編集部員として働く常子 / とと姉ちゃん 第67話

連続テレビ小説(朝ドラ)『とと姉ちゃん』
2016年6月20日(月)放送
第12週 第67話「常子、花山伊左次と出会う」

『とと姉ちゃん』第12週 第67話 「常子、花山伊左次と出会う」あらすじと見どころ解説

青柳商店の不振による心労が重なり倒れてしまった滝子は再生不良性貧血という名の病気を発病。寝込むことが多くなった滝子を君子は案じていました。同じ頃、甲東出版に採用された常子は、編集長・谷の指導のもとで編集の仕事を覚える日々を過ごしていました。

そんな中、常子は五反田たち男性社員とともに編集会議に出席します。編集会議の席で男性社員たちが活発に意見交換をするその横で、黙々と控えをとり男性社員のためにお茶を淹れる常子。そんな常子に編集長の谷が呼びかけます。

今はお茶を淹れる時間ではなく雑誌の企画を考える時間だ。常子の意見も聞かせてほしい。この会社は男女平等なのだからと。谷や五反田の言葉に感動した常子は、その日から雑誌の企画を考えることに没頭しはじめます。

一方、常子のもとに、女学校時代の親友・綾からの手紙が届きました。名古屋の医師のもとに嫁いだ綾でしたが、夫が軍医として招集され満州に渡ることになったのです。綾からの手紙を読み、時勢への不安を募らせる常子でした。

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midokoro
常子が新しい一歩を踏み出し、新しい出会いを経験するその一方で、物語前半の退場ラッシュが今週も続きます。

今週からは後半の大物キャストが登場し、青柳商店の面々が退場。前半と後半のキャストが今週中に入れ替わります。

『とと姉ちゃん』第12週 第67話 「常子、花山伊左次と出会う」
 事前発表あらすじのレビューと解説

滝子が倒れ、寝込んでしまいました。

前週に引き続き、物語前半のキャスト退場が今週も続きます。滝子が寝込んでしまうのは、その退場ラッシュの一コマです。

一方、困難な時代ながらも常子のキャリアに一筋の光が差し込んできます。

タイピストの職を失い、やむなく就職した出版社は当時としては珍しい男女平等を旨とする会社でした。

女性社員のキャリアは雑用とお茶汲みからはじまると思い込んでいた常子は、編集会議で意見を求められ嬉しい誤算に頬を輝かせます。

編集会議への参加を求められることで、常子がライフワークへの第一歩を踏み出します。ただし、今回の常子にはまだライフワークへの第一歩を踏み出したという自覚はありません。

『とと姉ちゃん』第12週 第67話 「常子、花山伊左次と出会う」
 朝ドラ観賞後の感想

森田屋、女学校、鳥巣商事。新しい環境に身を置くたびに苦労の絶えなかった常子ちゃんでしたが、その一方で世の中は平和でした。

新しい職場に大歓迎された上に当時として珍しく女性社員も意見を求められる環境。いいことづくめの日々にも関わらず平和は少しづつそこなわれはじめ、戦争の影響が身近なところにあらわれてくる。人生は皮肉です。

三姉妹の一生の仕事

よっちゃんが常子ちゃんに尋ねます。「出版ってどんな仕事なの?」常子ちゃんがしばし考えた末に口にした答えは「わかんない!」

今回の常子ちゃんが喜んでいる理由は「出版社に就職できたこと」ではなくただ単に「就職できたこと」です。一家の家計を支えるメドがだったことです。

もともと出版事業を夢見ていたわけでもなければ、そもそも出版社が何をするところかすらもしっかりとは理解できていない。(削除命令が出たページを切り取る仕事と認識?)その程度の認識しかなかった仕事がやがて常子ちゃんの一生の仕事になる。

常子ちゃんから「わかんない!」という言葉を引っ張り出したよっちゃんも、今回こそ「出版ってどんな仕事なの?」と質問する程度の出版に対する認識でしたが、よっちゃんにとってもこの仕事は一生の仕事になるはずです。

そして文筆家を半ば諦め、大学卒業後は工場勤めを決意した鞠ちゃんも同様です。

自分探し、天職さがし、やりたいこと探しという言葉をよく見かけますが、一生の仕事なんて探して見つかるものでなく、偶然の出会いから得た仕事に心をこめて取り組むうちにそれがいつしか一生の仕事になるのかも知れない。

そんなことを考えさせられた常子ちゃんの「わかんない!」でした。

そして、出版の仕事が三姉妹の一生の仕事なら、その仕事をつらぬき続けるテーマは「人の役にたつこと」。滝子さんの言葉が三姉妹の将来の仕事の方向性をひそかに決める。三姉妹の将来のフラグがいっぱい詰まった回でした。

今から心配な五反田ロス

五反田さん、今日もいい味出してます。本も集まれば漬物石になる。軽口をたたいた後に冗談だよと自分の言葉を打ち消す時の表情がたまりません。

表情や所作のひとつひとつがキザのようでいて、清くんみたいに鼻につくこともない。さりとてそれを洗練と呼ぶにはさりげなく笑えてしまう絶妙なバランス感覚。

ミッチー演じる五反田さん、観ていて飽きることがありません。

ところで史実に従えば五反田さんは戦後、出版社の創業をこころざす常子ちゃんに天才編集者・花山伊左次を紹介する役回りです。

その役割を終えたら五反田さんは退場してしまうのか。実は、今それがとても心配です。

花山伊左次は五反田さんの紹介を介さず今週には登場します。だから五反田さんには花山伊左次を常子ちゃんと引き合わせるのとは別の役割が割り当てられているのか。

あるいは、あまりにも悲しい予想ですが出征して帰らぬ人になってしまうのか。

願わくば結末までずっと五反田さんには登場してもらいたいものです。五反田さんが退場したら五反田ロスに悩まされるかも。

二回目の登場にして早くも五反田ロスが怖くなってきました。

大日本愛国婦人会のおばちゃんたちが「大活躍」

大日本愛国婦人会のおばちゃんたちが「大活躍」する時代を迎えました。

話が『とと姉ちゃん』からそれてしまいますが朝ドラ『カーネーション』で描かれた大日本愛国婦人会のおばちゃんたちの描写のリアルさがいまだに忘れられません。

戦前戦中、大日本愛国婦人会のおばちゃんとして「大活躍」した女性が、戦後になると今度は戦後の正義をふりかざして「大活躍」を再開するそのカメレオンぶり。

大日本愛国婦人会という個別のグループに属するおばちゃんたちの「大活躍」は戦時下特有のものですが、それぞれの時代の正義を主張する「大活躍」する独善は人間のサガ。

そんな人間の弱い一面の捉え方が深くてするどいと『カーネーション』に深く感心したことを思い出しました。

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12 Responses to “編集部員として働く常子 / とと姉ちゃん 第67話”

  1. ア※ラッキー より:

    あぁ、姉妹揃って、初恋実らずです・・・か。でも木戸くんって、鞠子ちゃんを文学を通じての仲間としか、見てないかも。おいおい。どうせなら、美子ちゃんの恋も描かれるといいなあ・・・。

    しかし、あの大日本婦人会って。もしかしたら、小橋家のミシン・・・危ない。金属云々(ごめんなさい。忘れちゃいました。)持っていかれてしまう・・・。<カーネーション>でありましたよね。 

    あと、綾ちゃんからの手紙。ご主人満洲に行くのですね。ほんと、開戦が一歩一歩ずつ近付いてきましたね。個人的に、戦争の場面と人が亡くなる場面はちょっとだけ苦手~<あさが来た>もうハンカチ新次郎さんの時はバスタオル持参でした。~
    ああ、誰もそうでしたね。ごめんなさい。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。
      大陸ではすでに戦争が泥沼状態なので満州行きというのはさぞかし不安だったかと思います。まだ本土への攻撃がないので常子ちゃんには戦争はどこか他人事みたいに感じられていたのかも知れません。そんな常子ちゃんにとって、綾ちゃんからの手紙は戦争をリアルに感じるはじめての出来事だったのでしょう。

  2. もんすけ より:

    >それぞれの時代の正義を主張する~独善

    時代の閉塞感を感じやすい人たちの防御反応なのでしょうか。
    「花子とアン」でも「マッサン」でも、狂気の眼差しの人たちが登場しましたが、
    戦争へと向かう恐れから無意識に人を攻撃する人々の描写が自然すぎて、
    より恐ろしく…。
    その中での綾さんの手紙が一条の光のようにポッと温かく感じました。
    綾さん、お嬢様、いえ奥様なのに、「とほほ…」なんて言葉を使うのですね(笑)

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。
      綾ちゃんの「とほほ」には僕も驚きました。
      あの生真面目な綾ちゃんがいつからこんなセンスを身につけたんでしょうか(笑)

  3. カッチ より:

    タイピスト時代とえらい違いですね。
    男女平等で意見を出していいというのだから。
    これで常子のやる気スイッチが入ったようですね。
    今後が楽しみです。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。
      甲東出版みたいな会社が存在するのには、前作ヒロインの活躍の影響があるのかもしれませんね。

  4. よるは去った より:

    甲東出版の谷社長や五反田氏のように「君の意見は?」「ここは男も女もない。」と、どこかのオバさんが「女のくせに道の真ん中を堂々と歩いたりして!!」は対照的でしたね。青柳商店の経営はますます窮地に追い込まれ、鞠子ちゃんも大学卒業後は軍需工場務めの道を選び、綾ちゃんのご主人は軍医に駆り出され、いやはや大変な時代になったものです。日本が「パールハーバー攻撃」という愚行に出るのもドラマ中では今週中なのかな?

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。
      前作の後半でも日本が国外で戦争してましたが、同じ戦争でも国民への影響はこうまで違うものなんですね。

  5. うつ より:

    常子の帰り際に婦人会が来ている服装や道の真ん中を
    堂々と歩いているなどと言うのを見かけたが、
    それを今の中国や北朝鮮、アフリカのエリトリアなどの独裁国家など
    で今でも行われているのをわたしはNHKスペシャルなどで
    見た事がある。あれらの国々の人々も昭和16年当時の
    常子たちのような状況下にあるのでしょうね?

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。
      独裁国家どころか、某民主国家ですらも常子がおばちゃんに叱られた20年後の頃までは肌の色によってバスに乗れなかったりしたみたいですからね。

  6. 1013 より:

    再生不良性貧血のことでしょうか。
    血液のリサイクルが出来なくなる病気で、現代でも難病指定されてたはずです。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。
      その病気です。誤記載していました。
      早速訂正させて頂きました。

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