綿引が警官を辞め故郷へ / ひよっこ 第47話

連続テレビ小説(朝ドラ)『ひよっこ』
2017年5月26日(金)放送
第8週 第47話「夏の思い出はメロン色」

『ひよっこ』第8週 第47話 あらすじと見どころ解説

向島電機が業績不振に陥り、乙女たちの給料が減らされてしまいました。みね子の給料も手取りで5,201円にまで下がりました。しかし、実家への仕送りは減らすことなく5,000円を送りました。みね子の手もとにはわずかなお金しか残りません。

給料が下がってしまったものの前を向いて暮らそうと決めたみね子は今月も赤坂のすずふり亭に足を運びました。しかしお金がわずかしかないみね子は、はじめて注文したビーフコロッケしか食べることができません。

つとめて明るく振る舞うみね子でしたが、募る不安を鈴子に隠すことは出来ませんでした。みね子の異変を察した鈴子はみね子からすべてを聞き出し、そして言いました。みね子を相手に商売するつもりはない。お金を払う必要はないと。

しかし、鈴子の申し出をみね子は拒みました。すずふり亭で毎月食事をすることはみね子にとってたった一つの目標だったのです。鈴子はみね子の気持ちを受け入れることにしました。そんな中、みね子は綿引から思いがけない話を聞かされるのでした。

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midokoro

映画を観て、その後にみんなで海岸まで遊びに行った楽しかった夏の一日。あの日がついに「思い出の夏」になりはじめました。

夏が終わり秋の到来とともにみね子ちゃんたちに吹く風の風向きが変わり、思い出の夏を楽しく一緒に過ごした綿引くんも東京を去ることが決まります。

『ひよっこ』第8週 第47話 今回の時代背景解説と事前発表あらすじレビュー

すずふり亭が久しぶりに登場します。

ドラマの中で、みね子ちゃんがすずふり亭を訪ねるのはこれが何回目になるのかまだ定かではありません。

しかし物語設定上、みね子ちゃんは毎月、給料をもらった直後の休みの日には決まってすずふり亭で食事を続けてきたということになっています。

毎月、月末になるとすずふり亭にやって来てささやかな食事を楽しむみね子ちゃんを、赤坂の面々は皆「月末コロッケ娘」と命名。

毎月、みね子ちゃんがすずふり亭に通っていたという設定は、このニックネームで表現するみたいです。年頃の娘なのに、とんでもないニックネームをつけられたものです。

さて、そんな毎月のすずふり亭通いの中、今回のすずふり亭訪問は特別です。給料を減らされても仕送りの金額は減らさなかったみね子ちゃんは今まで以上にお金がない。

だから乙女寮のある向島からすずふり亭のある赤坂まで片道2時間もかけて徒歩で向かいました。

しかも、毎月少しづつ注文するメニューの金額をアップさせることを楽しみにしてきたみね子ちゃんでしたが、今回の注文は最初に注文したコロッケに逆戻り。

そんなみね子ちゃんの異変にすぐに気がつく鈴子さんの優しさが、きっと視聴者の涙腺を激しく攻撃してくるものと思われます。

涙腺決壊の準備が必要です。

『ひよっこ』第8週 第47話 観賞後の感想

昭和40年春、新人乙女ちゃんたちが向島電機に就職してからの楽しかった日々が完全に終わりを告げた。そう思わずにはいられない重く苦しい回でした。

手元に残ったお金は201円

みね子ちゃんの給料の手取りは5,201円。実家への仕送りはこれまでと同様に5,000円。手元に残ったお金=一ヶ月に使えるお金はわずか201円。

みね子ちゃんの置かれたこの状況がどれほどのものなのか調べてました。

ドラマの中の昭和40年当時、向島のあたりから赤坂まではおそらく都電で移動したものと思われます。調べてみたところその頃の都電の初乗りが15円。

今の都営バスみたいに一律料金なのか。それとも都営地下鉄みたいに乗車距離によって料金が変わるのかまでは調べがつきませんでしたが、赤坂まで行くと最低でも往復で30円。

手元に残ったお金の一割以上の出費はあまりにも痛い。

ビーコロワンとはいえ、コロッケのお金と往復の交通費だけで手元に残ったお金の約半分がこの一日で消える計算です。

こうして計算するとこのたびの給料の減額はあまりにも痛すぎます。痛みがどれほどのものなのかわかったところで、みね子ちゃんの胸中を想像してみました。

「私の東京での目標なんです」

実お父ちゃんが失踪した理由は今のところ不明ですが、この当時の出稼ぎ労働者の間で多発していたという「蒸発」の理由の多くは、家族のためとはいえお金を稼ぐだけの自分が何者なのかわからなくなり、その苦痛から逃れるための蒸発だったようです。

今どきの表現の仕方をするならば「歩くATM」以上でも以下でもなくなった、自分が自分でないそんな立場に耐えきれなくなったことが蒸発の最大の理由と言われています。

一生懸命働いても稼いだお金のほとんどは故郷に送り、自分の楽しみが何もない中で自分が何者なのかわからなくなってくる。

自分を見失わないための工夫をしていなければ大の大人ですらも迷いが生じる生活環境だったかと思います。

まして高校を出たばかりで、しかもわずか一年とちょっと前までは実家の農作業のお手伝いをしながら嫁入りまでのんびり暮らそうと思っていたみね子ちゃんです。

自分を見失わないための安全装置が出稼ぎ労働者のおじさんたち以上に必要だったんでしょう。そして、その安全装置が「東京での目標」でした。

「東京での目標」とは「すずふり亭きていつかビーフシチュー食べれる」自分になることでした。この目標が自分が自分であることを支えてくれていたのでしょう。

そのささやかな支えがなくなった。お金がなくなった以上に自分を支えていた目標が見えなくなってしまったことがみね子ちゃんにはつらいのだと思います。

「今日だってお代なんていらない」

みね子ちゃんが何を一番悲しんでいるのか、しっかりと受け止めてくれる鈴子さんの優しさに涙腺を激しく攻撃されました。

みね子ちゃんの異変を察した鈴子さんがみね子ちゃんの話を聞いたのはすずふり亭の客席ではなく、すずふり亭の店の裏。

しかも、お店の者以外の人を簡単には入れないはずの厨房を通って、鈴子さんはみね子ちゃんを店の裏にまで導きました。

みね子ちゃんの身にただならぬ事態が起こっていると察したがゆえの鈴子さんのこの行動。鈴子さんのみね子ちゃんへの「本気」が伝わり、ここから涙腺攻撃のはじまりです。

しかも、店の裏に連れ出したみね子ちゃんにいきなり何があったのかと尋ねるのではなく、どうして自分はみね子ちゃんにこんな態度をとるのかを、鈴子さんは丁寧に丁寧にみね子ちゃんが理解していることを確かめながら語って聞かせました。

「私はあんたのお父さんとお母さんのことが好きなのよ、わかる?そして手紙であんたをよろしく頼むと頼まれてるの。だから勝手に東京のお母さん代わり、わかる?」

自分はみね子ちゃんの味方であることを十分に理解させ、安心させてからようやく本題。

「何かつらいことがあったんでしょ?そうでしょ?」

落ち込んでいる人の話を聞き出すのにここまで用意周到に聞き出す準備を積み重ね、相手の心を開かせるこの気づかい。心くばり。

朝から美しいものを見せてもらいました。

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コメント

  1. mizutamari より:

    私だけでしょうか。
    郵便局で、送金する時に千円札一枚、脇にありましたよね。
    てことは、仕送り4千円だったのかな。
    悩んでいます。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      千円を手元に残そうかなとも思ったけれど迷いに迷った末に5千円を送った。僕はそう理解することにしました。(ちょっと無理がありますが)

  2. GATTO より:

    こんばんは。

    私は、すぐ隣の千葉県におりますし、実際、周囲に「だっぺ」言葉を使う人も多いので、茨城訛りや方言がうつるのは時間の問題です(爆)。

    今日の「事件」というか、ストーリーの動きは、ドラマが始まる前からありました。出演者の紹介で、みね子さんの次は、時子さんでもなければ、綿引さんでもない、な、何と、朝倉高子さんでした。これから、すずふり亭の存在がどんどん大きくなるようです。

    これが、高子さんでなく、見習いコックのヒデさんだったら、みね子さんの「恋の行方」が更に興味深くなりますね。もしかしたら、近々、二番目の名前がヒデさんになっていたりして。

    みね子さんたちは更に大変になりそうですが、ますます興味深いですね。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      高子さん、そんなポジションでしたか!?ちなみに高子さんには「結婚」も用意されているらしいので、ただの脇キャラでは終わらない予感がします。

  3. ひるたま より:

    同じ「ビーコロ」でも…初めて食べた時には、ちょうど昼休みで特別に店を開けてもらいお客はみね子ちゃん一人。
    今回は他のお客さん達も入り、そのお客さん達が自分が頼めないメニューを頼んで美味しそうに食べている中で注文した「ビーコロワン」…みね子ちゃん、心の何処かで「自分にお金がない」事(今風に言えば「格差」でしょうか)を意識させられてしまったかもしれないなと感じました。
    生まれ育った奥茨城村でも、そして勤務先の向島電機&乙女寮でも、周囲は自分と殆ど同じような(経済)状況だったかと思われるので、他人を羨むような環境では無かったでしょうし。

    「なまり、うつっちゃったわ」
    あの場面…元々脚本に書かれていたのかな?
    はてまた、演じる宮本信子さんのアドリブだったのかな??

    ところで。
    ドラマとは無関係ですけれど…茨城県北の日立市にある「かみね動物園」ではゾウが2頭飼育されています。
    いずれも♀で、名前はそれぞれ…「ミネコ」「スズコ」なんですよ。(^^)
    今朝TL検索していた所…何方かがツィートされていて、「!?(@_@)」と思い出しました。
    実は先週、かみね動物園に行って来たばかりなんです。(もっともその時は別に主目的があり、ゾウさんは挨拶程度に見ただけでしたがf^^;)

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      「かみね動物園」のサイトで確認しました。本当にその名前ですね。爆笑ものです。ヒロインの親友役の名が時子でなく鈴子だったらもっとすごいことになってましたね。

  4. 安ママ より:

    様子のおかしいみね子を、厨房を通って裏庭に誘う鈴子さん。
    そしてスタッフのみんながみね子を気にしているのにウルウルしてしまいました。みね子が店に入って来た時も、オーダーを言った時は満面の笑顔だったですよね。
    前田くん(仮面ライダーネクロム!カッコよくて好きでした~)が気がかりな顔で見ていました。常連さんへの思いなのか、それともちょっと恋心なのでしょうか?省吾さんが、前田くんに「(鈴子さんに)任せていれば大丈夫」って言うところ、母子の信頼の深さを感じました。
    朝蔵さんレビューでは、お米屋さんの親子のように仲違いしてる娘さんがいるとのこと。
    あの優しい省吾さんからはなかなか想像出来ません。
    東京での目的がすずふり亭でのビーフシチュー。いつか実現して欲しいものですね。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      前田くんも仮面ライダーですか!?赤坂編に入ると新登場のイケメン二人。そして前田くんに再登場する綿引くん。若手イケメン男優が充実してきますね。

      • 安ママ より:

        綿引くんはキョウリュウジャー、前田くんは仮面ライダーネクロム、これから登場する竹内涼真くんは仮面ライダードライブでした。
        イケメン揃いですね。
        孫息子が、竹内くんの出番をまだかまだかと待ってます(笑)

  5. まーちゃん より:

    鈴子さんに茨城弁がうつって2人が抱き合ったとき、「すずふり亭の鈴子さんとみね子ちゃん」が「夏ばっばと若春子」に見えました…

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      もし仮に「夏ばっばと若春子」の二人があれくらい仲が良かったら、そもそも『あまちゃん』の物語は生まれて来なかったんでしょうね。

  6. ア※ラッキー より:

    今思ったんですが、綿引くんって、ちゃんとした標準語話していますね。美代子母ちゃんやみね子ちゃんに対しても、ふつう同郷の人だったら、茨城弁出ると思うんですが、どうでしょうか?うちの旦那さんは、私や身内は訛ってるけど、年上や初めての人はきちんと標準語ですよ(笑)

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      周囲に同郷の人が少なくて方言が抜けたという設定なのかなと考えています。近々、彼は故郷に戻るらしいので言葉が方言に戻るかどうか、要チェックですね。

  7. まっくす より:

    簡単に茨城弁がうつるところ見ると、どうやら鈴子さんは茨城出身らしい^^

  8. よるは去った より:

    「すずふり亭」の最高価メニューが「ビーフシチュー 500円」ですか。500円が「岩倉具視卿」から500円玉にすっかりとって変わられた現代、500円の食事は「ワンコイン〇〇」という異名のあるくらいですからねえ。改めて時代流れを感じます。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      しかもそのワンコインがみね子ちゃんの所持金の二倍強。半世紀も経ってますからね。