大空襲を経て焼け野原に / とと姉ちゃん 第76話

連続テレビ小説(朝ドラ)『とと姉ちゃん』
2016年6月30日(木)放送
第13週 第76話「常子、防空演習にいそしむ」

『とと姉ちゃん』第13週 第76話 「常子、防空演習にいそしむ」あらすじと見どころ解説

組長の三宅が金属供出を求めに小橋家に乗り込んで来ました。そのやり方に異を唱える常子に三宅は激怒。竹蔵が書いた「家訓」を目にした三宅はその額を壁からはずし畳に投げつけます。書かれている内容が不謹慎だと言うのです。

三宅の横暴な振る舞いに怒り心頭の常子でしたが、三宅に口ごたえするのをこらえます。しかし意外にも鞠子が口を開きました。鞠子は理路整然と反論し三宅を論破。鞠子の言葉に何も言い返せない三宅はやむなく小橋家を去ってゆくのでした。

昭和20年(1945年)3月9日。常子たちは三姉妹の合同誕生日会を開くことにしました。君子は方々まわってやっとの思いで小豆を入手。その小豆で明くる日の合同誕生日会で食べるおはぎをつくろうと仕込みを始めたその時、空襲警報が鳴り響きました。

米軍のB-29が東京上空に多数飛来し、焼夷弾による爆撃を開始。空襲は2時間あまりも続きました。翌朝、常子たちの住む家は無事だったものの、焼け出された人の群れが避難してきます。常子はその人の群れの中にお竜の姿を見つけるのでした。

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midokoro

昭和20年(1945年)3月10日、東京大空襲。

『花子とアン』の冒頭でも描かれた空襲が今回登場します。

『とと姉ちゃん』第13週 第76話 「常子、防空演習にいそしむ」
 事前発表あらすじのレビューと解説

史実では深川界隈の東京大空襲の被害は甚大でした。

一方でこの頃、小橋一家が滝子の紹介により移り住んだ目黒のあたりは、空襲の被害は皆無ではないまもで深川の被害と比べると小さなものだったようです。

こんな事態を察して滝子は小橋一家を深川から目黒に転居させたのか。

それとも、ただ単に目黒にしかめぼしい借家がなかったのか。

滝子が君子たち娘一家を目黒に転居させた理由が劇中で語られるかは不明ですが、竹蔵といい滝子といい、亡くなった人の影響力が本作ではいつも絶大です。

余談ですが、当ブログ主がプロフィールで記している朝ドラをこよなく愛した「祖父」は深川の近くに住んでいました。

東京大空襲の頃はすでに疎開していたため難を逃れることが出来たものの、焼け野原のどこが我が家なのかもわからない状況。

ついに土地を諦めたと聞かされました。

『とと姉ちゃん』第13週 第76話 「常子、防空演習にいそしむ」
 朝ドラ観賞後の感想

鞠ちゃんの意外な一面

三宅のおじさんをやっつける鞠ちゃんが朝から痛快です。

前回、珍しく常子ちゃんと鞠ちゃんが口喧嘩。真っ直ぐ過ぎるという鞠ちゃんの批判を受けて、今回の常子ちゃんは三宅のおじさんからどれほど挑発されてもグッと口をつぐむ。

しかし、意外にも鞠ちゃんが口を開く。

三宅のおじさんの国民服をキレイに手入れされていることを「戦う心」と結びつけ、意外な反撃に相手が動揺したスキをついて、国民服のアイロンと自分たちの身だしなみを同列にしてしまう巧みな話術。

しかも作家を志していた鞠ちゃんのこと。言葉の使い方、論理の畳み掛け方も巧妙。その場その場の思いつきでしか言葉を発していない三宅のおじさんが、鞠ちゃんの論法に太刀打ち出来るわけがありません。

鞠ちゃんにやり込められて、シドロモドロになってしまう三宅のおじさん。焦りながらも必死に強がるところがちょっとばかり可愛らしい気もしました。

小橋家から立ち去る姿も「シッポを巻いて逃げる」という表現は、三宅のおじさんのために存在していたのかと思わずにはいられないほどの情けなさ。

鞠ちゃんの意外な一面を見た気もしますが、それでいて言葉の中身は鞠ちゃん以外の何ものでもない。

戦後、三姉妹が出版社を創業する頃には、今以上にトラブルが続発するはずです。その時の鞠ちゃんの胸のすくような活躍が楽しみです。

かかの家訓

「今日から泣くのを禁止します。次に泣くのは嬉しいとき。嬉しくて泣くまで涙は我慢」

鞠ちゃんによる三宅のおじさんへの意外過ぎる猛抗議に続いて、君子さんが三姉妹を仕切る姿もまた意外でした。意外でしたが君子さんだからこを出来た仕切りでもありました。

ただし、一点だけ君子さんらしからぬところもあります。

それは「禁止」という強い言葉を使ったところ。もしかすると竹蔵ととならこんな時にどうするだろうと考えた末に出てきた言葉なのかも知れません。それとも草葉の陰の竹蔵ととが君子さんに言わせたのでしょうか。

竹蔵ととの家訓のような強い響きを持った君子さんの言葉にある「次に泣く時」が一日も早く訪れますように。

間もなく終戦。『ごちそうさん』や『花子とアン』『マッサン』ほど激烈ではありませんが戦争の時代の描写は観ていてつらいです。

警戒警報と空襲警報

「警戒警報が鳴らず、いきなり空襲警報」

防空壕の中での常子ちゃんの一言がひっかかりました。

恥ずかしながら勉強不足なので警戒警報と空襲警報の二種類があることを常子ちゃんのセリフで初めて知りました。そこで早速、調べてみました。

・警戒警報:サイレンを3分連続で1回だけ鳴らす
・空襲警報:サイレンを4秒鳴らし8秒休止。これを5回繰り返す

この二段階でサイレンを鳴らすのだそうです。

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コメント

  1. エイスケの後輩 より:

    今回は、小橋家に同情出来ないな…というシーンが2つ。すみません(^_^;)

    まず三宅さんが家訓を叩きつけた事については、子供の生死が分からない時に、「家族でお出掛け」なんて見たら、キレますよ(笑)
    確かに家に入ってくる組長さんが悪いとも思いますが、家族が出征していたら、このような言葉を掲げる雰囲気にはならないのではと思います。

    また、小豆が焦げ付いたのを見て泣き出したよっちゃんには、正直イライラしました。
    もしかしたら、消し忘れた火で火事になったかもしれないし、なにより空襲が有った事は分かっているだろうに…呆れました。
    よっちゃん、年齢の割に幼稚さが目立つ演出がされており、どうも自分は好きません(笑)

    不快に思わせましたら大変失礼致しました。
    しかしこれらは、やはり肉親が出征していない故かなと感じました。
    当初予定では、星野くんの出征を知り、常子は大切な存在が戦争に行く苦しみを知る流れになっていたのではと思いました。
    先述の通り、肉親を兵に取られていない故の余裕が、小橋家から感じられます。
    それが、戦時中のシーンが他作ほど悲惨な感じでは無い故かなと思いました。

    また、朝蔵さんのおじいさまのご実家が、今回の空襲で大きな被害を受けた地域との事で、ご覧になられていてお辛く感じられたのではと思います。
    戦争って、本当に嫌なものだ…と、感じられずにはいられませんし、このようにドラマなどで、そのむごさを伝えて行かねばならないのだと思います。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。

      なるほど、息子からの便りも途絶えた上に、当時は次々と戦死の知らせが届いていた頃。そんな中で「家族」なんて言葉を目にしたらどれほど温厚な人でも不愉快になるはず。三宅のおじさんの立場から見たレビューは目からウロコでした。

      三宅さんはもとはとてもいい人だったという近所のおばちゃんの同情心に満ちた言葉が登場人物中、一番的を得たものなのですね。

      鋭いレビューありがとうございました!

  2. ひろ より:

    知性教養のある鞠子の勝ち・・ただお国の為だといっている三宅だが、要するに鞠子が正当論を述べたにすぎない
    なのに、何も言い返せないでいる三宅。
    現在もそんな人がいるから、今も同じですね!

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。
      自分の中に軸がないまま「偉く」なってしまった人によくありがちですね。三宅のおじさんの残念過ぎる反応は(笑)

  3. ともとも より:

    組長さん、「今回だけは許してやる」って毎回言ってません?(笑)
    なんか決定的に嫌なこと(例えば人を殴る、足蹴にする、人の物を踏みにじる)などは、してないんですよね。
    やっぱり卵のおばさんの言うとおり、根は良い人なんでしょうね。
    息子さんが復員されたら、きっと初めて笑顔を見ることもできるんじゃないかと思います。
    息子さんの無事を祈らずにはいられません。

    やー、でも今日のMVPは毬ちゃんですね!

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。

      > 決定的に嫌なことなどはしてない

      おっしゃる通りですね。前回でも、よっちゃんの花飾りをもぎとったものの、地面に投げ捨てて踏みにじるようなことはせず、しっかり君子さんに返してました。本当は良い人なのに戦争で狂っちゃったんですね。

  4. もんすけ より:

    常子ちゃんのように、次女として頑張りたかった鞠子ちゃん。
    ようやく、その「頭脳明晰」という佳きところがいかんなく発揮され、
    油断許さじではあるものの、少し溜飲が下がりました。
    ですが、どのドラマでもこの時代の表現は観ていて心が苦しくなります。

    「うれしくて泣ける時まで、泣くのは厳禁」
    大事な思い出の家訓をしまう代わりに登場した、かかの家訓(!)
    おはぎを想像しトロけるような表情から転じた美子ちゃんの失望の涙に
    きっぱりと言い切る時の、かかのきりっとした表情。
    家族を守りながら生き延びる決心を感じ、うるっとしてしまいました。

    お竜さん登場シーンで、常子ちゃんが会社を首になり、退社する際に流れた「キラキラ~ン」という同じ効果音が…。
    「心のタイムワープ」の印なのでしょうか???

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。

      > 次女として頑張りたかった鞠子

      常子ちゃんには常子ちゃんの得手不得手があり、鞠ちゃんにも鞠ちゃんの得手不得手がある。その描き分けがみごとだなと思いました。鞠ちゃん、これを機に自分だから出来る家族の支え方を発見出来たんじゃないでしょうか。

  5. 若葉 より:

    いつもこちらのサイトのネタバレを先まで読ませてもらっております。
    確か今週か先週に、星野さんに赤紙が来てそれを知らされた常子が悲しみに打ちひしがれる、というのがあったと思うのですが、結局星野さんの描写はなかったですね。脚本に変更があったということでしょうか。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。
      そうなんです。星野くんが出征する知らせ、あったはずがなくなりました。カットされたみたいです。

  6. よるは去った より:

    この時代のドラマで大空襲の時に必ず出てくるのが、爆撃機の爆音、夜の街並みを不気味に煌めかせる火炎地獄、難を逃れる為に入ったはずの防空壕の中で繰り広げられるこの世の阿鼻・叫喚地獄・・・・・空襲の後の焼け野原、そして近しい誰が犠牲になったという訃報・・・・・。実際に目の当たりにした人たちの心境は平和な時代に育った私たちには想像の数十倍以上のものに違いないという気になるのですが。今回のドラマは主人公たちが身を寄せていた場所(目黒)が空襲そのものの被害はほとんど(?)なかったとはいえ、翌日に自分たちが以前住んでいた深川の被害が凄まじかったと聞いた時の常子ちゃん、美子ちゃんの心境はどんなだったでしょう。君子母さんの「生きていることに感謝しなきゃ。」の言葉が重くのしかかったことでしょう。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。
      普通の現代人が「生きていることに感謝」と言っても観念的なお説教になりかねないですが、この時代を生き延びた方は心の底からそんな風に思ったんでしょうね。