すみれの引き継ぎ始まる / べっぴんさん 第67話

連続テレビ小説(朝ドラ)『べっぴんさん』
2016年12月19日(月)放送
第12週 第67話「やさしい贈りもの」

『べっぴんさん』第12週 第67話 あらすじと見どころ解説

すみれがキアリスを辞め、主婦として家族をささえてゆく決意を固めました。君枝、良子、そして明美の三人は本音ではすみれに辞めて欲しくないものの、すみれの気持ちを尊重し、すみれの決意を受け入れることにしました。

ほどなくしてすみれは仲間たちへの引き継ぎを開始。そんな中、すみれは提案しました。これまでベビー相談室で明美が伝えてきた子育ての知恵の数々を一冊の冊子にまとめて店頭で配ってみてはどうかと。

そんな中、ゆりの妊娠を知らせにゆりと潔がすみれのもとにやって来ました。生まれて来る子供が男の子なら将来は坂東営業部の後継ぎにしたいと潔は考えていました。しかし、その潔の考えに対してゆりは違和感を感じます。

子育てについての明美の知恵をすみれは原稿にまとめあげました。すみれにとって最後の仕事となるその冊子をすみれは『キアリスガイド』と命名。完成した原稿を明美たちに託したすみれはキアリスを去って行くのでした。

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midokoro

前週の最後にキアリスを辞めて主婦業に専念したいと宣言をしたすみれ。キアリスの面々に衝撃が走ったところから今週の物語がスタートです。

ところで史実ではこうしたエピソードはあったのでしょうか。以下にまとめてみました。

『べっぴんさん』第12週 第67話 事前発表あらすじのレビューと史実解説

すみれがキアリスを辞めると決意を固めるエピソード。これは朝ドラ『べっぴんさん』の創作ストーリーで史実にはありません。

すみれの実在モデルの坂野惇子さんがファミリアの第一線から身を引いたのは最晩年の平成10年(1998年)、80歳の時のこと。

この年、坂野惇子さんは会長職を辞任し名誉会長に就任しました。

しかし名誉職になった後も坂野惇子さんは、毎日ではないまでも会社に通うことをやめなかったと伝えられています。

一方で、今回の劇中に登場する子育てに関する冊子『キアリスガイド』の発行は実際に行われています。

ファミリアが「阪急ファミリアグループ」として阪急百貨店内に支店を出したのが昭和26年(1951年)4月のことでした。

翌年、昭和27年(1952年)にファミリアは阪急百貨店で「阪急ファミリアグループ子供ショー」を開催。

そのイベント会場にてファミリアは『ファミリア・ガイド』と名付けられた冊子を入場者に無料で配布しました。

妊娠、出産、そして育児に関する情報を掲載したこの冊子が、今回描かれるエピソードのモチーフになっているものと思われます。

『べっぴんさん』第12週 第67話 観賞後の感想

「男やったらわしと一緒に坂東営業部を継いでもらう」ことへの違和感

ゆりちゃんと潔くんの心のすれ違いが前週よりもさらに鮮明になりました。

潔くんの今の生活のすべては坂東営業部に捧げられていると言っても過言ではありません。そしてそんな潔くんの生き様にゆりちゃんも全く疑問を感じてはいませんでした。

自分が妊娠するまでは。

ところで、かなり昔に観た映画の中のあるセリフが今も鮮明に記憶が残っています。その映画のタイトルは忘れてしまったもののどういうわけだかそのセリフだけが忘れられません。

自分の妊娠を察した女性キャラが言ったセリフです。

「生まれてはじめて自分よりも大切な存在が出来た」

ゆりちゃんの今の心境がこれに当たるのかなと思います。

しばらく前までは、ゆりちゃんも潔くんも自分が一番大切でした。そして仕事とは一番大切な自分が大好きなことでした。

だから、仕事はすべてに優先されることでした。

ところが、妊娠という身体の変化はゆりちゃんの心境までも変化させたようです。ゆりちゃんが妊娠を自覚する前、自分でも気づかぬ心境の変化のせいでモヤモヤしていたゆりちゃんの気持ちを言葉に表すならこんなところでしょうか。

自分より大切な存在がどこかにいるのかも知れない。

その気持ちが妊娠判明でより強くなればなるほど際立ってくるある演出。

ゆりちゃんと潔くんが住んでいる家を過去に一度も登場させていないという徹底した演出がここにきて活きて来ました。

『べっぴんさん』劇中で、既婚の主要キャラはすべて住んでいる家と家庭の様子が描かれている中、ゆり・潔夫妻はこれまで一度も二人の家が登場していません。

ちなみにゆりちゃんが一人の時だけはゆりちゃんの住まいが描かれていました。

独身時代の戦前の坂東家の屋敷。戦時中に疎開していた近江の坂東本家。そして、戦後に一時期身を寄せていたすみれちゃんの家。

ところが潔くんが一緒の時は徹底して二人の家の存在が消し去られる。

二人の結婚直後の暮らしの描写は一切なく、潔くんが戦地から戻るや二人の住居は梅田の闇市の中。しかしそこは店舗で生活臭は一切ない。

坂東営業部の事務所を開設後、ゆりちゃんと潔くんは闇市の仮住まいを終えてどこかに家を借りたか買ったに違いありません。

しかしそんな私生活は一切画面には登場せず、二人がいるのは事務所ばかり。

ゆりちゃんも仕事に没頭していた頃は、そのことに何の違和感を感じず観ることが出来ていました。

むしろ、仕事に没頭するゆりちゃん・潔くんの家庭の中の描写があったほうが違和感を感じていたような気もします。

さて、ゆりちゃんが妊娠し、ゆりちゃんの中では自分よりも大切な存在が出来ました。しかし目の前にある環境は相変わらず仕事がすべてです。

しかも、生まれて来る子供に坂東営業部を継がせたいと潔くんは考える。

そんな潔くんにゆりちゃんは違和感をあからさまにしていましたが、この時のゆりちゃんはもしかするとこんな場面を想像していたのかも知れません。

家庭の中ではなく坂東営業部で子育てし、やがて坂東営業部がすべての子どもが育つ。

ゆりちゃんが子育てする家庭環境が劇中で描かれる時が、ゆりちゃんと潔くんの気持ちのすれ違いが解消される時となりそうです。

すみれちゃんの軌道修正

すみれちゃんもゆりちゃんに負けず劣らず仕事が好きでした。

しかしすみれちゃんがゆりちゃんみたいな苦悩の淵に落ち入らなかったのは、仕事は自分よりも大切な存在=さくらちゃんを守るためだったからなのでしょう。

ところが仕事の目的がいつの間にか変わっていました。

すみれちゃんの軌道修正、ゆりちゃんの悲願の家庭。

落としどころが気になります。

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コメント

  1. もんすけ より:

    明美ちゃんの、珠玉の言葉と知識を集めた「キアリスガイド」をめぐり、一人でも多くの赤ちゃんがこの冊子で救われることを胸に、広く大きな目線から物事を捉えているすみれちゃん。
    今、何が一番大切なものなのかを、子供を授かったことで深く深く、思考を巡らせることができるようになったゆりちゃん。
    「赤ちゃん」をキーワードに成長していく二人。そんな二人を見守っていたい…。
    ナレーションの母・はなさんの気持ちになったような週明けでした。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。

      > 「赤ちゃん」をキーワードに成長していく二人

      昔から子供が親を育てると言いますが、赤ちゃんに育てられるすみれちゃんとゆりちゃんを応援せずにはいられません。

  2. よるは去った より:

    すみれちゃんが仕事をやめると聞いたときのさくらちゃんの満面の笑みはとても可愛かったけど、一方で紀夫「ほんとにええのか?」も何となく気持ちがわかるような。あの時頬を打ってしまったとはいえ、いやつい打ってしまったからこそ逆に妙な引っ掛かりがあるのかな?

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。

      > 紀夫「ほんとにええのか?」

      かなり深く悔やんでそうですね。その後悔が好転するといいのですが。