オライオン紳士服が復活 / べっぴんさん 第137話

連続テレビ小説(朝ドラ)『べっぴんさん』
2017年3月16日(木)放送
第24週 第137話「光の射す方へ」

『べっぴんさん』第24週 第137話 あらすじと見どころ解説

キアリスガイドの映画化にあたり、すみれたちはかつて自分らの子供のためにつくった子供服を映画に登場させることになりました。キアリスの原点とも言うべき手作りの子供服を見せられ、健太郎はすみれたちが大事にしていることに気づきはじめていました。

そんな中、キアリスガイドの映画の撮影がすべて終了しました。ものを作る喜びを久しぶりに味わい笑顔を取り戻した栄輔を明美は激励。明美と栄輔は、映画撮影を通して心を通いあわせ始めます。

一方、オライオンの紳士服を復活させると決めた潔は大急百貨店の大島と小山にそのことを知らせました。大島と小山は大急百貨店の中にオライオンの売り場を設置することを快諾するものの、斬新な集客のアイディアを潔に求めて来ます。

大島と小山の注文に対してゆりは提案しました。女性店員による紳士服販売。そして「男の着こなし講座」を開催し栄輔を講師に起用することを。提案に難色を示す栄輔でしたが、ゆりの必死の説得によりついに栄輔は登壇を決意するのでした。

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midokoro

エイスが倒産しすべてを失った栄輔が再び前に向かって歩み出す、そんな栄輔の姿が見所となりそうです。

さらに栄輔が明美との距離を縮めてゆく。

かつて、明美への接近を試みるものの失敗に終わった栄輔が、再び明美と心を通わせはじめる場面もまた見所。

栄輔の見所満載です。

『べっぴんさん』第24週 第137話 事前発表あらすじのレビューと史実解説

今週のドラマの中で描かれる「キアリスガイドの映像化」。

史実では、ファミリア創立30周年を記念して『フランス子供服飾展』が開催されました。その催しのために『世界のこどもたちと共に』という映画が製作されています。

世界中の子供たちの笑顔の映像を編集した映画で、ファミリアガイドの映像化ではありませんでした。

しかし一方で、オイルショックが発生する前年の昭和47年(1972年)。「キアリスガイド」に掲載された西洋式育児法を唱えた明美の実在モデルが出版をしています。

明美の実在モデルの名は大ヶ瀬久子さん。

大ヶ瀬久子さんは戦前の神戸で西洋人専門のベビーナースとして働いていた点はドラマの中で再現されていますが、ドラマの中のようにファミリアの創立メンバーではありません。

また、ドラマの中での明美とすみれは同年代と言っても差し支えのないほどの年齢差しかありませんが、リアルの大ヶ瀬久子さんは明治33年(1900年)生まれ。

一方ですみれの実在モデルである坂野惇子さんは1918年(大正7年)生まれ。実際には18歳もの年齢差がありました。

昭和27年(1952年)ファミリアが西洋式育児法を紹介した「ファミリアガイド」を発行にも協力した大ヶ瀬久子さんがファミリアの社員となったのは昭和36年(1961年)。

その後、ファミリア社内でベビーコンサルタントとしての活動を続けた大ヶ瀬久子さんは、オイルショック前年の昭和47年(1972年)に文研出版より『1歳までの育児』を出版しました。

『べっぴんさん』第24週 第137話 観賞後の感想

登場人物たちの心の動き・揺らぎが丹念に描かれた濃厚な15分でした。

健ちゃん

他の主要キャラと比べて登場時間もセリフも少ない健ちゃんでしたが、今回の健ちゃんの出番は彼の人生にとって大きな節目となるようなものばかりでした。

映画に使おうという栄輔くんの提案で引っ張り出さたさくらちゃん、龍ちゃん、そして健ちゃんがかつて着ていた子供服の数々。

物資が不足し子供服など売っていなかったためにやむなく手作りした子供服。

自分たちが子供の頃に着せてもらった服を母親たちがどんな思いを込めて作ったのかはじめて聞かされた健ちゃんが、その思いこそキアリスの原点だとさとったのでしょうか。

さくらちゃんの子供時代の服を愛娘の藍ちゃんにも着せることができる喜び。その喜びこそがキアリスが一番大事にすべきこととも気づいたのかも知れません。

前回まで思いつめた表情ばかり浮かべていた健ちゃんのいい笑顔を久しぶりに見ることが出来ました。健ちゃん、一皮むけましたね。

そしてそんな絶妙なタイミングでの栄輔くんのアドバイス。

「(古門氏に)踊らされるなよ!」

この言葉を口にしたのが紀夫くんでもなく、潔くんでもなく、ほかでもない栄輔くんだからこその説得力。この言葉の重さ。生々しさ。

まだ企業の一社員とは言え、経営学を学び経営者を目指している健ちゃんには栄輔くんの身に起きたことがどんなことだったのかよ〜くわかっているはずです。

その栄輔くんが健ちゃんの一番の急所を真っ正面から突いてくる。栄輔くんのこの言葉を健ちゃんは肝に命じたと信じたいです。

ゆりちゃんと潔くん

ここ数ヶ月間の放送では働く夫と専業主婦の妻になりきっていた野上夫妻が、坂東営業部復活の頃以来となる「同士」の姿を披露してくれました。

やっぱりこの夫婦は「同士」の姿が一番良く似合います。

ところで、ゆりちゃんはこれまで二人の人から職場復帰をすすめられていました。一人は坂東営業部を定年退職した男性。もう一人は栄輔くんです。

その度に、ゆりちゃんはブランクがあるから今さら職場復帰など無理だと口では言っていましたが、実は心の底では職場復帰を望んでいた。

そんな気がしました。今回の『べっぴんさん』を観て。

職場復帰したいというのが本当のところ。ただその一方で、ブランクがあるから今さら、というのも口先だけでなく本心だったのでしょう。

大急百貨店に提案する企画のアイディアを潔くんから求められたゆりちゃんが、女性店員を置くというアイディアを出しても潔くんの反応はない。

その時のゆりちゃんの悲しそうな表情といったら・・・・。あの瞬間は、やっぱり自分には職場復帰は無理なんだと思ったに違いない。

しかし、潔くんは反応しなかったのではなくゆりちゃんのアイディアに感心するあまり、即座に言葉が出なかっただけに過ぎなかった!

それがわかった時のゆりちゃんの嬉しそうな顔がたまらない。やっぱりゆりちゃんは職場復帰を望んでいたんだなって確信した瞬間でした。

結末近くになって、かつてのゆりちゃんが戻ってきました。

栄輔くん、そして明美ちゃん

さくらちゃんの非行騒動。またはさくらちゃんと健ちゃんの入社試験騒動。このどちらかのエピソードの一週を削ってでも栄輔くんの挫折と再生の物語を丹念に見せて欲しかった。

心の底からそう思った栄輔の再生への第一歩。

さて、偶然再会した明美ちゃんから声をかけられて協力することになった映画製作。この映画の撮影現場が栄輔くんの再生の背中を押しました。

栄輔くんによれば、潔くんのもとはすぐ発つつもりだったとの由。

もし、潔くんのもとを去っていれば久しぶりのものづくりの喜びに触れる機会もなく、社会復帰せよとゆりちゃんから強く背中を押されることもなく、失意の中を逃げ回る人生で栄輔くんは終わっていたかも知れません。

すべては、死んだ魚の眼をした栄輔くんを案じる明美ちゃんの心づかいから始まりました。

そして、栄輔くんを引き止めるきっかけとなった映画撮影が終わった直後の、栄輔くんと明美ちゃんのしばしの見つめあい。

1秒から2秒ほどのわずかな間でしたが、二人の間に交わされる言葉はなく、ただただ目と目で見つめ合うのみ。

二人の心が通じ合った記念すべき瞬間だったかも知れません。

明美ちゃんを見つめる栄輔くんの熱い視線はこれまで通りでしたが、栄輔くんを見つめる明美ちゃんの視線には、これまでにない熱量がこもっていました。

いよいよ二人が歩み寄り始めました。

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コメント

  1. 実穂 より:

    私個人的には終盤に出てくる楽しみに惹きつけられて最後まで見てしまいます。
    ちょっと前ですがカーネーションで糸ちゃんが綾乃剛さん演じる男性と恋に落ちたときのことや、
    最近ですと、あさが来たではあさの話、はつの話、うめの話と見どころ満載でした。
    もちろん今回は明美と栄輔のなりゆきに注目しています。
    それと、潔さんとゆりちゃんの夫婦もとてもいい関係だなと思ってます。
    昔だったら、自身を持って、「女性店員はどうやろ??」と言っていたであろうゆりちゃんの、控えめな感じも
    オライオンを牽引してきた潔君を立ててのことなので
    すごく良い奥様、良き母として過ごしてきたんだなと思います。
    そしてこれからはまたオライオンの同士。
    やはりゆりちゃんの聡明さと発想力は埋もれさせておけないですね。

    男の着こなし講座の提案に対して、栄輔が
    社員を路頭に迷わせた人間が表に出るのは‥というのがあり、
    確かに栄輔君の気持ちもわかるなぁと思いました。
    ただ、ここぞ!って兄貴や姉さんが用意してくれたチャンスに乗ってみることこそターニングポイントだなと思いました。

    みなさんおっしゃってるように、もう少し栄輔のエピソード欲しかったですね‥。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。

      > 終盤に出てくる楽しみに

      終わり頃になると様々な人間模様が回収されますからね。作者の登場人物たちへの愛情が感じられる場面が本当に心地よいです。そして終盤のもう一つの楽しみは最終週のサプライズゲスト。本作ではエイミーちゃんの娘にサプライズを期待しています。

  2. よるは去った より:

    栄輔君の着こなし講座よりも「雲隠れ」していたことに対してのコメントを求める記者連中。あの手のドラマを見るたびにマスメディアって我々の愚かさを映している鏡みたい思われてなりません。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。

      > 映している鏡

      こんな場面がドラマの中にあるとマスメディアの非情さが叩かれがちですが、そもそも需要があってのマスメディアの行動という側面があります。「映している鏡」という表現は的を得たものですね。

  3. amo より:

    皆さんに同感です。私としては、1週間費やしても、
    英輔君が闇市を出てからどうしたのか、どうやって玉井氏と再会したのか、どうやってエイスを立ち上げたのか等の物語を見せて欲しかったです。
    それから、潔君がゆりちゃんに言った言葉。私もそのまま妻に伝えたいです。彼女がどう思うかはまた別の話ですが・・・。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。

      > 玉井氏と再会

      玉井氏との「馴れ初め」も今のところ触れられてないですね。ここがしっかり描かれていれば、玉井氏との決別も泣ける場面になっていたかと思います。

  4. ひるたま より:

    「監督が主演女優に見とれてなかなかカットがかからんからな」
    この時の栄輔くんの心中や如何に??(^m^;)

    欲を言えばですが…さくらちゃんの反抗期パートを1週間削って、その分を映画製作&オライオンのエピソードに充てて欲しかったなぁ…と、見ていて感ぜずにいられませんでした。
    あと1ヶ月も無いのにエピソードを詰め込み過ぎているような…??

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。

      > 詰め込み過ぎ

      反抗期パートを削って、栄輔くんと挫折と再生の物語もじっくりと見せてもらいたかったと思います。

  5. クローバー より:

    「踊らされるなよ」
    栄輔さんが健ちゃんに言った一言が胸に突き刺さりましたね。
    自分と同じ道を歩んで失敗しないように諭す栄輔さんの中に、決して消えることのない悔恨と無念さが伝わってくるようでした。

    頑張れ!
    大きな挫折を経験した人は、その分、大きく成長できると私は信じています。

    今後に訪れる栄輔さんの幸せが待ち遠しいです。(^-^)

    P.S.昨日までの皆さんのコメント、とても楽しく拝読させていただいてました。本当に見事な観察眼のコメントばかりで、感心させられっぱなしです。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      コメントありがとうございます。

      > 大きな挫折を経験した人は、その分、大きく成長できる

      同感です。失敗して謙虚になれた分だけ応援してくれる人も増えますしね。実際、潔くんという最強の応援団長を得て心強いことこの上ないです。