潔と紀夫それぞれの決意 / べっぴんさん 第71話

連続テレビ小説(朝ドラ)『べっぴんさん』
2016年12月23日(金)放送
第12週 第71話「やさしい贈りもの」

『べっぴんさん』第12週 第71話 あらすじと見どころ解説

家出をしたゆりを迎えに行くため近江の坂東本家までやって来た潔は、その夜中に夢の中で父の正蔵と再会しました。その時の正蔵の様子は潔を驚かせました。正蔵は坂東営業部のことは一切口に出さず、ただただ自分に孫が出来たことを喜んでいたのです。

朝、目を覚ました潔は正蔵と再会したことを五十八とゆりに告げました。そんな潔に五十八は問いかけます。潔にとっての幸福とは何なのだと。潔は答えました。自分はゆりと家庭を築きたい。そのためにも家を建てようと。

潔の宣言にゆりは涙ながらに応えました。今は仕事以上に大事なものが出来た。これからはお腹の中の子供をしっかりと育てることに専念するつもりだと。洋裁教室も軌道に乗ったので仕事はこれで十分だと考えるゆりは仕事をやめると宣言します。

一方、紀夫も家庭と仕事の考え方が変わり始めていました。原稿執筆やクリスマスアイテムづくりに没頭するすみれの姿に心を動かされた紀夫は、ある決意を固めるとそのことを告げに坂東本家の五十八のもとに足を運ぶのでした。

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midokoro

潔と紀夫。坂東家姉妹それぞれの夫たちの家庭と仕事をめぐる心境の変化が並行して描かれます。

一度は専業主婦になったすみれが職場復帰する契機となる今回は、『べっぴんさん』後編で描かれるキアリス快進撃のフラグとなる重要な回になるかと思います。

『べっぴんさん』第12週 第71話 事前発表あらすじのレビューと史実解説

戦地からの帰還した頃、すみれが働くことに懐疑的だった紀夫は時を経るに従い次第にすみれが働くことに理解を示してきてはいました。

しかし、もともとすみれが働くことに猛反対していた訳でもない紀夫は、その曖昧な態度ゆ えにすみれが商売を持つことに一定の理解を示しつつもどこか煮え切らない態度が見え隠れすることがブログ主は気になっていました。

そんな紀夫が、すみれが働くことに対して間も無く明確な意思表示をするようです。

これから表示することになる「意思」が固まる瞬間が描かれるのが今回あたりになるのでしょうか。自らの心境の変化と新たなる決意を告げるべく、紀夫は五十八を訪問します。

ところで、五十八の願いは坂東家の家督を紀夫に譲り、坂東営業部の事業をも紀夫に承継させることのはずです。

ともすれば五十八の願いに反しかねない紀夫の決意。

紀夫の宣言に五十八はどう応じるのか。五十八の反応に対して紀夫は何を語るのか。今回はもしかすると『べっぴんさん』前編の最大の見せ場となるかも知れません。

『べっぴんさん』第12週 第71話 観賞後の感想

「わしはゆりとちゃんと家族になりたい」

夢に出て来た正蔵さんが潔くんに何を語り、どのような言葉で潔くんの改心をうながしたのか。待ちに待っていた正蔵さんの「言葉」はこの手があったかと思わず膝を打ちました。

自分に孫が出来たと喜びを抑えきれず笑いが止まらない正蔵さんの姿は、潔くんの考え方を改めるには千万言を費やすよりも説得力のあるものでした。

否。むしろ言葉による説得ではなかったことが潔くんの心に刺さったのかも知れません。

潔くんは既に麻田さんと五十八さんから自分のために自分の人生を生きよと言葉によって説得されていました。

だから潔くんは自分の価値観がひっくり返る直前まで来ていたのでしょう。

もしここで正蔵さんまでもが言葉による説得を試みていたら、潔くんの気持ちは言葉そのものに向いてしまっていたような気がします。

麻田さんや五十八さんと同じことを親父は言った。これはどういう意味だろうみたいに。

しかしここで言葉を使わなかったことで、麻田さんや五十八さんが口にした言葉の意味までをも一瞬にして悟ることが出来ました。

とても良く出来たパラダイムシフトの瞬間だったと思います。

そして、ずっと気になっていたゆりちゃんと潔くんの「家」のフラグがついに立つ。

「ゆり、家を建てよう。わしらの家や」

結婚以来、二人の生活空間が一切描かれなかったのはこの時のためだったのでしょう。いつも事務所か他人の家にしかいたことがないゆりちゃんと潔くんでしたが、

「わしはゆりとちゃんと家族になりたい」

という潔くんの宣言により、ようやく家の中でのゆりちゃんと潔くんの姿が披露されることになりそうです。

「それ以上に大事なものが出来たから」

独身の頃は仕事一筋のような人生を志向しながらも、妊娠によって心境の変化を体験したゆりちゃんの「もう仕事はいいと思ってる」発言を聞き、過去数作品の朝ドラヒロインたちの人生の選択を思い出しました。

『あさが来た』のあさちゃんは出産後、一時は育児に専念したもののある時期から育児は姑のよのさんに任せきりにして事業に奔走。娘の千代ちゃんの成長後に「ギンコ、タンコ、ギンコ、タンコ(銀行、炭鉱)」と揶揄されるほどに。

『まれ』のまれちゃんは、本作で描かれているゆりちゃんとどこか共通しているところがあるような気がします。結婚を機に夫を支えるために夢を放棄し、その後に再び蘇った夢もまた育児よりも優先させることが出来ない。

『とと姉ちゃん』の常子ちゃんは、そもそも結婚という選択肢を捨て去りました。その選択肢をめぐっては幾度か葛藤する場面が描かれたもののいつもその選択肢は捨て、その捨てっぷりはパートナーの花山さんを後悔させるほどでした。

その点で『ごちそうさん』のめ以子は専業主婦業の道を極めた女性ゆえに、仕事と家庭という選択に迷う必要がなかったことは幸福でした。

ところでゆりちゃんはヒロインではありませんが、仕事と家庭の選択というハードルを乗り越えた今後、その生き様はヒロインのすみれちゃんにどのような影響を与えてゆくのでしょうか。

「申し訳ありません、坂東営業部を辞めさせてください」

紀夫くんの決意に満ちた強い眼差し。これほど強い彼の眼力を見るのは間違いなく本作始まって以来のこと。

ところで、紀夫くんは経理が好きです。経理が好きというよりは、彼の性格ゆえに経理などの間接業務しか仕事の選択肢がないと言った方がいいのかも知れません。

ちょっとネタバレになりますが、紀夫くんがキアリスの経理を一手に引き受ける展開がこの先で待っています。

実は僕は、洋裁教室の司会みたいな仕事をやらされるよりはキアリスの経理の方が気が楽!くらいの気持ちでキアリスへの移籍を決めのだろうくらいに考えてました。

しかしこの思い違いを紀夫くんに謝らなければならなくなりそうです。

今回描かれた、夕闇の中でキアリスの外観を愛おしそうに眺める紀夫くんの姿に思わず涙腺が崩壊しかかりました。

紀夫くんはキアリスの店舗そのものでなく、そこに込められたすみれちゃんの愛情を思っていたのでしょう。そしてそのすみれちゃんの夢を助けるのが自分の生きる道なのだと。

そんな覚悟が伝わってくるような決意に満ちた紀夫くんの眼差し。ついに彼にもスイッチが入ったようです。

「申し訳ありません、坂東営業部を辞めさせてください」

この言葉の後、紀夫くんは五十八さんにどんな言葉を発するのでしょうか。

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コメント

  1. ゆき より:

    すみれちゃんの朝帰りは携帯電話の無い時代だから仕方のないことだと思うけど、心配かけるのはよく無かったと思うんです。けど旦那もいきなり叩くのはよくなかったと思うんですよね。母曰く夫婦だから仕方無いそうですが…未婚の私から見たらいきなり叩くの?え?って思ったんですよね…今回で旦那の気持ちの整理付いたようで良かったです。ゆりちゃんの方もまとまって良かったです。ゆりちゃんも私の話最後まで聞いてくれないの?聞いてくれないんだもういいよからの家出…だったんかなと解釈してます。お父さんが夢枕に立ってくれたから話が纏まったんだなって思いました。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。

      > 今回で旦那の気持ちの整理

      すみれちゃんと紀夫くん。戦争が終わってから今日までいろんなことがありました。でも、やっと落ち着くところに落ち着いた。そんな気がします。

  2. FYL より:

    一月放送分から栄輔さん再登場のようですね(*^^*)

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。

      > 栄輔さん再登場

      嬉しいです!彼の再登場はあるだろうなとは思っていましたが予想よりもずっと早い再登場となりました。

  3. よるは去った より:

    正蔵「わしに孫が出来るらしいややないか・・・・・。」潔「そや。」正蔵「孫か・・・・。」只々手放しで笑う夢の中の正蔵父さん。その意味がわかるのにちょっと時間がかかったなあ。その心は、潔「坂東営業部の『ば』の字も無しに・・・・・。」だったということに気づくのに。紀夫「ご相談があります。」あの一杯のシナモンティーが「キアリス」の原点に触れさせてくれたってところかな?

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。

      > 孫か・・・・

      正蔵さんがこれほどまでに喜ぶとは!
      潔くんも驚いていましたが、僕もかなり驚きました。