すみれ朝帰りに紀夫激怒 / べっぴんさん 第64話

連続テレビ小説(朝ドラ)『べっぴんさん』
2016年12月15日(木)放送
第11週 第64話「やるべきこと」

『べっぴんさん』第11週 第64話 あらすじと見どころ解説

キアリス大急支店の開店初日を翌日に迎えたある日。百貨店内の店舗のレイアウトの出来栄えに満足のゆかないすみれは、さくらを君枝と琴子に託すとレイアウトを自分の手でつくりかえることにしました。

同じ頃、坂東営業部には洋裁教室の受講申し込みのハガキが殺到。東京の松島デパートからも洋裁教室開催の要請があるその一方で、ゆりに妊娠の兆候があらわれます。しかし、その頃のゆりは潔との気持ちのすれ違いを感じはじめていました。

レイアウトづくりに夢中になり過ぎたあまり、すみれは閉店した大急百貨店から出られなくなってしまいました。すみれは止むを得ず店内で一泊することにします。翌朝、警備員に起こされたすみれはあわてて帰宅します。

一方、家に戻らぬすみれを紀夫は探し周っていました。心当たりの場所を探し尽くし、一睡もせずにすみれの帰りを待つ紀夫。翌朝、ようやく家に帰って来たすみれは、心配して待っていた紀夫に頰を打たれてしまうのでした。

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midokoro
さくらを琴子に託したすみれは時間を忘れて新たに開店するキアリス大急支店の店舗レイアウトの作り替えに没頭。

そんな事情を何も知らない紀夫が夜に帰宅するとすみれとさくらが家にはいない。

ただでさえ不慣れな仕事で大きなストレスを抱えた紀夫が怒りを爆発させてしまいます。

『べっぴんさん』第11週 第64話 事前発表あらすじのレビューと史実解説

時間を忘れて仕事に没頭するあまり、その日のうちに帰宅出来なくなり朝帰り。そのことで夫を激怒させてしまうという今回のエピソードは史実にヒントを得たものです。

ただし、リアルの朝帰り騒動はファミリアが阪急百貨店に出店する以前のことです。

いつ頃のことなのか定かではないようですが、坂野惇子さんは神戸の店じまいをすると阪急電車に乗ってファミリアの最寄駅である三宮駅から自宅のある塚口駅に向かいました。

しかし、多忙を極め疲れ切っていた坂野惇子さんは塚口駅を寝過ごしてしまい電車は終点の梅田駅を経て梅田車庫へ。

電車の車内に閉じ込めらてしまった坂野惇子さんはその電車の中でその夜を過ごし、翌朝の始発電車に乗ってようやく帰宅。

夫の坂野道夫さんを激怒させるという史実が今回のエピソードのモチーフです。

『べっぴんさん』第11週 第64話 観賞後の感想

「無いものねだり」タイプのゆりちゃん

人間には「有るもの」に意識を集中させて感謝できるタイプと「無いもの」にばかり意識を向けて不満を持つタイプの2通りがいます。

ゆりちゃんは後者のタイプ、いわゆる「無いものねだり」をしてしまうタイプなのかも知れません。

戦争が終わったばかりの頃、梅田の闇市で悶々していた頃のゆりちゃんは典型的な「無いものねだり」でした。

夫は早々に戦地から帰って来ている。しかも、物資不足で人々が困窮を極める中で夫はありとあらゆる物資を調達することが出来る。

確かに闇市の治安は悪かったけれど、夫に加えて栄輔という頼もしいボディーガードのような存在もいる。

夫が帰らないばかりか消息すらわからない。預金封鎖などのアオリを受けてその日に食べるものさえ満足に手に入れることが出来ない。当時のそんな妹の状況と比べたら恵まれ過ぎと言い切っても差し支えないレベルでした。

にも関わらず、夫からは仕事の面で頼ってはもらえない。その仕事も粗悪品ばかり扱い、戦前に自分が夢見た坂東営業部の仕事はほど遠い。当時のゆりちゃんの関心事は「無いもの」ばかりで「有るもの」にはまったく関心を示してはいませんでした。

そしてその「無いものねだり」のクセが今回再びあらわれはじめました。

夫が惚れている自分は「仕事をしている自分」で「ありのままの自分」ではない。そんな不満をゆりちゃんは口にしましたが、これもすみれちゃんたちキアリスの面々と比べたら「無いものねだり」です。

すみれちゃんも君枝ちゃんも、そして良子ちゃんも、大急百貨店の成功によってやっとそれぞれの夫たちから一目置かれるようになったものの、それまで夫たちは自分の妻の仕事に対しては懐疑的でした。

そんなキアリスの三人の既婚女性からすれば、仕事によって自分を認めてくれる潔くんのような夫はこれ以上望めないほどの理想の夫かと。

そろそろ自分の「有るもの」に気持ちをフォーカスし、素直に感謝が出来る大人になってほしい。そんな「無いものねだり」の感想をゆりちゃんに対して持ちました。

『ごちそうさん』64回との共通点

本日放送された『べっぴんさん』64回の直前に再放送された『ごちそうさん』64回も「無いものねだり」がテーマの一つでした。

『ごちそうさん』64回

自死の道を選ぼうとした和枝姉さんに希子ちゃんが言います。

我が身の不幸を嘆くことに夢中になるあまり、和枝姉さんは我が身の幸福にまったく気がついてはいない。

行方をくらました和枝姉さんを、家族はもちろん倉田はんやうま介の面々までもが必死になって探してくれたその和枝姉さんへの心づかいを、幸福だと思わないのかと。

『べっぴんさん』と『ごちそうさん』の二つの「無いものねだり」の姿を見て、我が身の幸不幸は自分で決めることが出来るのだと悟った朝でした。

余談ですが、64回目の『べっぴんさん』と『ごちそうさん』の二作品の間には以下の二つの共通点が・・・

【妊娠判明】ゆりちゃんの妊娠が暗示され、め以子も妊娠が判明する
【平手打ち】すみれちゃんが紀夫くんに頬を打たれ、正蔵さんが和枝姉さんの頬を打つ

追記:はるか師匠が大阪作品三連続出演!

『マッサン』『あさが来た』に次いで、はるか師匠がまたしても登場してくれたのには感激しました。

しかし今回はカメラマンではないんですね。髪芸だけはしっかりと見せてくれましたが。

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10 Responses to “すみれ朝帰りに紀夫激怒 / べっぴんさん 第64話”

  1. きゅうぽん より:

    私も、当時の殿方はそうだったんでしょうが、
    あれだけ昨日は夫婦協力して、キヨさんのいない生活を頑張っていたのに…今日は明日オープンだから、さくらは君ちゃんのところに預けますとか、申し送りなかったの?と思います。
    帰ったら家が真っ暗だけで、自分を置いて出ていったみたいな
    キレっぷり…、んな訳ないやん!
    その必死さにちょっと私も引きました(^_^;)
    紀夫くん、ミシンの事もイマイチだったので、明日キアリスが新店舗オープンと知らないわけでもないのに…上の空???
    人前では偉そうなこと出来ないくせに、いないと「おい!」と叫ぶ…、典型的な内弁慶ですね(^_^;)

    謝っているのに、口より先に手が出てしまった…紀夫くん。
    本当は「どんだけ心配したことか!」と言いたかったのでしょうが…自分が色々潔君らから追い詰められたように、はけ口をすみれに重ねて怒りをぶつけてしまったのでしょう。多分、母親なのに子供をみてないのか!見ていないのなら仕事をするな!とも言いたくなったと思います…。

    ゆりちゃんの気もち切ないですね。↑のような紀夫くんの愛し方もそうですが、愛されていると感じ方…潔くんとのズレ…本当なら、子供が出来た良かった。でも仕事続けていい?になるのでしょうが…せっかく、さくらでなく、自分と潔の子を宿したのに愛の形に囚われて苦しんでいる様子、切ないです。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。

      > 自分を置いて出ていったみたいなキレっぷり

      紀夫くんが真っ暗な家に帰ってきたその瞬間。あの時はいくら厳格な明治の男でもキレる前に心配するんじゃないかと思います。すみれちゃんが深夜帰宅を繰り返しているのならともなく、このような反応の描き方はちょっと無理があったかなと思います。

  2. キヨコ より:

    朝蔵さんご無沙汰しておりました。

    ゆりさん。
    幼い頃から望んでいた生き方がやっと軌道に乗ったところに、我が身の変調に気付く。
    行き詰まった時、必ず立ち寄っていた喜代さんも床に伏せ、もやもやした想いを何処にぶつけたらいいのか。
    「この上ない幸せ」の言葉に、ゆりさんは何を思うのか。
    潔さんとは、「人生の同志」として共に生涯を歩む決意をしたけれど、
    新しい命を迎え、これから自分はどうあるべきなのか。
    女性なら一度は立ち止まって見つめ直すところではないでしょうか。

    今日のラスト。
    BGMもなく、表情だけでの演出に怖さを憶えました。
    朝蔵さんも仰ってましたが、今作は敢えて音を無くしての表現が多いですね。
    口数の少ないヒロイン夫婦そのものと言うと大袈裟かしら。

    朝は家族を送り出すのでどうしてもバタバタしてしまいますが、この15分は静かに、静かーに時が流れています。
    はなさんのナレーションも、心の深みにしっとり染み入ります。

    はるか師匠、今作もご登場!髪芸までお見事!

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。

      > 新しい命を迎え、これから自分はどうあるべきなのか

      ゆりちゃん、今日の時点では自分のお腹の中に新しい命が宿っていることを認識していませんが、身体がそれを認識し知らず知らずのうちに心もそれに反応し始めているのかも知れませんね。

  3. まいまい より:

    いつも楽しく読ませていただいています。

    今回の感想を一言で言うと「紀夫君、そりゃないわ~」です。笑
    引っかかったポイントは二つ。

    家族の誰もいない家に帰った紀夫君が「おい!」と大声を発しながら、すみれを呼ぶ点。
    我が家でこんな発言があったら、即刻夫婦喧嘩勃発ですが、上から目線な紀夫君の発言に「ないわ~」

    もう一つは、朝帰りしたすみれが、紀夫君に対して「ごめんなさい」と開口一番に誤っているにもかかわらず、平手打ち。
    すみれが反省の色も示さず、けろっとしているなら平手打ちも分かるけれど、謝っている相手に手を出すのは、叱るのではなく、怒る行動だと思い「ないわ~」

    紀夫君の不器用さ、そして、一晩、すみれを心配し続けた気持ちも分かりますが、五十八さんが言っていた「紀夫君は思いやりのある男」という評価とのギャップを感じてしまいました。

    せめて、どうしてこんな時間に帰ってくることになったのか、すみれに話させてあげられないのか、お嬢様のすみれちゃんは、親にもぶたれたことがないはずなのに・・・と感情移入してしまいました。

    もちろん、紀夫君の感情を表現する演出だということは分かっています ^^

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。

      > 紀夫君、そりゃないわ~

      紀夫くんの実在モデルの方は当時は決して珍しくなかった厳格な明治の男だったようです。終戦直後、どれほど貧しくても身内の施しを徹底して拒むほどの。そんな男性として描かれていれば今回の紀夫くんの行動も少しは自然に見えていたのかもです。いい悪いは別にして当時の男性はこんなタイプが多かったですからね。

  4. のよ より:

    大変ごぶさたしておりましたが、ずっと、楽しく拝見させていただいております。

    久しぶりすぎるコメントで、本編とは関係ないことを書き恐縮なのですが、大急百貨店の警備員さん! あの、特徴のあるヘアスタイルの方は、以前にも、ごちそうさん? あさが来た? どの朝ドラだったか覚えていないのですが、カメラマン役で出ていましたよね(^-^;
    朝ドラによくある、小ネタの一つで、好きなんですが、あの俳優(?)さんはどなたなのでしょうか? 朝蔵さま、ご存じでいらっしゃいますか?

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。ご無沙汰しております。

      > 特徴のあるヘアスタイルの方

      『マッサン』『あさが来た』で、両作とも家族社員を撮影するカメラマンとして登場されてましたよ。この方の名は海原はるかさんです。

  5. よるは去った より:

    警備員「よろしいな・・・・・よろしいな。」 警備会社が日本に普及し出すのは昭和39年の東京オリンピック以降と聞いたけどあの警備員のおじさんは直接大急百貨店に雇われている人かな?紀夫君の怒りも家族を愛すればこそだろうけど。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。

      > 紀夫君の怒り

      リアルでも、同様の状況でご夫君を激怒させてしまったようですが「夫の深い愛情」と認識されたそうです。

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