに自ら踏み込んできたすみれちゃんの覚悟を知って、五十八さんが厳しく言い切りました。

「そうや!」

五十八さん、言い切ってしまったかとかなり驚かされました。しかし、それくらいの厳しい決断をさせなければ娘の人生が台無しになると言う親心が働いたのだと思います。

すみれちゃんと五十八さんの応答、息の詰まるような場面でした。

しかし、劇薬の「紀夫」を自ら飲み込んだすみれちゃんでしたがやはり効き過ぎたのでしょうか。雨の中を駆け出してゆくすみれちゃんの後ろ姿が哀れ過ぎて・・・

すみれちゃんの反応を見た五十八さんのうろたえぶりにも娘を思う父親の愛情が色濃くあらわれていて忘れられません。

やっと考えてること言うてくれた

ゆりちゃんと潔くんのすれ違いも今回で解消でしょうか。

ゆりちゃんは潔くんの気持ちがよくわかっていたんですね。ゆりちゃんに生前のはなさんと同じことをして欲しい。でも番頭の息子として主従関係にある家の令嬢には頼めないと。

二人のすれ違いの解消を機に、ゆりちゃんの戦後の心の歩みを想像してみました。

近江の坂東本家に疎開中に迎えた終戦。戦争が終わり長太郎さんから本家を追い出されたその直後に潔くんが戻って来ました。

この時のゆりちゃんは幸せでした。

そして坂東営業部の復活を夢見て大阪に居を定めバラックからの新生活を開始。すべてを失いはしたものの、ゆりちゃんの心の中は明日への希望で満ち溢れていたかと。

しかし、その希望が失望に変わるのに時間はかかりませんでした。

ゆりちゃんの心を初めに曇らせたのが何なのかはわかりません。

家の中では同士として坂東営業部の復活を誓った潔くんが、同士でありながら自分に何も任せようとはしない。何故、任せてくれないのかと尋ねても答えてはくれない。

家の外にあっては、連日連夜にわたって乱闘騒ぎが起こるような劣悪な環境。治安の悪さ。元締めが場銭を要求してくる理不尽さ。

家の中でも外でも居場所がない。

ここまで深く落ち込んだら、夫は自分に対して無関心なのだと諦めそうなものですが、夫には隠している本心がある。それが言えないに違いないと考えたところにゆりちゃんの救いがありました。

潔くんが本心を明かさないことへの不満を募らせていましたが、それでもなおゆりちゃんは潔くんを信じていた。と言うことなのでしょう。

話がそれますが、今回のすれ違い解消場面。それでこそ俺が惚れたゆりみたいな潔くんの一言に照れるゆりちゃんが可愛い。

久しぶりにゆりちゃんの屈託のない明るい顔を見ることが出来て朝から心が癒されました。

ところで、言いたくても言えない。そんな潔くんの背中を押したのは・・・結果として背中を押すことになったのは栄輔くんでした。

栄輔くん、GJです。

櫻の咲くころ歸る

一方、その栄輔くんが切なすぎる。

雨の中を涙を流しながら歩いていたすみれちゃんの悲しみにくれる姿が、栄輔くんのスイッチをオンにしたのでしょうか。

それとも五十八さんの後ろを断ち切る発言が決起をうながしたのでしょうか。

「わしで良かったら・・・」

栄輔くん、ついに言うか!・・・の、その直後のまさかの紀夫くんの手紙。

あまりにも気の毒なタイミングでしたが、「わしで良かったら・・・」の続きを言った後に郵便屋さんが来なかったのが、栄輔くんにとってもすみれちゃんにとっても幸いでした。

それにしても、よりによってこんなタイミングで。しかも、三人で桜の花を見ようと約束したその頃に紀夫くんが戻り、三人の約束は花と散るこの皮肉。

栄輔くんの将来に幸福が用意されていますように。

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10 Responses to “紀夫の手紙がついに届く / べっぴんさん 第41話”

  1. あさこ より:

    はじめまして。
    以前より更新を楽しみに拝見させていただいてます。

    紀男さんからの手紙に実際に記されている花の名前は、すみれだったんですね!
    それがヒロインの名前の由来にもなっているのであれば、絵的には地味かも知れませんが、ドラマ上も「すみれの花の咲く頃」のままにして欲しかったです。
    ・・というのも、1回目のベビー相談会の開催日がポスターに4月6日と書かれていて、その2週間後の2回目のベビー相談会も開催されて、その後も色々とあって、どう考えてもドラマの季節は5月半ばなのに桜が蕾で、これから満開を迎える・・という設定に無理を感じてしまうんです。
    真剣にドラマを見てるからこそ、ドラマを作る上で時間の経過や季節をおざなりにする脚本家さんには、個人的にがっかりしてしまいます。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうござます。

      > すみれの花の咲く頃

      1回目のベビー相談会の日を3月20日頃にするだけで違和感なく季節の推移を表現できたのに、この点でちょっと外しましたね。

  2. ぽんた より:

    シベリア抑留者の息子です。すみれの焦燥と五十八の心配はいかなるものかと、気持ちが切なくなります。祖父と祖母も同じ心配をしたのでしょう。今更、このドラマで追体験しています。

    復員省(昭和21年春当時であれば、第一復員省が正しい。旧陸軍の成れの果て)は、部隊・兵士の配置や作戦について記録を持っているので、出征先が大体でもわかれば検索は不可能ではなく、また、先日の戦友が訪ねて来て、すみれに紀夫の裁縫道具を渡したときに、しつこく戦友の部隊名や紀夫との遭遇地点、遭遇月日を聞き出していれば、作戦から紀夫の所属部隊を割り出すこともできたでしょう。少なくとも大まかに旧満州や北朝鮮、旧樺太や千島といった地名がわかれば、その後はシベリア行きの可能性が強いことが疑われます。個人の生死はともかく、大まかな行き先さえまったくわからないことは、ちょっとないと思います。

    すでに亡い父親は抑留の手記を残しています。それからすると、今日の場面はやや不自然です。抑留者から日本へは、抑留者に対して「俘虜用」と書かれた葉書が不定期に配られ、検閲を通れば日本への通信はできました。実家には実物の数枚の葉書が今でも残っています。抑留収容所の名前や場所は不明なので、日本からの通信はできません。

    時期ですが、すみれの最近の服装に夏服がなかったので、昭和21年4月頃と考えられます。しかし、これは早すぎる。紀夫が実際にいた南洋ならともかく、シベリア抑留者が帰還するのは昭和22年春ごろからで、ちょっと早過ぎます。当時のシベリアの収容所には紙や封筒はなく、万年筆も降伏地点からずっと荷物に隠し通して持ち込むのでなければ、ありません。日本人捕虜は移送の時点で、何度もソ連兵の略奪を受けているので、時計など大抵の貴重品は略奪されました。封書は検閲しにくいので、あり得ません。たとえ友人に託したとしても、あの劣悪な抑留環境の中でどうして紙や封筒を手に入れて書けたのでしょうか?また、たとえ封書を持ち帰ろうとしても、日本への復員船乗船を目の前にして、最後の所持品検査の際に封書を隠し持っていることがわかれば、封書は没収の上、収容所へ逆戻りです。日本への帰国が最大の望みである抑留捕虜にとって、帰国寸前にこんなリスクを負うのはよほど豪胆な人だけでしょう。

    思うに、脚本家の方が南洋の話をシベリアに移したときに、南洋でのストーリーをそのままシベリア抑留者の話に移したために、こういう話の展開になっているのだと思います。

    ちなみに、父から初めて実家に葉書が届いたのは昭和21年7月で、マッチの燃えかすで書いた「ゲンキデヰル ○○(名前)」という簡単なものでした。祖父や祖母はいかに安心した事でしょうか。

    長文、失礼しました。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうござます。
      極めてリアルかつ詳細な情報をありがとうございます。初めて知る話ばかりで何度も読み返してしまいました。脚色が過ぎたがためにゆがみが生じてしまったようですね。

      • ぽんた より:

        朝蔵さま:
        ていねいな返信、ありがとうございます。

        前信で筆がすべった点等の訂正をお願いいたします。

        俘虜用葉書の件ですが、「葉書が配られ、不定期ですが、」→「葉書が不定期に配られ、」
        略奪の件ですが、「ソ連兵や民衆」→「ソ連兵」
        封書の件ですが、段落末尾に「また、たとえ封書を持ち帰ろうとしても、日本への復員船乗船を目の前にして、最後の所持品検査の際に封書を隠し持っていることがわかれば、封書は没収の上、収容所へ逆戻りです。日本への帰国が最大の望みである抑留捕虜にとって、帰国寸前にこんなリスクを負うのはよほど豪胆な人だけでしょう。」を追加

        もしできれば、以上の訂正と追加をお願い致します。
        来週はもっと心の健康によくない場面が続きそうです。今から落ち込んでいます。 ぽんた拝

  3. きゅうぽん より:

    時子さんのように戦争でご主人を亡くされて女手ひとつでという方が多かったようですし、私の親戚も戦争未亡人で結局違うところに嫁ぎ直しされた方も多かったです。なぜかうちの祖母がその前夫さんの写真を持っていましたが…(^_^;)

    紀夫さんはシベリア抑留だったら、ラーゲリからは手紙は出せないし、帰ってきているなら、復員情報があるだろうし、帰ってきてどこかに留まっていたのか…病院にいたのか…その後のあらすじで人間不信とあったので、その辺が気になるところです。

    史実は、「すみれ」ですが、ドラマは愛娘(紀夫はどちらが生まれているのかは知らないですが…)の「さくら」に掛けられたのでしょうか…英輔さんには、とっても切ない残酷な場面ですが…その後去られた後、何年後か幸せな様子が伺えるといいのにな…と願うばかりです。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうござます。

      > 何年後か幸せな様子

      幸せになって、成功して、後半に出て来て欲しいですね。前作『とと姉ちゃん』の鉄郎叔父さんみたいな再登場を願っています。

  4. よるは去った より:

    潔「お義母さんがやっとったことと同じ事をやってもらえへんやろか・・・・・。」 ゆり「やっと思うてることを言うてくれた・・・・・。」すれ違いの多かった夫婦に絆が戻ったというところでしょうか。」 それにしても、栄輔「もし、わしで良かったら・・・・・・。」のところへ・・・・・・。運命のなんとやらですなあ。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうござます。

      > 運命のなんとやら

      三人でお花見のタイミングに紀夫くんが帰ってくると言うところもたまりません。

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