あさが来た 55話 惣兵衛が和歌山行き決断

連続テレビ小説(朝ドラ)『あさが来た』
2015年11月30日(月)放送
第10週 第55話 「お姉ちゃんの旅立ち」

『あさが来た』第10週 第55話 「お姉ちゃんの旅立ち」あらすじ

正吉が加野屋の家の者たちの前で引退を表明し、榮三郎に家督を譲ると宣言しました。新次郎とあさが榮三郎を支え加野屋の暖簾を守ってほしい。正吉は面々に告げました。榮三郎の当主襲名が決まり、あさは加野屋の嫁として襲名披露の取り仕切りを任されます。

しかし、あさには解せない点がありました。何故、急いで隠居するのか。正吉を案じるあさはよのに尋ねました。あさの問いによのは応えます。若くして家督を継ぎ働きづめの一生だった正吉をゆっくり休ませてあげたいと。

一方、今井家から譲り受けた土地を自分の目で確かめてきた惣兵衛は、和歌山で農業を営み出直したいと家族に提案しました。和歌山の土地は田畑には向いていないが、温暖な気候のためにみかんなど果実の栽培に向いていると惣兵衛は家族に説明します。

はつと栄達は惣兵衛の考えに賛成でしたが、菊はきっぱりと拒絶しました。和歌山になど行きたくないと。そして菊が惣兵衛を詰り始めたその時、はつが意外な態度に出ました。はつは毅然とした態度で菊に言い放ちます。惣兵衛の話を聞いてあげて欲しいと。

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『あさが来た』第10週 第55話 「お姉ちゃんの旅立ち」
 事前発表あらすじのレビューと解説

加野屋では正吉が当主引退と榮三郎への家督承継を宣言。一方の山王寺屋では、惣兵衛が主導し和歌山の地で再起を目指すべく小さな一歩を踏み出す。今週は、江戸時代の世代が終わりの始まりと、明治時代の世代の始まりが描かれます。

そして何より一週もの時間をかけてじっくりと描かれるのはあさとはつの姉妹の別れです。かつて、京都で仲良く育った姉妹が離れ離れになってしまう嫁ぐまでの日々が丹念に描写され、涙腺を大いに刺激されたものです。

しかし、一つの家で暮らせなくはなるものの姉妹の嫁ぎ先は揃って大阪(当時は大坂)でした。会おうと思えば会えないことはない距離で、実際にあさは山王寺屋を幾度か訪ねたものです。(門前払いを食らいましたが)

ところが今度の別れは、住む土地も生き方も離れ離れになる本格的な姉妹の別れです。

明治の世代の始まりはまた、明治の世代の若さの終わりのはじまりです。明治の世代が大人になるに従い、それぞれの道を歩む彼らの生き方にも大きな相違が生じてきます。少し切ない気もしますが、将来のそれぞれの活躍が楽しみな第10週のはじまりです。

『あさが来た』第10週 第55話 「お姉ちゃんの旅立ち」
 朝ドラ観賞後の感想

洗練された大人の会話

正吉さんがいるからこそ安心して仕事が出来る。隠居を宣言した正吉さんに返したあさちゃんのこの言葉は、榮三郎くんや新次郎さんに対する失言に他ならない。

一歩間違えれば、この失言がもとになって険悪な空気に支配されかねない際どい状況を正吉さんが言葉巧みに笑いで包み込みながら和ませる。

その正吉さんのフォローを受けて、そんなことでは泣かないと新次郎さんが上手に返す。その新次郎さんの言葉に対して、少しくらい泣いてもらわないと困るとツッコミを入れるよのさんのフォローもまた絶妙。

月並みな脚本なら、ここで薄っぺらで見るに堪えない対立が起きたかも知れません。そんな危うい状況を洗練された大人の会話でものの見事に回避する。

こんな粋なやりとりも『あさが来た』の面白さを支える要素の一つになっているのではないでしょうか。

よのさん

正吉さんの身体の具合がどこか良くないのか。あさちゃんからの問いかけに対してよのさんの視線が一瞬だけ揺らぎ、表情に影がさすのを僕は見逃しませんでした。

そして、あさちゃんの質問に対して、正吉さんの身体の具合が悪いことなどないといつになく毅然として言い切るその語り口は、まるで自分に言い聞かせているかのよう。

あさちゃんはよのさんの答えを言葉通りに受け取った様子でしたが、よのさんがあさちゃんに背を向けた時に見せた表情は口から出てくる言葉とは正反対の何かを表していました。

よのさんの正吉さんの健康状態への不安と焦りが、胸がヒリヒリするほどによく表れていて静かな名演だったと思います。

はつちゃん

はつちゃんがついに菊さんの言葉を遮る!

和歌山での再起を決意した白蛇はんの本気の覚悟にあさちゃんはきっと心を打たれたのでしょう。それだからこそ、はつちゃんも覚悟を決めて夫を立てることにしたのかと。同時にはつちゃんは、菊さんの息子への思い込みを解きたかったのかも知れません。

菊さんは息子が山王寺屋を潰したという思い込みから逃れられない。息子を阿呆ボンと思い込んでいるフシがある。その思い込みが菊さんをさらに不幸にしている。

菊さんの不幸を承知しているはつちゃんは、菊さんに自分の息子がどれほど本気なのかを覚らせることで、夫を立てつつ菊さんを不幸のループから救おうとしたのか。

次回のはつちゃんが待ちきれません。

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コメント

  1. tonton より:

    正吉の引退宣言のシーンで彼が「この事はよのと雁助しか知らんのだけど」と言ってるのに
    うめが意味深な顔で雁助さんから聞いて何もかも知っている。という表情が
    その後の雁助さんの行く道にうめも付いていくのかどうかが気になる展開ですね。
    友近さんの演技も風吹さんに負けてないと思います。

    明日は新次郎が美和に頼まれて五代との面会をセッティングしそうですが、
    玉木さんがどういう形で笑わせてくれるか楽しみです。
    渡りに舟!と捉えるのでしょうか?

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。
      雁助さんが自分の道を歩み始める時は、雁助さんはもちろんのことうめさんにとっても最大の見せ場となるのでしょう。その日が来るのが待ち遠しい気持ち半分。切ない気持ち半分です。

  2. キヨコ より:

    あさが気にとめた桐の箱。
    よのさんが 嫁入り道具と説明すると
    その後はさらりとかわして次の話題へ。
    けれど「あさにも女の勘が少しばかりある」とニヤリ。

    よのさんの嫁入り道具が気になります。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。
      よのさんの言う「女の勘」とはよのさんの嫁入り道具を嗅ぎつけたことですか!これは鋭い味方だと思います。
      残念ながら「女の勘」が皆無の僕は、よのさんの言う「女の勘」とは正吉さんの体調を敏感に察知したことと思ってましたが、嫁入り道具に向けられたあさちゃんの関心の方が当たっているような気がしてきました。

      • キヨコ より:

        あぁっ!子供っぽいコメントしてしまいました。

        実はあの場面、よのさんがあさをこのお家の嫁と認めてくれてるんだなぁと
        ちょっとほっこりしてしまいました。
        よのさんしか知らない正吉さんの苦労や若かりし頃の姿をあさに話しているのを見てたら、嫁姑の間柄でしか分かり合えない会話を楽しんでいるように思えて、自分の事のように嬉しくなりました。
        そこにあの桐の箱・・・
        あれをどんな形であさに託すのか
        つまらない憶測でした。

  3. よるは去った より:

    「お義母様!聞いとくなはれ!」おはつ嫁が初めて見せた毅然とした態度。それが菊さんをどう動かして行くか、明日の楽しみですね。それにしても惣兵衛君も結構ポジティブに考えていける青年なんですね。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。
      白蛇はん、ずいぶん変わったものですね。
      息子の成長をお母ちゃんは素直に受け入れるのか。
      明日以降の展開が楽しみです。

  4. atsu より:

    加納屋の代替わり、眉山家の和歌山移転、規模は違えど両方とも大きな転機の始まりです。今日その中で気になったのは、2点。
    よのはあさは「女の勘」で何を察知したと言いたかったのか。
    菊が自分の非を認めるのかどうか。菊はずっと「栄達と惣兵衛のせいで山王寺屋はつぶれた」と言い張っていたけれど、惣兵衛は山王寺屋が倒産する前に「幕府と縁を切って新政府と結ぶべきだ」と懸命に訴えたことがあったのに菊が聞く耳持たなかったのです。はつの今日の初めて見せた強い態度が、あの苦い思い出とつながるような気がしています。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。

      > 「女の勘」

      正吉さんの健康状態を案じたあさちゃんの問いかけに「女の勘」を感じたような気がします。あさちゃんに問いかけられたよのさんの表情にわずかに見えた動揺が、それを物語っていると思いました。

      > 両方とも大きな転機

      加野屋と山王寺屋の転機、代替わりの対比が見事だと思いました。

      加野屋は家を上げての大がかかりな代替わり。一方で山王寺屋は身内だけの儀式のないささやかな代替わり。

      その代替わりの中で、襲名披露に出す料理の主菜にブリでなく鯛を選ぶシブチンあさちゃんのささやかな決意。

      一方で、菊さんに惣兵衛はんの価値を認めさせようとついに決起した、はつちゃんにとっては一世一代とも言える決意。

      また、波乱の一週間が始まりそうです。

      • atsu より:

        >女の勘
        ああ、正吉の体調のことでしたか。もっともです。確かに今日のよのは、あの気楽ないつもの様子とは違っていました。よのは頼りなく見えるというご意見もありましたが、いやどうしてやはり大店のおかみさんです。いざとなると騒がず、慌てず、なすべきことができるんですね。
        すみません。加納屋ではなく、加野屋でした。ごめんなさい。

        • 朝蔵(あさぞう) より:

          コメントありがとうございます。
          キヨコさんから頂戴したコメントに記された、

          「女の勘」=「よのさんの嫁入り道具に反応するあさちゃん」説

          この線も濃厚かと思います。