実が奥茨城に帰って来る / ひよっこ 第5話

連続テレビ小説(朝ドラ)『ひよっこ』
2017年4月7日(金)放送
第1週 第5話「お父ちゃんが帰ってくる!」

『ひよっこ』第1週 第5話 あらすじと見どころ解説

実が奥茨城の谷田部家に帰って来ました。実の帰省を大喜びで迎えた家族らは、美代子の手料理と実が「すずふり亭」で持たされたカツサンドの夕食を楽しみました。初めて食べるカツサンドに感激するみね子たちに、いつか必ず東京に行こうと実は約束します。

その夜、子供たちが寝静まってから実、美代子、そして茂は決して楽とは言えない家計の相談をしました。大人たちの会話で目を覚ましてしまったみね子でしたが、実は一人の大人としてその会話の中にみね子を加えました。

谷田部家の主な収入は米を売ったお金から肥料や農薬の費用を差し引いた分であること。それでは足りず、茂が山の仕事を手伝い美代子も内職をしていること。そして、不作の年にできた借金を返すため実が出稼ぎしていることをみね子は初めて聞かされました。

一家の家計の相談に加えてもらい大人の一員として認められたみね子はそのことを心から嬉しく思います。そして迎えた稲刈りの日。みね子が早朝に家を出ると、すでに茂たちが稲刈りの準備をはじめているのでした。

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midokoro
みね子ちゃんが大人の階段の最初の小さな一歩を踏み出します。

大人のリアルの会話に加わることが許されるみね子ちゃん。その時は、大人の一員になったことを誇らしく感じるみね子ちゃんでしたが、その後に大人のリアルの渦中に放り込まれることになるとは・・・

『ひよっこ』第1週 第5話 今回の時代背景解説と事前発表あらすじレビュー

子供たちが寝静まってからの大人だけのお金の算段。米の不作の時にはからずも出来てしまった借金の返済。農業を営んでゆくのに必要となる諸経費。そして生活費。

自営業である専業農家の家計は、サラリーマン家庭のそれとは異なりお金のやりくりは一ヶ月の中で考えるのでなく、一年二年あるいはそれ以上のスパンで考える必要があります。

しかも出て行くお金だけははっきり見えていても、入って来るお金の額は不確かです。

十分に大人になったサラリーマンでさえも音を上げかねない専業農家のお金のやりくり。谷田部家のお金の話はそんなシビア極まりない世界のものだということを心して観ようと思います。

話が前後しますが、実お父ちゃんのみやげ話は「すずふり亭」の話題です。

「すずふり亭」の人々がどれほど親切だったかを語り、いつか家族みんなで美味しい洋食を食べに行きたいと抱負を述べます。

その日が必ずドラマの中で描かれるものと思われますが、家族がみんなお揃いで「すずふり亭」で食事をするその場面。涙腺決壊の準備が必要になるかもです。

「すずふり亭」で谷田部家が揃う日はいつのことになるのでしょうか・・・

『ひよっこ』第1週 第5話 観賞後の感想

「この夜のことを忘れません」は初フラグ?

みね子ちゃんの表情の一つひとつがキラキラと輝いている回でした。そして、何故これほどまでに輝いた表情をドラマの中で見せたのか。その意図を考えてみました。

今回はいい表情がいっぱいありました。

お父ちゃんが東京で買ってきてくれたピカピカの靴が嬉しくて嬉しくてニコニコせずにはいられないみね子ちゃんの表情。

進くんの壊れた靴をもっとひどい状態にしたことを、ちよ子ちゃんに(脚色つきで)お父ちゃんに告げられツノをはやした時の眉毛ピクピク顔。

それでも懲りないちよ子ちゃんに対して、ついに真剣に怒った時の顔。

カツサンドを頬張る時のモゴモゴ顔はまるでリス。

笑った顔、怒った顔。これでもかというくらいにいい表情を見せてくれましたが、これら豊かな表情の数々はみね子ちゃんの少女時代に一区切りつける意味合いがあったと考えるのはうがち過ぎでしょうか。

様々な表情を見せてくれたその日の夜遅く。「みね子はもう大人だから一緒に入れ」とお父ちゃんに言われて参加した谷田部家の決して楽ではない家計の相談。

この夜遅くの場面。みね子ちゃんが少女時代に別れを告げ、大人の第一歩を踏み出した瞬間だったような気がします。

第一歩とまでは言わないまでも少なくとも大人の階段を見上げる位置には立ったかと。

そしてそれに続くみね子ちゃんの語り。

「お父さん、この夜のことを忘れません」

前回まで現在の心境を語っていたはずのみね子ちゃんの語りが、今回になって少しだけ未来のみね子ちゃんが過去を回想するような語りに変化していました。

しかも、楽しかった少女時代の日々を懐かしむような憂いを帯びた語り口で・・・

みね子ちゃんのこの語りが、少女時代に別れを告げたことを暗示しているような気がしてなりません。

そしてこのみね子ちゃんの語りはまた、ドラマの中で初めて立ったこの先で起こる悲劇のフラグの一つだったような気もしています。

今回のドラマの中で描かれた家族だんらんのひと時が、失われた懐かしい思い出の一コマになってしまうような悲しいことがこれから起こることを怖いくらいに暗示していました。

次週のおおまかな展開は知っていますが、知っていてもなお次週からはじまる悲しい展開が不安でなりません。

今回たくさん見せてもらえたみね子ちゃんの輝く表情の一つひとつが急に懐かしさを帯びてきました。奥茨城での楽しかった日々は次回あたりが見納めでしょうか。

お父ちゃんとみね子ちゃんの純情

現代を舞台にしたドラマで繰り返し描かれてきた父娘の確執。

不器用な父親が不器用なりに自分の気持ちを伝えようと買ってきた贈り物を、娘がこんなダサいもの要らないと突き返すよくありがちな場面。

そんなステレオタイプで乾ききった父娘関係に飽き飽きしていた僕の眼に、昭和の父娘関係がとてもみずみずしく新鮮に映りました。

「まだ、しまっとこ。もったいないからまだ履かない。卒業式にキレイな靴で行きたい」

靴がもったいないというより、靴を買ってくれたお父ちゃんの気持ちがもったいなくて、その気持ちを卒業式という晴れの舞台で受け止めようと考えるみね子ちゃんがまぶしいほどでした。

高校に行かせてもらえたことを「このご恩をどう返したらいいのか」とみね子ちゃんが素直に言ってのけるところも涙腺があぶないことになりました。

親が子供のことを思い、その親心を子供が素直に感謝する。

お父ちゃんとみね子ちゃんの素直な親子の情愛に、茨城の耳に優しいお国言葉が純朴さを添え目にも耳にも心にも心地よい場面でした。

昨今の映画やドラマの中では絶滅寸前となっている、素直に気持ちを通い合わせるすがすがしい親子の姿に、朝から心が洗われるようでした。

こんな「純情」を、せめて一年に一度くらいは味わいたいものです。

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8 Responses to “実が奥茨城に帰って来る / ひよっこ 第5話”

  1. えびすこ より:

    今茨城県に住む人が進学や就職で東京へ転居する、あるいは旅行で足を運ぶことを「上京」とは言わないのでは?東京に近い県南部の土浦や取手の人の場合は通勤・通学圏内ですね。
    昭和39年はまだ常磐線と千代田線の乗り入れがない時代ですね。ちなみに千代田線の常磐線茨城県内への乗り入れが実現するのは昭和57年です。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      交通の便が良くなった現在、上京という言葉を使う地域も限られているでしょうね。

  2. もんすけ より:

    昨日の回で、朝蔵さんがお書きになっていた「田舎のよさを出さんがために、東京を無味乾燥に書いてしまいがちだが、今回は違う」や「ステレオタイプに乾ききった父娘関係に飽き飽き」に心より賛同します。

    (悪い意味ではなく)劇的な展開のために、やや過激で誇大表現になりすぎた親子関係を描くシーンの登場する作品が続いていたからかもしれません。
    乾いた地面に沁み渡るような慈雨のように、みね子ちゃん一家の何気ない会話一つひとつに温かさを感じ、目頭が熱くなるのを抑えることができません。
    これはノスタルジーなのか、歳なのか…。
    こんな作品をずっと待っていたように感じています。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      朝ドラの親子関係の描写はまだ耐えられる範囲内なのと、朝ドラの親子確執はけっこう好きなのですが、民法のドラマの中に出てくるそれは見ていてつらいものがあります。(だから最近は滅多に観なくなってしまいました)

  3. 米粉 より:

    マッチ箱!
    最近、お店で配られることがほとんどなくなりましたね。
    私が最近もらったのは、10年前に房総半島の旅に出かけた時にランチで立ち寄ったいけす料理屋のものでした。
    タバコは吸いませんが、カラフルな魚のイラストが気に入って、もらっちゃいました(笑)
    今でも我が家にあって、それを見るたびに旅の思い出が甦ります。

    すずふり亭のマッチ箱。
    懐かしいタッチの絵ですね。
    このマッチ箱が、みね子さんの将来につながることになるんですね…。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      昔はマッチ箱が飲食店なんかの宣伝媒体だったのでデザインも凝ったものが多かったですね。子供の頃、空いたマッチ箱を親からもらって集めていたことを思い出しました。

  4. よるは去った より:

    みね子「じいちゃん、まさか奥茨城銀座・・・・・?」 「〇〇銀座」なんて繁華街名は私の地元にもあったけど。「銀ブラ」なんて言葉が使われていたのもあの時代なのかな?

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      銀ブラは『花子とアン』の花ちゃんの時代から使われていたらしいです。『花子とアン』の時に調べたので記憶していました。前作『べっぴんさん』の時も、そして現代も。銀座は不動のブランドですね。

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