四人でお店をはじめたい / べっぴんさん 第23話

連続テレビ小説(朝ドラ)『べっぴんさん』
2016年10月28日(金)放送
第4週 第23話「四葉のクローバー」

『べっぴんさん』第4週 第23話 あらすじと見どころ解説

すみれたちが仕上げたベビードレスの出来栄えにジョンとエイミーは心から感激しました。すみれが母の形見の品を解いてドレスをつくってくれたことを知ったエイミーは、すみれの想いを娘に伝える約束します。

エイミーの喜ぶ姿に満足したすみれ、良子、君枝の三人は寂しさを噛み締めていました。一度きりの約束で手伝ったベビードレスづくりでしたが、ものをつくる喜びに目覚めた三人はドレスを一緒につくった豊かな時間のことが忘れられなくなったのです。

そんな中、すみれは明美にもあらためて感謝の気持ちを伝え、明美もすみれの気持ちを受け入れました。その数日後、君枝と良子がすみれが店を出している麻田の靴屋にやって来ました。君枝がすみれと一緒に働きたいと言い出したのです。

君枝が働くことに反対する義母の琴子に君枝は精一杯自分の想いを伝えました。すみれと働くことで自分を変えたいのだと。そのやりとりを近くで聞いていた明美、そして良子も加わり四人は一緒に店をはじめることにするのでした。

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midokoro

ジョンとエイミー夫妻からのベビードレスの注文をきっかけにして、もともと手芸好きだったすみれたちはものづくりの楽しさに目覚めました。

そして、その楽しさが忘れられなくなった四人はついに店をスタートします。

『べっぴんさん』第4週 第23話 事前発表あらすじのレビューと史実解説

史実でも四人の女性が集まってファミリアを創業しています。ところで、名もない四人の女性が創業した小さなお店が何故これほどまでに成功したのか。

そんな疑問がわいてくるかと思います。

物資不足で粗悪なものですら簡単に売れてしまう時代に、豊かになった現代にも通じる品質を追求したことも大きな成功の要因だったと思います。

しかし、四人の女性それぞれの手芸の腕前がプロ級だったこともお店の成功に大きく寄与したのではないかと思います。

四人とも裕福な良家の子女だったこともあり、手芸だけでなく絵画やデザインの分野で超一流の師匠についてその技術を習得しています。

一例を挙げると、女学校時代に神戸在住のフランス人から本場の刺繍を学び、当時の名うての洋裁家から手芸を学んでいた坂野惇子さん。

その坂野惇子さんが最初に協力を持ちかけた田村江つ子さんもまた、カネボウ初代デザイナー・田中千代さんの個人授業を受けるなどしています。

その田村江つ子さんをして「プロ」と言わしめるほどの手芸と洋裁の腕前を持った、田村江つ子さんの義姉・田村光子さん。

もう一人の創業者・村井ミヨ子さんは、女学校卒業後はあらゆる種類のお稽古ごとを次々と極め、日本国内の油彩画の巨匠・小磯良平さんの個人授業により絵画を学んだほどです。

これら四人の女性の才能が集まり、小さなお店を成功に導いたのではないかとブログ主は考えています。

『べっぴんさん』第4週 第23話 観賞後の感想

エイミーちゃんの心くばり

すみれちゃんの仕上げたベビードレスに感激するエイミーちゃんの感謝の言葉の一つひとつに優しさと相手への気づいが込められていて不覚にも涙腺を攻撃されました。

「この美しい布をどうしたの?」

異国の地にいるということ以外、何不自由なく暮らしているはずのエイミーちゃんですが、当時の日本人がどれほど苦しい暮らしを強いられているのか察しているようなすみれちゃんへの質問が優しい。

食うや食わずの日本人がこんな布を手に入れることはたやすいことではないはず。そこまでしっかり理解してくれているところが泣かせます。

そしてそれが母親の形見の品とわかった時のエイミーちゃんの言葉がまた素晴らしい。

「娘に伝えます。こんな時代に作ってくれたことを」

いいものを作ってもらえたことへの感謝だけでなく、それを作るのにどれほど苦労したのかと言うところまで心を配るエイミーちゃん。

今回で出番はもう終わりなのでしょうか。日本が豊かさを取り戻した頃に再び登場させて欲しいものです。

明美ちゃんのトラウマ

僕の中では、本作の四人の「ヒロイン」の中で主人公を除いて一番気になるキャラクターは明美ちゃんです。今回はその明美ちゃんの大きなターニングポイントになりました。

そこで明美ちゃんの心の中の今日までの移り変わりを想像しつつ、今回までの明美ちゃんの歩みをまとめてみました。

明美ちゃんの貧しいことへのコンプレックスの一番の原因は言うまでもなく戦前の坂東家で泥棒呼ばわりされた時の苦い経験でしょう。

あの時の思い出は二つの出来事でより強く明美ちゃんの心に刻み込まれたかと思います。

一つは、自分は泥棒などしないと一番分かってくれているはずのお母ちゃんが、娘の潔白を強く主張することが出来なかったこと。

明美ちゃんの言葉を借りれば明美ちゃんのお母ちゃんのマツさんはとても強い人。

こんな場面に遭遇したらそれまでは猛然と抗議して娘を守ってきたのかも知れません。しかし、雇われている身として職場でだけはそれが出来ない。

そして明美ちゃんはそのマツさんのつらい立場を子供ながらに理解したのでしょう。

理解したからこそ、自分が泥棒呼ばわりされた悔しさ以上に、自分のお母ちゃんが言いたいことも言えないそのマツさんの立場を哀れに感じたに違いない。

そんな傷だらけの明美ちゃんへのすみれちゃんの親切はタイミングが悪すぎました。

明美ちゃんにもすみれちゃんの親切心は十分にわかったはず。でも、坂東家の中で噛み締めた悔しい思いと、その坂東家の令嬢を自分の中で区別するには幼すぎました。

あの時の明美ちゃんにはすみれちゃんの行動が、親切心からと頭ではわかっていても、極論すれば自分を見下していると心が受け止めてしまったのかも知れません。

明美ちゃんの二つ目のトラウマはマツさんの解雇。

この時も明美ちゃんは坂東家に怒りを募らせていました。そして、文字通り路頭に迷うことになり親子で途方に暮れていたその時、人生の辛酸とは一切関係がないような顔をしたすみれちゃんが明美ちゃんとマツさんの目の前を通る。

あの瞬間も明美ちゃんの心に大きなダメージを与えたのではないかと思います。

さて、明美ちゃんの貧しさへのコンプレックスが心に刻みつけられる瞬間にはいつもお母ちゃん・マツさんがいました。

貧しさへのコンプレックスはまた、苦労したお母ちゃんを楽させてあげたいと言う明美ちゃんの気持ちをより強くしたものと思います。

そして、実際にお母ちゃんを楽させてあげることが出来ていたら、明美ちゃんの貧しさへのコンプレックスは随分癒されていたのではないかと思います。

しかし、明美ちゃんが看護婦になれたことで、これからお母ちゃんを楽にさせようとしていたその時にお母ちゃんが亡くなる。

お母ちゃんを喪った悲しさ。親孝行出来なかった後悔。そしてかつて母ちゃんを悲しませた貧しさへの怒り。それらが合わさって明美ちゃんのコンプレックスを根強いものにしてしまったのかと思います。

ところが今回、明美ちゃんはすみれちゃんのお礼を素直に受け入れ、すみれちゃんが明美ちゃんのために心を込めて作った写真入れに、お母ちゃんと一緒に写った写真を収めました。

お母ちゃんの悲しい思い出とともに心の中に溜まった暗い情念が、すみれちゃんの優しさに包み込まれて癒される瞬間を見たような気がしました。

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コメント

  1. まいもん より:

    明美ちゃん

    今回はこの人に泣かされました。
    手伝うと言った時、言葉では「しゃあないから手伝ったるわ」といったニュアンスでしたが、本当は手伝える、仲間に入れる事の喜びに対する照れ隠しであったのは言うに及ばずの事。
    少女時代からのコンプレックスや屈折が氷解するようなシーンを見せて貰い、思わず涙腺が・・・
    先日のすみれに対する母親の「ええよ」ではないけれど、マツさんも娘に対して「良かったね」と言っているような気がしました。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうござます。

      > 「ええよ」
      > 「良かったね」

      すみれちゃんも明美ちゃんも、すでに母親がいなかったんですね。頂戴したコメントで気付かされました。この点で似た境遇なので余計に通じるものがあるのかも知れません。

  2. もんすけ より:

    マクレガー家ですみれちゃんが作ったオシメを着けた赤ちゃんを抱っこした時、明美ちゃんが聖母のような美しく慈愛に満ちた笑顔になっていたシーンがありました。
    その笑顔から、(明美ちゃん、こどもに対して深い愛情をもっているのだなぁ)と思っていたのですが、きっと明美ちゃんのお母さんも、明美ちゃんに対して深い愛情を持って接してい、明美ちゃんもまた、その愛情を受け止めていたのだと、朝蔵さんの感想を拝見し、感じました。
    明美ちゃんの心の中の氷を溶かしたもの…。深い反省と感謝の気持ちももちろんのこと、こどものための物を作りたいという、すみれちゃんの真摯な「想い」に、自分の母親に重なるものを感じたのでしょうか。
    ふんわりお譲様の3人のお母さんとこどものいない明美ちゃん。4人とも「お母さん」ではない設定が深いなぁ~と。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうござます。

      > 明美ちゃんのお母さんも、明美ちゃんに対して深い愛情を持って接し

      明美ちゃんだけ独身ですが、母親の深い愛情をたっぷり注がれて育ったという点では共通するものがあったんですね。こんな大事な点を見落としていました。気づかせてもらえて感謝です。

  3. とん より:

    お母さんの形見で作った素晴らしいドレスに「値段はそちらでつけてほしい」って、結構キツイですよね。
    (収入高いの見越してそんなこと言ってるのか?)とか疑心暗鬼になったりして、値段つけるのプレッシャーw

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうござます。

      > 収入高いの見越して

      もしもエイミーちゃんが体調悪くてご機嫌斜めの時だったらそんな風にとられかねないですね(笑)

  4. よるは去った より:

    菅野N 「 一筋の光が・・・・・。」 これからが四人の成功や試行錯誤などの繰返しの長丁場ということですね。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうござます。

      > 四人の成功や試行錯誤

      この四人に、潔・ゆり夫妻もからんで随分にぎやかな物語になりそうです。