あさが来た 63話 お産を間近に控えるあさ

連続テレビ小説(朝ドラ)『あさが来た』
2015年12月9日(水)放送
第11週 第63話 「九転び十起き」

『あさが来た』第11週 第63話 「九転び十起き」あらすじ

新次郎は榮三郎や雁助らとともについに散切り頭になりその姿が馴染んで来た頃、あさが臨月を迎えました。そんな中、正吉とよのは口論を始めました。正吉は医師を、よのは産婆をあさのお産に呼ぶべきだと言ってお互いに譲らないのです。

一方、生まれて来る孫のことで真剣に口論する正吉とよのの様子を見て、家族に関心を払わなかった自分の過去を雁助は顧みていました。家族というものに縁のない雁助とうめは、あさのお産の騒動を経て次第に距離を縮めてゆきます。

正吉とよのが自分の意見を譲らない中、あさは二人の立場を立てようと産婆と医師の両方を呼んでもらうことにしました。そして産婆と医師の両方を加野屋に呼んだ日、異変が起こりました。正吉が発作を起こして倒れたのです。

発作に苦しみながら正吉はあさに言いました。息子たちにこんな姿は見せたくない、黙っていてほしいと。そして、正吉の容態も落ち着きを取り戻したその日の夕方。よのはあさに頭を下げて頼むのでした。無事に産んで正吉に孫の顔を見せてあげて欲しいと。

▼お知らせ
あさが来た 主題歌 AKB48『365日の紙飛行機』発売

<<前回62話 | 次回64話>>

『あさが来た』第11週 第63話 「九転び十起き」
 事前発表あらすじのレビューと解説

新次郎とあさの間に待ちに待った第一子の誕生です。はつが加野屋で出産した時ですら、あれだけ騒ぎになった加野屋の面々のこと。待望の嫁の第一子出産の騒ぎはどれほどのものになるのか。今週の最大の見所ではないでしょうか。

そして、あさはしばしの休息を経て職場復帰を果たします。仕事をこよなく愛するあさのこと。休暇中といえども、考えることと言えば仕事のことばかりと推察されます。だから職場復帰直後の働きぶりもすごいことになるのではないでしょうか。

そんなあさの熱心な働きぶりは、榮三郎と雁助を不安にさせます。あさが熱心に働いて炭鉱の商売を拡大に努めるのは、炭鉱業で得た資金を銀行開業につぎ込むつもりではないか。あさの本心を穿つ榮三郎に雁助は加勢。確執はいよいよ本格化します。

職場復帰したばかりのあさは炭鉱業をこれまで以上に拡大させたい。一方で炭鉱業拡大のその先を警戒する榮三郎と雁助。利害と思惑が対立する中、その炭鉱で爆発による落盤事故が発生します。

参考までに、史実においても加島屋が経営する炭鉱では大規模な落盤事故が発生。事故による採炭の停滞と巨額の損害賠償は加島屋の経営を圧迫。銀行開業のために蓄えた資金を使い果たす結果を招き、加島銀行の設立は予定よりも先延ばしにされてしまったようです。

『あさが来た』第11週 第63話 「九転び十起き」
 朝ドラ観賞後の感想

寄合所では、参集した殿方たちはまだ和装ながらも五代さまを筆頭に全員が散切り頭でビールで乾杯。加野屋の面々もついに散切り頭が揃い、正吉さんのみが髷を貫く。(そしてその正吉さんは病に倒れる)

前回は夏で今回は秋。季節がワンシーズン変わっただけですが、時代の大きな変化を感じずにはいられない回となりました。

正吉さんとよのさんの喧嘩が可愛い

あさちゃんのお産の時に、医師を呼ぶべきか産婆を呼ぶべきか。真剣に言い争いする正吉さんとよのさんの口喧嘩がかいらしくてたまりません。

すねた子供みたいなよのさんの怒った口ぶり。よのさんの正吉さんへの全幅の信頼があるからこそ、安心して駄々っ子みたいな口も聞けるのでしょう。口論が激しくなるほどに仲良く見えてしまう。素敵な夫婦を見せてもらいました。

しかし。ちょっとネタバレになりますが、この仲良く喧嘩する正吉さんとよのさんの激論も間もなく「懐かしい思い出」になってしまうはずです。それを思うと切なすぎる仲の良い口喧嘩でした。いつまでもこのお二人を見ていたかったです。

雁助さんとうめさん

大人の恋がまた少しだけ温度を上げました。雁助さんとうめさんです。中年の恋なのに初々しいことこの上ないです。

雁助さんの過去にまで踏み込み話し込む雁助さんとうめさんの会話を立ち聞きしてしまったふゆちゃんが慌てて謝る。「お邪魔してすみません」。

ふゆちゃんとしては真剣に謝ったつもりなのは重々承知しています。しかし「お邪魔」という言葉を使ったのにはちょっとだけ吹きました。なんだか雁助さんとうめさんの仲に当てつけているみたいで。

普通の人ならこのふゆちゃんの「お邪魔」発言で、雁助さんとうめさんの間に何かあったのかと勘ぐるところ、いみじくもうめさんが言う通り「おあさ様が鈍うて良かった」。「お邪魔」の一言に全く反応しないあさちゃんのこの方面の鈍感力が見事です(笑)

しかも、うめさんの言葉巧みな誘導で、ふゆちゃんと亀助さん問題に論点ずらし。うめさん辛くも上手に切り抜けることが出来ました。と言うか、あさちゃんあまりにも簡単に乗せられ過ぎ。おあさ様が鈍うて良かった。

正吉さん

ドンとしたお父ちゃんのままでいたい。

発作で倒れた正吉さんの願いが泣かせます。苦痛に顔を歪めながらもお父ちゃんの威厳を保ちたい。その願いは、自分のプライドのためでもあり、二人の息子に心配をかけたくない。安心して仕事をさせてあげたいという親心から出たものでもありました。

正吉さんの発作を受けてよのさんもこれまでに見せたことのない表情を見せる。今回冒頭の口喧嘩の際のすねた顔を見せることによって、よのさんの表情の神妙さが際立ちます。覚悟は固めておられるのでしょう。

これまで正吉さんに甘えっぱなしで頼りないことこの上ないよのさんでしたが、実はとっても強い女性だったようです。

追記:散切り直後問題

前回、話題となった斬髪直後の頭髪を剃った部分はどうなるのかという問題。夏から秋へとワンシーズン経過させることで、剃った部分も生え揃う。上手に回避しました。

めでたし。

<<前回62話 | 次回64話>>

Sponsored Link
Sponsored Link

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメント

  1. ぺん より:

    うめさんと雁助さんいい雰囲気でしたね。ふゆちゃんも陰ながら二人を応援しているようでしたし。(ふゆちゃんにとって辛い恋心を慰めてくれることなのかも)でも…あさちゃんって本当に鈍感な人なんですね。正直ちょっとイラッとさせられます。うめさんがうまく話をはぐらかせ、雁助さんが調子を合わせ、ふゆちゃんもしぶしぶながら自分の話として話を受ける…といったように3人のチームプレイは見事でしたけど。それが見抜けないとは。あさちゃんの鈍感さはふゆちゃんの一件といい、また雁助さん・栄三郎さんの事といいこれからいろいろな歪みを生み出していくのではないでしょうか

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。
      あさちゃんは色恋沙汰への鈍さはかなり残念なレベルですが、サトシの違和感には宮部のおじさんよりも早く気付く勘の良さも見せていました。願わくば雁助さんや榮三郎くんとのすれ違いには後者の勘の良さを働かせて欲しいものですね。

  2. 如月の雪 より:

    お医者様ネタでもう一言だけ。お医者さまとお産婆さんのやりとりには現代の医療風景が反映している気がします。よく存じませんが脚本家さんは出産経験があるのでは。お医者さんはなるべく安静にと言いたがるし、助産師さんは(産む直前は)なるべく動けと言うし。で、妊婦さんは産み月が近くなるほど助産師さんを頼りにするものなのです。ちなみに産んだ後はお医者さんは「あー終わった終わった」という態度になりがちだし(ドラマでは新次郎さんへの気遣い込みでお茶でも発言)、助産師さんは母体を気遣ってくれます。春さんのお産婆さんもまだ動くなってあさちゃんに言ってましたね。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。
      脚本家の先生は、ちょうど子育ての真っ最中で今回の仕事も引き受けることを躊躇したと何かで読みました。そんなタイミングだったので、出産や育児の描写が妙にリアルなのかも知れないですね。

  3. とん より:

    このあと正吉が亡くなった時、あさが「はぁ〜、ポックリぽんや」と言わないか心配です。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。
      うめさんの言葉を借りれば「おあさ様は鈍い」ですが、さすがにそこまでKYではないかと・・・(笑)

  4. 如月の雪 より:

    シーボルトお稲が明治4年に産科医として開業していたように、医術開業試験以前からも西洋流の医者はいました。ましてや適塾があり、蘭学を学んだ人材の多数いる大阪です。明治7~9年に豪商の加野屋さんがお医者を呼ぶことに不自然さは感じません。国の試験を受けて産科医の看板を出す医者はこの当時まだいなかったかもしれませんが、例えばお稲が幕末に師事した石井宗謙が産科が得意であったのははっきりしていますしね。学校制度が整う前にも、人材はいたということです。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。
      劇中で正吉さんが「西洋医学の資格を持った医師云々・・・」と発言してましたが、この「西洋医学の資格」というセリフさえなければ、あの場面は十分に考えられる状況だったということなのでしょうか。大変勉強になりました。

  5. なるほど より:

    朝蔵さんはじめまして。ごちそうさんのころよりひそかに拝見してました。
    産科医??さんのご意見を拝見して・・・大変参考になりました。
    だからお医者さんはお産婆さんに確認を取るような口調であと十日ほど・・・とか、動いてもいいかあさちゃんが聞いたときにお産婆さんに確認を取るような感じでお医者さんは口が出せなかったんですね。
    お医者さんは西洋医学の知識はあっても出産には詳しくなくてって感じが出ていました。なんか頼りないお医者さんだなって感じで私は見ていたんですよ、正吉さんが倒れたシーンまでは。
    産科医の医師が診に来たという設定ではなかったわけですし、そこはドラマのなかであのお医者さんがいないとあの場面は成り立たなかったわけで。
    専門家の方々は納得いかないかもしれないでしょうが・・・今後のドラマではそういうことがないようにしてもらいたいですね。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。

      > お産婆さんに確認を取るような口調

      鋭い観察ですね。言われてみれば、出産まで大いに動き回った方がいいと断言するお産婆さんにお医者さんは何か言いたげなものの口をつぐむ。お産婆さんに気圧され気味のお医者さんに現代人感覚で違和感を感じていました。

  6. tonton より:

    うちの家族の一人がざん切り頭の玉木宏を見て
    「今日の放送から朝ドラらしくなった」と言ってました。
    それまでは主人公の属する社会階層の影響もあって大河ドラマの様な感覚で見ていたようです。

    今後は新次郎は和装で通すそうですが、他のキャストが
    和装から洋装へ、住まいや別荘も和風建築から洋館へと変化して
    華麗なる一族の世界へと変貌しそうで、
    今後は一層時代の変化のスピードが速くなるのでしょうね。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。
      新次郎さんはじめ、寄合所の旦那衆などなど。
      前回から一気に散切り頭ばかりとなり「朝ドラ」になりましたね。
      あさちゃんの実在モデルの広岡浅子さんは誰よりも早く洋装に切り替えたとの由。洋服姿のあさちゃんを見る日も近いかも知れません。

  7. 産科医?? より:

    明治9年に産科を診られる医師が出てきたのは、「びっくりぽん」でした(笑) さすがNHK!!

    *大阪府立医学校で、初めて産科講義があったのが明治15年ごろ。産婦人科教室が出来たのが大正年間。
    戦後も昭和30年代前半までは、助産婦さんによるものがほとんどでした。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。
      『共立歯科医学校前史』によれば、明治9年に医術開業試験を実施。この時、すでに内科・外科・産科・眼科・口中科・整骨科の各専門科での受験を認めていたとあるので、これを元ネタにしたのかも知れません。(ただし、産科医がこの時に誕生したかは定かではありません)

      • 産科医?? より:

        前年の明治8年から行われた医術開業試験ですね。
        それまでの漢方から西洋医学への転換において、西洋医学についての試験でした。
        現在の医師国家試験もそうであるように、もちろん専門科のみ選ぶわけではなく、全科受験しないといけませんでした。
        当時、医師は特に専門科を標榜しなかった時代です。
        人数も極端に少なかったですし、医療がいきわたってない時代です。帝王切開など異常分娩に外科を得意とする医師が関与することがごくまれにあったくらいです。
        分娩は、産婆さんが行うものでした。産科医などは存在しません。
        前述しましたが、医学校に産科婦人科の教室ができたのは、もっと後世になってからです。
        史実と違うことは他にも多々ありますが、この件は、科学的にもあり得ない話ですので、いただけません。脚本家も、その程度のことは調べて欲しいものですね。
        (一応、専門家です)

        • 朝蔵(あさぞう) より:

          とても詳しいありがとうございます。
          また、当方の知ったような解説、大変失礼致しました。
          そんな誤りがあるとは素人の視点では想像も出来ませんでした。

  8. atsu より:

    今回、正吉が長男を亡くした後の憔悴ぶりを思い出しました。新次郎を励ますあさの言葉を正吉も後ろで聞いていました。その時から正吉のあさへの見方が変わったような気がします。その後のあさの働きぶりを見て、頼りにしていた長男の代わりをあさが勤めてるような感覚を次第に持つようになってきたのではないでしょうか。
    正吉とよのの口論の陰にも、長男の死という逆縁にあった夫婦の不安があるのかも知れません。病状が次第に悪化している中、新しい命の誕生ほど正吉を喜ばせ、安心させるものがないことをよのは確信しているのだと感じました。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。
      長男の早逝が正吉さんとよのさんの真剣な口喧嘩に影響を与えているというのは鋭い洞察だと思います。二人が長男を亡くしてから12年ほどでしょうか。子を亡くした親の心が癒されるには12年はあまりにも短い時間です。