すみれが妊娠/紀夫出征 / べっぴんさん 第10話

連続テレビ小説(朝ドラ)『べっぴんさん』
2016年10月13日(木)放送
第2週 第10話「しあわせの形」

『べっぴんさん』第2週 第10話 あらすじと見どころ解説

すみれは女学校を卒業後、紀夫と結納をかわしました。そして迎えたすみれと紀夫の結婚式の当日。式にはすみれの親友の良子と君枝もやって来ました。良子はその時すでに15歳年上の男性と結婚し、君枝も間もなく結婚する予定でした。

坂東家に婿として入った紀夫は商船会社を辞めて坂東営業部で働くことになりました。紀夫が坂東営業部で几帳面な働きぶりを見せるその一方で、すみれは不安を募らせていました。感情を表に出さない紀夫の気持ちをすみれはつかみかねていたのです。

それから数ヶ月経った昭和18年(1943年)秋。すみれが妊娠しました。そのことを告げられ、いつもは感情を表に出さない紀夫がはじめて喜びをあらわにしました。その姿を見てすみれは紀夫の自分への愛情を確かめることが出来るのでした。

昭和19年(1944年)3月。すみれは妊娠七ヶ月。これから生まれてくる子供につける名前に考えをめぐらし幸福の絶頂にいたすみれと紀夫に試練が襲います。ある日の朝、紀夫に召集令状が届いてしまったのです。

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midokoro

『あさが来た』で、自分の感情を表に出さない白蛇はんに嫁ぐことに不安を募らせたヒロインの姉・はつと似たような気持ちを、本作ではヒロイン自身が味わいます。

しかし、すみれの妊娠がきっかけとなってその不安は解消。ところがその直後に紀夫が召集されてしまうという皮肉な展開。

また、生まれてくる子が女の子なら「さくら」にして欲しいと言う紀夫。

紀夫がこの名前を選んだのには理由がありました。結婚前、桜が舞う中を歩くすみれを見て、紀夫はすみれに恋していたのです。紀夫の本心に泣かされそうな回です。

『べっぴんさん』第2週 第10話 事前発表あらすじのレビューと史実解説

紀夫の婿入り。坂東営業部への就職。そしてすみれの妊娠。物語はテンポよく運び、すみれと紀夫の幸福の絶頂期に、紀夫は召集されてしまいます。

さて、今回も劇中名を使って史実を解説してみます。

「すみれ」は「紀夫」に嫁入りしました。「紀夫」を婿として迎えてはいません。

「すみれ」が「紀夫」と結婚したのは「紀夫」の就職直後。「紀夫」が「すみれ」の父が創業した「坂東営業部」に入社するのは、だいぶ先の話。戦後になってからのことです。

1940年(昭和15年)に結婚した「すみれ」は「紀夫」との間に長女「さくら」をもうけます。1942年(昭和17年)のことです。

結婚し子宝にも恵まれた幸福も長くは続きませんでした。

「すみれ」が長女を出産したその翌年の1943年(昭和18年)、「紀夫」は海軍の嘱託としてジャカルタに派遣されてしまいます。

ただしこの時「紀夫」は、兵士として戦地に召集されたわけではなかったようです。

『べっぴんさん』第2週 第10話 観賞後の感想

朝ドラ史上最速の物語展開?

アバンタイトルでお見合い相手の写真を初めて見せられるところから始まり、結納を交わして結婚式を催しその数ヶ月後に妊娠が判明。そして妊娠七ヶ月。

朝ドラの中での時代のスキップならよくあることです。5年や10年を一瞬でスキップさせてしまうのはよく見るおなじみの手法です。

しかし、時代だけでなくヒロインの人生の中でのとても大事なイベントの数々をここまでスキップさせたのは最速記録ではないでしょうか。

しかも、短い時間の中に登場人物の人生をギュッと凝縮しながらも情感豊かに描き出す。

ディズニーアニメやピクサーの映画の本編の前には必ずオマケのショートフィルムが上映されますが、まるでそんなショートフィルムを観るかのようでした。

ところで前作『とと姉ちゃん』が、リオ五輪開会式と重なった回を除いて、すべての回の平均視聴率が20%台だったのに対して、本作『べっぴんさん』は20%割れが生じています。

この原因についてインターネット上のニュースサイトなどでは、物語の展開が早すぎることが原因ではないかと指摘されているようです。

それも一理あるかも知れません。

ただ『マッサン』の時は物語の展開が遅すぎて視聴率を落としました。主人公がなかなかウイスキーをつくりはじめないのでシビレを切らした視聴者が脱落してしまいました。

主人公が本格的にウイスキーづくりをはじめたのは物語前半が間もなく終わろうとする頃。そして視聴率が回復しはじめたのはその後からのことでした。

この時の結果を踏まえ、すみれちゃんが子供服店を開業するまでのエピソードを大胆に省略しているのかなと、僕は考えています。

次週からは、すみれちゃんが子供服店開業の第一歩に踏み出し、時代スキップも人生上のイベントスキップもほぼなくなります。

次週で『べっぴんさん』の視聴率はどこまで回復するでしょうか。

【余談】前作『とと姉ちゃん』も、主人公がライフワークとなる出版社創業にたどり着くまでに物語全体の半分以上の時間を費やしました。

ただし『とと姉ちゃん』の場合は、出版社を創業するまでに積んだ経験がその後の編集に活かされていました。

だから出版社創業までに時間をかける必要があったのでしょう。

一方で『マッサン』の場合、ウイスキーづくりをはじめるまでの日々が、その後のウイスキーづくりにさほど活かされたわけではない。

『べっぴんさん』の場合、主人公の創業までの経験は『マッサン』よりは重要度が高そうですが『とと姉ちゃん』ほどではない。

創業までの日々を大胆に省略した描写が吉と出るか凶と出るか。判断するのは最低でも三ヶ月くらいは必要かなと思います。

白蛇はんよりは素直な紀夫くん

表情にとぼしく何を考えているのかよくわからない見合い相手。

まるで『あさが来た』のはつちゃんの許嫁・白蛇はんみたいな展開にワクワクしてしまいましたが、紀夫くんは白蛇はんよりは素直な性格でした。

前回描かれた「失恋ですか?」の失言を素直に詫びる。すみれちゃんの花嫁姿を「キレイですね」と素直に讃える。そして妻の妊娠を素直に喜ぶ。

しかし、根は素直でチャーミングな青年だとわかったその時にまさかの召集。皮肉な展開が泣かせます。

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コメント

  1. とん より:

    視聴率が低迷しているのは、展開が早すぎて感情移入する暇を与えていないせいではないでしょうかね?
    見ていなかった朝ドラの総集編を延々と見せられてる感じがします。
    僕もこのページで、見過ごしていた人物の感情などをつぶさに拾ってもらわないと
    着いていけてなかったと思います。
    感情移入するまではじっくりと描いて、そこから駆け足になってもいいのかなぁ、と。

    ところで婚礼写真を撮った時のすみれちゃん、ストロボがボンッと焚かれた時に素でビクッとしてましたねw

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。

      > 感情移入する暇を与えていない

      それはあるかも知れません。しかも登場人物がとても多いのでついてゆけなくなっている人がいるのかも知れません。

      > 素でビクッと

      メイキングでこの撮影現場が紹介されていました。ご本人も「素でビクッ」に笑い転げてました。

  2. うつ より:

    旦那さんのその後が心配だ。何故ならその年は、日本の制海権は連合国側のモノになっておりフィリピンに行くまでに潜水艦による魚雷攻撃やB25爆撃機による500Kg爆弾を水面を何度もスキップさせる要領でぶち当てる対艦攻撃方法をされるリスクがあるし、フィリピンに着いたら着いたで、フィリピンの現地住民からは軍はかなりの怨みを持たれパルチザンと化してたからねえ。具体的な理由は、フィリピン人の頬を平手で叩くとか通貨ペソを敵性通貨だという理由で禁止にしたとか。(詳しくはNHKスペシャル「ドキュメント太平洋戦争 踏みにじられた南の島-レイテ・フィリピンを参照のこと)

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。

      > 旦那さんのその後が心配だ

      ちなみにリアルのご主人は戦地への出征ではなく、帰国時も周囲の復員兵たちとは一線を画すキレイな身なりだったようですね。

  3. よるは去った より:

    時の流れが二時間ドラマ並(ひょっとしたら、それ以上)に速いけど、戦時中、終戦直後の重さは今週に凝縮して、「その後」により比重を置いていこうという製作者の意図でしょうか?朝から戦時中の重さばかり見せられるのはキツイものがあるし、ある意味正解だと思いますね。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。

      > 二時間ドラマ並に速い

      ドラマの主題とはあまり関係がない場面が延々と続いた『マッサン』前半の反省もあるのかなと思っています。