NHK連続テレビ小説(朝ドラ)『まれ』
2015年8月15日(土)放送
第20週 第120話「男たちのウィークエンド」
『まれ』第20週 第120話「男たちのウィークエンド」あらすじ
家族そのものが夢だったから家族とは暮らすわけにはゆかない。そのように記した手紙と離婚届を残し、徹は家族の前から姿を消してしまいました。村中が騒然とする中、藍子は皆の前では気丈に振舞っていました。
失意の希に元治はあるものを手渡します。それは徹が一生懸命につくっていた希のケーキ店の企画書でした。怒り心頭の希はその企画書に目を通そうともしませんでした。家族に何の相談もなしに徹が出て行ってしまったことを希は怒っていたのです。
一方で文も元治に激怒していました。元治がケーキ屋の企画書だけ受け取り出て行く徹を止めなかったことを。元治は徹から聞かされた話しを文に聞かせました。徹の希への思い。徹が希のケーキが持つ力を心から信じていたことを。
圭太も徹の気持ちを察していました。徹が希のケーキ屋を望んでいたのは、希の夢を商売にしたいのではなく、希の夢は徹の夢だったのではないかと。圭太の言葉を聞かされ父の気持ちをようやく理解出来た希は、徹を探しに家を飛び出して行くのでした。
『まれ』第20週 第120話「男たちのウィークエンド」
事前発表あらすじのレビューと解説
徹がまたしても家族の前から姿を消してしまいます。『まれ』冒頭での失踪は、借金を返済するための出稼ぎでした。しかし、今度は元従業員の家庭崩壊を受けての失踪です。
かつては藍子から切り出され泣く泣く署名した離婚届を、今度は自ら準備し出て行った徹。家出する覚悟のほどがうかがわれます。
その失踪の直前まで徹は、希の洋菓子店の企画書づくりに没頭していました。その企画書はかつての自己満足の企画書ではなく、最愛の娘に心から捧げられた企画書でした。
そんな企画が具体化する様を自分の眼で確かめることなく、家族の前から姿を消さざるを得ない徹の胸中には筆舌に尽くしがたいものがあったことでしょう。
切なく悲しい別れ。結末までに徹は戻って来るのか。希は最愛の父との再会を果たすことが出来るのか。
『まれ』制作発表時、ヒロインが父と別れた後に再会を果たすエピソードがアナウンスされたと記憶しています。ブログ管理人の記憶が正しければ、希は徹と再会を果たすことが出来るでしょう。ただ、それがいつになるかは定かではありません。(最終回にブタを抱えて帰ってくるんでしょうか)
[2015/07/25加筆] 徹が失踪した理由を加筆しました。従業員とその家族を路頭に迷わせた上に、幸福な家庭を崩壊させてしまった罪滅ぼしに、徹は自分が家族と別れる決心をしたのです。
『まれ』第20週 第120話「男たちのウィークエンド」
朝ドラ観賞後の感想
徹さん失踪への登場人物のそれぞれの反応が強く印象に残る120回でした。
気丈に振る舞うものの辛さを隠しきれない藍子さんが、劇中であれほど苦しそうな表情を見せるのはこれが初めてのことかも知れません。差し込む夕陽が映える悲痛な横顔は忘れられない表情のひとつになりました。名演でした。
文さんの元治さんへの怒りは震え上がるほどにおとろしい。これほど深く重たい怒りの芝居を観たのは『まれ』だけでなく、僕の朝ドラ歴の中でも初めてかも知れません。文さんの凄みの効いた怒りのおとろしさはトリハダものでした。
そんな文さんの怒りに動じない元治さんも立派です。徹さんから企画書だけ受け取り、徹さんが出て行くのを止めなかったのは覚悟を決めた上でのことだったのでしょう。元治さんにそこまで覚悟を決めさせた徹さんの覚悟が本物だったとも言えるかも知れません。
そして今週ずっと徹さんを案じていた一徹くんの反応が父親への敬意溢れるものでした。今回、冒頭からもの言わぬ一徹くん。去って行く徹さんを追ってきたものの、止めることが出来なかったのは悲壮な決断を下した「親父の背中」の威厳に圧倒されたのでしょう。
徹さんを止めなかったのはまた、父の決断への敬意を払うためでもあったのだと僕は解釈しました。以前から徹さんの最大の理解者だった元治さんと、父の決断に理解を示した一徹くんの二人だけが去って行く徹さんを見送る演出が、徹さんの覚悟の強さを悲しいほどに表し実に印象的でした。
藍子さんや希ちゃん、そして文さんら女性たちが徹さん失踪に怒りをあらわにするのに対して、徹さんの決断に理解を示す男性たち。圭太くんもそんな男性の一人でした。
徹さんの苦渋の決断。そして辛すぎる決意による旅立ちの後ろ姿を無言で見送る一徹くんと元治さん。一方で徹さんの真意を深く察し希ちゃんの父親への理解を促す圭太くん。この四人の男たちのそれぞれの行動が揃った時、今週のサブタイトル「男たちのウィークエンド」の意味するところが理解出来たような気がします。
サブタイトルの示す「ウィークエンド」とは家族の幸福の形の暗喩です。徹さんが手紙に残した「家族の幸福の形」を男たちだけが心の奥底で理解する、とても深い週の締めくくりでした。(しかし、女性たちには身勝手この上ない「家族の幸福の形」なのも事実です)
コメント
徹さんを見送る一徹くんと元治さんのシーン。そして徹さんの背中が強く、切なく、残酷な美しさがあって、込み上げてくるものがありました。だから、「男たちのウィークエンド」なのかと最後になって氷解しました。切なくても哀しくても、美しく見えてしまうのは、男たちの静かな心情が垣間見えるからですね。来週が気になります!
コメントありがとうございます。
男臭さがまるでないにも関わらず、男たちが美しい回でしたね。忘れられない凛々しい表情が強く印象に残りました。
陶子こと柊子さんのブログによると能登編でまた再登場するとのこと。
8月11日付のブログを見ると徹絡みで出てくるんじゃないかと予想しますがどうでしょうかね?
徹が陶子の勤務してるホテルで細々と働いてたみたいな感じで。
コメントありがとうございます。
柊子さんのブログを確認しました。
徹さんが行く先は東京か横浜しかなさそうな気もします。
陶子さんや大悟シェフがらみ、あるいは一子ちゃんがらみもアリかも知れないですね。徹さんが失踪したその時、よりによって一子ちゃんが帰郷し家族の幸福について取材していたのは今後の展開の暗示かも知れません。
今回の脚本家は、徹さんに厳しいですね(>_<)
なかなか安住の地を与えてもらえない徹さん…、自業自得といえども、今回の仕打ちは予想外でした。
「純と愛」の純ちゃんに対するほどには、徹さんのことをいじめないでほしいと願います(T_T)
(「純と愛」はホント、見ていてつらかった…、朝ドラにあるまじきビターテイストでした。)
徹さん、最終回までにはぜひ、”ブタを抱えて帰って”来てね、待ってます(笑)
コメントありがとうございます。
> 今回の脚本家は、徹さんに厳しいですね(>_<) 本当に厳しすぎるくらい厳しいですね。前週まで何の前触れもなかったので寝耳に水の報復攻撃でした。 最終週「とんだケーキ」を期待して待つことにしましょう。
ところで倒産で失業した従業員ですが、何人くらいだったのか、あと退職金はちゃんと出したのか気になりますよね。退職金出してなかったとすればまあ恨まれてもしゃあないとは思いますが。
コメントありがとうございます。
従業員が何人いたかは不明ですが、能登には4名来るみたいです。