百貨店との取り引き拒む / べっぴんさん 第50話

連続テレビ小説(朝ドラ)『べっぴんさん』
2016年11月29日(火)放送
第9週 第50話「チャンス到来!」

『べっぴんさん』第9週 第50話 あらすじと見どころ解説

ある日、キアリスを取材するため新聞記者が店を訪れました。記者は、子を持つ母親たちが開業した店という視点から記事を書くつもりでいました。明美が自分は独身だと言っても記者は明美の言葉を聞き流すだけでした。

そんな中、大急百貨店の社長がキアリスの商品を取り扱っている事実がすみれたちにも知らされました。最大手の百貨店から声がかかったことにキアリスの面々の夫たちが大喜びするその一方で、すみれたちの反応は鈍いものでした。

キアリスと百貨店との仲介を任された紀夫はキアリスの帳簿を見て言葉を失います。とても帳簿とは呼べないシロモノだったからです。こんな帳簿では百貨店との取引は無理だ。そう言う紀夫にすみれは言い返しました。ならば百貨店との取引はしなくても良いと。

数日後、キアリスの記事が載った新聞が発行されました。しかし記事では明美の名前だけが省かれていました。自分が新聞に載れば亡き母も喜んでくれるに違いない。そんな期待をしていた明美は、気丈に振る舞うものの落胆を隠すことが出来ません。

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大急百貨店からの取り引き打診に、紀夫、勝二、昭一たち男性陣が歓喜の声を上げるその一方で、すみれたち女性陣はその打診がどれほどのものかがわかりません。

そしてその打診を機にキアリスの経営がお粗末なものであることが明らかになります。

しかし「経営がお粗末」と言うことの意味が理解出来ないすみれは、ヘソを曲げてしまい大急百貨店と取り引きなどしなくても良いと言い出し紀夫を慌てさせます。

『べっぴんさん』第9週 第50話 事前発表あらすじのレビューと史実解説

紀夫たち男会の面々がキアリスの大ざっぱ過ぎる帳簿の付け方に言葉を失う。

今回の劇中で描かれたこのエピソードは実話にもとづいています。ただし、実際に帳簿の付け方の稚拙さが夫たちの知るところとなったのは、百貨店からの出店誘致を受ける以前。ベビーショップ・モトヤ時代の頃のことです。

前作『あさが来た』のヒロイン・あさは幼少の頃からパチパチはん、すなわちそろばんが得意でしたが、本作『べっぴんさん』の四人の創業者の実在モデルは、奥窓育ちゆえにそもそもそろばんなど習ったがありませんでした。

さらに商売も未経験だった四人の計数管理はあまりにもいい加減なものでした。

リアルでは夫たちが帳簿の付け方に始まり、値段の付け方などを懇切丁寧に指導。時には夫たちが会社帰りに店に立ち寄り帳簿記帳の代行をしたなどということもあったようです。

一方、今回の劇中で描かれるもう一つのエピソード・新聞社による取材。

取材自体は実際にあったとは思いますが、今回の取材と、この取材がきっかけになった今後の劇中で展開するエピソードの数々はすべて創作ストーリーではないかと思います。

『べっぴんさん』第9週 第50話 観賞後の感想

紀夫くんの受難の日々のはじまり?

今回は紀夫くんの受難の日々のはじまりかも知れません。

社員たちとも口を聞かずにただひたすらに計算に没頭するだけ経理の仕事は、引っ込み思案で人との付き合いが苦手な紀夫くんにとって安全地帯でした。

「完璧な帳簿の完成」という学校のテストみたいに正解がある仕事の性質も、几帳面を絵に描いたような紀夫くんには天職みたいなもの。

その安全地帯にして且つ天職から、紀夫くんが引っ張り出されました。

その第一弾が前回描かれた大急百貨店社長・大島氏の接待です。酒をあれほど飲んだのは初めてと紀夫くんは言いましたがもしかすると接待の席も初めてだったのではないか。

接待は人との付き合いがすべてです。そこには紀夫くんにとっての安全地帯もなければ、「完璧な帳簿の完成」のような正解と呼べる状態もありません。

しかし接待の席での救いは潔くんがいてくれたことです。紀夫くんはその場で座ってさえいれば良かった。

実際、紀夫くんが大島社長との会話の前面に立ち、言い過ぎかも知れません紀夫くんはあの場にいてもいなくてもどちらでも良かった。

まずは接待の現場を体験させてその場の持つ雰囲気に慣れさせるというのが潔くん流の帝王学の狙いでしょうか。潔くんの経営者人事教育、さすがです。

しかし今回、潔くんは紀夫くんを突き放しました。

大急百貨店から取引のオファーがあった事実を、潔くんは自分の口からは告げずに紀夫くんに言わせる。

しかも相手はすみれちゃんと仲間たち。妻と身内同然の者たちです。実際の交渉相手に身内を選び、交渉の訓練を身内から始めさせるところも気が利いています。

しかし、紀夫くんは身内との交渉にあえなく失敗。

身内との交渉すらうまくまとめ上げられず早々に交渉のテーブルから撤退した場面。この場面が、紀夫くんの受難の日々のはじまりのような気がします。

ちょっとネタバレになりますが、これからしばらく紀夫くんにとっては無理難題とも言うべき課題が次々と果たされ、紀夫くんは苦労に苦労を重ねる事になるようです。

紀夫くんの何の憂いもない表情は今回を最後にしばらくお預けになるかもです。

小さな不満は世の中が平和になった証拠?

今回は大小含めて主要キャラたちが心に抱く様々な不満が描かれました。

その中でも一番不満が多かったのは君枝ちゃんでしょうか。

君枝ちゃんは、琴子さんが健太郎くんを溺愛するのが不満です。その溺愛ぶりを注意してくれない、と言うか注意出来ない弱気の昭一くんも不満です。

その昭一くんから世の中を甘く見ているとまで言われたことがもっと不満です。

すみれちゃんにも不満があります。

キアリスの帳簿はドンブリ勘定とまで言われ、挙げ句の果てには本気でやっているとは思えないとまで言われる始末。

さほど乗り気でもない大急百貨店との取り引きを勝手に持ち込んでおきながら、何故そこまで言われなければいけないのか。

明美ちゃんにも不満・・・不満と言うより落胆と呼ぶ方が適当でしょうか。

新聞に自分のことが載れば死んだお母ちゃんも喜んでくれるはず。そんな期待は裏切られた上に、自分のことだけが記事から省かれる。

キアリスそのものが記事にならなかったのならともかく、自分だけが記事になっていないというのはあまりにもつらい。

そんな小さな不満、大きな不満が今回の劇中でたくさん描かれましたが、考えてみればこれら不満は世の中が平和になった何よりの証かも知れません。

終戦直後の混乱の中、食うや食わずの暮らしで夫の無事もわからない。そんな日々の中ではこんな不満を持っているゆとりなどなかったはずです。

いつの間にか世の中は平和になっていたんだな。数多くの不満を観ていて、そんな感想を持った『べっぴんさん』第50回でした。

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10 Responses to “百貨店との取り引き拒む / べっぴんさん 第50話”

  1. わさび より:

    マスゴミっていうものが真実ではなく自分に都合のいいことだけを報じている、ということをダイレクトに伝えていましたね。
    NHK自身もほんとどうかとはおもいますが。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうござます。
      鋭い批評眼ですね!僕など、テレビのない時代の新聞の最終面には地域情報が載っていたのかとそんなことに感心しながら観てました(笑)

  2. サエモン より:

    明美さん素直に自分は独身といっちゃいましたね
    ウソも方便とはいかなかったんだね
    明美さんの活躍は新聞に載らなくても
    キアリスの仲間や商店街のみんなは知ってるでも
    もっと多くの人に知ってもらいたいよくはある

    すみれちゃんもキアリスや家族への執着は強いよね

    仕事を理解して欲しいこと
    紀夫さんを待ち続けたこととか

    男会の喜びは分かりますね
    でも百貨店ってムリしてやることかと言うと

    メリットもデメリットも
    人手と材料 在庫量とか資金とか
    足りないものあるし

    今回でた子どもたちの面倒も
    やんちゃだと大きくなるほど
    世話が大変だね(笑)
    行動範囲が増えるほど
    大変になるみたいだしね

    帳簿は確かにちゃんとした
    会計か経理担当居ないとね

    ベビーブームのなかだと
    在庫管理とかきちんとしてないと
    何時かは行き詰まりますね

    これで今大急に商品出したら
    経営が傾く可能性もあるから

    きちんと準備をして
    やらないとな

    紀夫さんもキアリスの説得失敗怒られそう

    潔さんもまた話に来るかな?

    明美さんの活躍は世の中に知らせるために
    すみれちゃんは話だけはきく気になったかな?

    喜代さんも歳なら忠さんもかなり
    2人はいつまで居てくれるか

    キアリス 坂東営業部 坂東家 男会の
    みんなはこれからどうなるか

    大急とは最終的にどう話し合い

    現実のファミリアと阪急みたいになるのか楽しみです

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうござます。

      > 経営が傾く可能性

      個人商店の延長みたいな商売規模なら問題ないでしょうが、百貨店と取引が始まり商売が大きくなったら男会の手厳しい指摘に女性陣も納得するかもですね。

  3. 笑子 より:

    『重版出来』『一路』で永山絢斗さんのファンになりました。
    バラエティやトーク番組に出ているのを見たこともなくミステリアスな俳優さんですが、真面目、誠実、不器用、という役がハマっていて今流行りのむずキュンな感じでずっと見ていたくなります。

    昨日からの君ちゃんの昭一さんに怒っている顔がツボで、こちらも何度も見たくなりますね。
    とってもかわいくて、怒らせたくなっちゃうかも!?
    昭一さんも琴子お母様にあんな風に育てられたなら、反抗はできないかもしれないし、小さい時に甘やかしても、時が経てば昭一さんのように立派な大人になるなら、それでいいのかも、なんて思ってしまいました。
    でも、意外と昭一さんには厳しくしていたなら話は別ですけど(^^;;

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうござます。

      > 君ちゃんの昭一さんに怒っている顔

      終戦直後はちょっと頼りなげな君枝ちゃんとそんな妻を守る昭一くんの夫婦の姿がまぶしかったですが、立場がすっかり逆転しましたね。

  4. もんすけ より:

    浴衣姿で新聞を手にとる明美ちゃん。朝が来るのを本当に楽しみにしていたのでしょうに…。
    今までの朝ドラでも新聞記者役は何人か登場しましたが、色眼鏡を掛けて取材しにくる人がなんと多いことか! ペンの力、知らず知らずに傷つけられる心。取材する側の姿勢について改めて考えさせられるシーンでした。

    脱線して本当に恐縮ですが、我が家では、琴子さん演じるいしのようこさんが「健ちゃん、健ちゃん」と呼ぶ度に「けんちゃん」と脳内変換され、志村けんさんのアイーンをついつい彷彿してしまうと…話題になっております。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうござます。

      > 色眼鏡を掛けて取材

      ストーリーありきの取材でないと取材企画の稟議が通りにくいと言う事情もあるようです。組織で動くことの弊害ですね。

  5. よるは去った より:

    明美「お母さん喜ぶやろな・・・・・。」明美ちゃんのあれだけの笑顔を魅せるのは初めてかも。それだけにあの新聞記事は・・・・・。それにしても、紀夫「腹立たしいのはあの執着心のなさです。」いやはやこれもご最もですな。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうござます。

      > 腹立たしいのはあの執着心のなさ

      執着心をすみれちゃんたちに持たせるのが紀夫くんの腕の見せ所かも知れませんね。紀夫くんの交渉力、どこまで成長するんでしょうか。

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