連続テレビ小説(朝ドラ)『とと姉ちゃん』
2016年9月21日(水)放送
第25週 第147話「常子、大きな家を建てる」
『とと姉ちゃん』第25週 第147話 「常子、大きな家を建てる」あらすじと見どころ解説
君子が自宅療養をはじめて半年の月日が過ぎた頃、花山が君子の見舞いに小橋家を訪ねて来ました。花山はこれまでずっと気にやんでいたことを君子に打ち明けます。常子は今日まで雑誌づくりにすべてを捧げてきたが、別の人生を送ることも出来たのではないかと。
常子の人生を誤った方向に導いてしまったのではないかと悔いを口にする花山に君子は静かに応えます。人に頼ることが出来なかった不器用な常子が、誰かに頼って安心して生きられるようになったのは花山のおかげだ。常子は幸せな人生を送ってきたはずだと。
三人の娘たちをこれからもよろしくお願いしたいと君子に告げられた花山は、言葉少なに小橋家を去って行きました。花山が帰った後、三姉妹は君子を囲んで久しぶりに四人だけの時間を過ごしました。
君子は三姉妹一人ひとり言葉をかけました。美子の笑顔に和まさせてもらったこと。鞠子のおかげで安心だったこと。そしていつも常子に支えられたこと。自慢の娘たちに感謝の言葉を贈った君子は、その10日後に亡くなるのでした。

床に伏せることが多くなった君子が心配です。
君子との永久の別れがどのタイミングで描かれるかは、この記事を投稿した時点では不明ですが、今回か次回あたりにその悲しい場面が登場するような気がしてなりません。
『とと姉ちゃん』第25週 第147話 「常子、大きな家を建てる」
事前発表あらすじのレビューと解説
事前発表の情報によれば、次回以降のストーリーの中に君子の名は登場しません。
ただ単に今週はもう出番がないだけなのか、それとも今回が最後となってしまうのか。物語が結末近くになると心配ごとが増えてきて困ります。
君子に加えて、過去を悔いるような言葉を口にする花山も心配です。
今回の時代背景は昭和39年(1964年)。次回は今回描かれた時代から9年スキップして昭和48年(1973年)。
ちなみに花山伊佐次の実在モデル、花森安治氏が逝去したのは昭和53年(1978年)。享年66歳でした。
時間はまだ数年残されているとしても、放送回は残り一週。
今週の土曜日の放送回にも花山の出番があることは確定していますが、最終週となる次週には花山との永久の別れが描かれることになるかも知れません。
『とと姉ちゃん』第25週 第147話 「常子、大きな家を建てる」
朝ドラ観賞後の感想
君子かかが花山さんに伝えたかったこと
君子かかが花山さんにどうしても伝えたかったことに驚かされました。母親だから当然とは言え娘をよく見てるなとただただ感心させられました。
常子ちゃんは幼い時から無理ばかりしてきました。
竹蔵ととが亡くなっても泣きたい気持ちをぐっと抑えるばかりか、途方に暮れて何も出来なくなった君子かかに代わって竹蔵ととの遺品を会社に取りに行ったのも常子ちゃん。
浜松から東京に転校した直後、いじめに遭いながらもそのことを隠し通していたこともありました。タイピストになってからの試練の日々も同様です。
その頃は常子ちゃんには星野くんという存在がいました。
星野くんとの時間が常子ちゃんの心を軽くしてくれたのは確かです。
しかしあるとき、星野くんは常子ちゃんにこう言ったかと。常子さんはつらいことがあった時ほど明るく振る舞うと。
星野くんには気を許しているように見えて、実は星野くんの前でも常子ちゃんは無理をして気丈に振る舞っていたことがこの星野くんの言葉によくあらわれています。
その一方で、常子ちゃんは花山さんに甘えることもありませんでしたが、花山さんの前で無理に明るく振る舞うようなこともなかったかと思います。
星野くんと再会した頃もそうでした。
星野くんとの再婚はないだのと言っては、よっちゃんに対しては強がっていた常子ちゃんでした。
しかし花山さんの前では、仕事に集中しなければいけない時に心が揺れてしまうなんていう弱音をはく常子ちゃんの姿に驚かされたことを今でも覚えてまいます。
思えば竹蔵とと死去後の常子ちゃんが君子かかに甘えたのは二度だけでした。
一度は、竹蔵とと死去直後。泣くのをこらえていたリトル常子ちゃんでが、ついに耐えきれなくなり君子かかの胸の中で涙を流した時。
そして二度目は、戦前の星野くんとの別れの直後。
この二度だけで、それ以外の時はいつも娘が無理をしているのが君子かかには母親としてどれほどつらかったことか。
だからこそ、花山さんがあたかも父親のように常子ちゃんを支えてくれたことが君子かかとしては心から嬉しかったのでしょう。
そしてその感謝の気持ちを最期に伝えることが出来た君子かかの笑顔が忘れられません。
余談ですが、君子はこのことをどうしても伝えたくて花山さんに来てもらったのかなとも思いました。わざわざ常子ちゃんを退席させたくらいですしね。
そして情の厚い花山さんのこと。顔は平静を装ってましたが、心の中では感極まっていたのだと思います。
花山さんが小橋家を去り際に言いました。
「素晴らしいお母さんだね」
感極まった末にやっと出てきた一言。それだけに力がありました。三姉妹がかかと話したくなる気持ちもよくわかります。
小さな幸せの積み重ねで今の幸せがあるのね
君子かかが亡くなりました。
思えば君子かかの一生は、つらいことの多いことの一生でした。
最愛の夫との早すぎる別れ。その後の貧困。実母との確執。そして戦争。自分の人生を恨んでもよさそうな一生を送ってきたはずの君子かかです。
しかし恨みごとのひとつも口にしないばかりか、暮しの中にささやかな幸せを見出し、それらを積み重ねることが出来た自分は幸せだったと言い切るかかの言葉を聞いて思いました。
幸不幸は自分の身に起こったことで決められるのではなく、自分の身に起こったことの選択のしかたで決めることが出来るものだと。
自分の最期にここまで達観出来るか自信はありませんが、君子かかみたいな境地に達したいと思った、君子かかの最期でした。
朝ドラの中で、また素敵なキャラと出会えたことに感謝でいっぱいです。
コメント
三姉妹を回想するシーンで鞠子のときに、ととが「名前の由来が百人一首ではなく鞠のように真ん丸だったから」みたいな事を言ったのを思い出してしまいました。
湿っぽい中にもぜひあのエピソードを挿入してみんなでコロコロと笑ってほしかった!
コメントありがとうございます。
> 鞠のように真ん丸
そんな会話がありましたね。四人の会話が竹蔵ととが生きていた頃の思い出に触れたら場が和んだかも知れません。
登場人物に「清」「隈井」など勢揃いだったので楽しみにしていたら、ハミガキ破裂事件のシーンで全員一瞬でした。(´;ω;`)
コメントありがとうございます。
一秒もなかったかも知れませんね。目が悪い僕は確認出来ませんでした。
いつも通りこちらのサイトで心の準備をして、イギリス時間朝6時に見ました(泣)
ゆっくりお話になる、いつもポジティブに家族のどんな事態も包みこんで、やさしい笑顔のかかのような母・妻になりたいと思いました。遅いスタートですが(子供はもう大学生です)、あの君子かかだったらどうするだろうと、これからは立ち止まって考えてから家族に対してゆっくり言葉を発したいと思いました。
来週終わってしまうなんてさみしいです。。。
コメントありがとうございます。
> いつもポジティブに家族のどんな事態も包みこんで
あれだけの困難な日々を乗り越えることが出来たのも君子かかの笑顔があったからだと思います。本作の第二のヒロインは君子かかですね。
初めてコメントさせていただきます。
いつも、楽しみに読ませていただき、ありがとうございます。
今日の花山さんと、かかのシーンは号泣しながら見ました。
花山さんが、かかの言葉を聞いた後、すぐに帰ってしまったとき
ご自分の亡くなったお母さんのことを思い出されていたのかなと
推測しました。
花山さんが「かか兄ちゃん」として育ったこと。常子さんと重なる点が多く、花山さんが常子さんを支えていただけではなく、同時に常子さんも花山さんを支えていたと考えると、かかからの感謝の言葉は、花山さんのお母さんからのほめ言葉として聞き取ることができたのかなぁ、と拡大解釈していました。
そして最後の「素晴らしいお母さんだね」の言葉につながる。
素晴らしいシーンでした。
先ほどのコメントに誤記がありました。
「かかねぇちゃん」ではなく
「かか兄ちゃん」でしたね。
失礼しました。
訂正しておきました。
初コメントありがとうございます。
花山さんが最後に言った「素晴らしいお母さんだね」という言葉への深い洞察。幾度もうなずきながら読ませてもらいました。思えば、花山さんもどこか無理をしてきた生き方を常子ちゃんに支えられていたのかも知れませんね。
以前、こちらのコメントで「良くなりますよ」は、優しい嘘との言葉。それをかかは体験済みとの書き込みを拝見しました。それをしみじみと実感する回になりました。
自身の余命と愛しい家族との別れ、病状について本当のことを言ってもらえない悲しさなどが綯い交ぜになった気持ちを、かかは抱えていたのでしょう。
さらに一歩進んで、それをととや母親も体験してきたことにも気づき、噛みしめていらしたのでしょうね。
(見送る立場を、今、娘たちが体験している…)
(見送られる立場を、その時、母は、ととは体験していた…)
花山さんに「娘たちを託す」気持ちを伝えることができた後の、かかの涙が透き通るほど清廉で、ホッとした笑顔が美しかった。
余談ですが、かかの宝箱。本当に空襲で焼かれることなどなく、よかったですね。ふと、よっちゃんの大事なおままごと道具を思い出し…。
コメントありがとうございます。
> ホッとした笑顔が美しかった
花山さんに伝えたかったことを告げ、三姉妹に心からの感謝を述べた後の君子かかのすがすがしいほどの笑顔。思い残すことなく竹蔵ととのもとに旅立っていったのでしょう。
> よっちゃんの大事なおままごと道具
滝子さんとよっちゃん、仲の良い祖母と孫の関係が大好きでした。
花山氏の帰り際、小橋家の近くの角に見えた電話ボックスも懐かしいスタイルでしたね。電話機も赤で。君子「明日、久し振りに常子の親子丼が食べたいわ・・・・。」常子「はい、用意します。」君子かかの笑顔をアップにして、Nで「・・・・・その10日後のことでした。」と閉めたのが、人生で避けては通れないシーンを重くしなかったような気がします。竹蔵ととの時もそうだったような気がします。仏壇の竹蔵ととの写真も気のせいか「君子お疲れさま。」と言っていたような気がしました。木村多江さんお疲れさま。
コメントありがとうございます。
> 君子お疲れさま
竹蔵ととの遺影を見つめる君子かかも思い残すことのないキレイな笑顔でした。
NHKの番組表を見たら木村多江さんの出番がこの回で終わりの模様です。
今週木曜から来週月曜までの欄に彼女の名前は無いので、かか抜き状態での
小橋家と あなたの暮らし社の比重とか構成が気になります。
コメントありがとうございます。
> 小橋家と あなたの暮らし社の比重
最終週はもっぱら「あなたの暮し出版」が舞台になりそうですね。その週の主役は花山さんみたいですから。
仕事も大事だが自分の人生に後悔のないように、と助言した花山。あの時は好きな男性が出来て「よかった」と心から思っているようでした。まるで親目線になっていましたね。
女の幸せは未だ「結婚」という風潮が強いですね。キャリアウーマンで働いている女性でもやはりパートナーは欲しいもの。
コメントありがとうございます。
> まるで親目線
花山さんがそこまで常子ちゃんのことを気にかけていたのかと僕もぐっときました。特にここ数週間は花山さんのキャラが炸裂するような見せ場がなかったのでなおさらでした。
花山は「仕事も大切だが人生後悔ないように」と恋愛に臆病な常子に助言してましたね。星野さんと別れて仕事一筋に頑張った常子を見て申し訳ないと思っているのでしょうか。
コメントありがとうございます。
> 仕事一筋に頑張った常子を見て申し訳ない
そんな気持ちを抱いているのかも知れませんね。君子かかとどんな会話が交わされるのか。この場面、泣かされそうです。