綿引がみね子を訪問する / ひよっこ 第30話

連続テレビ小説(朝ドラ)『ひよっこ』
2017年5月6日(土)放送
第5週 第30話「乙女たち、ご安全に!」

『ひよっこ』第5週 第30話 あらすじと見どころ解説

時子と豊子がケンカした末に女子工員たちの結束が強くなっていたその頃。日本橋のはずれにある小さな米屋に就職した三男は、仲の悪い店主・善三とその娘・さおりの間に立たされて困り果てていました。

一方、みね子たちは東京に来てから初めての休みの日となる日曜日を迎えました。乙女寮の仲間たちは日曜日をどう過ごすのかを話し合う中で、故郷にいた時にそれぞれが抱えていた事情を知りお互いの理解をさらに深めました。

みね子も東京で就職した理由をはじめて打ち明けました。前の年の秋に父が出稼ぎに東京に来たまま行方不明になったこと。だから高校卒業後は、実家で農業の手伝いをすることができなくなり東京に来たことを。

そのとき、部屋の外で乙女寮の寮生たちの黄色い歓声があがりました。みね子に男性の客が訪ねてきたというのです。その客とは赤坂警察署の警官・綿引でした。綿引がみね子を訪ねて来たものの、みね子は目の前にいる青年が何者なのかまだわからないのでした。

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midokoro

乙女寮の寮生たちの間で起こったケンカもあっという間に解決し、またそのケンカがあったおかげでお互いへの理解を深めることが出来ました。

向島電機の新人たち、そして先輩工員たちの人間関係が磐石になったところで、みね子ちゃんたち新人は東京でのはじめての日曜日を迎えます。

『ひよっこ』第5週 第30話 今回の時代背景解説と事前発表あらすじレビュー

お話の流れを出来るだけシンプルに伝えるために、上の欄のあらすじからは実は三男くんのことを省いています。

おそらく第5週の土曜日の回あたりで、三男くんの近況が報告されるものと思われます。

参考までに三男くんが就職したのは東京日本橋のお米屋さん。昔、日本中のどこの商店街にもあったような小さな家族経営のお米屋さんのようです。

そんな小さなお米屋さんがどうしてわざわざ「金の卵」を採用したのか。それには深いワケがありました。いかにも三男くんが巻き込まれそうなワケが・・・

安倍米店の店主は善三さん。娘のさおりちゃんと二人暮し。この父娘がとにかく仲が悪い。安倍家はいつも険悪な空気に包まれています。

善三さんは出来ることなら怖すぎる娘・さおりちゃんと二人きりになりたくない。さおりちゃんとの間に緩衝材のような存在が欲しい。

それが三男くんが採用された理由です。

ところで善三さんが恐れおののくさおりちゃんは三男くんをも震え上がらせます。そんなさおりちゃんですが、ある時期より三男くんをロックオン。

ところでいつも嫁が怖いと言ってボヤいていた宗男おじさんと三男くんの二人、妙に息が合い仲が良かったことを覚えておいででしょうか。

宗男おじさんと似たところのある三男くん、将来は怖い嫁をもらう運命にあるのかも知れませんね。もしそんな運命を歩んでしまったら、時子ちゃんのことはきっぱり諦めてしまうのでしょうか?

三男くんの将来が気になりはじめてきました。

『ひよっこ』第5週 第30話 観賞後の感想

前回に引き続き今回もほぼ乙女寮の一室での密室劇でした。しかもそこで交わされる会話はそれぞれの過去だけで特段のストーリーの展開があるわけではありません。にもかかわらずとっても濃密なドラマを見せてもらったような気がします。

「ここ大好きだ。いつまでもここで働きてえ」

澄子ちゃんは見た目はぼんやりしながらも実は心の中にいろんなものを抱えてたんですね。父親が再婚・・・までは良かった。でも父親の再婚を機に自分が不要になった。

不要とは言いながらも休むことも出来ずに働きつづけていたらしい。

朝早くから夜遅くまで働きづめ。しかも日曜日だからといって休めるわけではない。そこまで働きながらも自分は家の中では不要な存在と感じるその孤独、疎外感。

今回の乙女寮の一室での会話で澄子ちゃんが「オレのこど忘れねえでくれ」と言ったのは、実家にいるときの疎外感がよみがえって来たのかな?

乙女寮に到着したばかりの時のことだったか、荷を解く澄子ちゃんが思い出の詰まっていそうな家族写真を大事そうに眺める場面がありました。

あの写真に写っていたお母ちゃんは、亡くなったお母ちゃんなんでしょうか。

故郷の実家にいる時から乙女寮で家族写真を眺めているあの場面まで、澄子ちゃんの居場所はその家族写真の中にしかありませんでした。

でもようやく見つけることができた自分の居場所。

日曜日には休むことができて、たっぷりと寝ることもできて、そして何よりも自分のことをわかってくれる仲間たちがいる。

「ここ大好きだ。いつまでもここで働きてえ」

澄子ちゃんののんびりしながらも実感のこもったこの言葉が心に沁みました。

そしてのんびりしながらも言うことは言うんですね。豊子ちゃんの勉強をできると幸せと自分の寝ることができる幸せを同列に扱った時のこと。

不満そうな表情を浮かべる豊子ちゃんにしっかりと抗議する澄子ちゃんに、たくましく生き抜いていけそうな力を見たような気がします。

追伸:「デート」という言葉に反応した時の澄子ちゃんの表情が面白すぎ。澄子ちゃん、とってもいい味出してます。

「堂々と勉強できるのが嬉しい」

女が勉強なんかしなくてもいい!

昭和の40年代頃までは(もしかすると現代も?)日本各地で繰り返し言われ続けていたと思われるこの言葉の被害者でした、豊子ちゃんも。

前回、豊子ちゃんは時子ちゃんにするどく指摘されていました。

他者に対していつもギスギスした態度をとっているのは、自分だけは特別な存在だと言いたいからだろうと。

自分だけは特別な存在だと言いたいその気持ち、裏を返せば澄子ちゃんと同じ根の深い疎外感を感じて他のでしょう、豊子ちゃんも。

勉強が大好きなのに親からはそんなことはやらなくていい、働けと言われる。

それでも好きだから勉強する。勉強するから学校の成績も上がる。でも今と違って今と違って女の子の成績の良いことが学友たちに素直に受け入れられたとは思えない。

これが東京などのお嬢さん学校であれば事情は違っていたのでしょう。

お嬢さん学校であれば成績が優秀な豊子ちゃんは憧れの存在。でも、女の子は嫁入りするだけ。だから下手に学問なんかない方がいい。

豊子ちゃんが住んでいた故郷は、きっとそんな価値観が根強く残る地域に違いない。

自分は特別な存在だと突っ張って生きていかなければ自分を見失いかねなかったのか知れません。豊子ちゃんの「ギスギス」のその裏にある孤独が見えてきました。

それにしても豊子ちゃん、一気に大人になりましたね。

澄子ちゃんが「オレの寝る幸せと一緒」と澄子ちゃんからまさかの比較をされても、それをとりあえずは受け入れる度量が出来てきました。

これが一昨日以前だったら自分と一緒にするなといきり立っていたかも知れません。

追伸:「こんな明るい部屋で本を広げて、堂々と勉強できるのが嬉しい」勉強できる環境に喜ぶ豊子ちゃん。『あさが来た』で、加野屋さんに嫁いで好きなだけ本を読むことができるようになった頃のあさちゃんを思い出しました。

三男くんの受難

実家にいるときはいつもお母ちゃんとお兄ちゃんに怒鳴られっぱなし。高校に登校するときには遅れているのはみね子ちゃんと時子ちゃんなのに、何故だかいつも三男くんが車掌の次郎さんに「ごじゃっぺ!」と怒鳴られる。

どうやら怒鳴られキャラのポジションにあるらしい三男くんが、またしても怒鳴られっぱなしなのが気の毒だけれど笑えます。

とりわけさおりちゃんの怒鳴るときの顔。かわいい顔を一瞬にしておっかない顔に変わるあの変化のはやさがすごい!

安倍米店物語、楽しみがまた一つ増えました。

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コメント

  1. tonko より:

    東京編に移り、私の中でのヒロインが
    “愛子さん”になりました(o⌒∇⌒o)
    愛子さん可愛すぎ♪歌う場面も出てきて嬉しいです♪

    みね子と同室の6人
    個性も境遇もバラバラ…でも、だからこそ
    観ている側が共感できる娘がいるのかな

    それにしてもオープニングの方言指導の方達が多い(笑

    この時代の話は、朝ドラでは珍しいですよね?
    戦前戦後、現代が多いので
    活気ある東京の雰囲気が、逆に目新しいです

    今作は、元子役の俳優さんが多く
    「大きくなったなぁー」と
    親戚のおばちゃん化してる自分がいます
    楽しいやら、切ないやら、です…

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      月曜日放送回。綿引くんに疑いの眼差しを向ける愛子さんを見て思い出しました。『ちりとてちん』で糸子お母ちゃんが草若師匠と草々に初めて会ったとき。礼を述べながら警戒感全開だった絶妙なお芝居を(笑)

  2. すっぱ より:

    向島電機、倒産してしまうんですね!
    乙女寮の面々も、それで離れ離れになってしまうとは。。。哀しい。(;_;)
    今からその展開を想像すると、哀しいです。と同時に、そんな展開も、どうなるんだろうと今から楽しみです。

    それにしても、「乙女寮」って、ベッタベタなネーミングですね(笑)
    愛子さんによくお似合いです(笑)

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      「乙女寮」のネーミング。考案者は案外、愛子さんかも知れませんね(笑)

  3. ひるたま より:

    「女が勉強なんて…」
    さすがに平成の時代では殆ど無いように思われますが…。

    現代では母親自身が四年制大学を卒業しているケースはさほど珍しくなく、娘を四年制大学に進学させることに対する心理的ハードルも昭和の時代よりは遥かに低くなっているかと思われます。
    (経済面に関してはその限りでない事が些か残念ですが…)
    男女を問わずいつ何が起きるか分からない現代、女性も「手に職」ならぬ学歴を持つに越した事は無いかと、個人的には考えています。(^^;)
    私自身は大阪万博の前年に生まれ、昭和最後の頃に大学受験を経験しましたが…地方でそこそこの「進学校」と見做されている高校でも、短期大学に進学していた女子の同級生はチラホラいた時代でした。
    今では短期大学そのものが全国的に淘汰されているケースが少なくないですが。(四年制大学が併設されている短大の場合は廃止されて四年制大学の新規学部に移行しているケースも結構普通に見かけます)
    ドラマで描かれている時代では、短大卒でもかなりの「高学歴」と見做されたのではないでしょうか。

    話が逸れてしまいました。

    • ひるたま より:

      続きです。
      先日他の方もコメントで触れられていましたが…この先に起こる向島電機の倒産で、乙女寮のメンバーが散り散りになってしまうのが本当に残念です。
      せめて、何処かで「再会=再登場」させるエピソードがあるといいなぁと思います。
      (例えば…誰かが『すずふり亭』に食事をしに来るならば決して不自然では無いでしょう。みね子ちゃんも喜ぶでしょうし^^)

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      昭和40年の向島電機の新入社員四名のうち高校卒業は50%。中学卒業が50%。なので当時の短大卒はかなりな高学歴だったのでしょう。『べっぴんさん』のさくらちゃんに至っては高学歴なんて言う言葉では表現できないレベルだったかもですね。

      • ひるたま より:

        ありがとうございます。
        以前、別の方のコメントでも拝読して印象に残っているのですが…正に「住む(棲む)世界が違う」とはこの事ですね。
        同時代ながら坂東家は裕福だったのだな…と、つくづく感じています。

        ところで。
        昨日FMで放送された岡田惠和さんの番組に、「田神先生」=津田寛治さんが出演されていました。
        番組中で津田さん曰く「未だ花束をもらっていない」との事で…どうやら田神先生の「再登場」があるかな?と個人的には睨んでいます。(^^)

  4. ア※ラッキー より:

    みね子ちゃんたち干し芋、生で食べていましたね。あれって、焼くとも~っと美味しくなるんです。私は、冬場、石油ストーブの上に網を置いて干し芋焼いたんです。う~ん懐かしいです。
    愛子さんの想い人って、森雅之さんですか。放送後調べてみたら、結構渋い方ですね。あの文豪有島武郎さんのご子息だったんですね。なぜ、プロレスが好きになったか、理由が知りたいです。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      愛子さんがプロレスにハマった理由。もしドラマの中で描かれたらかなり笑えるエピソードになるでしょうね。

  5. よるは去った より:

    三男「(心の声)誰か助けて・・・・。」トーストに目刺しは厳しかろうに・・・・・・。笑えたけど。 幸子「私は『マイ・フェア・レディ』というのが観たいと思ってて・・・・。」オードリー・ヘップバーン女史の「マイ・フェア・レディ」、デイム・ジュリー・エリザベス・アンドリュースの「メリー・ポピンズ」が公開されているわけですね。「マイ・フェア・レディ」は舞台ではアンドリュース女史が大当りをとったものの、映画化にあたっては知名度の関係でヘップバーン女史へ。アカデミー主演女優賞は両女史の間で争われたもののこちらはアンドリュース女史へ。役を奪われた無念をアンドリュース女史は見事に晴らしたというエピソードも有名ですね。デイム・ジュリー・エリザベス・アンドリュースと言えば、桑田佳祐先生の主題歌の歌詞の中に出てくる「サウンド・オブ・ミュージック」はあの翌年ぐらいの代表作ですね。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      『マイ・フェア・レディ』の裏話、はじめて知りました。時子ちゃんも将来は舞台裏のリアルに直面することもあるんでしょうかね。

  6. もんすけ より:

    花子、エリー、あさ、とと姉ちゃん…。
    生まれ育った場所とは違う場所へ飛び込む今までのヒロイン達の、新しい学校生活や職場のシーンは、見ていて辛いことの連続でした。
    今回は一悶着あったものの、すぐにホッと心和むことができたのは、乙女寮に集う彼女たちが、皆似たような環境から東京へ来たことだったからなのでしょうね。
    ほぼ全員が、他所からきた乙女寮の女子工員達。
    それぞれが不安で辛くて寂しい気持ちを抱えながらも精一杯頑張っていたからこそ滲み出る他人への共感と優しさが、朝から心に気持ちいい。

    あぁ…、でも、三男君…、頑張れ…。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      > 生まれ育った場所とは違う場所

      とりわけ『とと姉ちゃん』の常子ちゃんは気の毒でしたね。東京の女学校。女学校を卒業した後の商社。商社では唯一心を許していた同僚にまで裏切られ・・・

      「他人への共感と優しさ」の教科書みたいな本作、本当に朝から快適です。

  7. よるは去った より:

    みね子「これで日本のトランジスタラジオはアイルランドに負けません!」 この場面のBGM と画面のタッチが何かひと昔前の日本映画のような風情を感じさせる効果を狙ってましたね。「とと姉ちゃん」でもヒロイン(高畑充希)が汽車で去って行く恋人(坂口健太郎)を鉄橋の下から見送る場面で同じような効果が用いられていましたね。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      昭和テイストを演出するために、昭和の映画の演出を参考にしているのかも知れませんね。さらに「アイルランドに負けません!」の場面の挿入曲は、まるで昭和の歌謡曲。昭和の色が濃厚な回でした。