キアリス開店初日迎える / べっぴんさん 第45話

連続テレビ小説(朝ドラ)『べっぴんさん』
2016年11月23日(水)放送
第8週 第45話「止まったままの時計」

『べっぴんさん』第8週 第45話 あらすじと見どころ解説

すみれたちが新たに開業するキアリスの開店初日を迎えました。店は多くの客で賑わい、明美のベビー相談室も人気を集めていました。良子も、あれほど苦手だった常連客のレイコの接客を出来るようになりました。

同じ頃、紀夫は仕事探しが思うよう進見ませんでした。立ち寄ったキアリスでは自分にはなつこうとしないさくらが栄輔になついている姿を見てショックを受けます。その日の夜、常に他人を警戒する紀夫は、すみれを家まで送り届けた栄輔に殴りかかってしまいます。

そんな中、かつての坂東営業部の社員たちが戦地から戻り潔のもとに集まって来ました。再び潔と働きたい望む彼らの働ける場所をつくれ。坂東営業部の看板を掲げよ。五十八の一言に背中を押され、小さな事務所を買った潔はついに坂東営業部を復活させました。

これからの坂東営業部の主な取り扱い商品を紳士服から婦人服に改める。そう決断を下した潔はそのことを長太郎に相談します。一方、開店から一ヶ月経ったキアリスは客足が遠のきはじめ、すみれたちは店の家賃の支払いに頭を悩ませるのでした。

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midokoro
ベビーショップあさやはその名を改めてキアリスとして新たに出発。キアリス開店初日も大盛況のうちに終わり順風満帆に見えるすみれでしたが、大きな悩みを抱えていました。

すみれたちの活躍を紀夫は受け入れようとはしないのです。

その紀夫もまた苦悩していました。自分になつかない娘のさくらが、紀夫にとっては見ず知らずの男になつき、しかもお父さんと呼んでいるところを目撃してしまったからです。

『べっぴんさん』第8週 第45話 事前発表あらすじのレビューと史実解説

復員後、出征前とはすっかり人が変わってしまったかのような紀夫の様子に戸惑いを隠せないすみれ。

史実では、すみれの実在モデルはこうした苦労は経験していません。しかし、戻って来た夫に別の意味で苦労を重ねたようです。

以下、劇中登場人物名を用いてそのあたりのエピソードをまとめてみます。

戦時中まで「すみれ」と「紀夫」が暮した家は空襲で焼失。二人は家と家財道具の一切を失ったところから戦後の生活をはじめました。

預金封鎖などのインフレ政策も重なり「すみれ」一家の家計は困窮を極めていましたが、「紀夫」は親類縁者に助けを乞うことを潔しとはしませんでした。

満足な食器すらなく、鍋のフタを皿代わりにして食事をするような状態でしたが、「紀夫」は「すみれ」が実家に助けを求めることを厳禁。

そんな暮らしぶりを見るに見かねた「紀夫」の姉が、「紀夫」の兄弟たちに協力を呼びかけ家具や食器を調達。

豪華な家具や食器が揃うことで、「すみれ」と「紀夫」一家は住居と食糧以外は人並み以上のレベルになったのだそうです。

『べっぴんさん』第8週 第45話 観賞後の感想

脇キャラの成長や変化の描写が積み重ねられ、戦後の復興を予感させるフラグが次々と立った明るい明日を感じさせてくれる回でした。

良子ちゃんの変化

良子ちゃんが、大の苦手だったレイコさんの接客をしている!

帰らぬ夫への寂しさに耐えながら店を守って来たすみれちゃん。働くことに異を唱える夫を説得し、病弱な身体をおしてまで自分を変えようとする君枝ちゃん。過去のトラウマを克服しようと努める明美ちゃん。

三人の仲間たちの姿を見て、ひそかに良子ちゃんも自分を変える努力をしていたんでしょうか。良子ちゃんがレイコさんの接客をし、しかもレイコさんを喜ばせました。

もうお嬢様のままではいられない。世の中が変わり、レイコさんみたいな人も増えて来れば好き嫌いなど言っていられない。

キアリスの四人組の中では、時代の変化に対してちょっとだけ遅れをとっていた良子ちゃんも、ようやく仲間たちに追いついてきたみたいです。

ゆりちゃんの変化

戦後の混乱の中で夢も希望も自分の居場所すらも見失っていたゆりちゃんが変わりはじめたのは少し前のこと。

前回描かれた坂東本家の「セクハラ騒動」みたいなことに遭遇したら、しばらく前のゆりちゃんであれば、すっかり機嫌を悪くし自分の殻の中に閉じこもっていたはずです。

ましてトク子さんから出て行けとまで言われてしまったわけですから。

しかし、ゆりちゃんは「セクハラ騒動」を機に、自分の変化にまだ足りないところがあると考えたみたいです。

泥水をすすらなければならないこともある。しかし、泥水を湧き水に変えるのは自分次第。

このトク子さんの金言にゆりちゃんは何を思ったのか。

近江の麻でサマードレスをつくりたい。しかし、それを実現するには「セクハラ騒動」の渦中の人物・石鍋さん(?)の協力が不可欠。

さて、その石鍋さん(?)を説き伏せる妙案をゆりちゃんは持っているのか。それとも謝罪し説得する覚悟を固めたのか。

石鍋さん(?)という泥水を湧き水に変えるゆりちゃんの活躍が見ものです。

次回あたり、ゆりちゃんは何をしでかすのか。劇中のキャラの中では、ここまでで一番浮き沈みが激しいゆりちゃんの、上昇気流に乗った姿から目が離せません。

潔くんの変化

坂東営業部復活のための闇市の資金稼ぎに終始していた潔くんが、看板を掲げた者勝ちという五十八さんの言葉に背中を押され、ついに坂東営業部を復活させました。

事務所を持ち社員を抱えるにはそれなりのリスクがともないます。

潔くんがそのリスクをとりました。そして坂東営業部をただ単に復活させるだけでなく生まれ変わらせようとしているのでしょうか。

キアリス開店初日。そろそろオシャレをしたいという時子さんの言葉に着想を得たらしい潔くんが、婦人服を新生・坂東営業部の主力商品に据えました。

潔くんも変わり坂東営業部も時代に合わせて変わりはじめました。

時子さんの変化

一番ささやかな変化の描写ながら、もしかすると今回描かれたキャラたちの様々な変化の中にあって、時子さんの変化が最も大きな変化なのかも知れません。

「そろそろオシャレをしたい!」

夫の戦死という戦争の傷から立ち直ろうとするかのような時子さんの宣言は、これから物語が戦後の復興期に入ってゆくことの宣言にも聞こえました。

そして変化出来ない紀夫くん

そんな中で、ただ一人変化出来ずに苦しむ紀夫くんです。

戦争の傷に加え、もともとの引っ込み思案過ぎる性格。変えるべき部分があまりにもたくさんある紀夫くんの変化の描写がこれから数週間の物語の大きなテーマとなりそうです。

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10 Responses to “キアリス開店初日迎える / べっぴんさん 第45話”

  1. 通りすがりん より:

    サエモンさんが既におっしゃられていますが、私も栄輔さんに配慮が足りないなあと思いました。
    いくらさくらちゃんが自分に懐いていて可愛くても、今までと同じように接していたら、紀夫さんがどんな気持ちがするか、それがわからないような人ではないはずなのに。
    逆にやましい気持ちがないからこそ紀夫さんの目の前であの態度ができるのかも知れないですが、ちょっと無神経すぎるような気がしました。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうござます。

      > 栄輔さんに配慮が足りない

      独身者ゆえに親心が理解しきれないなのかも知れませんね。もう少し大人になって、親の気持ちがわかる日が描かれるといいのですが。

  2. サエモン より:

    栄輔さんももう少し距離感を
    大切にしてあげても
    父親変わりから親戚のおじさん
    男友だちになりきれてないな
    さくらちゃんになつかれてて
    すみれちゃんが気になるとは言え
    そろそろ父親の役割だけでも
    変わってあげないと
    流石にかわいそうかも

    栄輔さんと紀夫さんの気持ちも
    分からなくもないから
    複雑な気分だね

    紀夫さんも変われてないし
    潔さん ゆりさん 良子ちゃん
    時子さんの変化
    坂東営業部の復活

    今は昭和22年の5、6月くらいかな?

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうござます。

      > 父親の役割

      おっしゃる通り、紀夫さんになつくように仕向けないとさくらちゃんの成長後に禍根を残ししそうで心配です。


      > 昭和22年の5、6月

      終戦の翌年、昭和21年の5、6月頃かと思います。史実からはちょっとズレてます。

  3. しょこりん より:

    紀夫役の永山絢人さんは、「ひまわり」の時も、戦争から無事に戻ったものの、辛すぎる経験から人が変わってしまった役を見事に演じていたと記憶しています。今回も、同様で胸のつまる思いで見ています。すみれと結婚する前の頃のすみれへの恋心を現す演技も秀逸で、胸キュンものでした。素晴らしい俳優さんだなと思います。紀夫の笑顔が見れる日が早く来ないかと毎日願っています。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうござます。

      > 紀夫の笑顔

      年明け放送回は夫婦が心を一つにしてキアリスを盛り上げてゆくようです。(もちろん多少の衝突は描かれるかも知れません)年明けの物語は時代も高度成長時代なので明るい笑顔が増えるかも知れませんね。

  4. ぽんた より:

    「希望」がこのドラマの主題であれば、ようやく回り始めたキアリスと坂東営業部の2つの商売は、その象徴でしょう。今後も見逃せません。

    勝二や紀夫が妻の商売を嫌がるのは、当時のホワイトカラーの考え方、つまり、男は妻子を養うものという固定観念や義務感から、妻を働かせ、それで男が、たとえ当面であれ食べてゆくということが、自分で許せないからではないでしょうか。また、仕事がなくて妻子を食べさせることができない自分の不甲斐なさを自分で許せないのでしょう。

    さくらを紀夫の面前でかわいがる栄輔は、いままでの行きがかりがあるとはいえ、少し無神経に思えます。土曜日の場面であれだけ自己嫌悪に陥ったのであれば、紀夫の前では少しは身を引くものと思います。当時の「シベリア帰り」であれば、今日の栄輔の場面では、紀夫は栄輔を押し倒すだけでなく、鉄拳の2、3発は食らわせていたでしょう。当時のシベリアでは、何か規律違反があれば鉄拳制裁が捕虜の間で常識だったので。これは旧軍以来の伝統です。今のNHKとしては、そうは描けないのかもしれません。

    ちなみに、収容所の「人間不信」は、長期間抑留され、いつ帰れるとも知れない捕虜の不安から生まれたもので、旧日本軍秩序の崩壊が進んだシベリア奥地ではよく起きたことと承知しています。その秩序を守っていたのが下士官や同僚による鉄拳制裁で、父親の手記にも出ています。父親も埋葬時に死者の衣服を剥ぐ話を書き残していますが、生きている捕虜の衣服を入浴中に盗み、凍死させる話はありません。もし盗もうと思えば、もっと手っ取り早く同僚の私物を入れた背嚢から盗めばよいので。もちろん、見つかればたちまち鉄拳制裁でしょうが。前に書いた通り、紀夫の帰還は抑留者としてはあまりにも早すぎるので、その段階では紀夫のような激しい人間不信は起こっていなかったと思われます。

    追伸:前便の訂正、ありがとうございました。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうござます。

      > 当時のホワイトカラーの考え方

      リアルの女性創業者たちのそれぞれのご主人は一人を除いて自分の妻が商売することに賛成だったらしいので進取の気風を持った男性だったんですね。現代でも滅多にいないタイプかも知れません。

  5. もんすけ より:

    「気分エエわ~」と、良子ちゃんに接客されるレイコさん。
    お店を訪ねるお客さんの層と自分に少々ギャップを感じていたでしょうし、なにより、自分のことで良子ちゃんがお店を辞めたのではないかと気を揉んでいたでしょうから、きっと本当に気分良かったのでしょうね。心温かなレイコさんのふくよかな笑顔にこちらも気分よく。

    また、悲しみを乗り越えようとの時子さんの笑顔、時子さんを支え、励まそうとする家族やご近所さんの笑顔が、さらに、近江ではサマードレスのデザインに思わず声を上げる静子さんや節子さんの、そして(やった!)と思うゆりちゃんの笑顔。それぞれの行く先に灯ともったようで心掴まれました。笑顔ってすごいですね。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうござます。

      > 自分のことで良子ちゃんがお店を辞めた

      確かにレイコさんだったらそこまで気の回る人ですね。安堵感が「気分エエわ~」につながったのかとちょっと大仰な反応に深く納得できたコメントです。

      > 笑顔

      終戦から時間が経ち笑顔が以前より増えてきたような気がします。

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