五月の妊娠を知るさくら / べっぴんさん 第103話

連続テレビ小説(朝ドラ)『べっぴんさん』
2017年2月4日(土)放送
第18週 第103話「守るべきもの」

『べっぴんさん』第18週 第103話 あらすじと見どころ解説

五月が二郎の子供をお腹に宿している事実を告げられ、ショックを受けたさくらはゆりの家に帰ると部屋に閉じこもってしまいました。一方、すみれの家に身を寄せる五月は喜代から大事に扱われ笑顔を取り戻しつつありました。

そんな中、健太郎が、さくらが心ひそかに考えていることをすみれに伝えました。さくらは高校をやめて東京に行くつもりでいるだ。プロのドラマーを目指すためこれから東京に向かう二郎について行くつもりだと。

健太郎の話を聞かされすみれが驚いている中、さくらがゆりの家から姿をくらましてしまいました。さくらがいなくなったとの知らせを受けたすみれと紀夫は、早速、ジャズ喫茶ヨーソローに足を駆けつけます。

案の定、さくらはヨーソローにいました。すみれは、さくらの東京行きを思いとどまらそうと必死の説得を試みます。二郎とさくらが発ってしまったら五月はどうなってしまうのか。五月のことを二郎に伝えたのかと。

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midokoro

五月が妊娠。その相手は二郎でした。この事実によってさくらの失恋は確定。さくらの初恋は強い痛みを伴う終わりを迎えます。

一方、さくらがゆりの家に身を寄せている間に、さくらからすれば恋敵となる五月がすみれの家に住み始めることになりました。

『べっぴんさん』第18週 第103話 事前発表あらすじのレビューと史実解説

さくらが衝撃の事実を知ってしまいます。お嬢様育ちの高校生の女の子にはこの現実はあまりにも残酷です。

ゆりの家に身を寄せていたさくらはショックのあまり姿を消し、向かった先はジャズ喫茶ヨーソロー。

さくらがいなくなったという知らせを受けてすみれと紀夫の向かった先もジャズ喫茶ヨーソロー。

絶縁していた親子が娘の傷心によって再び顔を合わせることになる。そしてそこにはジャズ喫茶ヨーソローのママ・すずがいる。

すずが、傷心のさくらと絶縁した親子を癒してくれるのでしょうか。

すみれ、さくら、紀夫がすずの元に集まるジャズ喫茶ヨーソローのこの場面。涙腺崩壊の準備をしておいた方がいいかも知れません。

追記:さくらが自分の家に戻ることになったとして、さくらと五月が同居するというのはさくらにはあまりにも酷い状況かと思います。

キレイな回収を切に願います。

『べっぴんさん』第18週 第103話 観賞後の感想

すみれちゃんの説得力

すみれちゃんが初めてナイトクラブの店内で自分の娘の姿を見つけてさくらちゃんに詰め寄った時、すみれちゃんが口にするさくらちゃんへの言葉はまったくと言っていいほど説得力に欠いていました。

何故なら、あの頃のすみれちゃんは「約束」という言葉をあまりにも軽く考えていたから。

心が通い合っている(と思い込んでいる)家族との間の、それも仕事とは違ってさほど重要とは言えない約束だったら守れなくても問題ないだろう。

約束した通りに行動出来なくても、言い訳しておけばわかってもらえるだろう。

そんな認識の軽さが相手にどんなインパクトを与えるのか想像すら出来ないその一方で、自分は正しい。娘に対して自分の言葉は絶対だと思い込む。

一方のさくらちゃんからしてみれば、母親の言葉はあまりにも軽すぎて信じるに値しない。にもかかわらず母親はその軽い言葉を重いものとして押し付けて来る。

そんなギャップにまったく気がついていないすみれちゃんが常にすべりっぱなしで、その残念な姿は痛々しいほどでした。

しかし、あれ以来すみれちゃんはゆっくりではありますが学んで来ました。

自分の考えだけが正しいと決めつけるその考え方のクセに気がつくことが出来たのは、やっぱりママとの出会いを通じてのことでしょう。

また、ママは生き様は人それぞれだと言うことを優しく静かに説いてくれました。

そして、最も大きな学びの機会はメリヤス工場の廃業騒動でしょうか。

肌着の製造を頼んでいたメリヤス工場は、長年の付き合いがあるその油断から工場の人たちとの絆を築くことを完全に怠っていました。

何年もの時間をかけて、信頼関係が出来上がっていると思い込み日頃のフォローをしなくても問題ないだろうくらいに考えていたのでしょう。

過去のすみれちゃんとさくらちゃんの関係と、過去のすみれちゃんとメリヤス工場経営者の関係。この二つの関係、ソックリです。

でもこの失敗が自分の至らなさを気づくきっかけとなったのだから良しとしましょう。

そんな学びや気づき、そして失敗を経てきたすみれちゃんがさくらちゃんに告げた今回の言葉は重い。

周囲への気づかいに足りないところがあったことを自覚して反省したすみれちゃんが、自分のことしか考えず周囲への影響を想像もできないさくらちゃんを諭す。

さくらちゃんが想像できない周囲への影響とはもちろん五月ちゃんのことです。

さくらちゃんはすでに知っています。五月ちゃんは妊娠していることを。そしてそのお腹の子供は二郎くんの子供であることを。

にもかかわらず、その事実から目をそらし自分だけの幸せをつかもうとする。さくらちゃんの心の中のダークサイドがあぶり出された瞬間でした。

健ちゃんあたりはそのことを見抜いていたのかも知れません。

だから、意中の人から裏切り者とののしられようがそんなことは関係ない。大好きなさくらちゃんをダークサイドから引っ張り出すために、さくらちゃんから見たら悪役に徹する健ちゃんが日に日に男前になってゆく。

『べっぴんさん』の数ある男性キャラたちの中で、五十八さん、大島社長、そして闇市時代の栄輔くんに次ぐ男前キャラになるかも知れませんね。健ちゃんは。

五月ちゃんの初めての笑顔

「この家におったらありがとう言う言葉しか出てけへんな」

好きな人のためなら自分の身を犠牲にすることもいとわず、人からの親切を素直に受け止め心から感謝できる。

そんな性格であることが判明した五月ちゃんの好感度が急上昇中。

これらの点でも、五月ちゃんはわずか一歳の年の差ながらさくらちゃんより大人だなと思います。

こんな言い方をしたら五月ちゃんに失礼ですが、五月ちゃんがこんなにいい子だとは思いもよりませんでした。

この先々で、さくらちゃんを導いてほしいものです。

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コメント

  1. vega より:

    こんにちは。いつも朝蔵さんの暖かな視点の感想に、辛辣な自分の見方を弛めていただく日々でございます(^_^;)

    どうしてもビジネス面で詰めが甘くて、OLレベルですらわかる基本が蔑ろにされているせいで、「お嬢さんがたまたまうまくいっちゃった」みたいに見えて勿体なく思えて(企画力や着眼点の鋭さや、理念が共有されている素晴らしさは稀有なのに)、敢えてホームドラマ的に見る癖がついてきたのですが。

    この回は、五月ちゃんの「ありがとうしか出てけえへん」が一番ずっしり来ました。
    常に大人に対して斜に構えて自分一人でなんとかするんだ、って気を張ってた五月ちゃんを、ほんの数日(ですよね?)でこんなふうに言わせてしまうほどの暖かさは、側にいて心配りを欠かさなかった喜代さんあればこそ。
    思えば、子育てに悩んでた良子ちゃんと勝次さんの心をほぐしてあげたのも喜代さん。
    あのとことん利他的な在り方には感服ものです。
    そんな喜代さんにずっと助けてもらってたからこそ、すみれはさくらの自分のことしか考えない行動をより悲しく思い、厳しく指摘するのかな、と思いました。
    …とはいえ、さくらの大人ぶった理解に甘え過ぎて、現状を招いたのはすみれだったわけですが。

    そろそろ着地点が見えてきたさくらとすみれの断絶に対し、英輔のキャラ変の根拠が理解しきれないのですが、もう少しネタの投下はあるのでしょうか?
    結局今週も気になってしまうのですw

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。

      > 喜代さん

      子育てに悩む良子ちゃん・勝二さん夫妻の問題を解決したのも喜代さんでしたね。すっかり忘れていました。

      あのママにすらどこか心を閉ざしていた五月ちゃんが、喜代さんの優しさは素直に受け止め心を開く。喜代さん、本当に偉大だと思います。

  2. りりい より:

    五月ちゃん、予想以上にいい子でしたね。その恋人を奪い取ろうとするさくらちゃんの残酷さが際だつ。
    カッコよく登場した二郎くんがいざとなるとヘタレで、地味だった健ちゃんが戦うべきときには戦う男らしい子だったのも意外でした。

    五月ちゃんも健ちゃんも、辛い思いを抑えて黙って周りを観察するうちに身につけていった賢さなのでしょうか。

    五月ちゃんが幸せになりますように。そして朝蔵さんのおっしゃるように、健ちゃんが次世代の男前キャラに成長していくのが楽しみです。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。

      > 意外

      健ちゃんと二郎くんの逆転劇には本当にビックリしました。今回の騒動を経て二郎くんも少しは変わるのでしょうか。

  3. こんにちは より:

    初めて投稿いたします。
    いつも楽しく拝見させてもらっています。

    さくらちゃんは失恋してしまいましたが、この後、やっと解決の方向に向かうとのこと、ほっとしています。

    あとは、栄輔さんですよね。

    いったい何があったんでしょうか。

    「あんたは人の心が分からない人」

    たしかにすみれちゃんは、当時栄輔さんの気持ちを知ろうとしていなかったし、忙しさにかまけてさくらちゃんとちゃんと向き合ってこなかった、メリヤス工場の状況についても気配りが足りなかった。

    すみれちゃんに非があったことは確かで、
    (栄輔さんの当時の気持ちについてはいまだ気が付いては
    いないようですが)すみれちゃんが、栄輔さんの言葉で
    自分を省みて、至らなかったところを反省し、
    成長することができたのなら、それはとても意義のあった
    ことだと思います。

    ですが、栄輔さん自身には果たして、すみれちゃんにそんな
    言葉を投げる資格(みたいなもの?)、あったのでしょうか。

    工場の事情に関して言えば、今までのところを見る限り、別に
    工場の事情が分かったので、心から同情して、
    自分のところで引き受けるのは大変だけれども、
    引き受けてやった、というわけではなさそうですよね。

    さくらちゃんのことに関しても、
    栄輔さんの考えるさくらちゃんにとって
    すみれがとるべき一番いい方法って
    いったいなんなのでしょうか。

    さくらちゃんの気持ちをちゃんと考えてやれということ?
    ちゃんと考えようとはしていますよね、すれちがっていましたけど。

    すみれちゃんが仕事をやめること?
    (私は一番最初に「人の心がわからない」の
    台詞を聞いたときに、いじわるにも
    「この会社がなくなれば、キアリスでの仕事も減るから、
    あんたもさくらちゃんと向き合えるんじゃないか。
    そうしてやっているのに」という気持ちが
    あるんじゃないかと勘ぐってしまったのですが、
    (意地悪ですみません)
    まさかそこまで、とも思ったし、皆さんのコメントを
    呼んでいる間にも、あまりにもそれじゃひどすぎるから
    99%ありえないよな、とは思っているのですが)

    それとも、ジャズ喫茶やナイトクラブに出入りすることを
    寛大に認めてやれということでしょうか?

    でも、そのジャズ喫茶やナイトクラブが実際いいところであれ、
    悪いところであれ、
    うちの娘は絶対に大丈夫よ、ジャズ喫茶でもナイトクラブでも
    好きに出入りしなさい、という親がいたら、
    私にはそちらのほうが怖いですが。

    今はさくらちゃんが、荒れていますが、
    その一部分だけを垣間見て、
    家族のあり方を断言してしまうのはどうかな、
    家族にはそれぞれ家族の軌跡があるんだよ、
    と言いたいです。

    以前のすみれちゃんに対しての未練がまだ
    あるというのなら、

    すみれちゃんの以前の栄輔さんの行動には
    確かに軽率的なところがあり、余計な期待を持たせて
    しまったところもあったかもしれませんが、

    要するにすみれちゃんは子どもの頃から
    使用人に囲まれて親切にさせることが
    当たり前だった、お嬢様だったわけで。

    本来なら、もののない時代に必要以上に
    親切にしてもらったら、そこにあるものを
    読み取って、親切な気持ちだけは受け取って感謝して、
    でも一線を引いて、となるのでしょうが。

    でも、感謝の態度をとらなかったすみれちゃんは
    確かに非がありますが、
    必要以上に感謝の態度をとらないことが、
    (あくまでも無意識にですが)
    すみれちゃんなりの一線の引き方だったのかもしれません。

    それに紀夫君のご両親が「息子を忘れてくれ」と言っても
    あきらめきれないでいる姿を目の前にしているわけですし、
    紀夫君はなんといってもさくらちゃんの実の父親で、
    すみれちゃんとは正式に夫婦であったわけだし、
    自分の負けを認識できていなかったわけではないですよね。

    栄輔さんは、みんなのもとを去るべきではなかったと思います。

    一緒にいれば、すみれちゃん、さくらちゃん、紀夫君の3人の
    結びつきが(今はばらばらに見えても)どれだけ強いか、
    その結びつきを作るために今までどれだけ苦労してきたのか、
    目の当たりにして、一時的な状況だけ見て、
    冷たい言葉をかけるようなことはしなかったはず。

    こんなことなら、一人立ち去る前にでも1回でいいから
    すみれちゃんに思いのたけをぶつけて、
    すみれちゃんとさくらちゃんをめぐって
    紀夫君とけんかでも何でもしておけばよかったのに、
    とも思います。おそらく負けだったでしょうが。

    思えば、栄輔さんには紀夫君のいいところをちゃんと
    認められるような時間がなかったですよね。

    それに潔君と一緒にいたのも、戦後の大変なときで
    潔君が結構むちゃな商売をしていたときで、
    社会が落ち着いて、地道路線に切り替えたときは
    もういませんでした。

    残念です。

    長くてすみません。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      初コメントありがとうございます。

      > 栄輔くん

      栄輔くんは謎につつまれたままですよね。別人みたいに人が変わってしまった謎、「あんたは人の心が分からない人」発言の意味するところの謎。わからないことだらけです。

      これは予想なのですが、エイスの実在モデルの会社は破産しています。エイスの窮地=窮地の中で栄輔くんがもがきながら、彼の過去が語られる。そんな展開になるのかなと思っています。

  4. オカンT より:

    さくらのワガママっぷりがイライラするここ数日ですが、私は二郎の態度も気に入りません。
    健ちゃんが「好きな女性を守るためには相手に嫌われても構わない」という男らしさを見せる一方、「好き」と言われても「一緒に東京に行きたい」と言われても全く言葉を発しない二郎。
    五月と同棲していたということは五月を愛しているんでしょうが、これだけ感情をぶつけてくるさくらは彼にとってどんな存在なのか。
    公式サイトを見ると19歳らしいですが、「勝手について来るんやからどうなっても知らん」とでも思っているのか、一時的な寂しさをさくらで紛らわそうとしているのか。
    その辺りが全く伝わって来ないので、万が一二郎とさくらがくっついても(ネタバレを読んでいるので結果は知っていますが)全く応援も共感もできない二人になりそうです。
    早く来週になってすっきりさせて欲しいー。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。

      > 二郎

      さくらちゃん以上に二郎に問題があるかも知れません。あれほどさくらちゃんを子供扱いしていたのだったら「大人」としてさくらちゃんをキッパリ拒絶するのが筋かと。彼もまた大人のフリをしていた子供だったのかも知れません。なにしろ若いですからね。

    • メロディ より:

      乱入してしまい、すみません(汗)。
      わたしも二郎ちゃんの「分かった。ついて来い」とも「まだこどもだろう。来るな。」とも何も言わないのがどうかと思いました。
      健ちゃんゴリ押しで申し訳ないですが、「大切な女性を守るためなら悪役も厭わない」って。。。なかなかそこまで考えてもらえることなんて、なかなかないよ~。さくら…華やかさや格好よさ(それだけじゃないのかな?)より愛情が大事よ~!!と訴えたいです。

      • 朝蔵(あさぞう) より:

        コメントありがとうございます。

        > 健ちゃん

        健ちゃんの価値を理解した時がさくらちゃんが大人になった時なんでしょうね。

  5. もんすけ より:

    きよさんが編む、五月ちゃんとお腹の赤ちゃんのための腹巻。
    すみれちゃんが編み直す、大きくなって袖丈短くなったさくらちゃんお気に入りのカーディガンを思い出します。
    一針一針思いを込めて編み上げる…。
    「編み方、教えてさしあげましょか」と五月ちゃんへのきよさんの言葉掛け。沁みとおるように優しい響きでしたね。きっとさくらちゃんが小さい時にも、きよさんはすみれちゃんと一緒に心を込めて編んでいたのでしょう。
    また、きよさんの言葉に驚き微笑む五月ちゃんの表情をみて、お腹に宿った命のため仕事をやめると決めた時のゆりちゃんの幸せ感漂う表情をも思い起こされました。
    幸せは、こんなにも溢れるほどたくさん、間近にあるよ…、さくらぁ~。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。

      > 幸せは間近に

      五月ちゃんが坂東家に来たことで、さくらちゃんの無い物ねだりが際立って来ましたね。今の幸せそうな五月ちゃんの様子をさくらちゃんにも見てほしいものです。でも、今のさくらちゃんには五月ちゃんの姿を観察しても何も見えて来ないかな。

  6. よるは去った より:

    五月「ここにおったら『ありがとう』の言葉しか出てけえへんわ。」五月ちゃんがドラマの中であんな笑顔を見せるのは初めてでしょうね。すみれ「何で自分の事しか考えられないの!?」 ん~「恋は〇目」「若気の至り」とは言いながらさくらちゃんと五月ちゃんははっきり対照的に見えてしまいましたね。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。

      > さくらちゃんと五月ちゃんははっきり対照的

      わずか一歳の差ながら、見た目以上に五月ちゃんは大人ですね。

  7. ぽんた より:

    夜中に突然ひらめいて寝られなくなり、もう一つ書きます。

    かつて栄輔がすみれに傘をさしたのは、栄輔の恋心が前提。無償の愛ではありません。自分の行動への対価を求める優しさ。 それに対して、すみれはどのように報いたのでしょうか? わたしの記憶の限りですが、紀夫の帰還確定以後、すみれが栄輔に対して、今までのさくらへのたくさんの愛情に満ちた行動に直接感謝の意をきっちり伝えた場面は記憶にありません。それ以前に、すみれが栄輔の行動を愛情表現と受け止めた場面も記憶にありません。すみれは毎日生きて行くのに精一杯で周りは見えない。もちろん、栄輔の隠れた愛も、見返りを期待した気持ちも見えない。これもすみれの集中癖の結果です。栄輔は自らに問う。俺は聖人ではない。今までの俺は何だったのか、と。そして、栄輔の今日の言葉。 あなたは、人の心がわからない人だ。 これは、先ほど書いた3つの過ちに対してすみれが取った行動と十分に関係があるのではないでしょうか?

    そう考えれば、栄輔の残念なすみれへの懲罰的行動の原因ははっきりします。栄輔の傘は無償の愛ではなかった。栄輔はいつでも 傘さし聖人 ではない。むしろ度量が狭い人間。そしてあの時の、周囲を理解する余裕がないすみれの栄輔への無理解が、今の状況を生み出している、と。そうすれば、全てが説明できます。だから、栄輔は突然ブラックな悪者に変身したのでもなければ、アメリカ流資本主義のハゲタカになったのでもありません。勿論、単純な失恋の意趣返しでもありません。あの時の大きな負の感情が栄輔を突き動かしているのだと推測します。

    もちろん栄輔には、大島社長の前で語ったアメリカ仕込みの 衣料品業界日本制覇 の野望があるのでしょう。その野望と先ほどの負の感情、そして個人の度量の狭さが一緒になったとき、栄輔の行動は、キアリスへのメリヤス工場買収や潔への業務提携への提案、そしてあの無表情でニヒル、嘘で固めたような顔つきも含めて、すべて説明できます。潔のオライオンとの提携は、潔を踏み台にして栄輔の野望を実現するのに一番手っ取り早い早道ですから。

    これは現時点での私の予測です。間違っていたら大変ごめんなさい。 ぽんた拝

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。

      > 傘さし聖人

      この表現、見事です。栄輔くんは傘さし聖人になりたかったけれどどうしてもなれなかった。一時は傘さし聖人になったつもりでいたけれど、実は対価を求める傘さし商人に過ぎなかった。そんな自分の小ささを悪い意味で受け入れてしまったのかも知れませんね。

      • きゅうぽん より:

        本当にぴったりですよね…。すみれは必死だった。激動の戦後復興の中、見えていなかった。見る余裕もなかった

        栄輔からすれば無償の愛、ボランティアではないし、言葉は悪いですが、人を利用するだけして、用済になったらポイと乗り換える的な、最低?最高?の裏切りでしかないですね。
        だったらこちらも目には目を歯には歯をでお返しする…図式があったのでしょうね。
        (ホレタハレタではなく、栄輔怖いですが、色々な人に再会して、それが解けていくのは、栄輔の根本的な良い人なのか…)

        • 朝蔵(あさぞう) より:

          コメントありがとうございます。

          > 栄輔

          栄輔くんの本心はまだまだ見えませんが、彼がダークサイドに落ちたのは想像以上に大人の事情があるような気がして来ました。

        • ぽんた より:

          きゅうぽんさん、いつも書き込みを拝読させて頂いております。
          私のちょっとした感想にわざわざコメントありがとうございました。

          おっしゃる通り! 考えるほど、栄輔の側から見た当時のすみれって、えらくエゴイスティックに見えて怖いんですよね。たとえ相手が人妻であれ、もし自分の恋人にこれをやられたら、私は傷ついてもう逃げ出すのが精一杯、最低半年から1年は精神的に立ち上がれないでしょう。あとは思い出すたびにずっと「人妻を愛した自分が馬鹿だった!」と自嘲するのみ。まるで金色夜叉の間寛一のようにとても辛い記憶となるでしょう。そして、あの場面では「あなたは人の心がわからない」ぐらいのことは言うでしょうね。今非情に振る舞う栄輔が今後どう変わってゆくのか、怖さ半分、期待半分です。

          いつもは朝蔵さんを中心にして話が進みますが、たまには書き込み族同士の議論もいいですね。
          あ、今日もまた寝不足だ! ぽんた拝

      • ぽんた より:

        返信、ありがとうございます。

        おお! 傘さし商人 とは‼︎ この絶妙な表現、想像もしませんでした!

        今は一時の成功に酔い、自分の野望に燃えて、かつての恩人である潔も含めて周囲を踏み台にして業界を這いあがることしか見えない 傘ささず商人 でしかないようですが… もし栄輔がすみれにメリヤスの製造機械を残すことに同意したのが、あの戦前の関西繊維業界の大ビジネスマン、五十八に頭を下げさせた自己満足による心の余裕からだとしたら、もう 狭量極まれり というところでしょう。すみれへのかつての感情の残り火だとすればまだ救われます。ようやく 傘さし商人 になったようにも見える栄輔をめぐる今後の展開が楽しみです。

        一つだけ解せないのは、武をめぐる状況です。武は掃除や水うち、荷物運びという雑用からキアリス人生を始めた人間。もし武に部長という肩書きを与え、重要な資材調達先の訪問を任せたのならば、雑用からは学べないビジネスの目の付け所を教えるのは、任命したすみれや紀夫の責任。私が新入社員だったとき、帰社した後に課長がいちいち今日の得意先のようすをポイントを踏まえて尋ね、その質問から自分では気づかない目の付け所を学んだことを思い出します(あの頃は学生あがりの、相手が全然見えていないダメ社員でした)。すみれや紀夫はなぜ、武に「必ず毎回経営者に会ってビジネスの様子を尋ねること」という簡単なことを指示し、帰社した後に必ず「今日経営者と会ったか? どういう話があったか?」と尋ねなかったのだろうか? と思うと、不思議です。これが目の付け所を教える人材育成。

        もう一つ不思議なのは、メリヤス工場の元経営者が経営上の窮地に立ったとき、なぜ元経営者は得意先の社員である武を訪問時に呼んで窮状を訴え、若干なりとも製品の値上げを要望するという簡単なことを怠ったまま、工場買収の憂き目を見ることになったのでしょうか? 自社のメリヤスが品質のとても良いもので価格競争力がある会社であれば、こんな事は当たり前。これも全くの謎です。全体的にこのドラマのビジネスはあまり「ビジネス」という感じがしません。「これはドラマ、現実ではない。そうしなければ筋書きが成り立たない。」と言えばそれっきりですが。いかがでしょうか?

        • 朝蔵(あさぞう) より:

          コメントありがとうございます。

          > ビジネスの目の付け所を教える
          > 製品の値上げを要望

          鋭いご指摘ですね。前者の問題は下働きとして入ってそのまま出世したけれど役職に見合ったスキルに乏しいという人。僕の若い頃、たまに見かけました。そんな時代だったかも知れません。後者はおっしゃる通りですね。工場の社長が紀夫を訪問し値上げ交渉すればここまでこじれなかったのかも知れません。