大晦日の最終バスを待つ / ひよっこ 第19話

連続テレビ小説(朝ドラ)『ひよっこ』
2017年4月24日(月)放送
第4週 第19話「旅立ちのとき」

『ひよっこ』第4週 第19話 あらすじと見どころ解説

昭和39年(1964年)の暮れ。実からの仕送りがなくなり谷田部家の家計は火の車でした。そのことを察した君子は、助けになればと美代子にお金を渡そうとするものの、美代子は受け取ることを遠慮しました。

しかし君子も美代子を助けることを諦めはしませんでした。お金を受け取らないのなら品物を贈ろうと考えた君子は、大量の品々をお歳暮として持参して再び谷田部家にやってきました。君子の気づかいを美代子は心から感謝します。

そんな中、大晦日を迎えました。正月には帰ってくると言った父の言葉を信じ、みね子、ちよ子、進の三人は奥茨城村のバス停で実の到着を待ちました。しかし、その大晦日の最終バスに実の姿はありませんでした。

そして迎えた昭和40年(1965年)元旦。みね子はちよ子と進にも自分が東京で働く決意を固めたことを告げました。気丈に振る舞っていたみね子でしたが、その夜になってみね子は美代子の胸の中で初めて涙を流すのでした。

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midokoro
実直な性格の実お父ちゃんがまったく連絡をよこさないままでいるはずがない。正月にはお土産を持って奥茨城に帰ってくるはずだ。

谷田部家の家族は誰もがそう信じていたに違いありません。

しかしその期待は裏切られ、昭和40年の新年を家族揃って迎えたいというみね子ちゃんたちの願いがかなうことはありませんでした。

『ひよっこ』第4週 第19話 今回の時代背景解説と事前発表あらすじレビュー

もともとは東京で就職するつもりなどさらさらなく、奥茨城で実家の農業を手伝いながら妹や弟の面倒を見て、それなりの年齢になったら村に住む男の人と結婚する。

おそらくみね子ちゃんがこれまで考えていたライフプランはざっくり言うとこんなところではなかったかと思います。

しかし、そのプランは消えてなくなりました。人生の一大転機です。

ところで他の朝ドラヒロインは人生の一大転機をどのタイミングで迎えているのか。当ブログでレビューしたことのある朝ドラヒロインの人生の転機のうち、強く印象に残っている場面とそのタイミングをまとめてみました。

▼ちりとてちん
喜代美ちゃんの転機は、大嫌いな自分を変えようと故郷の小浜を出発した時でしょうか。ちなみに小浜を発つ場面が描かれたのは第2週の土曜日。和久井映見さん演じるお母ちゃんが五木ひろしの『ふるさと』を熱唱しながら娘を見送る名場面が今も忘れられません。

▼あまちゃん
アキちゃんが過去の自分を海の中に沈め、海女になりたいと宣言したのは第1週の土曜日の回でした。初週で早くも訪れた転機。ロケットスタートが話題になりました。

▼ごちそうさん
め以子と悠太郎の結婚が決まり、汽車の中から「18年間ごちそうさまでした!」と言って両親に別れを告げた第5週の土曜日の回。そして、その翌週からはじまった和枝姉さんの激烈なイケズの日々。上の二作より遅い転機でしたが、環境の変わりっぷりは最大級でした。

▼まれ
お父ちゃんの失踪という『ひよっこ』との共通点を持つ本作。まれちゃんが故郷の能登を離れると宣言したのは第7週の月曜日の回。子供の頃から憧れつづけ、ようやく就いた公務員の道を捨てての決断でした。

▼あさが来た
あさちゃんの生涯を決定づけたのは新次郎さんとの結婚でした。加野屋に嫁いだことで商売の道が開け、新次郎さんの深い理解と支えがあったからあさちゃんは自分の大好きな道を進むことができました。新次郎さんとのそんな運命の出会いは第1週の第1回。ぶっちぎりの最速記録です。

『ひよっこ』第4週 第19話 観賞後の感想

「お金でなく気持ちの品ですから受け取っていただきます」

宗男おじさんが単なる変なおじさんではなかったように、君子さんもまた単なる天然キャラのお母ちゃんではありませんでした。

親友の家計が大変なことになっているのを、君子さんは親友として放ってはおけませんでした。でも美代子さんもまたお金を持ってきた君子さんが親友だからこそ、そのお金を受け取るわけにはゆきませんでした。

美代子さんの親友を思う気持ちはよく理解できた。でもやっぱり親友だからこそ助けないわけにはゆかない。そしてお歳暮なら親友といえども断るわけにはゆかないだろう。

そしてお互いに親友を大事にする気持ちが通じあった瞬間の美代子さんと君子さんの晴れやかな笑い声。そして笑顔。

このお二人を観ているといつも思うことがあります。

できることならみね子ちゃんと時子ちゃんも最後までこんな関係であってほしい、と。

朝ドラヒロインに親友がいると、その子は夢が破れて挫折することが少なくありません。『ちりとてちん』のA子ちゃんしかり。『あまちゃん』のユイちゃんしかり。そして『まれ』の一子ちゃんしかり。

そんなパターンがあるので時子ちゃんのことが心配なのです。そしてヒロインと親友との関係にヒビが入ってしまうことも。

みね子ちゃんと時子ちゃんの関係が、美代子さんと君子さんの関係のように、いつまでも気のおけない親友どうしでありますように。

「お母ちゃんに言わせたくない。だから自分から言ったんだよ」

前週の土曜日放送回でみね子ちゃんが東京に行く決意を語ったその時、美代子お母ちゃんと茂じいちゃんが気まずそうな表情を一瞬だけ浮かべたような気がしていました。

これは僕の憶測ですが、美代子お母ちゃんも茂じいちゃんも仕送りが途切れてしまった今となってはみね子ちゃんに働きに出てもらうしかないと考えていたのだと思います。

実際、美代子お母ちゃんは今回はっきりとそう考えたことを口にしました。「お母ちゃんからみね子にお願いすべきだった。頭の中で思ったよ、この家を守るには・・・」と。

茂じいちゃんもきっと同じことを考えていたのでしょう。そして美代子お母ちゃんと茂じいちゃんはお互いに同じことを考えていることに気づいていたからこそ、そのことを口に出せなかったかと。

いわゆる暗黙の了解というやつでしょうか。

そしてもしかするとそんな家庭内の空気をみね子ちゃんも敏感に感じ取っていたのかも知れません。だから、みね子ちゃんが自ら口にしたように、そのことを「お母ちゃんに言わせたくない。だから自分から言ったんだよ」

わずか17歳にしてこの気づかい。この優しさ。

母親として一番つらいことをお母ちゃんには言わせたくないと考えたのか。それとも、お母ちゃんに頼られでもしてしまったら、お母ちゃんがお母ちゃんでなくなると思ったのか。

お母ちゃんを大事に思う気持ち。お母ちゃんにはいつまでも頼れるお母ちゃんであってほしいと願う娘ごころ。

週のはじまりの月曜日早々、朝から泣かされました。

追記:「お父ちゃんをは東京で迷子になった。見つけて来るしかなかっぺ?」
お父ちゃんが失踪したことがちよ子ちゃんに知られてしまい、いずれ進くんにもその事実を知らさなければならない。でも、どのタイミングでどんな言葉で伝えたらいいのか。

美代子お母ちゃんが案じていたことも、みね子ちゃんが代弁しましたね。

「迷子になった」というとっても上手な言葉を選んだ上に「見つけて来るしかなかっぺ?」と軽い表現で進くんにいたずらに心配をかけまいとする表現をつかって。

そしてちよ子ちゃんと進くんにお年玉まで贈る。みね子ちゃんが大人になった瞬間を見たような気がしました。

参考『愛と死をみつめて』

ドラマの中で語られた『愛と死をみつめて』は昭和39年(1964年)9月19日に公開された実在の映画。浜田光夫さんと吉永小百合さんの共演作。みね子ちゃんが「悲しい映画」と言っていた通り病気で死別する10代の恋人の悲恋を描いた作品です。

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9 Responses to “大晦日の最終バスを待つ / ひよっこ 第19話”

  1. えびすこ より:

    昭和40年元日の居間の場面。みね子は着物を着ていたんですが、振袖ではないように見えました。あれはお母さんのお下がりかな?
    今作の中心時期となる昭和40年代にいよいよ突入です。朝ドラで番組の全回数の過半数が昭和40年代になると7年前のゲゲゲの女房以来ですね。思えばあの番組も実話ですが「超高速結婚」でした。
    最近は「昭和40年代」は主人公の老年期・晩年に当たることが多かったのですが、今作では主人公らの青春時代です。
    前作だと主人公の子供世代の青春時代なので誰かとのコラボがあるのでは?

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      昭和40年代といえば茨城県も学園都市の建設など大きく変わった頃なので、物語後半には奥茨城村の風景もずいぶんと変わったものになっているかもしれませんね。

  2. ア※ラッキー より:

    訂正のお知らせです(笑)ウキペディアで調べてみたらもうこの曲はあったんですね(泣)それも2種類あるそうですね(泣)私の心のBGMは「新・新日本紀行」だったんです。確か、月曜日の夜8時に放送されてましたよね。亡くなった祖父母とこちらと相撲を観ていました。

  3. ア※ラッキー より:

    とうとう、昭和40年に突入ですね。私自身商売の家に育った為、農家の皆さんの苦労は知りません。土曜日の放送の後半から今日の放送の私の心のBGMは、「新日本紀行」です。ご存知ですよね・・・?あの故冨田勲さんの名曲。もちろん、まだ、この曲は誕生してませんが、う~んまた聞きたくなっちゃいました。早速YouTubeで探して聴こうかしら(笑)

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      冨田勲さんの「新日本紀行」よく知ってますよ。サザンオールスターズがデビューする前のことだったか、映画監督の森田芳光氏が茅ヶ崎をテーマにした映画で「新日本紀行」を使っていたので、僕の中で茅ヶ崎というとサザンよりも「新日本紀行」です(笑)

  4. よるは去った より:

    みね子「お母ちゃん・・・・・・お父ちゃん帰ってこなかったね・・・・・・。」 妹や弟の前では気丈に振る舞っても・・・・・・ですね。改めて実父ちゃんWhere are you ? です。一家で餅をつく光景。現代の日本でやっている家庭がどれだけあるか・・・・・・かくいう私も餅つきの杵を握ったのは幼稚園のイベントでぐらいですね。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      僕が生まれてはじめて杵を握ったのは二十歳を過ぎてから。つきたてのお餅もその時に初めて体験しました。一方、北関東の某県で両親と暮らす僕の知り合いの家では、今でも年末に餅つきして正月を迎えるのが当たり前だそうです。

  5. たくみ より:

    「ひよっこ」のフェイクニュース(嘘ニュース)

    今回の朝ドラ「ひよっこ」は、朝ドラ「あまちゃん」の過去世ドラマなんだよ。
    今日なんか、村から出ていこうしてバスに乗っても出ていかれないユイちゃん(=ちよ子ちゃん)のエピソードがあったしね。
    春子ちゃん(=みね子ちゃん)は、夏ばっぱ(=鈴子)に、なんだかんだあったあとに、よっやく再会するんだってよ。ドラマ上は、まだ先だけど。
    アキちゃん(=時子ちゃん)は、アイドル(=女優)を目指して、上京するんだから。

    ここだけどの話だけど、
    スピンオフでは、この転生物語をするってよ!
    そうなると、朝ドラ始まって以来のSFドラマになるよね。
    ちよ子ちゃんは、転生して、ユイちゃんになる。
    みね子ちゃんは、転生して、春子ちゃんになる。
    時子ちゃんは、転生して、アキちゃんになる。
    鈴子は、転生して、夏ばっぱになる。
    みね子ちゃんと時子ちゃんは幼なじみだけど、転生して、母と娘になる。
    あれ?
    夏ばっぱと鈴子は、明らかにダブっていますよね。
    しょうがない、パラレルワールドものにしよう!

    以上、私の妄想でした。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      『ひよっこ』は十何年間のお話になるそうなので結末近くで昭和50年代前半です。ちょうどその頃、昭和53年に鈴鹿ひろ美が映画『野生の証明』でスクリーンデビューを果たし、過去世と現世がそこで一つになる・・・妄想の続きです(笑)

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