連続テレビ小説(朝ドラ)『あさが来た』
2016年3月9日(水)放送
第23週 第135話 「大番頭のてのひら」
『あさが来た』第23週 第135話 「大番頭のてのひら」あらすじと見どころ解説
あさとうめの二人が懸命に雁助の手のひらを摩った甲斐もあって、ついに雁助の意識が回復しました。雁助の回復を家族は涙を流して喜びます。家族に囲まれ幸せそうな雁助の様子に胸をなでおろし、うめはあさとともに大阪に戻りました。
雁助の回復により、雁助のマッチ工場は加野銀行からの融資を受けずに済むことになりました。しかし榮三郎は雁助のような経営者を助けたいと心から願っていました。そして平十郎に相談します。生命保険会社を買収しようと。
その頃加野銀行は、名古屋にある生命保険会社から傾いた経営を助けて欲しいと要請を受けていたのです。生命保険会社の買収にはあさも賛成しました。早速、榮三郎は生命保険会社の経営権を取得すべく平十郎とともに動き始めるのでした。
一方、和歌山の眉山家は祝賀ムードに包まれていました。養之助が二十歳になり、節と結婚することが正式に決まったのです。同じ頃大阪では、加野銀行の店先で千代が思いがけない人物との再会を果たしました。その人物とは啓介です。

雁助が意識を回復します。
家族に囲まれ幸せそうな様子の雁助の姿を見ることで、切ない終わり方をしたうめの大人の恋もこれで完全に決着がつくのでしょうか。
『あさが来た』第23週 第135話 「大番頭のてのひら」
事前発表あらすじのレビューと解説
雁助の事故が契機となって、生命保険会社の買収構想がここに浮上します。
生命保険会社の買収をはじめに言い始めたのは、意外にもあさではなく榮三郎でした。
参考までに『あさが来た』原案小説の『小説土佐堀川』では、萬屋に刺され生死の境をさまよった広岡浅子氏が生命の価値を痛感。
その事件が生命保険買収の契機として描かれています。
史実では経営不振に陥った複数の生命保険会社を加島銀行が買収した上で一つの生命保険会社に統合しています。
その一方で和歌山の様子も描かれます。
養之助が結婚。お相手はいつぞや声だけの登場で眉山家に遊びに来た「せっちゃん」でしょうか。
【追記】声だけの登場だった「せっちゃん」はその後、養之助と縁側で寄り添う場面で登場しています。
『あさが来た』第23週 第135話 「大番頭のてのひら」
朝ドラ観賞後の感想
うめさんが今回も凛々し過ぎる
前回描かれた雁助さんの奥様・ツネさんによる夫への不平不満は、うめさんの孤独を際立たせるための小道具だったのでしょうか?
前回に引き続き今回もまた、雁助さんの意識回復を涙ながらに喜ぶツネさんの口から出てくる「石頭云々」の毒舌の数々。
うめさんにはそんなツネさんの言動の理由がわからない。一方であさちゃんは鋭く洞察しました。愚痴を言いたいのが6割、話してみてうまくいってると確認したいのが4割。
いつもは鋭いうめさんよりも、うめさんが「鈍い」と言い切るあさちゃんの方がツネさんの不平不満や毒舌の理由がよく理解しているところに、うめさんの孤独が見え隠れします。
鋭いうめさんのこと。あさちゃんの鋭い洞察を通して、改めて自分の孤独を思い知ったではないでしょうか。
しかし、そんな孤独な身の上を嘆いたり哀れんだりせず、孤独な身の上の中でも「胸が痛むような思い」。宜ちゃんの言葉を借りるなら淡い「LOVE」を感じることが出来たと、ささやかな幸福を見出し心から喜ぶうめさんの生き様が凛々し過ぎて泣きそうです。
榮三郎くんの生命保険会社買収の動機
榮三郎くんの生命保険会社買収の動機が崇高にして現実的。
雁助さんのような経営者を救いたい。そんな崇高な思いがあるその一方で、現実的な計算もしっかりしているバランス感覚に大人のドラマの貫禄を感じます。
前回だったか、へえさんが「お金の動きが鈍っている」と、あさちゃんに銀行の預金残高の推移を報告していましたが、あの地味なワンカットが生命保険につながってくるとは思いもよりませんでした。
生命保険のように長期でお金を預かるのは旨味がある。景気の鈍化でお金の動きが鈍くなるのは、生命保険業にとってはむしろ後ろ盾になる。
こんな算段まで出来るようになった榮三郎くん、さすがです。
榮三郎くんが当主の風格を身につけてきたのが頼もしくてならない昨今。榮三郎くんのさらなる活躍を見たいところですが、『あさが来た』の放送回数が残りわずかなのが残念でなりません。
コメント
生命保険会社設立についてあさでなく栄三郎に花をもたせた展開がニクいです。それも雁助まで再登場させて…そしてなにより白岡家の仕事のチームワークは現在にも通じる理想の姿ですね。
コメントありがとうございます。
家督を継いだばかりの頃、榮三郎くんの存在感がないことを誰よりも案じていた雁助さんでした。おっしゃる通り、榮三郎くんの晴れ舞台に合わせての雁助さんの再登板は本当にニクいですね。
ウメさんの疑問は、私が結婚する前の疑問そのままでした。これは脚本家が女性でなければ、なかなか書けなかった部分かも…(私の分析ではノロケが1割入ってる?とも思っています)。もう一度2人が再会する気がしてならない、今日の放送でした。
コメントありがとうございます。
> もう一度2人が再会する気がしてならない
深い読みですね。おあさ様に負けず劣らず鈍いので、気がつきませんでした(笑)
うめさんの「なんでだす?」
深かったですね・・・・
確かに世の中の奥様方、
愚痴と言えば旦那のことがほとんど・・・
時代は移り変わってもこれは変わりませんね。
その理由を鈍いおあささまから聞いたうめさんの表情。
自分が得られなかった幸せ、
それを改めて実感し、諦めと納得が入り混じった顔に見えました。
コメントありがとうございます。
物語の結末近くのこんなタイミングでのうめさんの小さな動揺。果たしてこれは何かのフラグなのか。気になって仕方ありません。
以前うめが「自分は、結婚や色恋とは今井家に仕えるようになったときに縁がなくなった」というようなこと(具体的な言葉は忘れてしまいました)を言ったとき、雁助が「それはもったいない」、自分でも気づかぬうちに出た本音だった気がします。あれでお互いが意識しあうようになったように見えました。しかし、お互い相手を思いやり、そのために仲は進展せぬまま別れてしまった。つかの間の再会も何気ない言葉、まなざしで終わってしまう。うめの「相手を思う心の痛み、それで十分」というのが切ないです。こちらとしては物足りない気もしますが、控えめな雁助とうめにはふさわしいのか。ドラマでは新たなラヴが始まっていきます。
コメントありがとうございます。
雁助さんとうめさんの恋の結末は切なく悲しいものでもありますが、その一方で久しぶりに忍恋の儚い美しさを見せてもらった気がします。大人の恋の物語に大満足です。そして、大人の恋の幕切れの直後に、若い二人の初々しい恋の始まり。心地よい流れですね。
新次郎とあさの「またいつか和歌山に」は
幻の正吉とよのの伊勢参り企画、結局最後になった五代の最後の
加野屋訪問時の別れの挨拶のシーンとオーバーラップしたのは
私だけではないでしょう。
新次郎はどうなっちゃうのでしょう?
先週月曜の最後のロケだった淡路島には玉木氏は姿を見せてましたが
コメントありがとうございます。
> またいつか和歌山に
悲し過ぎるフラグです。想像しただけで泣けてきます(涙)
ツネさんの「身内でもないのに(たいそうお世話になって)・・・」の一言がうめさんの胸にずしんと来たんじゃないでしょうか。嫌味を言われているわけではないけど、「自分と雁助さんはもともと他人。今までもこれからも他人なんだ」という意実をつきつけられた気がして・・・。身内なら、意識が戻った雁助さんに「石頭」と言い放てますけどね。
あさイチメンバーは今朝はみんなうめさん目線で見ていたようです。
コメントありがとうございます。
今回は本当にうめさんの孤独が切ない回でした。それでもなお、その切なさにささやかな幸福を見出すうめさんの生き様が素敵です。
雁助、気がついて良かったですね。うめに「なんであんたが?」と言ったあと、「まあ、ええわ」というのが雁助らしい。仕事に行くため後半見てないので、千代と啓介との再会がどうなるのかビデオを見るのが楽しみです。
コメントありがとうございます。
啓介くんと再会できた千代ちゃん、いい顔してましたよ。ビデオで堪能して下さい。
(雁助さんの意識が戻った時、はじめに見たのがウメさんでよかった…)
どうにも状況は変わらないけれど、せめてもの救いでした。
意識が回復しなければ、ずっと傍で介護できたかもしれない、
いやでも、元気になってほしい、意識を取り戻してほしい、
ただそれは、ひっそりとした別れの時…。
せつなくて、こちらも胸がザワザワしてしまいました。
「ラヴではないですの?」
このところ宜ちゃんやかのさんなどのさりげない台詞が妙にツボに入ります。
コメントありがとうございます。
僕も、雁助さんが初めて見たのがうめさんで良かったと思いました。うめさんの顔を見て生きる気力も吹き返したのかも・・・と言ったら奥様に失礼でしょうか(笑)
本欄の執筆者は「あさが来た」を視ていないのでしょうか?
養之助と幼馴染のオナゴとのツーショットは
映像でしっかり描写されて居る。
幼馴染のオナゴに、養之助は
蜜柑を口に入れて貰っても居る。
コメントありがとうございます。
この記事を投稿した時点(2016年2月24日 午前5:41)では「せっちゃん」は声だけの登場のままだったのですが、その時点での記述が未訂正のままでした。ご指摘ありがとうございました。
いつも、楽しませて頂いています。
はつ子ども達、史実としては存在しない子達ではありますが、このドラマの中では惣兵衛の自分を見つけた人生の大切な宝物だとおもいます。訂正箇所、養之助が藍之助になっています。確認よろしくお願いします。
コメントありがとうございます。
山王寺屋一家の創作物語は本作を重厚なものにしていると思います。そして二人の子供たち。おっしゃる通り白蛇はんの人生の宝物にして本作の宝物ですね。
追伸:誤記載のご指摘ありがとうございました。