乙女寮の最後のコーラス / ひよっこ 第52話

連続テレビ小説(朝ドラ)『ひよっこ』
2017年6月1日(木)放送
第9週 第52話「小さな星の、小さな光」

『ひよっこ』第9週 第52話 あらすじと見どころ解説

雄大の指揮のもとでみね子たちは最後の歌を心を合わせて歌いました。『見上げてごらん夜の星を』の合唱が終わったその時、雄大のとった行動がその場に居合わせた面々を感動させました。雄大が幸子にプロポーズしたのです。

雄大のプロポーズを幸子は心から喜んで受け入れ、優子の念願であった幸子の結婚が決まりました。思い残すことがなくなった優子は、迎えに来た母に連れられ乙女寮を去って行きました。幸子やみね子たちの再会を約束して・・・

昭和40年(1965年)12月20日。ついに向島電機の工場が閉鎖する最後の日を迎えました。その日、豊子の様子が朝からいつもと違うことに仲間たちは気がつきました。思いつめた様子の豊子は、作業中に入社以来はじめてのミスをしました。

夕方。工場の作業がすべて終了。最後まで残った女子工員たちには記念品としてトランジストタラジオが配られました。工場の設備を撤去しに業者が来たその時、騒動が起こりました。豊子が工場の中に閉じこもり工場の閉鎖を拒みはじめたのです。

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midokoro

乙女寮で幸せな時間を共有した同室の優子ちゃんが仲間たちのもとを去って行きます。乙女寮の寮生たちの主要キャラの中でははじめての別れの場面です。

そして、乙女寮にやってきたみね子ちゃんたち新人を迎えたコーラスの最後の歌声。いつも一緒だった乙女寮の仲間たちが少しづつバラバラになる様が切ない回です。

『ひよっこ』第9週 第52話 今回の時代背景解説と事前発表あらすじレビュー

しっかりした性格で努力家にもかかわらず身体が弱くて仕事を休みがちだったため、優子ちゃんだけは東京で就職先が見つかりませんでした。

雇う側としてはもっともな理由です。優子ちゃんを雇い入れなかった東京の他の会社を責めることはできません。

しかし、他にどこの会社も引き取ろうとしなかった優子ちゃんを今日まで大事に使ってきた向島電機。優子ちゃんの身体にいつも気遣いながらストレスなく働ける環境をつくろうと努めていた愛子さん。

優子ちゃんを通して向島電機の良心的な経営や愛子さんの優しさが今さらながらに伝わってきます。そして、そんなあたたかな会社で心優しき舎監の愛子さんのもとで働いていたことがどれほど尊いことだったのか。

話変わって優子ちゃんがとんでもないことをします。この優子ちゃんのまさかの行動によって幸子ちゃんとの結婚に踏み切れずにいた雄大くんが、ついに・・・

参考までに優子ちゃんは秋田の実家に戻り、地元の水産品工場で働くことになるそうです。身体が弱いのならそもそもはじめから地元で働いていればよかったのにと思う方もいるかも知れませんが、当時の賃金は東京と地方とでは比べものにならない差があったとか。

東京に出て働かなければ実家の家計を助けるだけのお金は稼げなかったようです。

『ひよっこ』第9週 第52話 観賞後の感想

みね子ちゃんと同室の乙女ちゃんたち6人が顔を揃えるのも、向島電機の乙女ちゃんたちが制服を着用して横に並んで作業する姿も今回が見納めです。

すべてが静かに終わるはずでした。豊子ちゃんが騒ぎを起こすまでは。

豊子ちゃんの反乱

向島電機の新人乙女ちゃんたち四人が、愛子さんに連れられて向島電機に着いた時の豊子ちゃんを思い出します。

あの日、豊子ちゃんは不満でいっぱいでした。

成績は体育をのぞいてすべて5。そこまで成績が良ければおそらく学年でもトップの優等生のはずです。しかし望んでいた高校進学は断念するしかなかった。

ところが、自分が夢見た高校に通わせてもらったというみね子ちゃんは、聞けば成績はアヒルの行列=2がズラリとならぶ。

自分は勉強が大好きで成績も優秀なのに高校進学を諦めたというのに、その一方でみね子ちゃんは勉強がさほど好きではなく(というか嫌い?)成績も残念なレベルなのに高校に通っていたという理不尽。

豊子ちゃんがそんな理不尽な思いを胸に秘めて到着した向島電機の工場は、とっても小さな古ぼけた工場で、まわりの街並みも上京するまで思い描いていた東京のイメージとはまるで異なるものでした。

しかも、住む場所と働く場所が同じ敷地内にある。これでは朝から晩まで四六時中、監視されているようなもの。

遅刻しないで済むとのん気なことを言うみね子ちゃんの言葉も、不満でいっぱいな豊子ちゃんにはうっとおしいことこの上ない。

入社して数日が経過しても、自分は特別な存在なんだというオーラを発散し仲間たちを近くに寄せ付けない。実際、同室の乙女ちゃんたちに馴染むのは一番遅かった。

入社した頃は向島電機のすべてがいやでいやでたまらなかったあの豊子ちゃんが、向島電機の工場の閉鎖をたった一人で激しく拒む。

その、まさかの行動に朝から泣かされました。

豊子ちゃんが仲間たちと打ち解け合うことが出来たのは、作業ミスを連発するみね子ちゃんのことをめぐって時子ちゃんと大ゲンカになったときでしょうか。

乙女寮の仲間に打ち解けようとしない豊子ちゃんに時子ちゃんが言いました。

豊子ちゃんは故郷では自分は特別という態度を取り続けてきたんだろう。でも、もう東京でそんなことをする必要などない。

この時子ちゃんの言葉があって以来、豊子ちゃんは変わりました。

時子ちゃんの言うとおり、新しい自分になれたか、まだなれていなくても新しい自分になれるという希望が豊子ちゃんの頑なな心をほぐしたのだと思います。

澄子ちゃんと仲良くなれたのもその後からのことだったと記憶しています。

澄子ちゃんみたいなタイプ。故郷の青森にいた頃の豊子ちゃんなら、きっと見下していたはず。見下すどころか相手にもしない、視野にも入ってなかったような気もします。アウトオブ眼中というやつです。

そんな澄子ちゃんに、さんざんいじくりまわされた豊子ちゃん。口ではこばみながらも澄子ちゃんにちょっかいを出されることがまんざらでもない様子。

故郷では自分は特別オーラを放ち、まわりの子たちを寄せ付けなかった豊子ちゃん。きっと孤独だったんでしょう。

でも時子ちゃんの言葉がきっかけとなって自分を変えようと決心し、自分が変わったことで澄子ちゃんみたいな子とも友達になれた。

豊子ちゃんはまだ友達とは認めたくないけれど、孤独じゃないって心地いい。

頭のいい豊子ちゃんなら自分の変化と、その変化が生み出してくれた結果がどれほど価値あるものかをしっかりと理解しているはずです。

そんなかけがえのない心の宝を豊子ちゃんが手に入れることができたのが、向島電機であり乙女寮の仲間たちでした。

誰よりも頭がいいから、誰よりも向島電機の価値を理解し、乙女寮での暮らしを大事に思っていたのでしょう。

豊子ちゃんのまさかの反乱。明日は本格的に泣かされることになりそうです。

豊子ちゃんと澄子ちゃんの対比

話が前後しますが、今回の豊子ちゃんと澄子ちゃんの性格の描きわけがとっても面白い。そう思いました。

いつもクールで、世間のリアルを冷徹に見つめているようなところがある豊子ちゃん。それに対して澄子ちゃんはいつも夢見ごごち。夢かうつつかわからないところすらある。

ところが雄大くんのプロポーズにうっとり夢見ごごちなのは豊子ちゃん。それに対して澄子ちゃんは雄大くんのリアルを冷めた目で見ているだけでした。

金も学歴もないという雄大くんに「ねえものばっかりだ」

しかもでっかい夢があると言えば「夢っこはただだから」

そして迎えた工場の最後の日も澄子ちゃんはいたって冷静でした。それに対して豊子ちゃんは・・・。

豊子ちゃんと澄子ちゃん、面白い二人組みでした。もうこの二人が一緒にいる姿を見れなくなるのが寂しくてなりません。

次週あたり、豊ロス・澄ロスに悩まされそうです。

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コメント

  1. GATTO より:

    こんばんは〜

    今日は、雄大君を見直しました。いえ、プロポーズのことではないのです。彼はてっきり音大卒とばかり思っていたのですが、「学歴もない」ということは、独学で指揮や音楽指導をやってきたのですね!結構努力家だと思います。私の方からも、「幸子さん、雄大君の出費許してあげて!」(笑)

    それにしても、乙女たちのコーラス、これまで本格的なコンサートをしてきたのでしょうか?いくら他に娯楽のない時代とはいえ、練習だけでモチベーションが続くとは思えません。私も以前オーケストラをやっていましたが(ちなみに楽器はコントラバスでした)、「練習嫌いの本番好き」という団員は結構多かったです。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      学歴がない、ということは独学。本当に好き。そういう見方ができますね!そこには気がつきませんでした。

  2. まっくす より:

    退職金代わりのトランジスターラジオ、赤坂の電気店の店頭で9500円。売ってお金にするのが一番だと思うけど、みね子たち売ったりしないんだろうな^^
    まさか宗男おじさんに「お土産」とか言ってあげたりということにはならないと思うが^^

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      さすがに売ったりはしないと思いますが、でももしかすると乙女ちゃんの中の誰かが売らざるを得ない状況に陥る、その時の小道具として用いられるかも知れませんね。

  3. もんすけ より:

    「やったー!」からの豊子ちゃんのガッツポーズ。
    いつもはクールで冷静な豊子ちゃんですが、図書館の本をほぼ全部に近いくらい読んでいたのですから、勉強好きなだけでなく、超文学少女だったはず。
    目の前で繰り広げられる雄大先生のプロポーズには、今まで読んできた本の中に登場してきたであろう、甘く素敵な恋のシーンも重なったのでしょうね(「ウェストサイドストーリー」の映画を観た後の物まねも「マリ~ア~」でしたから、実のところ、素敵な恋愛に憧れていたのかも)。

    まだまだ素直に自分の感情を発露できずとも、情感豊かな彼女に突きつけられた不条理な現実。
    成績優秀とはいえ、中学を卒業して1年も満たない豊子ちゃんの悲痛な胸の内、心からの叫びが苦しくて、苦しくて。明日はなんともしんどそう…。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      > 超文学少女

      そうでしたね!「恋愛場面」は、乙女ちゃんたちの中で誰よりも場数を踏んでいるはず。そのリアルの姿を見たら、それは感激しますね。

  4. ア※ラッキー より:

    すみません。今日はストーリーとは、別の話を・・・。
    実は、昨日つくば市にある筑波大学で「ひよっこ」に関するトークショーがあったそうです。出演者は、きよさんこと柴田理恵さんとチーフプロデューサーの菓子浩さんです。その事を知ったとき、知っていれば、近くに住んでいるので学生に混ざって一緒に聴きたかったです(笑)内容はたぶんNHKのニュースサイトに書いてあると思いますよ。ごめんなさい。その貼り付け方知らないので、興味がある方は、見てきてくださいね。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      情報提供ありがとうございます。筑波大学のサイト内でもトークショーの模様を紹介していました。

  5. ゆうのしん より:

    こんにちは トランジスタを みんなに配る場面 ちょっとホロっときました ところで 幸子役の小島藤子さんなんですが、有村架純さんと同じ歳みたいで ちょっと驚きました 落ち着いておられるので もう少し上かと思い込んでました 大人っぽいですね ではまた!

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      お二人、同い年ですか!小島藤子さん、しっかり者のお姉ちゃんにしか見えません。これが演技力というもの何でしょうね。

  6. まるこ より:

    トラックで乗り付けた作業員さんたちがドヤドヤ入ってきて無神経に機械を持って行くのかと思ったら、ちゃんと待っててくれたばかしりか、出てくる乙女ちゃんたちを労っていたのでホッとしたしグッときました。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      『ひよっこ』は、数秒しか出ない脇キャラまでが心優しくて素敵ですね。

  7. ひるたま より:

    今日も忙しい15分間でした。
    今日(&明日)は豊子ちゃん回といえましょうが…あえてその前に。

    「学歴も無いし、金も無いし…」
    「ねぇもんばっかりだ」(隣にいるみね子ちゃんから小突かれる)
    「でも、夢だけは持ってるつもりだ。でっかい夢を!」
    「夢っこはただだからな」(隣の隣にいる時子ちゃんから頭を小突かれる)
    雄大くんのプロポーズに独り言のように訥々といちいち突っ込む澄子ちゃんが何だか絶妙で…見ながら笑ってしまいました。
    その澄子ちゃんのツッコミ…結構リアルだな~などと思ったりしました。まるで視聴者を先回りするかのようでした。(^^;)

    プロポーズ直後の豊子ちゃんの「ヤッター!」は、普段クールであまり感情を表に出さない豊子ちゃんがこれから突拍子もない事をしでかす場面への「前振り」だったのでしょうか。

    「やだ」「やだ!」「絶対やだ~!」
    視聴者的には何だか胸につかえたままの状態での「つづく」…ここで切るか~!?
    (脚本家の先生は確信犯でしょうね…きっと(^^;)

    最後に「乙女ちゃん」達に贈られたトランジスタラジオにリボンと労いの一言メッセージが付けられていたのが印象的です。
    乙女ちゃん達が離れ離れになってからも、ラジオがそれぞれのお家で活躍する様子も見せて欲しいな~などと思っちゃいました。
    同じラジオが優子ちゃんにも贈られた(送られた)…事を祈りたいです。
    「随分、にぎやかな寮なんだねぇ」
    優子ちゃんのお母さん(清子さん)、娘が良くしてもらっていた事を窺い知ってきっと安心した事と思います。(と同時に、仲間達から娘を引き離す事をどのように感じたのでしょう??最後に合唱に加わって母娘一緒に歌っていた場面も良かったです^^)
    一足先に「退場」した優子ちゃんですが…再登場を切に願います。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      ラジオに付いていたリボンのメッセージ。あれはきっと一枚一枚、愛子さんが心を込めて書いたんでしょうね。愛子さんの優しさがあらためて心に沁みました。

      優子ちゃんと乙女ちゃんたちの別れの場面。みんな口を揃えて「また会おうね」と言っていたのできっと再会の場面が用意されているはず。その日がくることを信じて、見続けようと思ったお別れ回でした。

      • ひるたま より:

        今日もいつものように(?^^;)TL検索していたところ…ドラマの劇伴のうちの一曲が唱歌『故郷を離るる歌』と似ているのではないか?と指摘なさっている方のツイートをお見掛けしました。
        某動画サイトで聴いて確認したところ…なるほどと納得しました。
        音楽担当の宮川彬良さん、もしかしたらこの曲をモチーフに使用したのかも?と個人的には感じました。
        題名『故郷を離るる歌』も、住み慣れた故郷から都会に出て来て働いている登場人物達の状況と一致していますしね。

        そして「乙女ちゃん」達にとって向島電機はいつしか「第二の故郷」となっているのではないでしょうか。
        「第二の故郷」から離れざるを得ない彼女達の心境や如何に…?

        劇伴といえば…今日の工場ラインの場面で流れたいつもの劇伴の女声ヴォカリーズ入りバージョンが印象に残りました。
        初めて聴いたような気がするのですが…?(既に使用されていたならば…ごめんなさい)

        • 朝蔵(あさぞう) より:

          『故郷を離るる歌』聴いてみました。確かにテイストが似てますね。

          「第二の故郷」。澄子ちゃんにとっては向島電機こそが第一の故郷かも知れませんね。そんな澄子ちゃんのこの先が、乙女ちゃんたちの中では一番心配です。

  8. よるは去った より:

    優子「どうしても一言っておきたいことがあって・・・・・。」昨日の段階では「?」でしたけど。豊子「やったー!」も間が悪いようでいて何かホロリとさせられました。洗面所での豊子「・・・・・え?」、そして工場での初めての何かの前兆かな?とは思ったんですけど・・・・・・豊子「嫌だ・・・・・絶対嫌だ!」やりきれない想いで見てました。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      「やったー!」「絶対嫌だ!」

      豊子ちゃんの意外な言動の数々に今回は泣かされました。