奥茨城行きを希望する実 / ひよっこ 第110話

2017年8月8日(火)放送『ひよっこ』第19週

あらすじと見どころ解説

みね子と実の二人暮らしが始まって一週間が経った昭和42年(1967年)5月。奥茨城村で田植えが行われる季節を迎えました。田植えの様子を語るみね子の言葉を聞かされた実は、自分の生まれ育った故郷に関心を持ち始めていました。

その頃、実は、家族のことや故郷のことをみね子から少しづつ教えられていました。家族のために東京に出稼ぎに来ていたこと。実が三人の子供たちのために東京で買って来てくれた靴を、今でも大事にしていることなどを。

そんな中、実は奥茨城に帰ってみようかと言い出しました。実の気持ちに変化に喜ぶみね子でしたが、休みを取りたいと言い出せずにいました。すずふり亭は、高子がやめてから人手不足が続いていたため、仕事を休める状況にはなかったのです。

しかし、鈴子と省吾は後ろ髪を引かれる思いのみね子の背中を押しました。このことはみね子の人生にとって大事なことだ。だから実を連れて奥茨城に行けと。すずふり亭の面々もみね子に帰ることを勧め、みね子は実とともに奥茨城に行く決意を固めるのでした。

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『ひよっこ』第19週 第110話 今回の時代背景解説と事前発表あらすじレビュー

連続テレビ小説(朝ドラ)『ひよっこ』
2017年8月8日(火)放送
第19週 第110話「ただいま。おかえり。」
事前に発表された『ひよっこ』第19週のストーリー展開情報の第一報では、みね子ちゃんが奥茨城に帰ることは発表されていましたが、実さんについては一切伏せられていました。

だから、今回の帰省は傷心のみね子ちゃんのセンチメンタルジャーニーみたいなものになるのかな・・・と、ブログ主は予想していました。

その一方で、これまで正月くらいしか帰らないみね子ちゃんが、何故いきなり田植えの手伝いのために帰省?という疑問もありました。

ちよ子ちゃんも進くんもあれから二歳半だけ成長し、しかも父親不在の中でかつてよりずっとしっかりしているはず。

まして田植えの助っ人には高ちゃんという力強い味方も加わり、宗男おじさんとすっかり仲良し夫婦になったシゲちゃんだっている。

みね子ちゃんがいなくても田植えは大丈夫じゃないか。

そんな疑念が解消されました。

実さんが「奥茨城村に帰ってみようかな」発言!

美代子さんが世津子さんのもとから実さんを引き取った直後のこと。美代子さんは実さんを無理に奥茨城には連れて帰らず、本人が奥茨城村行きを希望するのに任せました。

その美代子さんの願った瞬間が思いのほか早いタイミングでやってきました。

コメントありがとうございます!「手がみ」「ゆう気」

前回もたくさんのコメントを頂戴しありがとうございました。前回のコメントで最も多かったのは世津子さんがみね子ちゃんに宛てて送った手紙のひらがなの多いことです。

朝の放送を見た時点では、どの文字が漢字で書かれどの文字がひらがなで書かれているのかを確認できなかったので前回のレビューにはこのことについては触れませんでしたが、夜の再放送で確認した次の部分をもとに、世津子さんの子役時代を想像してみました。

「この手がみを送るのは、ゆう気がいりました。」

「手」と「気」が漢字。「紙」と「勇」はひらがな。「手」と「気」という漢字は、小学校一年生で習う漢字。一方で「紙」小学校二年生、「勇」は小学校四年生です。

小学校一年生の漢字しか書けない。つまり小学校一年までは学校に通えたものの、二年生になったあたりから子役女優として忙しくなったのでしょう。

学校も行けないくらい忙しければ当然家に帰って両親に甘えるなんていう時間も限られてくるはず。同年代の友達を作って遊んだり、思春期の悩みを共有できる親友みたいな存在と過ごす時間もないまま今の年齢になってしまったんでしょう。

その積み重ねられた孤独が行き着いた先で待っていたのは実さんだった。そういうことなのかなとひらがなだらけの手紙を見て思いました。

ところで、恐らく世津子さんは漢字を読むことは出来るんでしょう。子役時代から脚本は何百本と読みこなしてきたはずですから。しかし、読むトレーニングだけは誰よりも積み重ねたけれど書くトレーニングはまったく出来なかった。

それがあの手紙なのでしょう。

ところで、ひらがなが多いこともさることながら世津子さんの書く文字の稚拙さも心に刺さりました。『ひよっこ』の登場人物たちの書く文字がみね子ちゃんはじめ皆さんきれいなので、余計に際立っていました。

『ひよっこ』第19週 第110話 観賞後の感想

「あんたの人生にとって、とっても大事なこと」

今回の回想場面の一つ。谷田部家の庭先で実さんがみね子ちゃんのほっぺたを撫でまわすあの場面。あの時のほっぺたの感触が実さんの記憶を蘇らせるきっかけになるのかも、と予想したことがありましたがそうにはなりませんでした。

予想は外れましたが安心もしました。

安易に記憶を蘇らせなかったことで、脚本家の岡田先生はそれなりの覚悟を持って記憶喪失というテーマをドラマの真ん中に据えたらしいことがわかったので。

実さんの失踪の原因は記憶喪失ではないか。そんな予想コメントを当ブログに頂戴したこのドラマが始まったばかりのこと。

記憶喪失という予想は状況からして十分に考えられるものです。この予想はすごい!と感心したものですが、一方で不安もありました。

「安易なお涙頂戴ドラマだ」という非難レビューが、ネット上のネガティブコメントがよく集まる場所などで出始めていたのです。

非難レビューによれば、ドラマの世界の中ではすでに「記憶喪失」というテーマは手垢のついたテーマとみなされているとの由。

そんなものをあまりにも安易に採り上げたというのが非難レビューの主旨です。

ところで僕は運よく「記憶喪失」というテーマに手垢がベトベトとついてしまう過程を見ていません。1942年の『心の旅路』や1970年の『ひまわり』など、「記憶喪失」をテーマとした名作映画以降の、同様のテーマを描いた映画をほとんど観ていません。

特に手垢がつきまくったらしいこの十年ほどの間に制作された「記憶喪失」を扱ったドラマは、一作品も観ていません。ゼロです。

ちなみに「記憶喪失」を扱った名作映画は両作品とも僕はリバイバル上映で観ました。初公開時のロードショー公開をリアルタイムで観たわけではありません。念のため(笑)

そのようなわけで僕の中で「記憶喪失」を扱った映画やテレビと言えば『心の旅路』『ひまわり』です。この二本の名作と『ひよっこ』は直結しています。クラシック映画のテーマが朝ドラの中で復活した。そんな見方をしています。

でもこの十年ほどの間に制作された「記憶喪失」が安易に扱われたドラマを観てしまった人は、その安易な記憶喪失ドラマと『ひよっこ』が直結してしまうのかもしれません。僕のケースとは逆に。

過去の経験によってはクラシックの復活にも見える本作が、別の過去の経験があると安易なお涙頂戴ドラマにも見えてしまうんですね。

ところで、脚本家の岡田先生もプロとして「記憶喪失」をテーマに据えるリスクは重々承知しているはずです。覚悟して「記憶喪失」を扱ったものと思います。

その覚悟を「みね子ちゃんのほっぺた」に感じました。

第1週で登場したこの場面。いかにも後半への伏線を感じさせる場面でした。何かのフラグが立った!と思わずにはいられない場面でした。

ところがその場面が今回のドラマの中で再び回想された上に再現までされたにも関わらず、フラグの回収は行われませんでした。

フラグを安易には回収しない。そこに「記憶喪失」を扱った覚悟を感じました。

寝歌の愛子さん、危険な領域の富さん

愛子さんが寝歌で歌ったのは『下町の太陽』。同名タイトルの映画の主題歌です。今回の『ひよっこ』が昭和42年なのでその四年前の昭和38年に映画が公開されました。

向島電機と同じ墨田区にある石鹸工場の20歳過ぎの女の子が物語のヒロイン。

石鹸工場と言えば澄子ちゃんですが、『下町の太陽』のヒロインは結婚して団地に住むのが憧れの女の子。まるで幸子ちゃんです。澄子ちゃんと幸子ちゃんのプロフィール。『下町の太陽』からヒントを得たのかもしれませんね。

眠っている間に立ち上がって踊り、早苗さんに「危険な領域」とまで突っ込まれた富さんの寝言や寝歌ならぬ寝踊り。

踊るまではいきませんでしたが、それに近い行動を実際に見たことがあります。笑って済ませてましたが「危険な領域」だったんですね。

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コメント

  1. なほもと より:

    重箱を実さんに返す絶好機だったですよね。。。
    みね子が重箱見つけたけど、「鈴子さんが(預かった)実さんに返す」って言うやり取りはいいシーンだっただけに。

    みね子が緊急帰省の30分ほどの準備の間に、
    シェフと2人の助手が大急ぎで作ったお弁当が重箱の中に、、、
    というシーンを想定して泣く準備万端だったんですがwww

    実さんが再度東京に(記憶回復して?)戻ってくるしか渡す場面無くなったような。。。

  2. アロハママ より:

    NHKではありませんが、記憶喪失を扱ったドラマに、長瀬智也主演の「歌姫」があります。
    視聴率はあまりよくなかったようですが、素晴らしい内容に、2008年のギャラクシー賞を受賞した作品です。
    同じく戦後を舞台にしたドラマですが、お涙頂戴だけではなく、心温まるすばらしいドラマですので、よかったら見てみてください。 
    最後になりますが、私は海外在住ですが、NHKが視聴できるので、ひよっこ及び今までの朝ドラもとても楽しみにしています。そしてこちらのサイトもちょくちょくお邪魔させていただいて、楽しく拝見させていただいております。

  3. GATTO より:

    こんばんは。

    実お父さん、みね子さんに対し、だんだん敬語を使わなくなっていますね。他人行儀でなくなることは良いことですね。
    記憶を戻すことは難しいけれど、新しく上書きすることで、良い関係でいることは可能です。後は、時間をかけて粘り強くいくことでしょうか。

  4. よるは去った より:

    実「奥茨城に帰ってみるかな?」 サスペンスドラマとかで何かの衝撃で記憶を取り戻すというバメンを視ることがあるけど、奥茨城には「谷田部実」としての記憶を取り戻してくれる「何か」はあるのでしょうか?

  5. まーちゃん より:

    「心の旅路」とは何とも懐かしい映画ですね。「コールマン髭」の美男ロナルド・コールマンとグリア・ガースン主演で涙がちょちょぎれるラストシーンでした。「ひまわり」は言わずと知れたイタリアの2大スター、マルチェロ・マストロヤンニとソフィア・ローレンに加えて旧ソ連の名花リュドミラ・サベリーエワ3人の大人な解決がこれまた涙をそそる名作でした。さすがに私もリアルタイムではなくTVの洋画劇場で故淀川長治さんの名解説を聴きつつ視聴したわけですが(汗)この2作に加えて漫画の「はいからさんが通る」を記憶喪失ものとしては推したいですね。「ひまわり」に激似のシチュエーションながら少女漫画らしい胸キュンものの名作だと思います。

    私は見方が偏っているのかもと思いながらヒロインのみね子ちゃんより実お父ちゃんの動向が気になって仕方がありません。でもヒキの強さというのは連ドラを見続ける大事なファクトですからこれも脚本の岡田先生の術中ということでしょうか^^;

  6. ぱぽりん より:

    ひよっこで、途中から設定が変わってしまったことの一つが、「すずふり亭の定休日」。
    みね子が向島電気に勤めていた時には日曜に営業していたのに、みね子がホールで働きだしてからは日曜日が定休日になっている。今日の回でみね子が出勤する時に愛子、早苗達がまったり話しているので、あれれ、今回は臨時で変えちゃったかなと思ったものの、その前に
    「5月か~」
    そして柏餅を食べるシーンがありましたね。5月の頭、祝日でのシーン、ということなのでしょう。
    だとすると、すずふり亭の客足もいまいち、みね子が抜けた穴をなんとかやりくりできるのでしょう。
    鈴子さん、ただみね子にやさしいだけでなく、他のスタッフへの無理強いとならない様、しっかり計算もたてているようです、さすがです。

    ちなみに調べてみたら、この年5月は
    3水 5金 7日
    の飛び石連休。
    ドラマの今日が3日とすれば、最長5日の里帰りが可能、ということになるでしょうか。

  7. ムラやん より:

    楽しみになって来ました。
    ひよっこは、一歩間違えれば安直なドラマと評されそうなテーマや題材を丁寧に描いていて、スタッフの勇気や覚悟、当時の雰囲気を本当によく再現している作り込みの丁寧さなど、感心しております。

    実さんの記憶喪失は戻るのでしょうか?
    記憶は戻らないけど、奥茨城の生活習慣や作業の手順(つまり故郷)は覚えていて、もう一度美代子や奥茨城の生活を選ぶのを密かに期待しています。

    記憶を失った実さんは、なぜ記憶を失ったのかを考えると切なくなりますが、残りの物語を

  8. かなめ より:

    心の旅路やひまわり、いいですよね!私も最近の作品は知らず、古典を思いだします。
    ただ、ひよっこはもう少し様子を見ないとなんとも言えないな、と思ってます。
    今まで引っ張って来たのは何だったのだろう?うまくまとめられるのかな。
    最終回を見て判断しようと思ってます。

  9. ブラン より:

    いつも楽しみに読ませていただいてます。
    お父ちゃんの記憶ですが、じいちゃんが倒れてそのショックで。。。という展開はないでしょうか。あってほしくない展開ではありますが、これ以上ない“エグい”ものだと思います。ハッピーエンドを望む者としては、亡くなることはなくじいちゃん生還!で終わるということで。

  10. ほしいもすきー より:

    やっぱり続き送っちゃいます。
    昨日の茂じいちゃんに笑顔がなかったのは、女優さんと息子が暮らしていたという事実に、
    やっぱり自分と同じ血(モテ血?)が流れているのか、、、と暗澹たる気持ち(大げさかな?)だったのでは、、、とか考えてしまいました。どうしても訳ありに思えっちゃうのです。
    なんか私、それてますね。

  11. もんすけ より:

    ゆったりとした、温か味ある雰囲気が戻ってきたようでいて、散りばめられた予断許さじの台詞の数々。
    寝歌に寝踊りの件は、今後、実父ちゃんの身のうえにも起きるのでしょうか。
    また、ほっぺムギュムギュ。みね子ちゃん、島谷君にもされていましたっけ。なんとも微笑ましいほっぺムギュムギュのシーンですが、3度目の登場があるとしたら…。嬉し涙顔に、と願っています。

    また今日の時子ちゃんをみて、ふと。
    時子ちゃんが茨城弁の女の子役をする舞台(?)は、進行しているのでしょうか。その舞台の主役が世津子さんで、その絡みで世津子さんが奥茨城につながって笑顔を取り戻せたらなぁ~なんて、ぼんやり思いました。

  12. ほしいもすきー より:

    朝蔵さんのコメントにいつも感心しています。早苗さんのスティックさばき(108話)へのコメントが意外と少なかったのがちょっと残念です。
    世津子さん寄りの感想がとても多くて驚いています。おそらく乙女寮あたりから見始めた人もけっこういるのでしょうね。私は奥茨城編で毎日涙腺崩壊しまくってたので(楽しくてもなぜか泣けて泣けて)、
    今週はもう待ってました〜〜!!って感じです。
     実は、実さんの失踪にはじいちゃんが関わっているのでは?と一人ひそかに思ってました。なんとなく訳ありっぽい表情に感じられたのです。それに若い頃モテた‥ってゆうのに深い意味があるのではとどうしても思ってしまって(例えば東京に隠し子がいたとか(笑))‥‥
    でも、ここまできたら違いますね。長文失礼しました。

  13. ばーこ より:

    重箱…返したのかなぁ、鈴子さん…

  14. ちーぼー より:

    奥茨城に帰っておいで、と言ってくれる鈴子さんと省吾さん。そしてニッコリうなずく秀くん(元治さん、スルーでごめんなさい)。やっぱり、みね子ちゃんは秀くんとうまく行って欲しいなあ。

  15. 峰子 より:

    いつも楽しみに見ています。
    実さんの綺麗に折りたたまれていたシャツ…作業着?高級なシルクのパジャマかなと思いました。

  16. 南区の肉じゃが より:

    出稼ぎから帰って来ていた 実さんが 又東京に行く日
    畑の土のにおいを嗅いで「いい匂いだ」と言っていたのを思い出しました。
    土の匂いを嗅いで!実さん 思い出して・・・