恩師東堂チヨからの手紙 / とと姉ちゃん 第97話

連続テレビ小説(朝ドラ)『とと姉ちゃん』
2016年7月25日(月)放送
第17週 第97話「常子、花山と断絶する」

『とと姉ちゃん』第17週 第97話 「常子、花山と断絶する」あらすじと見どころ解説

昭和22年(1947年)初夏。終戦から一年半が経過したものの建築資材の不足によって12坪を超える住宅の新築が禁止されるなど、依然として庶民の住宅事情は厳しい状態が続いていました。そんな中、花山は次号で「住まい」のことを特集しようと考えていました。

その頃、かねてより「あなたの暮らし出版」への入社を望んでいた水田が、経理マンとして正式に採用されることになりました。会社の規模が大きくなってきたことにともない、庶務担当として働く岡緑も同時期に入社しました。

そんなある日、送られてきた現金書留の差出人の名前に、常子たち三姉妹の目がとまりました。差出人は東堂チヨ、三姉妹が通っていた女学校の教師です。常子は早速、チヨの住まいを訪問。しかしチヨが夫と夫婦で暮らしていたのは親戚の家の片隅にある物置でした。

百歳になっても教師を続けたいと気丈に振る舞うチヨでしたが、居心地の良かった駒込の家を空襲で失い、寂しさを隠しきることは出来ません。そんなチヨは、次の日曜日に常子、そして鞠子と美子を家に招待するのでした。

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midokoro

女学校時代の常子の担任・東堂チヨが再登場です。

今週は物語前半を彩った登場人物たちの一部が再び顔を見せてくれるのですが、その第一弾が常子や鞠子、そして綾に平塚らいてふの存在を伝えた東堂チヨです。

『とと姉ちゃん』第17週 第97話 「常子、花山と断絶する」
 事前発表あらすじのレビューと解説

12坪を超える住宅の新築と増築が禁止されたのは昭和22年2月8日。今週は戦前の時代を描いた物語前半の主要キャラが再登場。

物資不足は相変わらずですが、前半キャラを再登場させることで人々の暮らしがわずかながらも平常の状態に戻りつつあることを暗示しているのでしょうか。

かつて、常子に女性の新しい生きる道を説いた東堂チヨ。

教え子はその教えに素直に従い、女性として生きる新しい道を切り開くことに成功しました。(成功しはじめたと表現すべきでしょうか)

しかし、常子を導いた東堂チヨは恐らく空襲で住む家を焼かれてしまったのでしょう。新しく住む家を見つけることも出来ず、親類の物置に仮住まい。

住まいにこだわりを持っていた滝子がもし存命であったなら、こんな由々しき事態をどう捉えるのでしょうか。

『とと姉ちゃん』第17週 第97話 「常子、花山と断絶する」
 朝ドラ観賞後の感想

東堂先生ご夫婦の暮し

東堂先生50歳。あと50年は教師を続けてゆきたいと気丈な様子を見せるものの、大好きな書物に囲まれ、季節の掛け軸や集め続けた茶道具を愛でる暮しが失われてしまった寂しさを隠すことは出来ない。

失われた家が空襲によって焼かれる前の様子をうっとりとしながら東堂先生の表情。しかしすぐに目の前の現実に引き戻され気落ちを隠し切れなくなる東堂先生の表情。

そんな東堂先生の二つの表情のギャップがあまりにも大き過ぎてこれは朝からつらかった。

そして東堂先生よりも気になってならないのがご主人の存在。

常子ちゃんのセリフを通して東堂先生のご主人は「書家」であることが説明されました。

常子ちゃんが東堂先生に尋ねました。ご主人は書家なのですよねと。それに対する東堂先生の奥歯に物がはさまったような答え方。

そして今回の最後に登場した、どうやら右腕が不自由であるらしい東堂先生のご主人。そのご主人の陰鬱な表情。

・書家なのですよね?との常子ちゃんの問いかけ
・奥歯に物がはさまったような東堂先生の答え
・動かなくなってしまったらしいご主人の右腕
・ご主人の暗い顔

遠回しな表現ですが、遠回しだからこそ東堂先生のご主人の悲劇が際立ってみえました。

知恵の輪がそろそろ解けそうな花山さんが、東堂先生ご夫婦の暮しに明るさを取り戻すまでの日々がはじまりです。

余談:昭和22年(1947年)の東京都大田区

今回登場した東堂先生からの手紙に書かれた住所によれば、戦後の東堂先生は東京都大田区在住。この頃の東京都大田区といえば『花子とアン』ヒロイン・村岡花子が住んでいます。

ちなみに村岡花子は昭和30年(1955年)秋発行の『暮しの手帖』一世紀31号に「私のメニュウ」というタイトルのエッセイを寄稿しています。

(エッセイとは言って、朝晩に食べたものをまとめた簡素なものです)

ところで前作『あさが来た』で花ちゃんの登場を期待していたものの実現にはいたりませんでした。今度こそは・・・がっかりしたくないので期待するのはやめておきます。

ついでながら、今回の『とと姉ちゃん』で描かれた昭和22年初夏の東京都大田区。

この当時、医専の2年生になって間もない『梅ちゃん先生』のヒロイン・梅ちゃんも東京都大田区在住です。

その頃、梅ちゃんは医専の解剖学実習で臓器をデッサン。しかしその絵をお父上の建造氏に「ジャガイモか?」と揶揄されていました。

また、梅ちゃんが100点満点中35点という残念な答案用紙を落としたことがきっかけで、松岡くんと運命の出会いをする頃です。

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コメント

  1. 1013 より:

    花山さんが水田さんにではなく、わざわざ受話器に向かって怒鳴ったのは・・・

    もしかして目上の男性に怯える水田さんへの気遣いでしょうか?

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。

      >水田さんへの気遣い

      そんな気がします。花山さんなりの思いやり。
      そして花山さんらしさを損なわない唐沢さんの絶妙な表現でした。

  2. よるは去った より:

    東堂チヨ先生の夫君の泰文氏役の利重剛氏は連ドラは「やんちゃくれ」以来ですね。ヒロイン(小西美帆)の二度目の夫君の木暮勇氏役。正義感に満ちたライターで最後はカンボジアの取材に出かけてその地で川で溺れている現地の子を助けようとして帰らぬ人となる役でした。大河ドラマでは「独眼竜政宗」の関白豊臣秀頼公役。お母さん(連ドラでは『マー姉ちゃん』民放では『3年B 組金八先生』で有名な小山内美江子先生)の才能を受け継いでいるのか、脚本も書き監督もやるの人なんですね。デビューしたての時は心に傷を抱えた問題児の役で私はその印象が強いんですが。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。
      利重剛さんで僕が思い出すのは『半沢直樹』です。主人公の同僚が出向に出された先の会社のちょっと陰険な経理マン。いい味だしてました。

  3. えびすこ より:

    今週は常子と花山の間で衝突がありそうですがどうなるかな?
    終戦直後には創刊された紙媒体が多く、昨年・今年で創刊70周年を迎える物がありますね。
    「暮らしの手帖」ですが毎月25日の発売ですね。
    昨日母親が書店に行ったらなかったので、おかしいと思って調べたら今日が今月号の発売日で、書店が先月号を返却した後でした。
    今月号には創刊号の記事の一部が復刻されています。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。
      『暮しの手帖』最新号に創刊号の復刻掲載ですか!?興味あります。明日、見に行ってみます。貴重な情報をありがとうございました。

  4. もんすけ より:

    「みんな焼かれてしまってね。」さらりと口にされた東堂先生の言葉。
    身なりを整えても「住むところ」が安定しないことが、これほどまでにゆく先を不安にさせ、気持ち奮い立たすことができない要因になっているのか。仕事道具が美しく並ぶ、常子ちゃんのデスクが対比のように映ると胸に迫ります。

    小橋家のお夕食、水のような雑炊からすいとんへ、そして、今日はうどん(?)でしたね。
    綺麗な銀座の事務所からしたら、もう少しよい食事になっているようにも思ったのですが、仕事がある小橋家でも食べるもののバラエティはまだまだ少なく、質素倹約なのですね。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。
      常子ちゃんの職場環境がずいぶんキレイになって来たので世の中が豊かになってきたのかと錯覚しそうですが、当時の都市部では東堂先生のよう暮しを強いられている方はまだまだ多かったんでしょうね。まだ終戦から2年も経ってないんだと今回は現実に引き戻されました。

  5. エイスケの後輩 より:

    観賞後のご感想で、沢山の朝ドラとの繋がりをご指摘されておられましたが、私も同じことを考えていました。
    (綾が戦後間借りしている家の街と梅ちゃん先生の舞台が被っていますね。)
    前作と本作では、まさかの平塚らいてふが連続登場など、視聴者を喜ばせる仕掛けがされており嬉しいです。
    本作は、ここ最近の朝ドラのまとめにもなっているように感じますね。
    各作品へのオマージュが詰まっていてとても楽しいです。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。
      今回、花山さんが次号の企画にしようと言い出した住宅事情。思えば『梅ちゃん先生』は、苦しい住宅事情ど真ん中、バラックから物語がスタートしましたね。取材対象となるネタが満載の家でした。花山さんの企画にも「オマージュ」を感じます。

  6. 1013 より:

    朝蔵さん、トップページもチエになってます。

  7. オカンT より:

    今回から3回分の東堂先生のお名前について、チヨとチエが混在しているようですが、正しくはチヨさんでしたよね?
    訂正をお願いします。