みね子奥茨城に帰省する / ひよっこ 第60話

連続テレビ小説(朝ドラ)『ひよっこ』
2017年6月10日(土)放送
第10週 第60話「谷田部みね子ワン、入ります」

『ひよっこ』第10週 第60話 あらすじと見どころ解説

昭和41年(1966年)元旦。奥茨城村の谷田部家は、実とみね子の二人がいないいつもより寂しい正月を迎えていました。そんな谷田部家が明るさを取り戻しました。愛子から帰省する切符をもらったみね子が、元旦の夜に帰ってきたのです。

その日の夜、みね子は東京で経験したことを美代子と茂に語りました。姉が戻ったことを喜ぶちよ子と進を寝かしつけると、みね子は実のことを美代子と茂にたずねました。美代子が実の話題を避けたがっている。みね子の目にはそう映ったのです。

美代子はみね子の問いかけにこたえました。実を思い出しても悲しくなるだけで帰ってくるわけではない。だから話をしないだけで、実は必ず帰ってくると信じていると。しかし、美代子の気持ちはそれだけではないだろうとみね子は考えます。

そのあくる日。奥茨城の面々が新年の挨拶に谷田部家にやって来るものの、疲れ切っていたみね子は来客にも気づかず眠り続けていました。そして、その日の夕方。東京での新しい生活に備えるため、みね子は東京に戻るのでした。

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midokoro

みねちゃんの人生が急激に変わったのは一年前のことでした。

昭和39年の大晦日、お父ちゃんは奥茨城に帰ってきませんでした。それを受けて、みね子ちゃんが東京に出て就職しようと決意したのが一年前・昭和40年のお正月。

昭和40年の一年間、いろいろなことがありました。

『ひよっこ』第10週 第60話 今回の時代背景解説と事前発表あらすじレビュー

東京に働きに出ることの決断。際どいタイミングで始めた就職先探し。そして偶然決まった時子ちゃんと同じ就職先。

高校卒業。家族との涙の別れを経て初めての東京。

仕事に慣れずに苦労した入社当時の一週間。もらった給料のほとんどを実家に送り、つつましい暮らしの中で見出すささやかな幸せ。

向島電機での仲間たちや愛子さん、そして綿引くんや雄大くんとの出会い。乙女寮の乙女たちと時間を忘れて夢中になった女子トーク。

そして忘れられない思い出となったメロン色の夏。

不況の影響と給料の減額。向島電機の倒産と失業。むずかしかった再就職探し。そして心を許した乙女寮の仲間たちとの別れ。

大雑把に思い返しただけでも昭和40年の一年間、これだけの出来事がみね子ちゃんの身の上にはありました。

そんな激動の一年間にたまりにたまった疲れをリセットするかのように、数ヶ月ぶりの実家でただひたすら眠り続けるみね子ちゃん。

昭和41年、東京赤坂で過ごすことになる新しい年はどんな一年になるのでしょうか。次週から物語の舞台は同じ東京ながらも向島から赤坂に移ります。

『ひよっこ』第10週 第60話 観賞後の感想

乙女ちゃんたちがテレビの画面から姿を消してしまい寂しい一週間でしたが、その一週間の最後の最後になつかしい奥茨城の重鎮たちが顔を揃えてくれました。週の最後にロスが少しだけ癒されました。

「お父ちゃんのいないことに慣れてしまったの?」

なつかしい顔ぶれが集まってくれたのでロスは癒されたものの、谷田部家の家族が揃ったら正面から向き合わないわけにはゆかないもう一つのロス。お父ちゃんロス。

お父ちゃん失踪問題で切ない思いをするのは久しぶりです。

さて、東京での出来事の数々をひとしきり話し終え、ちよ子ちゃんと進くんがぐっすり寝静まったのを見届けてみね子ちゃんが言いました。

「誰もお父ちゃんのこと何にも聞かないね。
 お父ちゃんのいないことに慣れてしまったの?」

そのみね子ちゃんの問いかけに美代子さんが答えていわく。慣れてなんかない。口に出してもどうにもなるものではない。帰ってくるって信じてるよ。

美代子さんはこう答えたものの、この美代子さんの言葉をみね子ちゃんは言葉通りには受け取らなかったみたいです。

「お母ちゃんの気持ちはそれだけではない。
 しかしそれ以上は聞けない」

それだけではないなら、美代子さんの言葉の裏にはいったい何が隠されているのか。想像してみました。

それだけではないお母ちゃんの気持ち

美代子さんが「慣れてなんかいないよ」と答えたこの部分だけは美代子さんが口にした言葉通り素直に受け止めてもいいような気がします。

というか、実際にそんなに簡単に慣れることなどできないでしょう。

茂じいちゃんも同様です。自分の息子がいなくなった状況を慣れることなどできるわけがない。でも、茂じいちゃんも失踪した息子のことには触れようとはしません。

ところで「誰もお父ちゃんのこと何にも聞かないね」とみね子ちゃんが言い出したのは、ちよ子ちゃんと進くんが寝静まった後のことでした。

つまりちよ子ちゃんと進くんが起きているうちは、みね子ちゃんが違和感を感じるほどに実お父ちゃんの話題を避けて通っていたということです。

そしてここからが僕の想像なのですが、美代子さんも茂じいちゃんも、ちよ子ちゃんと進くんの二人に関してはお父ちゃんがいないことに慣れさせようとしているのではないか。

そんな気がしています。

まだ幼い二人なら、お父ちゃんのことを完全に忘れることはないにせよ、お父ちゃんがいないことに慣れてしまうのは大人より早いはず。

最悪の場合。つまりお父ちゃんが二度と帰ってこないという最悪の場合にショックをできる限り小さくするために、お父ちゃんがいないことに慣れさせているのかもしれません。

お父ちゃんの話題を一切出さないで暮らしていれば、少なくともまだ幼い進くんは慣れてしまうのではないでしょうか。

お父ちゃんのいないことに慣れてしまった後の悲劇?

仮にちよ子ちゃんと進くんがお父ちゃんがいないことにすっかり慣れてしまったとしましょう。進くんなどお父ちゃんがいたことすら記憶がおぼろげのはず。

そんな二人が成長した頃にお父ちゃんがひょっこり姿をあらわしたら、さてどうなる?

みね子ちゃん、美代子さん、そして茂じいちゃんにとってはこの上ない喜びです。でもちよ子ちゃんと進くんは?

ここでまた一つ、ドラマが発生しますね。

ちよ子ちゃんはお父ちゃんのいないことに慣れたとは言え、お父ちゃんを探しに東京までたった一人で行こうとしたほどのお父ちゃんっ子です。

長年、不在だったお父ちゃんに複雑な感情を抱くことになるかも知れません。

進くんは複雑な感情は抱かないかも知れません。でも、だからこそかえって厄介です。複雑な感情も特別な感情も抱かない。それはつまりお父ちゃんを他人としか思えないから。

お父ちゃんをめぐる、みね子ちゃんと美代子さんの会話に、この先で展開するかも知れない谷田部家の濃密なドラマのフラグを見たような気がします。

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コメント

  1. GATTO より:

    おはようございます。

    みね子さん、何であんなに眠り続けるほど疲れていたのでしょうね?12月30日・31日・元旦あたりは、それほど大変な日ではなかったと思いますが。
    それまでの疲れが一気に出たのかな?それとも、駅から家まで歩いたか?やっぱり、「み猫」さんなのかな?

    お母さんは、初めて東京に行った時、上野駅で夜を明かし、帰ってすぐ農作業していました。心労も相当なものだったことでしょう。今、考えるとすごい体力でしたね。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      みね子ちゃんが眠っている時に、故郷の音や匂いが繰り返し登場しましたが、それらなつかしい感触で副交感神経がオンになったのかなと思って見ていました(笑)

  2. あさっこ より:

    ちよ子ちゃんと進くんが寝ていた部屋への襖には子供たちが描いたお父ちゃんの絵と家族みんなの笑顔の絵が貼ってありましたよね。…決して忘れてないし、忘れようとさせてないのではないでしょうか?

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      お父ちゃんの絵が貼ってあったこと、まったく気がつきませんでした。だとすると、美代子お母ちゃんが口に出さなかった別の気持ちは他にあるということですね。

  3. tonko より:

    こんにちわ♪
    今週は、愛子さんとの別れが辛いかな?…
    と心配していたのですが
    なんとも良い塩梅で描かれましたね~
    寂しさもあり、笑いもあり、苦笑も…(;^_^A

    贅沢な3ショットも観られました
    宮本さん、白石さん、和久井さん
    この3人に囲まれて演技をする有村さん…
    贅沢だけど緊張でしょうね~

    どうしても気になった事が1つ…
    朝起きてすぐくらいに切符を貰って
    すぐ出掛けたみね子ちゃん
    奥茨城についたのが夜遅くでしたね
    一体、何時間くらいかかったんでしょう?
    調べ方が分からなかったです…(涙)

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      > 何時間くらい

      現在、上野駅から常陸太田駅までが乗り換え時間も含めて約2時間。その他もろもろを含めて乙女寮から谷田部家までドアトゥドアで4時間。元旦、夜更かししたみね子ちゃんが目を覚ましたのが昼くらいとして、午後1時出発で午後5時着。すでに日が暮れている季節なので、みね子ちゃんが着いたのは夕方遅い時間かもですね。

  4. 裏庭のにゃんこ より:

    田神先生、教え子にいい加減なところは紹介できないって、一生懸命探してくれたのに‥‥その会社が1年も経たないうちに潰れてしまって、責任を感じてしまったんですね。
    でも、みね子ちゃん、きっと「先生、向島電機に就職して良かった。残念ながら倒産してしまったけど、働いていた人たちはみんないい人だったし、向島電機で働けたことを誇りに思います」って、言うんじゃないかなー
    最後の日に貰ったトランジスタラジオ、新しい部屋に持って行ったのかしら?

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      向島電機が倒産してしまったのは残念だけれど、倒産の騒動があったからこそみね子ちゃんと愛子さんの心の絆も太くなり、豊子ちゃんと澄子ちゃんも友情を確かめ合うことができ、それぞれの出会いが価値のあるものになりましたね。

  5. あみ より:

    こんにちは!
    今日は久々に奥茨城村のみんなに会えて嬉しかったです(=^^=)
    来週から赤坂編ですね、またまた賑やかになりそうで楽しみです。
    あかね荘に漫画家の卵さんがいるようですが、
    この時代の売れない漫画家といえば、「ゲゲゲの女房」を思い出さずにはいられません!
    どこかに水木しげる先生の話がちょっと出てきたら嬉しいな~とか思ってしまいます。
    でも朝ドラ同士でそういうリンクはないですよね、妄想失礼しました。「ゲゲゲ」が大好きなので(^^;)

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      朝ドラどうしのリンク。一度やってほしいですね!『あさが来た』の時も、『花子とアン』とのヒロインリンクを期待してました。

  6. ひるたま より:

    谷田部家の面々のみならず、宗男叔父ちゃん・君子さん・きよさん&三男くん親子そして田神先生…誰一人としてひたすら眠り続けるみね子ちゃんを起こす事もなく寝かせておいてあげていました…奥茨城村の面々は皆さん優しいですね。(^^)
    (状況如何では「お客さん来たよ!」と叩き起こされてもおかしくないでしょうし)

    ひたすら走り続ける田神先生が初めに映った(しかも「いい走りですね」という増田さんの‘解説’付き^^;)にも関わらず、谷田部家に最初に到着したのは宗男叔父ちゃん。
    遅れて到着した三男くんは宗男さんから「お前は遅れてる」と言われ(いじられ?)る。
    2人よりもさらに遅れて最後に「ゴール」した田神先生は、教え子でもある三男くんから「先生遅れてる~!」と揶揄われる始末。f^^;
    なかなか良く考えられた場面だったような…??
    (田神先生の‘再登場’は、視聴者へのサービスでもあったかも?^^;)

    親元を離れての生活で「気が張る」…分かりますね。(^^)

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      田神先生、卒業生と就職先のことで元旦から全力疾走。教え子への愛情がどれほど本気なのかが「いい走り」に現れていました。

  7. よるは去った より:

    美代子「慣れてなんかいねえよ・・・・・でも口に出しても・・・・・。」 以前の連ドラ作品の「おていちゃん」で政治犯として刑務所にいるヒロイン(友里千賀子)の両親(長門裕之・日色ともゑ)が「『満つれば欠くる』というから・・・・・。」と普通に日常を過ごしている場面を想い出しました。茂祖父ちゃんも美代子母ちゃんもそこまでは悟りは得てないでしょうけど。今年は帰省しないものとばかり思っていたみね子ちゃんが戻って来たこと、またみね子姉ちゃんを「幸せ!」と喜ばせるくらいの卵焼きを作れるくらいにちよ子も成長しつつあることがせめてもの慰めなんですかね。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      会話の中でお父ちゃんのことを避けて通ったのは別の目的もあるのかなって気がしました。別の目的はこれからレビューにまとめてみます。