キアリスとエイスの転機 / べっぴんさん 第133話

連続テレビ小説(朝ドラ)『べっぴんさん』
2017年3月11日(土)放送
第23週 第133話「あいを継ぐもの」

『べっぴんさん』第23週 第133話 あらすじと見どころ解説

オイルショックが日本を直撃しました。急減速をはじめた日本の景気に対応するために、キアリスの業務を縮小すると紀夫は決めました。しかし、守勢に転じる紀夫に健太郎が異を唱えます。このピンをチャンスにするべきだと。

拡大路線を主張する健太郎をすみれが諭します。こんな混乱した時代に一番困っているのは小さな子を持つ母親だ。そんな母親たちの助けになれるよう考えて欲しいと。しかしすみれの言葉は健太郎には届きませんでした。

そんな中、KADOSHOの古門がエイスへの出資を引き上げると決定しました。玉井の内通によりエイスの売上が下がり続けていることを知った古門は、オイルショックを機にエイスを見限ることにしたのです。ついにエイスは倒産しました。

昭和48年(1973年)暮れ。エイス破綻後、行方をくらましていた栄輔がついに見つかりました。エイスだけでなく住む家すらも失った栄輔を潔は自宅に住まわせ、一からやり直すよう潔は栄輔をはげますのでした。

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健太郎の暴走のストッパーの役割を果たすことになるのか。オイルショックが日本、そしてキアリスを直撃します。

紀夫は経営者として会社の守りに入るものの、それでも健太郎の暴走は止まる気配がありません。

その一方で栄輔にも何かが起こるようですがこの記事を投稿した時点ではその詳細は残念ながら不明です。

KADOSHOから見限られ資金ショートしたエイスは経営破綻が確定です。


『べっぴんさん』第23週 第133話 ドラマの史実解説

アメリカ仕込みの経営学を駆使して拡大路線に急ぐ健太郎。さて、その健太郎の実在モデルが入社間もない頃に手掛けた仕事が、以前『べっぴんさん』の中で生かされていたことがわりかましたので本欄にまとめてみます。

健太郎の実在モデル・岡崎晴彦さんは昭和46年(1971年)にファミリアに入社すると、ただちに日本ベビーグローという名のファミリア子会社の役員に就任。

この日本ベビーグローという会社は、赤ちゃんの肌に負担をかけない柔らかな生地を製造できるファミリアにとってはなくてはならない工場を持っていました。

ところで『べっぴんさん』の劇中で五十八さんが亡くなる直前のこと。

キアリスの肌着用の生地の製造工場の廃業や、栄輔くんによる買収が描かれましたが、あの工場は日本ベビーグローにヒントを得ていたようです。

キアリスの肌着用の生地がやわらかな仕上がりになるのは、時間をかけてゆっくりと生地を編み上げる古い機械を使っていたために柔らかい生地が出来上がることが理由でした。

健太郎の実在モデルが初めに役員として就任にした子会社にはまさにそれと同じ機械が設置してありました。

その機械の名は「トンプキン」。

最近の編み機であれば1時間で1メートルを編み上げられるところ、そのトンプキンという編み機は1時間かけても10センチ。

1847年にモーズ・メラーというアメリカ人エンジニアによって発明されたこのトンプキンという編み機を、上に述べた日本ベビーグローは昭和42年(1967年)に購入。

この骨董品のような年代物の編み機によって編み上げられる肌ざわりのやさしい生地はトンプキン生地と呼ばれ、ファミリアやベビーグローの品質を際立たせています。

なお、製造されたから180年近くも経過している編み機「トンプキン」は今も現役で稼働しているのだそうです。

『べっぴんさん』第23週 第133話 観賞後の感想

玉井氏の裏切り

玉井氏が最後の最後に栄輔くんを裏切るという展開を僕はとても悲しく思っていました。

そして心配でした。万博会場で、玉井氏がかつての恩人のはずの根元さんに悪態をついたように、栄輔くんに対しても後足で砂をかけるような去り方をするのではないかと。

しかし、今回描かれた玉井氏の申し訳なさそうな表情を見せてもらったことで、少しだけではありますが救われた気持ちになりました。

また栄輔くん対して「おおきに」と言った玉井氏の言葉には心がこもっていました。あれは決して口先だけのものではなかったかと思います。

玉井氏の栄輔くんに対する感謝の気持ちに嘘偽りはないと僕は信じています。

さて、玉井氏にはこんな能力が備わっていたのだと思います。

根元さんの言葉を借りれば「金の匂いに対する嗅覚」。健ちゃん風におかたい表現にするならば「市場の動向を見極める分析能力」。

一種の天才です、玉井氏は。

この玉井氏の「市場の動向を見極める分析能力」を上手に経営に取り込めることが出来れば栄輔くんも大勢の社員たちを路頭に迷わせずに済んだのかもしれません。

いみじくも栄輔くんが自分で言いました。自分は経営者ではなかったと。潔くんもかなりはっきりと言いましたね。お前にエイスを立て直す能力はないと。

そう考えたら玉井氏も同情すべき被害者の一人なのかも知れません。エイス倒産によって仕事を失った他の大勢の社員と、玉井氏と立場的にはあまり変わらないわけですから。

(もちろんこの後、内通の功績によって玉井氏は美味しい思いをしたのでしょう)

ところで、玉井氏が内通していなかったとしても店舗の拡大と反比例するかのように売上が下がり続けていたエイスは遅かれ早かれ行き詰っていた気もします。

逆に、玉井氏の内通がないまま店舗拡大を続けていたら最終的な傷口はもっと広がっていたかも知れません。

もしそうなったら栄輔くんのその後は『まれ』のヒロインの残念なお父ちゃんと似たような状況にまで追い詰められていた可能性だってある。

そう考えたら、傷口が化膿しはじめる前の玉井氏の裏切りは長い目で見たら栄輔くんにとっても救いとなったのかも知れません。

以上、玉井氏が大好きなもので、単なる悪役で終わりかねない玉井氏の立場を精一杯の弁護をしてみました。

昔の栄輔くんが戻って来た

すべてを失ってしまった栄輔くんは気の毒な限りですが、昔の栄輔くんが戻って来たような気がします。

潔くんの家にやってきたすみれちゃんの顔を見るなり、自分のことよりも先にさくらちゃんの出産を祝福するところがとても栄輔くんらしくて嬉しくてなりません。

アニキである潔くんに対する心からの敬意も取り戻すことが出来たのかな?

家も会社も信頼する部下も失い、多くの社員を路頭に迷わせたという自責の念にからられる栄輔くんではありますが、安堵の表情も見え隠れします。

今ままでが無理をしすぎていたのでしょう。

次週からは、かつての栄輔くんらしく振舞って欲しいものです。

潔くんがまぶしい

失意の栄輔くんを受け入れ励ます潔くんが大きくてそしてまぶしい。

ドラマの前半では潔くんの器の大きさを描く場面がたくさんあったと記憶していますが、最近はそれが少なくなっていたことを実は残念に思っていました。

エイスを立て直す能力はお前にはないと、かなり手厳しい言葉を栄輔くんに対して真正面からぶつけながらも、その一方で栄輔くんの傷だらけの心に寄り添いすべてを受け入れる潔くんが男前すぎて泣かせます。

「栄輔、頼ってくれ」

俺を頼れ!、ではなく、頼ってくれ。一歩引いて栄輔くんのプライドを傷つけないようにする潔くんのこの雅量、この優しさ。

潔くんに惚れ直しました。

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14 Responses to “キアリスとエイスの転機 / べっぴんさん 第133話”

  1. さや より:

    エイスの倒産、史実より早かったですね(>__<) カドショー社長に、危機は訪れないのでしょうか……。

    西岡徳馬さんが好きだからこそ、○○ドリルの動画を見ないとやっていられません(笑)

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。

      > カドショー社長に危機

      仮に訪れたとしても少しだけ触れる程度かなと思います。残り3週しかないですからね。

  2. エイスケの後輩 より:

    この10年間で、関西の大手電気メーカーは軒並み業績が悪化しました。
    私の周りにも、各会社勤めの方々がいらっしゃいましたが、会社が危ういとなった瞬間に、他社に転職して難を逃れたと言っています。
    人間誰しも自分が一番です。自分がやっていけなくなっては生きていけません。泥舟に乗って沈みたくはありません
    だからこそ、私は転職した知人達を責められないし、今回の玉井氏も責められないと思います。
    ある意味、一番人間らしく、リアルなキャラクターだと思います。
    ただ、史実通りになるなら、最終的には…

    あと話が全く変わりますが、会社更生法申請でマスコミに英輔くんが直撃されるシーンがありましたが、あれ、数回前の回で雑誌の取材を受けていて、潔くんがわざわざ忠告しに来てくれた時のロビーと同じですね(笑)
    セットではなくロケっぽいので続けて撮影したんだと思いますが、役者さんは、自信満々の演技と、茫然自失した演技と両方いっぺんに撮影したなら、凄いなぁと思いました。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。

      > 玉井氏も責められない

      実は僕自身も『べっぴんさん』にも登場する某企業の難を逃れた経験があるんです。だから玉井氏のことを責めることなど出来ません。というか、気持ちが痛いほどよくわかります。

  3. きゅうぽん より:

    栄輔らしさが戻ってきて、その点では良かったですね。常に流行の第一線を行くのは正直難しいと思います。
    例えば、娘役がぴったりの女優さんが、いつしか母親役、おばあちゃん役…琴子さん役のいしのようこさんみたいに、上手くシフトチェンジできるならいいですが。

    玉井は玉井で、腰巾着でしか生きられない。多分友達になるかというと絶対イヤなタイプだろうし、結局キャッチボールしている子にしか相手にされないというか、そこにしか心開けないというか…寂しい人生だと思いますね。やっぱり玉井も経営者にはなれなかった…。

    全然関係ないのですが、うちの主人がポツリ。
    「栄輔だけが全然歳とらへんのおかしい」と言いました。
    確かに、みんな白髪(紀夫とか40代でメッシュ入ってたような…)とか老けていくのに…。やりようがなかったのか、あえてギャップを作っていたのか…。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。

      > 玉井も経営者にはなれなかった

      玉井氏は偏った才能だけが際立っていたので、潔くんタイプの器の大きなボスの下にいればもう少し真っ当な道を歩めたのかも知れませんね。

  4. ひるたま より:

    「昔の栄輔くんが戻って来た」
    かつて『エイス』社長時代にはポケットに手を入れていた事も含めて虚勢を張っていたように思われましたが…今日、野上家にいた栄輔くんからは「憑き物が落ちた」ようにも見えました。
    正しく朝蔵さんが仰る通り「昔の栄輔くん」だったように私も感じました。
    (「兄貴」である潔くん(高良健吾さん)が年相応の風貌なのに対して、栄輔くん(松下優也さん)が昔の若いまま…という点は突っ込まずに置いておきます^^;)

    「うちにいたらえぇ」
    野上夫妻(潔くん&ゆりちゃん)の栄輔くんに対する温かさが、TVのこちら側まで伝わって来たように感じました。
    栄輔くん自身はまだそれどころではないでしょうけれど…苦しいながらもある意味で「青春時代」だったあの闇市時代を、野上夫妻そしてすみれちゃんも懐かしく思い出したのではないでしょうか。
    (もっとも、当時まだ復員していなかった紀夫くんは「……」置いてけぼり状態だったかもしれませんが^^;)

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。

      > 昔の若いまま

      同感です。逆浦島太郎のままなのは何か意図があってのことなのか。倒産の衝撃で一気に老け込ませるため、ギャップを狙っているのでしょうか。

  5. tonton より:

    紀夫が戦地から戻り、栄輔が消えて再び登場した時に
    あまりファッションに興味の無い父までが
    「これってVANの社長の事じゃないのか?」と聞いてきて
    「そうだよ」と答えると「この社長はとにかくTVに
    出まくってた。俺が学生時代の頃だったけどな」と言ってました。

    VANの全盛期や倒産が起こった時代は、私は生まれてなかったり赤子だったりと全く記憶が無いのですが、バブル時代のDCブランドブームを
    遥かに超えた社会現象だったのでしょうか?

    史実ではモデルの人はデザイナーとして優れていたので、そういった才能も
    ドラマに生かして欲しいのですが。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。

      > DCブランドブーム

      僕は世代的には破産後のVAN承継会社時代に幻のVANに憧れていた世代ですが、数多くのデザイナーが存在したDCブランドと異なりVANは一極集中だったので雑誌などで特集される際の濃厚さが違いました。

  6. S.O.X. より:

    玉井氏は外見上裏切り者ではありますが、実際はそうではないのではないかと私は思います。本来コカド側から送り込まれるはずである「付家老」みたいな存在、あるいはスパイ役を引き受けることによって、自らの私利私欲もあるかもしれませんが、ここはやはり英輔さんに良かれと思って汚れ役を引き受けたのではないかと。結果そのことがマイナスになった部分もあるかもしれませんが、朝蔵様のおっしゃる「玉井氏の内通がないまま店舗拡大を続けていたら〜」はまさにそうではなかいと思います。
    なんかこういうキャラ好きなので(親分さんも)、どうしても味方したくなります(笑)。

    くどいようですが、英輔さんとの馴れ初めを知りたいなあ。。。(笑)。でも、こんな結末じゃ、無しですかね〜。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。

      > こういうキャラ好き

      僕もこういう日陰者がたまらなく好きです。こういうキャラの描写では『梅ちゃん先生』が秀逸だったと思います。

  7. よるは去った より:

    ゆり「終戦直後みたいやわ。」これが今回のプラグでしたね。潔「それやったら家に居たらええ。」ゆり「また一緒やなんて闇市の頃みたい。」栄輔君はどう立ち直って行くのでしょう。玉井「一緒に泥船に乗って沈むことはできん。」玉井氏のような弱さは誰もが持ち合わせているのかも知れない。そういう意味では彼を極悪人と裁く権利は私たちにはないかも知れないが。しかし彼にもいつか制裁が下るような気がしてなりません。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。

      > 彼を極悪人と裁く権利は私たちにはない

      今回のレビューでは玉井のオッチャンを弁護してみました。

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