すみれがあさや靴店見学 / べっぴんさん 第3話

連続テレビ小説(朝ドラ)『べっぴんさん』
2016年10月5日(水)放送
第1週 第3話「想(おも)いをこめた特別な品」

『べっぴんさん』第1週 第3話 あらすじと見どころ解説

潔が麻田の店に行くと知ったすみれは、潔に頼み込み靴屋まで連れて行ってもらいました。ところが靴屋までやって来たすみれに、麻田は家に帰るように言いました。靴作りの見学をすみれは諦め、潔がすみれを家まで送り届けることになりました。

しかし家に戻る途中、途中で潔とはぐれたすみれは迷子になり、路上で偶然に遭った明美に連れられ再び麻田の靴屋に戻って来ました。すみれは靴屋の中に忍び込み、麻田の靴づくりの作業の姿をじっと見守ります。

靴屋の店内にすみれがいることはすぐに麻田にわかってしまいました。麻田はすみれに尋ねます。どうして靴づくりを見たいのかと。すみれは答えます。母のはなに贈るハンカチの刺繍が上手に出来ない。だから針と糸でつくる靴づくりを見てみたかったのだと、

すみれの気持ちを知った麻田は答えました。上手につくることよりも、思いを込めてつくることのほうが大切なのだと。麻田に励まされすみれは帰宅。しかしその翌朝、怒り心頭の五十八は、坂東家まで詫びに来た麻田と潔を怒鳴りつけるのでした。

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midokoro

すみれにものづくりに一番大切なことを教えるあさや靴店の靴職人・麻田茂男と、すみれのエピソードが描かれます。

麻田茂男はまた、すみれの創業の物語のきっかけをつくる人物でもあります。

『べっぴんさん』第1週 第3話 事前発表あらすじのレビューと史実解説

『べっぴんさん』劇中に今回登場するあさや靴店とその店主で靴職人の麻田茂男の実在モデルは、モトヤ靴店の店主・元田蓮です。

劇中で、市村正親さんが演じるあさや靴店の麻田茂男は、坂東家に出入りの靴職人として描かれますが、実在した元田蓮さんも坂野惇子さんの生家・佐々木家に出入りする腕の良い靴職人でした。

周知の通り、神戸は洋菓子とならんで靴づくりで有名な街です。「京の着倒れ、大阪の食い倒れ、神戸の履き倒れ」という言葉が神戸と靴の縁の深さを物語っています。

腕の良い靴職人が軒を並べていたその頃の神戸の商店街の中にあって、元田蓮さんはスタイリッシュなデザインと履き心地の良さを兼ね備えた靴をつくることで評判の靴職人だったのだそうです。

しかし一方で、当時の富裕層の人々は職人を見下していました。元田蓮さんもその例外ではなく、職人であることを理由に富裕層の顧客から見下されていました。

そんな中にあって、五十八の実在モデル・佐々木八十八さんは、元田蓮さんが仕事で自宅に来る度に心を込めて丁重にもてなしたため、元田蓮さんはその時の恩を生涯忘れなかったと伝えられています。

『べっぴんさん』第1週 第3話 観賞後の感想

誰がどんな思いを込めてつくるのか

オープニングタイトルのトメ(役者名の最後の紹介)の風格を感じずにはいられない、靴屋の麻田さんを演じる市村正親さんのいぶし銀のような演技が光る回でした。

かつて、はなさんにつくった靴が心から喜ばれ「靴屋冥利につきる」と口にした時の感謝と誇りの入り混じったような表情はこの先もずっと忘れられそうもありません。

病気の母親を元気づけたくて刺繍に挑んだ。しかしそれが上手に出来ない。そんなすみれちゃんの本心を知った瞬間に、すみれちゃんを見つめる目つきが愛弟子を見つめる時の目つきに変わったような気がするのは僕だけでしょうか。

何十年にもわたって誠実な仕事を積み上げてきた職人さんだけが放つことが出来るオーラ。そんなオーラを漂わせながら語る麻田さんの言葉が心に沁みます。

「思いを込めたら伝わる。上手につくることよりも、誰がどんな思いを込めてつくるのか。それが一番大事なのだ」

きっとこの麻田さんの言葉はすみれちゃんのものづくりを支える精神的な支柱になってゆくのでしょう。

この先、すみれちゃんが大人になって「ベビーショップあさや」を開店し、それを発展させた「キアリス」を創業し、その「キアリス」ブランドが全国区のブランドになった時にも、今回、麻田さんの口から語られた言葉はすみれちゃんの原点になるのでしょうか。

麻田さんが今回語ったものづくりへの思いは、将来、すみれちゃんに迷いが生じた時に戻ってこれる場所になるのかも知れません。

明美ちゃん

迷子になったすみれちゃんが明美ちゃんに遭遇しました。

前回、明美ちゃんはすみれちゃんからクッキーを手渡されたものの、理不尽な思いをした直後で機嫌が悪かったのか、それともすみれちゃんからの「施し」にプライドを傷つけられたのか、そのクッキーを地面にたたきつけてしまった明美ちゃんでした。

しかし、今回の明美ちゃんはその時のことをいまだに根に持っている様子はない。しかし、友達に見せていたような打ち解けた表情を見せるわけでもない。

すみれちゃんがくれたクッキーに八つ当たりしてしまった後ろめたさ。困っていそうなすみれちゃんを助けずにはいられない素直な優しさ。

もちろん、すみれちゃんがクッキーをくれたことを心のどこかで喜んでいるというのもあるのかも知れません。

そんな気持ちがある反面、やはりお金持ちのご令嬢への劣等感も見え隠れする。明美ちゃんは、クッキーをもらったことを嬉しいと思う自分の気持ちを認めたくはない。

複雑な思いを子役ながら巧みに表現出来ていたと思います。

ちょっとネタバレになりますが、明美ちゃんは成長後もしばらくはすみれちゃんに対する複雑な感情を抱き続けるようです。

否、その感情はますます複雑になってゆくかも知れません。

将来の明美ちゃんのすみれちゃんに対する思いを暗示するフラグのような二人の遭遇場面でした。

執事のチュウさん

どうでもいいことですが、チュウさんは健忘症なんでしょうか。それとも転倒すると記憶が消えるのかな。

今回、坂東家の屋敷の中で自分の名を忘れ、次に一番大切な要件を忘れる。

初回には、家に帰るすみれちゃんとともに神戸の坂道を駆け上がり、どこぞにぶつかって転倒した時も自分の居場所を忘れてましたね。「ここはどこ?」って。

前回も「悪い予感」が「悪寒」に変わり、風邪を心配するチュウさん。

こんな、ちょっと危なかったしいおじいちゃんを、よりによって坂東家の執事として使っている五十八さんに、人間の器の大きさを感じずにはいられません(笑)

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コメント

  1. まいもん より:

    こんばんは。

    リトルすみれの「何か・・・何かな・・・」を聞く度に「すみれ、頑張れ!」とエールを送っている私。

    自分の心の内を言葉でスッと表現するのは苦手みたいだけれども、非常に好感が持てます。

    麻田役の市村氏はいいですねぇ・・・

    昔、大河ドラマ「獅子の時代」で大原麗子の弟役をやっていた頃は、とてもこんな心に沁みる演技が出来るようになるとは思えませんでしたが(レンタル等で今でも観る事が出来ます)、じっくりと台詞を味わいたい役者として観続けたいと思っています。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。

      > 「何か・・・何かな・・・」

      少女時代がこんな感じだけに成長して活躍する姿は、サナギが蝶になるような感動を味わえるかも知れませんね。

  2. とん より:

    執事の忠さんのキャラがまだ分かりませんね。
    いわゆるお笑いキャラのボケだと思っていたら、日を追うごとに(これマジもん?)という疑念がw

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。

      > 執事の忠さんのキャラがまだ分かりませんね

      これまでのパターンを観察してわかったこと。転倒した時だけ言動が怪しくなりますね。

  3. よるは去った より:

    麻田「想いを込めれば伝わるもんなんです。」 今日の半分は市村正親さんの俳優としての「職人芸」を見せられた想いです。作業する手元は吹き替えはあったかも知れませんが、仕事に取り組む真剣な顔、すみれちゃんに語りかける台詞の温か味。それにしても前回のあの場面で明美ちゃんを思ってクッキーを差し出して無かったら、今回迷子になったすみれちゃんは五十八お父様の心配通り、人さらいにあっていたかも・・・・・・・明美ちゃんも渡された菓子を捨ててしまったとは言え、すみれちゃんの優しさを忘れずにいたからこそあさや靴店まで案内する気になったのでしょうし。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。

      > 明美ちゃんを思ってクッキーを差し出して無かったら・・・

      まさに情けは人のためならずですね。クッキーを地面にたたけつけたり、助けたり。明美ちゃんのすみれちゃんに対するややこしい反応は、将来の二人の関係のフラグなのでしょうか。