連続テレビ小説(朝ドラ)『あさが来た』
2015年10月24日(土)放送
第4週 第24話 「若奥さんの底力」
『あさが来た』第4週 第24話 「若奥さんの底力」あらすじ
あさは借金を頼みに奈良の豪商・玉利のもとに足を運びました。しかし玉利に見下されたあさは、馬小屋で主人を待つよう言われてしまいます。あさは汚れた馬小屋を掃除しながら翌朝まで玉利を待つことにしました。
その頃、あさを訪ねに五代才助が加野屋に姿を現しました。しかし不在のあさに代わって、才助の相手をしたのは新次郎でした。才助との会話の中で新次郎は察しました。あさに影響を与えている男は才助に他ならないと。
一方、菊に命じられた惣兵衛とはつは京都の今井家に足を運ぶと忠興に頭を下げて借金を頼みました。しかし忠興から返済見込みを問われても何も答えることが出来ない惣兵衛の頼みを、忠興は一蹴。惣兵衛とはつは借金を断念しました。
その頃、厳しい交渉の末にあさは玉利家からお金を借りることに成功しました。貸した金を返せるのかと玉利に問われたあさは、加野屋は新時代に新しい商売で儲けると咄嗟に返答。この答えに心を動かされた玉利は無利息で加野屋に金を貸すことにしたのです。
『あさが来た』第4週 第24話 「若奥さんの底力」
事前発表あらすじのレビューと解説
巧みな交渉術によりあさが借金に成功します。
大坂の両替商が軒並み苦境に陥る中、彼らと軒を並べる両替商の加野屋にお金を貸すことは玉利にとってもリスクの極めて高いことでした。玉利はあさを質します。加野屋に借金を返済する力はあるのかと。
あさは答えました。新事業で加野屋は再興すると。新事業と口にしながらも実はあさに腹案などありませんでした。腹案がないことを隠すあさの交渉テクニックが絶妙です。
よその商人に自分の手の内を明かす商人などいない。
このハードな交渉によってあさは借金することに成功。現金がショートしていた加野屋はこれで窮地を脱することが可能となります。
一方、はつの嫁ぎ先・山王寺屋はいよいよ窮地に追い込まれていました。嫁の実家に金を貸してほしいと頭を下げるなどというのは最後の切り札と言っても差し支えない行為です。山王寺屋は、その最後の切り札をついに切ってしまったのです。
『あさが来た』第4週 第24話 「若奥さんの底力」
朝ドラ観賞後の感想
今回は、はつちゃんとあさちゃんがそれぞれの婚家を守るための借金をめぐる二組のハードな交渉劇に圧倒されました。
山王寺屋の若夫婦と今井家夫妻
金を貸して欲しいと頭を下げる白蛇はんの懇願を一蹴した忠興お父はんの決断は苦渋に満ちたものだったに違いない。娘を助けないのかと食い下がった梨江お母はんよりも苦しかったに相違ありません。
忠興お父はんの、愛娘の窮状を助けたいという気持ちはもしかすると梨江お母はん以上だったかも知れません。しかし、忠興お父はんはわかっていたのでしょう。もし娘に救いの手を差し伸べたら、それは目の前にいる若夫婦の二人の矜持を深く傷つけることになると。
本当なら娘を助けたい。しかし安易な救済は娘の誇りを損ないかねない。忠興お父はんが苦しい選択を強いられていることをはつちゃんも悟ったのだと思います。
借金を断られたことで誇りを保てたというはつちゃんの言葉は、忠興お父はんの選択に間違いはないという父を想う娘の精一杯の思いやりの言葉だと僕は解釈しました。そして誇りを保つことが出来たと語るはつちゃんの清々しい表情が忘れられません。
忠興お父はんも、そんな娘をどれほど誇らしく思ったことか。はつちゃんの姿を直視出来ず背を向ける忠政おじいちゃんの優しさと辛さも胸がヒリヒリする思いでした。
この場面、呼吸するのを忘れてしまうほど美しい場面だったと思います。
あさちゃんと玉利さん
山王寺屋の若夫婦と今井家夫妻の交渉劇とは一転して、息がつまるような腹の探り合いの交渉劇が素晴らしい。
借りた金を返すアテはあるのか。
忠興お父はんも白蛇はんに放ったこの問いかけ。答えに窮した白蛇はんとは対照的に、誤解を恐れずに言えばハッタリをかましたあさちゃん、さすがです。
新しい朝が来れば新しい商売が始まる。加野屋は新しい商売をはじめる。恐らくあさちゃんのこのハッタリを玉利さんは見抜いていたかと。あさちゃんがハッタリをかました瞬間、わずかに泳いだあさちゃんの目を海千山千の玉利さんが見過ごすはずがない。
そして玉利さんがハッタリをかますあさちゃんを凝視し続けたのは、どこまでハッタリを貫き通せるかを観察していたに違いない。そしてハッタリを貫き通したあさちゃんのその度胸に玉利さんは合格点を与えた。
ハッタリを貫き通したあさちゃんもさすがですが、ハッタリを見抜きつつ騙されたフリを貫き通した玉利さんもなかなかの狸です。でも、玉利さんが騙されたフリをしていることを、もしかするとあさちゃんはお見通しだったのかも知れません。
玉利さんが騙されたフリをしているのを承知しているからこそ、その玉利さんの大芝居に乗ってハッタリをかまし続けたということも考えられます。
いずれにせよ、すごいものを見せてもらいました。
コメント
はじめまして。
『あさが来た』を10/24に初めて見て、おもしろかったのであらすじを知りたいと思い、こちらにたどりつきました。
朝ドラへの愛がつまった素敵なサイトですね。アニメ風のイラストもかわいいです。
これまでの経緯を知らないので、「縁組の秘密」がすごく気になってます。来週からちゃんと録画して見ます♪
コメントありがとうございます。
当ブログをお気に召して頂き光栄です。
「縁組の秘密」は、初めの頃に何度か劇中で説明されたのですが、ここを押さえていないとこの先で話しが見えなくなることもありますので、かいつまんで説明させて頂きます。
実は縁組は、あさちゃんが山王寺屋。はつちゃんが加野屋に嫁ぐということに決まっていました。
しかしあさちゃんがお転婆娘であるという噂が山王寺屋に伝わり、山王寺屋のお父ちゃんが加野屋に出向いて嫁の交換交渉をしました。
加野屋のお父ちゃんは犬や猫ではあるまいしと断ったのですが、新次郎さまが、あさちゃんのことは好きだから交換しても構わないと発言。
この一言で嫁の交換が決まりました。
しかしこの事実を知っていたのはあさちゃんだけ。はつちゃんには秘密にしてあったのです。
こんにちは。
朝蔵さんは忠興お父はんは、はつの誇りのために借金の申し出を断ったと解釈されたんですね。
私は、忠興お父はんがはつと惣兵衛に返済のあてがあるのかと尋ねているし、玉利さんが「商いに私情は禁物や」みたいなことを言っていたので、お店を守るために借金を断ったのだと思いました。
私の勝手な解釈ですが、失礼しました。
コメントありがとうございます。
いろいろな解釈があると思います。
いつぞや忠興お父はんは大坂はぬるま湯に浸かってるみたいな手厳しい評価を下していたので、借金返済のメドすら立たない山王寺屋に貸すのは危ないと考えても不思議ではないと思います。
今週はどの回も見逃せないシーンばかりでしたが、
今日は瞬きできないほど、役者さん達の『目』の演技に釘付けでした。
白蛇はんの目には柔らかな情が、はつさんには枯れ井戸で生まれた信頼と誇りが。
借金を申し込まれた実家の親心、爺心(?)を映す眼差しには心がキュッと。
そして、あさちゃんと玉利氏との対峙のシーンでは、
(波瑠さんはこのシーンを念頭に選ばれたんじゃないのかしら)と思ったほどでしたし、
釣瓶さんの小ーさな、細ーい目の奥の奥に流れる表情たるや!
また、ちゃんと伏線を込めた、お笑いポイントも。
「新次郎がかすんでしまいますがな」には思わず笑ってしまいました。
コメントありがとうございます。
> 役者さん達の『目』の演技に釘付けでした。
前回、前々回になりますが、加野屋の店先に集まった人々を睨みつけるあさちゃんの眼力の強さには鳥肌が立ちました。
そして、今回の釣瓶さん。痺れました。
遂に嫁ぎ先の経緯が
はつ姉ちゃんにも明かされましたね。
この先の、はつ姉ちゃんの頑なさを示唆するシーンのようですね。。。
コメントありがとうございます。
縁組の秘密を知って姉妹がギクシャクしないといいのですが。