NHK連続テレビ小説(朝ドラ)『べっぴんさん』
2017年1月30日 〜 2月4日放送
第18週「守るべきもの」
『べっぴんさん』第18週「守るべきもの」あらすじ
昭和35年(1960年)7月。これまでキアリスの商品の生地をつくり続けて来た工場から、すみれ宛てに廃業したことを知らせる手紙が届きました。すみれは早速、その工場と古くから付き合いのあった五十八とともに手紙の主のもとに足を運びました。
工場が廃業を決めた理由はすみれを心の底から驚かせるものでした。その工場を栄輔が買収していたのです。その工場でつくった生地がなければ困るすみれは栄輔に協力を求めるものの、すみれの頼みを栄輔は一蹴しました。
一方、五月が行方不明になりました。ほどなくして五月の居どころはすぐにわかりました。すみれと明美は五月を訪問。すみれたちは五月から思いがけない事実を聞かされます。五月は二郎の子供を妊娠していたのです。
住む場所がない五月の身重の身体を案じたすみれは、五月を自分の家に住まわせることにしました。一方、五月が二郎の子供を妊娠したという事実を耳にしたさくらは、ショックを受けて身を寄せていたゆりの家から姿を消してしまうのでした。
『べっぴんさん』第18週 各回あらすじとレビュー
第98話 1月30日(月) キアリスの生地工場廃業
第99話 1月31日(火) 栄輔がメリヤス工場買収
第100話 2月1日(水) 工場探しを続けるすみれ
第101話 2月2日(木) 潔に接触する栄輔と玉井
第102話 2月3日(金) 五月が二郎の子供を妊娠
第103話 2月4日(土) 五月の妊娠を知るさくら
『べっぴんさん』第18週 事前発表あらすじレビューと歴史・時代背景の解説
今週の時代背景となる昭和35年(1960年)。この年に成立した池田勇人内閣は「国民所得倍増計画」を発表。消費財を輸入するための外貨もこの年に割り当てが開始。そのような追い風の中、ファミリアが急成長を遂げはじめた年が今週の舞台です。
第18週のレビューと見どころ
潔ひきいるオライオンに対して手強いライバルとしてその姿を再び表した栄輔はまた、すみれに対してすらも甘い顔を見せようとはしません。
かつて自分を拾い上げてくれた恩人とも言うべき潔を敵にまわし、結婚さえも真剣に考えたすみれからの協力もキッパリと拒む栄輔。
逆に闇市では敵対していたはずの玉井と組んで商売をすすめる栄輔。
梅田の闇市を去ってからの栄輔に一体何があったのか。栄輔の過去と心の闇が描かれるのはまだ先のことになりそうです。
歴史・時代背景
昭和35年(1960年)ファミリア
昭和39年(1964年)まで消費財の輸入は厳しい規制がかけられていました。規制をかけた理由は当時まだ乏しかった外貨を節約するためです。
当時、外貨は一部の限られた企業にしか割り当てられておらず、ファミリアには割り当てられる外貨はありませんでした。
そんな中、ファミリアがベビー用品を輸入出来ていたのは明治屋の外貨割り当て枠を使わせてもらう形で明治屋経由で輸入を行なっていたからです。
今週の物語の舞台となる昭和35年(1960年)。
紀夫の実在モデル・坂野通夫氏の尽力によりファミリアはついに外貨割当の獲得に成功。明治屋を通さない直輸入が可能となったのがこの年のことです。
昭和35年(1960年)ヴァンヂャケット
昭和26年(1951年)に創業したヴァンヂャケットは、創業翌年には阪急百貨店への出店に成功。昭和30年(1955年)には東京進出も果たしています。
東京進出の二年後となる昭和32年(1957年)には銀座松屋に出店。
ヴァンヂャケットのシンボルとも言えるアイビー・モデルを既製服として発表し、大流行のきっかけをつくったのがこの年、昭和35年(1960年)です。
ところで、昭和39年(1964年)に開催された東京オリンピックの日本代表選手団が着用した真っ赤なブレザーをデザインしたのは、ヴァンヂャケットの創業者・石津謙介と長年信じられていました。
しかし、近年の調査でそのブレザーのデザインを手がけたのは東京神田で洋服店を営んでいた望月靖之氏であることが明らかになっています。
『べっぴんさん』第18週 一週間のエピソード観賞後の感想
第16週から今週まで三週にわたって展開し続けているさくらちゃんの非行シリーズ。
非行シリーズの初週となった第16週の段階ではすみれちゃんにも非はありました。仕事を忙しいことを理由に娘のことを理解しようともしない。
そして、さくらちゃんも最早幼いわけではない。きちんと事情を説明すれば仕事が忙しくてさくらちゃんと過ごす時間がとれないことを理解出来たはずです。
しかし、すみれちゃんはそれを怠った。しかも自分が何を怠っているかも気づかずに自分だけは正しいと信じ込んでいました。
第17週に入って、すみれちゃんもようやく学びはじめました。
自分の価値観だけが正しいと信じて生きて来た限界を。人にはそれぞれ大事にしていることがあり、その大事なことは人によってまるで違うのだと。
自分は正しく娘は間違っている。そんな決めつけを反省したのが第17週でした。
そして今週。第18週。
すみれちゃんとさくらちゃんの間に生じた亀裂の原因は、意思の疎通不足であることにすみれちゃんはようやく気がつきました。
それに気がついたきっかけはメリヤス工場の廃業騒動でした。
メリヤス工場が実は経営難に陥り食うや食わずに状態にまで追い詰められていたこと。先代の社長が入退院を繰り返し苦しんでいたこと。
メリヤス工場は一番大事な取引先であったにもかかわらず、メリヤス工場の関係者とは分かり合えているという思い込みや油断から、メリヤス工場の窮状をすみれちゃんはまったく気がつかずに今日まで来ました。
このすみれちゃんとメリヤス工場の関係は、すみれちゃんとさくらちゃんの関係にそっくりです。
ここまで、すみれちゃんは成長を続けてきましたが、一方のさくらちゃんは止まったままです。次週あたり、さくらちゃんの成長を見ることが出来るのでしょうか。
コメント
初めまして。ひょんなきっかけでこちらのサイトを知りました。
ずっと「ROM」しておりましたが…とうとう黙っていられなくなった次第です。^^;
栄輔がすみれに対してこれほどの「仕打ち」に出るのは何故に??
ひょっとして「自分は最早、「傘のような男」でありたくない」という気持ちもあるのでしょうか…?
ところで。
些か唐突かもしれませんが…以前の朝ドラ『ちりとてちん』の「ブラックA子」の事をふと思い出しました。
詳細までは覚えていないのですが…A子=清海ちゃんが東京から小浜に帰郷してドラマに再登場した時、人が変わってしまったかのようなキャラクターだったように記憶しています。
もしかしたら栄輔も、この時点では「ブラック栄輔」なのかもしれませんね。
『ちりとてちん』のA子ちゃんも、最終的には「ブラック」から脱却して落ち着く所に落ち着いたように記憶しています。
栄輔も、そうであって欲しいですね。(もっとも未だ放送さえされていないので現時点では何とも言えないのですけれど^^;)
長文失礼しました。
初コメント頂戴しありがとうございます。
> ブラックA子
今の栄輔はまさにこれですね!
ほがらかだったA子ちゃんは深い挫折を経験することで人が変わったようになってしまいましたが、今の栄輔くんはあの時のA子ちゃんにそっくりです。
時間はかかりましたがA子ちゃんは心の再生を果たしました。栄輔くんにもそんな展開が準備されていると確信を持つことが出来ました。
五月と二郎…当たってしまいました…。
というか、英輔はなぜ執拗にそこまでするのか。玉井と組むのもわかりますが…
●単純にサクラ達と家族になれると約束したのに、紀夫が帰ってきて裏切られたと思ったのか(割り切れるかは別ですが、復員してくるかもと分かっていたはず)
●拾ってくれて潔に恩はあるはず。でも、なぜ?
すみれと夫婦になれなかった、職も失った、そのオライオンやキアリスがどんどん繁盛していくのに自分は…という復讐から?
●失恋の痛手をずっと引きずってなら、すごい未練たらたら、ヘタレ男だし、かつて愛した人を苦しめるまでするのには何があった?
夫が帰ってくるまでの場繋ぎだったのか!オレは!というので、ずっと来ていたのなら、原動力とはいえ、逆ギレだし、思い違いだし(思わせぶりは悪いけれど…すみれには悪気はないだろうけど)怖いし、そんな単純?な脚本なのか…すごく気になります!
コメントありがとうございます。
> 英輔はなぜ執拗に
すみれへの失恋が原因。そんなめめしい理由であって欲しくないので予想からこの仮説はあえて外しました。しかし、もしこれだったら・・・