満州に渡った花山の過去 / とと姉ちゃん 第86話

連続テレビ小説(朝ドラ)『とと姉ちゃん』
2016年7月12日(火)放送
第15週 第86話「常子、花山の過去を知る」

『とと姉ちゃん』第15週 第86話 「常子、花山の過去を知る」あらすじと見どころ解説

自分たちの編集長になってもらおうと常子は花山のもとに足を運んだものの、常子の願いを花山は一蹴しその場を立ち去ってしまいました。その様子を見るに見かねた花山が経営するコーヒー屋の店員・関元が常子に語ります。

関元の戦死した息子と花山は戦友だった。しかし花山は満州で結核を患い除隊したものの、その後に内務省で勤務。そして迎えた昭和20年8月15日の終戦。花山はすべてに気づいたとだけ言って出版に関わるすべてから手を引いたのだと。

その頃、売れ残った『スタアの装ひ』を闇市で売りさばこうと懸命になっていた鞠子と美子が、闇市を仕切る男たちにからまれショバ代を強要されていました。そんな二人を窮地から救ったのは水田でした。雑誌を売りたいと願う鞠子の頼みを水田は快諾します。

常子は五反田から思いがけない話を聞かされました。花山はかつて内務省に挿絵を依頼に行った常子に感心していたと。五反田に背中を押され常子は再び花山のもとへ。そして常子は花山に尋ねます。終戦の日に気づいたこととは何なのと。

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花山伊左次が戦後になって出版に関わる一切から手を引きペンを握らないと決めた心の闇に、常子が踏み込んでゆきます。

しかし、花山は常子の問いかけに取り合おうとはしません。

『とと姉ちゃん』第15週 第86話 「常子、花山の過去を知る」
 事前発表あらすじのレビューと解説

断筆宣言の理由が明かされぬまま、謎に包まれた花山の戦時中の心の傷が第三者の口を通して初めて語られます。

その第三者、花山が経営する喫茶店の店員・関元を演じるのは寺田農さん。

チョイ役ながらも花山の暗い過去を明らかにする重要な役どころに、いぶし銀のような渋い役者さんを起用するあたり、さすが朝ドラの貫禄です。

ところで、花山の満州での体験は史実にもとづいています。

花山の実在モデル・花森安治は東京帝国大学卒業後に召集され満州へ。しかし現地で結核を患い帰国。和歌山での療養生活を余儀なくされます。

回復後、在学中に仕事の手伝いをしていた化粧品メーカー・伊東胡蝶園(後にパピリオに改称され、ツムラ化粧品時代に清算)で雑誌『婦人の生活』シリーズを制作。

この時に手がけた雑誌が後の『暮しの手帖』の原点になったと伝えられています。

『とと姉ちゃん』第15週 第86話 「常子、花山の過去を知る」
 朝ドラ観賞後の感想

これまで放送されてきた『とと姉ちゃん』の中で今回が一番好きです。大人のドラマの風格に心が震えました。

関元のおじちゃんのいぶし銀のような渋い演技

寺田農さん演じる関元のおじちゃんのいぶし銀のような渋い演技と圧倒的な存在感に完全にノックアウトです!

「一銭五厘の命だが私にとってはかけがえのない息子」

最愛の息子を「一銭五厘」ほどにしか扱われなかった無念や怒りを声高にとなえるのではなくあきらめに満ちた言葉で静かに語る関元のおじちゃん。

普通ならここで「私にとってかけがえのない息子を一銭五厘の命としか扱われなかった!」と怒りをぶつけるところです。

そんなありきたりなセリフを避け「一銭五厘の命だが私にとってはかけがえのない息子」と順序を逆にしたことが、関元のおじちゃんの悔しさを際立たせていました。

この関元のおじちゃんの花山伊佐次の扱い方がまた絶妙です。

身寄りを亡くした自分を大事にしてくれる花山伊佐次に心から感謝しつつ、その一方で花山伊佐次がどれほど面倒くさい人物かも知り尽くしているんでしょう。

しかも、年の功もあってその厄介な花山伊佐次を上手にコントロールするツボもひそかに心得ている。

常子ちゃんと花山伊佐次の激しい言い合いも、間に立ってオロオロするどころか面白そうに見物している大人の余裕もまた素敵です。

タイピスト時代の給士のおじちゃんと言い、脇キャラのおじちゃんたちの味わい深い名演が心に沁みます。

花山伊佐次の男前

その関元のおじちゃんの渋さと優しさあふれる芝居に応える、唐沢さんの花山伊佐次に泣かされました。

前回、家庭人の一面がはじめて披露された花山伊佐次のさらに意外な一面。

帝大卒でありながら二等兵として入隊した過去。その時の戦友を亡くし、戦友のお父上を実は助けていた男前。

戦友の遺影の前で号泣する花山伊佐次の姿はちょっと怖いほどでした。

ツンデレなどというありきたりな言葉では表現しきれないほどに奥が深く複雑さを極めた花山伊佐次という人物。

この花山伊佐次がついに物語の真ん中に入ってくる次週以降、一体どんなことになってしまうのか。

いよいよ楽しみになってきました。

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14 Responses to “満州に渡った花山の過去 / とと姉ちゃん 第86話”

  1. ケーキ大好き より:

    一銭五厘って、赤紙とか戦死報告のハガキの値段でしたっけ?
    人間の命が紙切れ一枚で扱われた、という事ですよね。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。
      一銭五厘は戦前の郵便ハガキの値段なのだそうです。花山さんの実在モデル・花森氏が戦後になって『一戔五厘の旗』という本を著していますのでそこからとったセリフと思われます。

  2. えびすこ より:

    勝俣さんが思わぬ場面で登場してビックリしました。
    「とと姉ちゃんに出る」と聞いていなかったので。
    浜松の人たちも後半で再びどこかに出るでしょう。

    今日、菅田将暉くんが来年の大河ドラマ「おんな城主 直虎」での井伊直政(幼名・万千代)役での出演が決まりました。
    ごちそうさんでは高畑充希さんの甥の役(演者どうしの年齢差は2歳)でした。登場は終盤になってからですが、今日の会見では張り切っている様子でした。
    そうなると今年の真田丸での井伊直政役は?

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。
      井伊直政、重なりますね。今年も菅田将暉くんが演じるたら楽しそうですが、悪ノリが過ぎるかもです(笑)

  3. まつも より:

    寺田さんもよかったですが
    闇市のおじさん
    勝俣さんの恫喝も傑作でした。
    いい人そうな満面の笑顔が…
    充分怖かったです。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。
      闇市のおじさんの笑顔、あれは本当に怖かった。
      前篇に出てきた借金取りはマンガみたいでしたが、今回のお二人は妙にリアルでした。

  4. もんすけ より:

    しんみりと重たい内容が続く中、花山さんがずれた絵画等を直すシーン。
     (シャッ! シャッ! シャキーン!)
    とでも音が出そうな腕の動きを見るにつけ、
    唐沢さんの特撮番組のスーツアクターだった折の御姿をみるような…。
    水田君のデレデレ顔しかり、ほっとできるシーンを入れてくださると、
    展開のシリアスさが際立つようで嬉しいです。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。
      シンミリ、シリアス、デレデレ、すべての要素がてんこ盛りの回でしたね。

  5. エイスケの後輩 より:

    父の命を奪った結核が、後の人生でかけがえのない存在になる人物を戦地から引き揚げさせ、結果生き延びる事が出来た…
    どちらも史実とはいえ、運命の複雑さを感じるストーリーでした。

    関元さんの息子さんは、南方で亡くなられた設定ですが、私の母方の祖父も南方戦線で脛に銃弾を受けながらも生き延び、引き揚げ後も現地で貰った病気でしばらく苦しんだとのことで、もしかしたら自分もここにはいなかったかもしれないということを、改めて思い出させられました。
    25年前に亡くなった祖父の脛の銃創は、今も忘れられません。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。

      > 父の命を奪った結核

      コメントを頂戴するまで気が付きませんでした。しかも、もし結核が父の命を奪っていなければ、常子ちゃんはきっと花山さんと出会っていないという不思議。

      > 自分もここにはいなかったかもしれない

      一銭五厘で、ある家族の歴史が書き換えられていたのかも知れないのですね。

  6. カッチ より:

    寺田さん、確かにいいあじを出していますね。
    どうも悪役の印象が強いのでこういう役は新鮮ですね。
    水田がまた鞠子を助けましたね。
    へたをするとストーカーですね。
    しかしあれほどでれっとしてるのに鞠子は気付かないのですかね。
    常子は粘りますね。
    それほど花山の才能がわかっているのですね。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。
      水田くんの気持ちに気がついた鞠ちゃんがどんな反応を示すのか。その日が来るのが楽しみです。

  7. とんこねら より:

    こんにちは。
    先の筋が気になるので、いつも重宝させていただいています。
    ところで、86回分にミスプリが。
    花山の実在モデルは「花森安治」ですよね。
    これからもがんばってください。

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