時子と豊子がケンカする / ひよっこ 第29話

連続テレビ小説(朝ドラ)『ひよっこ』
2017年5月5日(金)放送
第5週 第29話「乙女たち、ご安全に!」

『ひよっこ』第5週 第29話 あらすじと見どころ解説

就寝時間となった乙女寮で、時子と豊子が言い争いをはじめました。作業ミスを繰り返すみね子を励ますために時子はわざとミスをした。そのことを豊子が時子に指摘するうちに口論がケンカに発展してしまったのです。

幸子と優子が仲裁に入るものの、頭に血がのぼった時子と豊子は聞く耳を持ちません。一方、ケンカの原因が自分にあると気づいたみね子は、起きたくても眠ったフリをすることしか出来ませんでした。

口論の末、豊子は意外なほど素直に時子の言葉を受け入れることで二人のケンカは収まりました。豊子とのケンカは収まったものの、次いで時子は機を見て目覚めたフリをしたみね子と口論に。その口論もほどなくして収拾がつきました。

この夜の騒動を機にみね子ら女子工員たちはさらにお互いの理解を深めました。翌日、幸子の励ましによりみね子と澄子は仲間たちを信じて作業を行い、ついに一度もベルトコンベアーを止めることなく一日を終えるのでした。

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midokoro
不器用すぎるみね子ちゃんが繰り返す仕事のミスをめぐって、ついに同室の寮生たちの間で争いごとが勃発!

でも安心してください。よくありがちな陰険極まりない、トゲトゲしいケンカにまでは発展しません。

そして仲直りをする中で、また笑いと涙を提供してもらえますよ。

『ひよっこ』第5週 第29話 今回の時代背景解説と事前発表あらすじレビュー

乙女寮の寮生たちのケンカの、そもそもの原因と言えば手先が不器用すぎてミスを連発し流れ作業の支障をきたすみね子ちゃんの仕事ぶりです。

みね子ちゃんの仕事ぶりが火薬ならば、豊子ちゃんの口の利き方は引き金です。

向島電機の四人の新人の中で、一人だけ言葉にちょっとトゲがあって他の三人とはテイストが異なる豊子ちゃんは青森県出身。

中学校を卒業後、集団就職列車に乗って上京しました。(ちなみに上野駅に到着時、豊子ちゃんは愛子さんの天然キャラの被害を被ります)

中学時代は体育以外の成績はすべてが5という出身中学校ではトップの優等生。高校への進学を望んでいたものの、家が貧しく進学を断念したことが心に影を落としています。

奥茨城編、東京編含めて温厚な性格のキャラばかりの本作にあって言葉にトゲのある豊子ちゃんは異色の存在です。

しかし、そんな女の子がどうやって過去の悔しい思い出を克服してゆくのか。

豊子ちゃんの成長の物語は、乙女寮の寮生たちのエピソード中でも一番の見どころの一つになるかも知れませんね。

『ひよっこ』第5週 第29話 観賞後の感想

今回の放送の15分のうち12分はたった一つの場面。しかもたった一つの場所。しかも、ドラマの中で時間のスキップはほぼなくリアルタイムで進みました。

にもかかわらずこの濃密さ。それぞれが心の中に秘めていた悩みがあぶり出され、しかもきれいに回収される。30分か1時間も観つづけているような気さえしました。この作劇の見事さをあらわす言葉が見当たりません。

時子ちゃんの激怒の理由

時子ちゃんが豊子ちゃんに腹を立てたのは、親友のみね子ちゃんをかばうためと言うよりも豊子ちゃんの姿が自分自身の過去の姿に重なってしまうからでした。

自分は特別。こんなところで埋もれるような存在ではない。時子ちゃん、奥茨城にいる頃にそんなことを考えていたとは。

でも振り返ってみれば、そんなところがないこともなかった。特に実家にいるときには。

みね子ちゃんや三男くんと異なり、時子ちゃんだけはいちいち親に口ごたえし反抗的な態度をとることが少なくありませんでした。

その頃、親に対する「ギスギス」した態度は反抗期の一種なんだろうとばかり思っていましたが、自分は特別な存在なんだとアピールするための態度だったわけですね。

三男くんに対する態度も同じことだったのかも知れません。

三男くんが聖火リレー大会を開催しようと思い立ち、放課後の教室に時子ちゃんを呼び出した時のこと。

三男くんは聖火リレーの提案をするつもりで時子ちゃんを呼び出したにもかかわらず、時子ちゃんはその時、あることを期待していました。

そのあることとは三男くんからの告白です。

でも期待しながらも、三男くんの告白を(早とちりして)きっぱりと拒絶。

このとき、時子ちゃんが三男くんからの告白を期待していたのは、告白される自分はやっぱり特別なんだと思いたかったから。

そしてその告白を拒絶してしまえる自分はさらに特別だ。

そんな濃密な「特別感」に、あのときの時子ちゃんは浸りたかったと考えるのはうがち過ぎでしょうか。

このときの一件に限らず、三男くんは時子ちゃんに想いを寄せているにもかかわらず、三男くんの気持ちを袖にするような態度をとり続けていた時子ちゃん。

あの態度も自分は特別、自分はこんなところで埋もれてしまう存在ではないという気持ちのあらわれだったのかも知れません。

時子ちゃん、そんな呪縛からようやく解放されました。

そして時子ちゃんの心の呪縛が解けたのと同時に豊子ちゃんも一皮むけたみたいですね。豊子ちゃん初登場の時は「ヒロインの天敵キャラ」とばかり思っていました。

しかし、今回の騒動の中で一皮向けたことで「ヒロインの天敵キャラ」はなくなったみたいです。ちょっと残念。

追伸:時子ちゃんが豊子ちゃんに言った一言「新しい自分になれるんだよ!」。この言葉はもしかして『ちりとてちん』へのオマージュ?

B子ちゃんがこの言葉をドラマの中で何回口にしたことか・・・

みね子ちゃんがダメな理由

豊子ちゃんのみね子ちゃんに対する指摘はあまりにも正論すぎて聞いていてつらいほどでしたが、正論だからこそみね子ちゃんの抱える問題がはっきりしました。

澄子ちゃんは仕事が遅いだけ。何もかも遅い澄子ちゃんは仕事も遅いが、遅いなりに仕事はできている。できているから慣れてしまえば仕事も早くなる。

それに対してみね子ちゃんはそもそも不器用。仕事ができていない。にもかかわらず早く作業を行おうとするからそれがミスにつながる。

豊子ちゃん、さすが秀才。見事な観察眼です。

でもこの豊子ちゃんの観察眼が結果としてみね子ちゃんを救いました。

焦りさえしなければみね子ちゃんもミスは減らすことは可能だろうと察した幸子ちゃんのはからいにより、みね子ちゃんの作業の遅れを仲間たちでフォロー。

この安心感がみね子ちゃんの作業を安定させ、ついに初のノーミス。

わずかな放送時間の中でここまでキレイに数々の問題が解決されてしまうとは!その作劇の巧みなこと。本作は傑作だとあらためて思いました。

追記:小学校5年でボタンがダラリ、中学校ではエプロンのポケットを裏側につけ、高校時代のマフラー編みは最遅記録。みね子ちゃん、どれだけ不器用なの?(笑)

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13 Responses to “時子と豊子がケンカする / ひよっこ 第29話”

  1. ゆうのしん より:

    今日の放送を見て ますます倒産 皆との別れが 可哀想だと感じました 豊子ちゃんも どうするんでしょうね 

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      別れ、つらすぎます。どこかでみんなを再会させてあげて欲しいですね。

  2. ひるたま より:

    豊子ちゃんの冷静な分析(?)が、寝たふりしているみね子ちゃんの気持ちにグサグサ突き刺さる。
    それに加えて、時子ちゃんの暴露話(?^^;)がまた…視聴者的には笑っちゃった場面ですが、当のみね子ちゃんにとってはトドメ以外の何物でも無かったでしょう。
    時子ちゃん、そこまで暴露する!?(^o^;)

    5人のやり取りにも一切動じずひたすらパカーッと大口を開けて眠り呆けていた澄子ちゃん…そのくせ寝言では
    「おれでねぇです。みね子さんです」
    …ますます、大物感が漂いますね。(^^;)

    「子供じゃないんだ。仕事なんだからさ!」
    「仕事失うわげにはいがねぇんだからさ」
    …みね子ちゃんと時子ちゃんの境遇の違いかな?と感じさせるセリフだったように思いました。

    他の皆様方も仰っている通り、1セット1シーンだけの回だったにも関わらず、今日の回は再見したいと思わせる作りでした…脚本家の力量も大きく関係しているのでしょうね。
    別の作家さんだったら、もっとドロドロ&後味悪くなってしまった可能性もあったかも?

    • ひるたま より:

      続きです。
      「まっいいか。青春だねぇ」
      6人の部屋に立ち入ろうとせずそっと通り過ぎた愛子さん…粋ですね。(^^)

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      > もっとドロドロ&後味悪く

      ヒロインが大きく開いた傷口に塩を塗り込められるような思いをしながら綺麗さっぱり、爽やかな後味で終わらせることができるなんて本当にすごい力量を持った脚本家だと思いました。

  3. あみ より:

    豊子ちゃんを演じる藤野涼子さんと言えば、映画「ソロモンの偽証」で主演し、その時の新人と思えないような存在感が印象に残っていますが、そのあと特に目立った活動をされていなかったので、気になっていた女優さんでした。このたび「ひよっこ」で再会できてとても嬉しいです\(^-^)/
    個人的に、いつか朝ドラで主演して欲しいな~なんて思っています。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      > 主演

      映画で主演を経験しているような実力派なんですね。あれだけの難役をこなしきっている理由がこれでよくわかりました。

  4. もんすけ より:

    「東京にきたんだから、新しい自分になれる!」
    時子ちゃんに言われて、豊子ちゃん心からホッとしたのでしょうね。
    そして、自分の言葉を、自分の耳で聞いた時子ちゃん自身も。

    成績優秀なのに、一生懸命に頑張っていたのに高校に進学できず…。高卒でないことも原因でしょうか、地元の農協や役所にも就職せず、東京へ出てきた豊子ちゃん。
    地元に居れば環境は変わらないけど、東京へ行けば、きっと自分自身を、自分を取り巻く人間関係を変えられるはずという想いが膨らみすぎていて、苦しかったでしょうねぇ。

    ノーミスで仕事を終えられた瞬間、工場内から沸き起こった拍手。
    みね子ちゃんと澄子ちゃんへの労いと励ましでもあったけれど、二人と同じように新人時代を乗り切ってきた女子工員達が、当時の自分を思い出してもいたのかな、と。
    光雄君が聖火リレーを提案した時、村の青年団が決起した瞬間の、何とも言えない高揚感に浸ることができました。
    ちゃんとした大人、ちゃんとした先輩の居た時代…。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      > 苦しかったでしょうねぇ

      豊子ちゃんが浮かべた涙は、故郷での苦しさから救われた嬉し涙だったんでしょうね。きれいな涙でした。

  5. 安ママ より:

    なんていい子たちなんでしょう。ケンカ勃発の瞬間はハラハラしましたけど、落とし所が素晴らしいですね。
    現代においてもこういうケンカなら、どれだけ住みやすい世の中になっていたでしょうか。豊子ちゃんに対してもみね子ちゃんに対しても、時子ちゃんがいい仕事してくれましたねー。株大上昇です。
    1度もコンベアーが止まらずに終了した日、みんなが笑ってくれて、私の心も青空いっぱい広がったそんな爽やかな朝になりました。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      後に何も残さないさっぱりとしたケンカ。心から笑って仲直り。本当に五月晴れのような爽やかな幕切れで、今朝も天気予想は外れて五月晴れです。

  6. すっぱ より:

    いいですね、腹をわって喧嘩したり仲直りしたりできる仲間達。
    青春です。(*^^*)
    寝食を共にする仲間って、今は減りましたが、いいもんですね!

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      後にひかないとっても気持ちの良いケンカでした。これぞ青春ですね。

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