年の暮れを愛子と過ごす / ひよっこ 第59話

連続テレビ小説(朝ドラ)『ひよっこ』
2017年6月9日(金)放送
第10週 第59話「谷田部みね子ワン、入ります」

『ひよっこ』第10週 第59話 あらすじと見どころ解説

昭和40年(1965年)年末。すずふり亭での就職が決まったみね子は鈴子に保証人になってもらい、店の裏手にあるアパートの一室を借りました。契約書に調印し、みね子は初めて自分の部屋を持つことになりました。

12月30日、みね子と愛子はこれまでの感謝を込めて間もなくなくなってしまう乙女寮の大掃除をします。大晦日は二人で一緒に紅白歌合戦を見て過ごしました。そして深夜。母の名を寝言でつぶやくみね子に、愛子は自分に付き合わせてしまったことを詫びました。

除夜の鐘を一緒に聞いて迎えた昭和41年(1966年)元旦の朝。みね子が目をさますと愛子の姿が見当たりません。書置きを残してどこかに出かけてしまったのです。しばらくして愛子は乙女寮に戻って来ました。

愛子はみね子にお年玉を渡しました。そのお年玉の中身を知ったみね子は感激します。お年玉は奥茨城に帰るための切符だったのです。元旦の夜、正月を寂しく迎えていた谷田部家にみね子は到着。みね子と家族と再会するのでした。

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midokoro

みね子ちゃんにとっては人生が大きく変わり続けた激動の昭和40年。

お父ちゃんの失踪により東京での就職を決意したのがお正月。そして春には上京するものの半年後にはまさかの失業。再就職先探しも簡単ではありませんでした。

しかし働き口も決まり住むところも見つかり、心穏やかに激動の一年の締めくくりを迎えられそうです。

『ひよっこ』第10週 第59話 今回の時代背景解説と事前発表あらすじレビュー

新しいつとめ先も決まり住むところもすでに決まっているみね子ちゃんとしては、本当は年末年始は奥茨城の実家で家族と一緒に過ごしかったのではないかと思います。

しかしそうはしませんでした。きっと愛子さんを気づかったのでしょう。

乙女寮の舎監として寮生の最後の一人の行先が決まるまで乙女寮に残ろう。愛子さんはそう心に決めていました。

そして最後の一人になったのはみね子ちゃんでした。

乙女寮から一人去り二人去り。これでみね子ちゃんが去れば愛子さんは乙女寮でただ一人。しかもタイミングは年末年始。

そんなタイミングの一人ぼっちはあまりにも寂しすぎる。みね子ちゃんはそう考えたに違いありません。

そしてそんなみね子ちゃんの繊細な心づかいに気づかない愛子さんではありませんでした。みね子ちゃんの気づかいへのお礼として贈ったお年玉。

それは奥茨城の実家に帰るための切符でした。

愛子さんの粋なはからいに泣かされそうです。

そして気がかりなことが一つ。愛子さんはこの先どうなってしまうんでしょうね。願わくば今後も登場し続けてもらいたいものです。

愛子さん、天然と優しさがほどよくミックスされて実にチャーミングな女性でした。朝ドラの忘れられないキャラがまた一人増えました。

『ひよっこ』第10週 第59話 観賞後の感想

「有名になりそうもない無名」「ここんとこずっと25歳」

みね子ちゃんがこれから暮らす、物語の新展開の舞台となる「あかね荘」。そこの住人=愛すべき変人たちの話題がついに出始めワクワクが止まりません。

そしてその住人たちの人となりをわずかな言葉で的確に言い表してしまう富さんの人間観察力と言葉の豊かさに脱帽です。

「有名になりそうもない無名」

富さん節が炸裂した、その毒舌のターゲットとなった気の毒な漫画家氏。もしかしてあかね荘の階段を管理人室直前まで降りてきてまた引き返した後ろ姿の青年でしょうか。

それにしてもきつい表現です。「無名」の一言だけでも十分すぎるほど手厳しい言葉。

その無名を「有名になりそうな無名」と「有名になりそうもない無名」の二つの種類に分けた上で、あかね荘に住む漫画家は後者の「有名になりそうもない無名」と断定。

「無名」の一言でも手厳しいですが、「無名」の一言だと将来に有名になる可能性がないわけではない。ちょっと漠然としています。

しかし「有名になりそうもない」の一言がつけ加わることで、今も未来も見込みなし。

その漫画家氏がどれほど残念なポジションにいるのか、これ以上は望めないくらいにはっきりとわかる。

さすがです。

もう一人は「ここんとこずっと25歳」の事務員の女性。

この一言でその女性がどんな状況なのか一瞬にしてわかってしまうところもまたすごい。富さんはこの豊かな表現力を一体どこで身につけたのか。

25歳のまま止まっているのは、25歳を超えたくない。人から超えたと思われたくない事情があってのことでしょう。

「ここんとこ」が何年なのかは定かでありませんが、もちろんわずか半年や一年の話ではないでしょう。二年、三年、あるいはもう少し時間が経過しているかも知れません。

すると三十路が目前かもうすでに大台に乗った頃か。

今ならアラサーなどという気の利いた言葉が存在しますが、当時のたいていの女性は大台が近づいてきた頃に独身だと焦りを募らせていたはず。

30歳近くなった(または30歳になった)自分を認めたくない。人からもそう思われたくない。それが知れてしまったら結婚の機会がますます遠のいてしまう。

そんなヒリヒリするような焦りが「ここんとこずっと25歳」というシンプルな言葉にこれでもかというくらい詰まっていました。

最後の一人は「慶應ボーイのいい男」

富さん得意の毒舌が炸裂しないだけに余計に怖い。毒舌が出ても怖い。毒舌が出なくても帰って怖い。

「慶應ボーイのいい男」。たった一人だけプラス評価を与えることで、クセのありそうな人物であることが暗示されていたかと思います。

追伸:「ここんとこずっと25歳」の事務員の女性は岩手県出身で、その土地のお餅が美味!

富さん得意の遠回しの催促。故郷の美味しい名産品をちょうだいね!という催促がまたはじまりましたが、みね子ちゃんはそれに気づいたのでしょうか。

「こんな娘がいてもおかしくない」

愛子さんはもしかするとみね子ちゃんの寝顔を見て母性をくすぐられたのでしょうか?

「こんな娘がいてもおかしくない」なんていうセリフが「お姉さん」の口から出てくるのは実に意外でした。

愛子さんはこれまでずっと数多くの乙女ちゃんと出会い、そして別れてきたはずです。でも乙女ちゃんの寝顔を見ることはなかったのかも知れません。

乙女ちゃんたち一人ひとりを心から大事に思ってはいたけれど、乙女ちゃんたちのプライベートにまでは深く踏み込まない。

一方で自分のプライベートにも踏み込ませない。あくまでも一線は保つ。

その微妙な距離があったが故に母性をくすぐられる機会もなかったような気がします。母性にスイッチが入らなかったから「お姉さん」のつもりでいたのでしょう。

でも、自分のプライベート領域にはじめて乙女ちゃんの一人が入ってきた。乙女ちゃんとの距離がこれまでないほど縮まりました。

そして今回はじめて、愛子さんの母性のスイッチが入りました。

「こんな娘がいてもおかしくない」

母性のスイッチが入ったことで、お姉さんでなくお母さんになりたくなったのかな?みね子ちゃんの寝顔を見守る愛子さんの表情にそんな気持ちが見えたのは考えすぎでしょうか。

そのせいかどうか。翌朝、愛子さんは「東京のお姉ちゃん」だとみね子ちゃんが言った時、一瞬だけ残念そうな表情が浮かんだように見えました。

この時ばかりは「東京のお母さん」と呼んでもらいたかったのかもです。

だから愛子さんがみね子ちゃんに言った「だから言ったでしょ!」は、みね子ちゃんに対してよりも自分に言い聞かせたのだと思います。

自分があれほどまでに「お姉さん」と言わせたのだから、いまさら「お母さん」と呼んではもらえないなって、そんな気持ちで自分に言い聞かせたのでしょう。

みね子ちゃんが乙女寮に入寮したその日からはじまった愛子さんによる「お姉さん」の強要(笑)は、愛子さんにとってちょっとだけ切なさを残して回収されました。

この「お姉さん」の強要。今後、ふたたびどこかでみね子ちゃんにとっても愛子さんにとっても納得のゆく形で回収されることを強く希望します。

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コメント

  1. GATTO より:

    こんばんは〜

    冗談はともかく、予想していた展開とは違っていました。自分の予想では、愛子さんをしたって乙女たちが集まる、というものでしたが。

    それにしても、みね子さん、何で茨城に帰ると髪型が変わるのでしょうか?

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      みね子ちゃんの髪型。東京にいるとよそ行きモードに入ってしまうのでしょうか。

  2. たこやき より:

    ご無沙汰しております、べっぴんさんまではしばしばコメントさせていただいておりました。

    この時代は、年末年始どこもみんなお休みだったんですよね。
    お盆休みも、ご先祖さまを想い、そのためのお休み…。

    カウントダウンや一日からの初売り
    いつの頃からか、賑やかなお正月ですね。

    愛子さんのこれからがとても気になります。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      お久しぶりです!

      昭和40年代はじめ。おっしゃる通りお正月、特に元旦は街中が静まりかえっていたのを覚えています。

  3. ひるたま より:

    「有名になりそうもない無名」な漫画家氏、初登場シーンは後ろ姿で顔が見えず…本人は(そして演じている俳優さんも)一体どのように感じているのでしょうね?(^m^;)

    「悲しいなぁ…何だか、やっぱし」
    「寂しいなと思うけど悲しくはない」
    「ここも、何かに生まれ変わるんだよ…ねっ、楽しみ」
    …数年後に新しくなるであろう同じ場所を再び、私も見たくなりました。(^^)
    ところで東京の年末年始は空気がピンと張り詰める位寒い季節かと思うのですが…みね子ちゃんと愛子さんの吐く息が白く映っていたらよりリアルだったかな?と感じちゃいました。
    おそらくスタジオセットでの撮影だったでしょうから無理もないのですけれども…。
    昼間のシーンならばさほど気にならずに済んだのですけれどね。f^^;

    常陸大子駅(切符に記載されていましたね^^)から奥茨城村まではおそらくバスでの行き来になるかと思われますが…みね子ちゃん、バスの時間には間に合ったのかな?(年末年始ダイヤだと最終バスの時刻が早めになってしまっているかも?)
    バスに間に合ったならば、みね子ちゃんが次郎さんと顔を合わせた可能性大…何か話をしたのかな?
    (もっと欲を言えば次郎さんを登場させて欲しかった…次郎さんの再登場はあるのでしょうか?^^)

    • ひるたま より:

      続きです。
      愛子さんの登場シーンが多い回はおそらく今日の放送分が最後になるのでしょうか?

      「だから私はこれから幸せしかやって来ない。これからの私は大変な事になるのよ!」

      「愛子さんに‘大変な事’(幸せな未来)を用意してあげなければ!」と脚本家の先生の心を動かしたという和久井映見さんの演技も素晴らしかった。これからの登場も期待します。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      次郎さん、みね子ちゃんを見たらさぞかし喜んだことかと。でも、あのバスはやっぱり奥茨城の三馬鹿が揃った状態で見たいですね。

  4. hiro より:

    いつも楽しく読ませて頂いてます。
    愛子さんの優しさに胸が熱くなりました。
    ただ、ちょっと不満があるんです。それは、場面での音楽の使い方です。
    みね子が切符を見た瞬間から、賑やかな音楽が流れましたよね。あそこは、絶対に穏やか音楽を流すべきでしょう。それか無音。せっかく愛子さんの優しさにこちらも感動してるのに、その余韻を味わせてくれない。
    愛子さんが時間がないと言ってから、賑やかな音楽を流せばいいのに。
    豊子の立てこもりの時も、みね子の説得の場面で賑やかな音楽。
    なんかものすごく美味しいスープに異物が入ってきたようで残念です。
    宮川さんの用意した音楽自体はいいのだから、演出家は、もうちょっと考えてほしいです。
    脚本、音楽、桑田さんの歌、役者は最高にいいドラマだと思います。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      劇中音楽の使い方で思い出したことがあります。昔、故・黒澤明氏とジョージ・ルーカス氏が『スターウォーズ』の音楽の使い方をめぐって激論を戦わせたとか。前者は使い過ぎと言い後者は必要あってのことだと言う。最終的に前者の言い分が勝ったということですが、そんな大御所でも悩ましい問題のようです。

  5. GATTO より:

    愛子さんの幸せの相手、米屋の親父じゃダメきゃ(爆死!)!?

  6. もんすけ より:

    「東京のお姉ちゃん」
    なんともぴったりで心温まる位置づけですね。
    仕事も始め、すでに一家の大黒柱となっているみね子ちゃんにとって、お母ちゃんは自分を守ってくれるだけでなく、支える存在にもなっていますが、【お姉ちゃん】であれば、ある意味同等でありながら頼り、甘えられる存在。互いの深い気遣いに、ぽちっと涙が出ます。

    愛子さん、「だから言ったでしょ!」の後、「【きれいな】お姉ちゃん」と言うかな~とちょっと期待したのですが…、それはなかったですね。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      みね子ちゃんにとって時子ちゃんは、ある時は妹である時はお姉ちゃんでした。そんな存在が遠くに行ってしまった今、愛子さんは貴重な存在ですね。でもその愛子さんも間も無く出番が少なくなるはず。完全な退場ではないとは言え、毎朝会えなくなり寂しくなります。

  7. まっくす より:

    でたー 家賃は4000円らしい。お風呂はない。毎日銭湯だ。
    こりゃおこづかい1000円という訳にはいかないな^^
    3000円くらいはほしいところだけど^^
    問題はお給料ですね^^

    • まっくす より:

      ちなみに この年まっくすは9歳 おこづかい 月300円くらいだったと思います。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      すずふり亭の営業がある日はまかないが出て、家賃は寮費とトントン。財形貯蓄はなさそうなのでかろうじて同レベルの暮らしを保てるかも知れません。

  8. 裏庭のにゃんこ より:

    あ、ではでは、食堂の和夫さんと二人で小さなお店をやるっていうのはどうでしょう(笑)? お二人なら気心も知れているし、乙女ちゃんたちも時々は食べに来てくれて、愛子さんもみんなのお姉さん役(相談役)をずっと続けられて、寂しくないかと♪
    愛子さんには幸せになって欲しいので、いろいろ想像してしまいますね。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      和夫さんと愛子さんの息のあった二人なら、赤坂の中華料理屋の夫婦みたいにならずに済みそうですね(笑)

  9. nori より:

    いつもこちらのサイトであらすじと鑑賞後の感想をチェックして楽しませて頂いています。ありがとうございます。

    愛子さんの幸せについて考えていたら、ぴったりな人物が浮かんでしまいました!すずふり亭の省吾さんです。穏やかで愛情にあふれた人柄、奥様と死別された境遇が恋人と死別し独身を守ってきた愛子さんに合うと思うのですがいかがでしょう??娘さんとの確執も乙女の心をしっかり分かっている愛子さんなら溶かしてくれそう…と、1人で盛り上がってしまい、こちらにコメントした次第です(笑)

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      愛子さんがキーパーソンとなって省吾さん父娘の確執を解くという予想。優しさに満ちていて実に素敵です。ありがとうございます!