昭和40年元旦、実帰らず / ひよっこ 第20話

連続テレビ小説(朝ドラ)『ひよっこ』
2017年4月25日(火)放送
第4週 第20話「旅立ちのとき」

『ひよっこ』第4週 第20話 あらすじと見どころ解説

昭和40年(1965年)の正月を迎えたものの、ついに実は帰って来ませんでした。みね子は東京で就職することを決意。年始のあいさつに谷田部家にやって来た宗男は、自分の人生を生きることも忘れるなとみね子を励ましました。

冬休みが終わり三学期が始まりました。みね子は時子と三男にも東京に行くことを告げるものの、みね子の決意に対して時子と三男は顔を見合わせるばかりで返す言葉がありません。何故ならその頃には就職活動の時期はとうに終わっていたからです。

就職活動がすべて終わっていることなど考えもしていなかったみね子は担任の田神に相談しました。時子と三男が案じた通りすでに就職先の枠はすべて埋まっていました。特にその年は追加募集もありませんでした。

そんな中、田神はみね子のために就職先を見つけようと方々に電話をかけて問い合わせてくれました。一方、時子は自分の就職先をみね子に譲ると申し出るもののみね子はそれを固辞します。みね子は自分の考えの甘さに呆然とするのでした。

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midokoro
今回のお話に登場するエピソードで、ブログ主がもっとも期待しているのは、みね子ちゃんたちが通う高校の学級担任・田神先生の活躍です。

詳しくは見てのお楽しみとしますが、田神先生の生徒思いの熱いハートに涙腺がはげしく攻撃されそうな予感がします。

『ひよっこ』第4週 第20話 今回の時代背景解説と事前発表あらすじレビュー

「こんな人が身近にいてくれたらな」と思わずにはいられない素敵な人物が朝ドラによく出てきますが田神先生はその一人になるかも知れません。

ところで「こんな人が身近にいてくれたらな」と思うような良い人キャラは、人物造形を誤ると、そもそもこんな人は世の中にはいないよと言いたくなるような、薄っぺらでリアリティがないキャラになりがちです。

ブログ主は作劇のプロではないので、良い人キャラの成否を分ける要素はこれだ!と特定することは出来ませんが、良い人キャラの成否の目利きはできるつもりです。

そして、今回のお話の中で活躍する田神先生は間違いなく良い人キャラの成功パターン。

「こんな人が身近にいてくれたらな」と思わずにはいられない。出来たら最後まで登場し続けて欲しい。それが叶わなくても、結末までにもう一度だけ再会させて欲しい。田神先生はそんな人物です。

ところで、民放のテレビドラマの多くが視聴率の低迷に苦しむ中にあって、朝ドラだけが快走を続ける理由が様々な角度から分析され語られています。

民放のテレビドラマと朝ドラの明暗を分ける要素がどこにあるのか、残念ながらブログ主はわかりません。

しかし、ブログ主の視点から見た、朝ドラにはあって民放のテレビドラマにはない魅力。そのうちの一つは「こんな人が身近にいてくれたらな」と思うような良い人キャラの存在がいるかいないかという点です。

『ひよっこ』第4週 第20話 観賞後の感想

宗男おじさんのもう一つの顔

「(自分は)つまんない人なんだね」というみね子ちゃんに対する宗男おじさんの返答。

「つまんない人間なんてどこにもいない。くだらないこと言うな!」

ずっと気になっている宗男おじさんのもう一つの顔が見え隠れするような言葉が、宗男おじさんの口からまた出ました。

ちなみに前回の宗男おじさんの深い言葉は、大事な人を奪ってしまう東京が嫌いになってきたと言うみね子ちゃんに対して「人が住んでいるところならきっといいところに違いない」と言う意味の言葉でした。

今回の「つまらない人間なんていない」発言。前回の「人が住んでいるのならいいところ」発言。共通するのは人には誰にも価値があるということです。

しかも人には誰にも価値があると半ばムキになって考えているフシがある。

前回の「人が住んでいる」発言の際、宗男おじさんはこうも言いました。自分は笑って生きることに決めたのだと。その直後に見えた背中の大きな火傷のあと。そして戦地から戻って来てから人が変わったという事実。本当は内向的でおとなしい性格だったとか。

宗男おじさん、もしかすると戦地でかなりつらく苦しい体験を強いられたのかも知れません。そんな環境の中で自分が無価値だと考えざるを得なかった。

そして自分は無価値だとドン底に落ちた時、すべてには価値がある。ムキになってそんな風に考えるクセがついたのかな?

今回の宗男おじさんの言葉を聞いてそんなふうに考えてみました。

一方、中年の宗男おじさんがまだ若いみね子ちゃんよりも自由を強烈に求めるのもまた、戦争の体験が影響しているような気がします。

年齢から言うと、宗男おじさんと『ごちそうさん』ヒロインの長男・泰介くんは同年代くらいでしょうか。

泰介くんは高校時代、こよなく愛する野球を思う存分にすることが出来ませんでした。

夢を自由に選択出来なくなり半ば奪われたに等しい青春時代。あの時、悔しい思いをかみしめた泰介くんが40歳くらいになれば、きっと自由を強烈に望むはず。

宗男おじさんもそれに近いのかも知れません。

「ふざけんなっ!」

「ふざけんなっ!」

教え子の将来のことを心から真剣に考えている田神先生の熱い教員魂に朝から心が震えました。田神先生は教師の鏡ですね。

就職活動シーズンが終わったことを初めて知り「何でもいいから仕事を紹介してほしい。どんな仕事でもすっから」と食い下がるみね子ちゃんに放った言葉が熱すぎてヤケドしそうなほどです。

「ふざけんなっ!そんなわけゆくかっ!お前は先生の大切な教え子だ。いい加減な仕事は紹介できない。なんでもいいというな!」

バスの車掌さんをつとめる次郎さんの自分の職業への愛情や誇りにもグッと来ましたが、田神先生の自分の職業へのプライドもまた素晴らしい。

本作『ひよっこ』は、登場人物一人ひとりの心の優しさが観る者の心に沁みて来ますが、登場人物たちの自分の職業への深い愛情もまた心に沁みますね。

そういえばいつぞや茂じいちゃんがみね子ちゃんにこんなことを言いました。

働くことが好きなら生きていける。みね子ちゃんは働くことが大好きだと言いましたが、働くことが好きとは言い換えるなら自分の職業への愛情です。

今回、宗男おじさんとの会話の中でみね子ちゃんが言った言葉「やることが目の前にあって一生懸命にやるのが好き。それを不自由とは思わない」と言うのも職業への愛情に通じる言葉かと思います。

昨今、目の前の職業に愛情を注ぐどころか、目の前の職業よりも自由が価値あるものなのだと主張する人を時折目にしますが、みね子ちゃんの言葉や考え方はそんな昨今の価値観への問いかけかも知れません。

そして、バスの車掌さんの次郎さん。高校の学級担任・田神先生。茂じいちゃん。そしてみね子ちゃんの姿を通して思いました。

『ひよっこ』の裏テーマは自分の職業への誇りと愛情かも知れませんね。

【祝】愛子さん初登場

今日は朝からワクワクしっぱなしです。『ひよっこ』の中で一番楽しみにしていた向島電機の愛子さんがまさかの登場をしたからです。

愛子さんと毎朝会える日々が今から楽しみでなりません。

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19 Responses to “昭和40年元旦、実帰らず / ひよっこ 第20話”

  1. 安ママ より:

    視聴率がどうのとかかまびすしいですが、私はこのドラマは珠玉の作品になるに違いないと、今から思っています。
    だって、登場人物の一人一人がすごく丁寧に、魅力たっぷりに描かれていますもん。宗男さんしかり、田神先生しかり。
    次郎さんもですが、脇を固める人がいい人ばかりで皆にノックアウトされてます。
    美代子さんと君子さんの友情にも泣かされましたが、今日のみね子と時子ちゃんも、同じようにお互いを大事に思い合って、いいもの見せてもらいました。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      作品の質と視聴率は必ずしも比例するわけではありませんからね。僕も『ひよっこ』は朝ドラの名作の一つに数えられる作品だと確信しています。

  2. まーちゃん より:

    朝蔵様は和久井映見さんのファンだったのですね^^ワクワクして登場を待ってらしたとは(ワクイだけに…)年を経ても変わらない可愛らしさと温かみを感じさせる素敵な女優さんですね。ちょっと鼻にかかった声が私的にはツボです。デビューが歌手だったということを知らない方も多いでしょうが^^;

    向島電機の愛子さん、ちゃんと電話口で「いばらき県」と発音していました^^Vこういう方の所なら田神先生も安心して大切な教え子を預けられるというものですね^^

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      『ちりとてちん』の糸子お母ちゃんに心を奪われました。ヒロインが故郷を発つ際の五木ひろし『故郷』熱唱場面はいまだに忘れられません。

  3. リッキー より:

    今日25日は まさにポール・マッカートニーの武道館コンサートの日です。奥茨城と武道館がリアルに繋がった、奇跡のコラボですね。(狙ってた?)

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      そこにまったく気がつきませんでした。偶然なんでしょうがまるで狙ったみたいですね。

      • リッキー より:

        ちなみに宗男おじさんは、みぞおち辺りで手首だけ振っているのでジョン・レノンのスタイルです。

        • 朝蔵(あさぞう) より:

          ひそかにネタが仕込んであったんですね。あのカブトムシには(笑)

  4. ゆうのしん より:

    おはようございます。今日は余談です、田神先生役の津田寛治さん 時子ちゃんの母親役の羽田美智子さん 以前 フジテレビ系列のドラマ 花嫁のれん で 夫婦役で共演されていました 今回 再共演ということで 現在 二人の絡みは無いですが、現場では息はぴったりかもしれないですね 津田さんは あちこちのドラマに脇役で出演される いわずと知れたバイプレイヤーですね ではまた!

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      『花嫁のれん』のご主人役だったんですか!どこかで見た記憶があったものの思い出せずにいました。ありがとうございます。

  5. もんすけ より:

    「つまんない人間なんていうな」と、宗男おじさん。
    「なんでもいい仕事を大事な生徒に紹介できない」と、田神先生。
    先週の団長・太郎兄ちゃんに続いて、本質的な所をきちんと叱ってくれる大人たち。まさに「ひよっこ」の成長に不可欠な方たちばかりですね。
    朝蔵さんのおっしゃる【こんな人が身近にいてくれたらな】の大人たちが、学校の先生だったり、叔父さんや兄弟など、どこにでもいる【普通の大人】なのが嬉しく、なんとも心に温かさが染み入ります。

    宗男おじさん登場の折、バイクの後ろにはためいていた国旗は、ビートルズの影響だったのですね!
    戦争経験者の紹介に引っ張られ、国旗に悲しい印象を持っていたのですが、なんだか少しホッとしました。
    「この辺りには、(ビートルズの)話をできる者がいない」の宗男おじさん、お気持ちわかる、わかる。
    「ここには朝ドラの話を共有できる人がいる。」本当に有難いことです。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      本質的な所をきちんと叱ってくれる大人たち・・・大人が名実ともに大人だった時代ですね。自分も年齢だけは大人ですが、こんな大人になりたいと心から願っています。

  6. ひるたま より:

    「おめえは先生の大切な教え子だ」
    「何でもいいとがどんな仕事でもいいとが…そんな仕事をおめえに紹介するわげにはいかねえんだよ」

    田神先生、本当に「愛ある」先生ですね!

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      田神先生、本当に素敵です。昭和親父ギャグだけの人ではありませんでしたね。

  7. えびすこ より:

    今の高校生の就職の段取りはわかりませんが、1月の時点で「家庭の事情により」就職する必要に迫られたとなると、あの当時も枠を探すのは厳しいでしょうね。
    番組だと「集団就職の枠を充てる」ようなので、集団就職はある学校の生徒のグループ一括(それぞれ就職先は違いますが)なので、会社別に個人で求人を探す方式とは違いますね。
    39年秋の時点では進路希望が「家業の手伝い(農業)」の見込みだったと思うので、三男・時子もみね子が家業を手伝うとばかり思っていたのでは?
    今と違い地域的な事情もありますが、あの当時はフリーターとして当面アルバイトで家計の危機を凌ぐ(東京とは違いそういう概念がまだない?)のは難しいですね。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      当時、地方と東京とでは、もらえる給料の額に雲泥の差があったみたいですね。だから地元に働き口があったとしても、家計を支えるためには東京に出て行かざるを得なかったみたいです。

  8. よるは去った より:

    みね子「カブトムシたち・・・・・・何かかわいい。」宗男「何相談してんだおめえ・・・・・。」みね子ちゃんが想像したビートルズの図を見て爆笑した人いるかな?

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