谷田部家の田植え始まる / ひよっこ 第113話

2017年8月11日(金)放送『ひよっこ』第19週

あらすじと見どころ解説

みね子が実とともに奥茨城に戻り二年半ぶりの家族だんらんを楽しんだ翌日、田植えの日を迎えました。谷田部家の田植えには宗男が手伝いに駆けつけて来ました。実との再会に感無量の宗男は、自分が弟であることを実に告げました。

谷田部家の田植えの手伝いには、時子の両親、君子と正治。そして三男の両親、きよと征雄も駆けつけて来ました。君子ときよは、実の姿がそこにあることに驚き、実が家族のもとに戻って来たことを心から祝福します。

面々が揃ったところで田植えが始まりました。田植えが始まってすぐ、皆の視線は実が手際よく田植えをする姿に集まりました。過去の記憶を失った実でしたが、体は田植えを覚えていたようです。そのことに実自身も驚きを隠せません。

記憶がないことも笑い飛ばしてしまう奥茨城の女性の明るさ。実の中に眠っていた農作業の記憶。みね子はそこに未来への希望を見出していました。田植えを終えた家族に、みね子は楽しかった稲刈りの日を思い出しながらお疲れ様でしたと頭を下げるのでした。

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『ひよっこ』第19週 第113話 今回の時代背景解説と事前発表あらすじレビュー

連続テレビ小説(朝ドラ)『ひよっこ』
2017年8月11日(金)放送
第19週 第113話「ただいま。おかえり。」
実さんがいつか記憶を取り戻す日がやって来るというフラグでしょうか。自分の名前も出身地も家族のことも忘れた実さんでしたが、農作業だけは身体が覚えていたようです。

この農作業が記憶を取り戻すきっかけになるのかどうかは定かではありませんが、過去の記憶のかけらがこんな形で残っていたことに感激です。

また実さんの中に記憶のかけらがあったことがわかるのが田植えだったというのも、この先の明るい展開を暗示しているように思えてなりません。

お気付きの方は多いと思いますが、このドラマはみね子ちゃんの人生の浮き沈みを、ドラマの背景となる季節を巧みに取り入れながら描写しています。

みね子ちゃんが無条件に幸せだった稲刈りの場面は、これから寒くなる季節でした。

東京で就職したみね子ちゃんの楽しい時間の絶頂期も夏の終わり。その後、秋から冬にかけて向島電機の倒産を経験するなど、みね子ちゃんにはつらいひとときでした。

島谷くんとの恋のピークもやっぱり真夏。スイカの場面が忘れません。

その幸せいっぱいの夏から一転、失恋を経験したその日の夜、東京の夜空には初雪(?)が舞っていました。

これまでみね子ちゃんにとって幸せの瞬間はいつも夏だったり、夏の終わりから秋にかけての頃だったり、日照時間が短くなる一方の季節ばかりでした。

しかし、今回は初夏。日照時間が長くなる一方の季節です。田植えというイベントも、今この瞬間がこれから成長することを暗示しているかのようです。

もちろん、植えられた苗はやがて稲刈りされて寒い秋・冬を迎えます。

それでも、明るくなる一方の季節を背景にしたみね子ちゃんの幸せな瞬間の描写に、明るい展開を期待せずにはいられません。

コメントありがとうございます

前回いただいたコメントでもっとも多かったのは、実さんに「父ちゃん、実っていい名前ですね」と言われた茂じいちゃんが無言で涙をごまかす場面です。

涙はもちろんのこと、目頭を手で覆う仕草すら気づかれたくないと思ったのか慌ててその場を立ち去ろうとする姿が胸に迫りました。

奥茨城母の会では実さんと再会できたことを素直に喜んでいる様子の美代子さんとは対照的に、沈痛な表情を浮かべ続ける茂さんが強く印象を残っていただけに、前回注目を集めたあの場面は僕もぐっと来ました。

以下は僕の憶測です。

美代子さんは「実さんはまた自分のことを好きになってくれるかしら?」と不安半分、期待半分の気持ちを口にしていました。

「また好きになって」もらえれば「妻」として立場が復活できます。でも、父親にはそれが叶いません。好きとか嫌いを超えた存在です。

だから「父」としての立場が復活するのは「妻」よりも困難です。

その差が、奥茨城の母の会の美代子さんと茂じいちゃんの表情のギャップに出ていたのかもしれない。今にして思います。

ところで実さんが「実っていい名前ですね」と言ったのは、過去の記憶はないけれど過去と再びつながることができた喜びがあらわれていたような気がします。

親子にとって大切なのは好き嫌いでなく、過去とのつながりです。それを実感し始めた様子の実さんの姿に、茂じいちゃんも希望を見出すことができたのかもしれませんね。

『ひよっこ』第19週 第113話 観賞後の感想

雨の中の田植え。田植え場面の撮影はあいにくの雨天になってしまったんでしょうか。でもスケジュールがキツキツの物語後半、延期するわけには行かなかったんでしょう。

本当ならみね子ちゃんが語った、田植えを待つ田んぼの水面に日差しが反射してキラキラ輝くような映像を撮りたかったのだと思います。僕もそんな映像を見たかった。

でも、雨が降る中での田植えの場面。雨が降ったから田植えを延期するなどと悠長なことを言ってはいられない農家のリアルが現れていたと思います。雨が降っても苗は待ってはくれませんからね。

「笑っちまえばいいんだよ」

前置きが長くなりましたが、みね子ちゃんの独白にあった「なんだかいろんなことが大丈夫な気がして来ました」という明るい予感のする回でした。

前回、前々回。谷田部家の空気が危うく凍りつきそうになるのを救ったのはいつも進くんでした。一歩間違えていたら実さんの抱える問題を見て見ぬ振りする暗黙の了解ができかねない空気を進くんが破ってくれました。

記憶があるかないかって、深刻に受け止めなくても大丈夫なのかな。そんな気にさせてくれる進くんの爆弾発言の数々は痛快でした。

それでもなおあやうさが残っていた空気を、今回はきよさんが木っ端みじんに粉砕してくれました。

「オレが初恋の相手だってことも忘れたのか?」

前週の予告映像にも出ていたきよさんのこのとっても悩ましい発言。やっぱりこれはきよさんの冗談でした。しかもかなり悪い冗談です。

そのきよさんの悪い冗談に乗っかる君子さんの冗談がこれもまたきつい。嫁に来てからのことを全部忘れたいって・・・。

うっかり返事をしてしまう正治さんが今日も一段と薄い(笑)

そんな冗談をきよさんが見事な一言で総括。「笑っちまえばいいんだよ」

笑い飛ばして問題からちょっとだけ距離を置くことで、それまでよりもよく見えてくる問題の本質。きよさんのシンプル過ぎる一言、考えれば考えるほど深い!

そしてこのきよさんの言葉に美代子さんはもちろんのこと、茂じいちゃんがずいぶん救われたのではないでしょうか。

きよさんの言葉に救われた茂じいちゃん

田植えが終わり、茂じいちゃんが実さんに一言かけました。

「ゆっくりでいいんだ、ゆっくりで」

過去を取り戻すのに焦ることはない。ゆっくりでいいんだ、ゆっくりで。茂じいちゃんはそう言いたかったのでしょう。

親として息子の焦りを敏感に感じ取った上での言葉だったと思います。

でも「ゆっくりでいいんだ、ゆっくりで」というこの言葉。茂じいちゃんが自分に言い聞かせているようにも聞こえました。

本欄の上にも記しましたが、たとえ実さんの記憶が戻らなくても美代子さんは再び好きにさえなってもらえれば「妻」の立場は復活できます。

みね子ちゃん、ちよ子ちゃん、そして進くんも子供たち三人も、富さんの言葉を借りるならこれから新しい出来事を積み重ねることで、お父ちゃんと共有する思い出が増えるほどに親子の絆は太くなる。

でも茂じいちゃんは年齢から言っても残された時間は子供たちほどにはありません。実さんに再び好きになられても「父」としての立場が復活するわけではありません。

茂じいちゃん、焦りを感じていたのかもしれません。

でもきよさんの強烈な笑い飛ばし発言によって、焦りを感じていた茂じいちゃんの実さんとの距離の取り方、実さんが抱えている問題との距離の取り方がはっきりとわかったのではないか。そんな気がする茂じいちゃんの言葉でした。

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コメント

  1. はっさく より:

    ちよ子ちゃんと進くんに「大丈夫け」と言われたいです。
    ひよっこをずっと見ていたいです・・・9月が来ないといいなと
    来週も楽しみですね!

  2. すずりん より:

    茂じいちゃんの、縁側でのあの沈痛な表情の意味は、嫁に辛い想いをさせてしまって、心から済まないと感じた、義父の心情を表したものだと思いました。

  3. ふえろもん より:

    美代子さんと君子さんの「庭の千草」がハモっていて、とても良かったです。

  4. とと より:

    水田のピンクと黄色の雨合羽が可愛くて可愛くてもう。
    茨城出身者としては、xだっぺ、や、xぺよ!より、xxでしょうよ!が妙に生々しいです。xっぺ。は何か強調する表現ですけど、ダラダラ喋っている時はそうそう出るものでなく、んだからね、でもね、んなこと言ってもさ、しゃーあんめ、だって、おめ-よー!xxでしょうよ!考えてもみてよ!てな感じで意外とぺ、べ、じゃないん「ですけどね」。

  5. おっさん より:

    内容はともかく、随所に放たれるバックグラウンドミュージック(死語)。場面毎の金管楽器や木管楽器の
    音色にはまいります。人の心、心情、廻りのン息ををうまく現わしている、というよりも醸し出しているのには脱帽です。恐るべし演奏者、素晴らしいと感嘆しています。「きよ」さん、あんたはえらいなぁ。
    参った。

  6. よるは去った より:

    「体が覚えている・・・・・。」実父ちゃんはこういうことを積み重ねて徐々に記憶を取り戻して行くのでしょうか?

  7. 土井 隆 より:

    実さんの記憶が戻るきっかけは、すずふり亭に保管してある、以前実さんが持参した、重箱と予想しています。他の人が持ち帰らなかったことが伏線となっている気がします。予想当たるかな?

  8. GATTO より:

    こんにちは〜

    今日もまた「大子山のタヌキ」出ましたね(笑)。これから最終回まで何回この言葉が出て楽しませてくれるかな?毎回でも歓迎ですよ(爆)。

    それにしても、今日は、宗男さんのマッシュルームがピッタンコになっていましたが、それでもやっぱり楽しい顔です(笑)。

  9. 実穂 より:

    朝ドラと言うよりは、映画でもいいんじゃないかと言うくらい、心の琴線に来る作品だなと思っています。
    今回は宗男さんとの再会シーンがちょっと感動しました。

  10. ひるたま より:

    続きです。
    「大子山のタヌキ」先日はお蕎麦屋さんでお母ちゃんに言われていましたが、今日は妹&弟からも言われちゃっていましたね…みね子ちゃん。(^m^;)
    みね子ちゃん本人はよっぽど言われるのが嫌みたいですけれど。(有村架純さんは「タヌキ顔」だな~と見ながらつくづく感じています。ご本人がどう感じているかは???ですが)

    ところで。
    角谷家の征男さん&きよさん夫妻、すっかり「(奥)茨城のおっちゃん&おばちゃん」ですね。
    演じていらっしゃる朝倉伸二さんそして柴田理恵さんは共に富山県生まれ&育ちでいらっしゃいますが。(^^)

  11. ひるたま より:

    「時子ときよは、実の姿が…」とありますが、時子ちゃんではなく君子さんかと思われます。(ごめんなさい)

    ところで…実さん・みね子ちゃん・宗男さんその他の面々が田圃のぬかるみに引っ掛かって転び、童心にかえって(?)泥だらけになっていた場面がありました。
    そして田植えが終わった後…何故か泥まみれになった筈の皆さんの衣装が(多少の汚れはあったものの)さほど泥まみれになっていなかった事に違和感を感じてしまいました。
    おそらくシーンを細切れに撮影出来るテレビドラマだからこそ、「大人の事情」もあった事は想像に難くありません。
    せっかくの楽しく、そして良い場面だっただけにどうしても気になってしまいました。(今もやや引っ掛かりを感じています)
    水を差す&重箱の隅を突くようなコメントで申し訳ありません。

    「嫁に来てからの事を全部忘れたい」
    朝蔵さんも仰る通り、受け取り方次第ではかなり「悪い冗談」とも取られかねませんが…私はこの場面を見ながら何故か笑ってしまいました。農村の長閑な風景の力がそうさせたのかも?と思ったりしました。

  12. 老羊 より:

    「谷田部家の皆様、今年も田植えお疲れ様でございました」と言ったみね子の顔がすっきり細くなって、すっかり大人の顔になっていました。有村架純さんの女優t魂を見せ付けられた思いで、あらためて「ひよっこ」愛が深くなりました。

  13. ぱぽりん より:

    物語冒頭の稲刈りからこちら、谷田部家其々2回の田植えと稲刈りは大変だったんでしょうね。なにしろ、実、みね子、三男、時子、4人もの手が無くなっていたのだから。
    助川夫婦に加え角谷夫婦の応援でなんとかしのいできたのでしょうか。

    それにしても、角谷家はリンゴ農家。
    「おとうちゃんが帰ってくる」での稲刈りで角谷家からの手伝いが三男だけだったのは、リンゴの収穫真っ盛りだからか、それとも収穫前の玉回しや葉落しで手が離せなかったからなのでしょう。田植えの頃も同様で、自分の田んぼの田植えは当然として、やはりリンゴの花摘みから摘果と続くめちゃくちゃ忙しい最中です。しかし、今日のきよさんは余裕の風情。きっと高子さん、とんでもなく強力な戦力となっているではないでしょうか。
    あの高子さんなら、充分にあり得ます。

    みね子に「彼氏を見せに来い」と言っただけあって、太郎兄ちゃん、人物を見る目が確かなようです、さすが奥茨城村青年団<団長>です。

    明日の、高子さんの登場が楽しみです。
    「俺の戦争」が終わった宗雄さん、バイクの英国旗が無くなりましたね。

  14. 繊蘿蔔 より:

    物語の本質にはあまり関係ないことですが

    田植えのシーンでは女衆が歌いながら植え進めて行きます
    このは黒澤映画・七人の侍 へのオマージュかな
    と思って録画コレクションを確認したら
    歌っているのは男衆で 植える作業は娘衆でした

    ここで 植え進める方向の違いに気付きました

    黒澤明映画では後方
    ひよっこ では前方

    思い返すと 我が神奈川中部では後方
    これは植えた苗を踏み乱さないための配慮だそうです
    茨城県北部では前方が一般的な流儀なのでしょうか?

  15. べんけい より:

    お父ちゃんが帰って来て、美代子さんの表情を注目してドラマ見てます。
    美代子さんだけ敬語。きんぴらを食べてくれて、ありがとうございます。って
    喜んで、不安なんだろうなー。
    以前某局で和久井映見が記憶なくして夫婦をやり直すというドラマがあって
    印象的な台詞が「あなたを好きと言う気持ちを忘れた。一緒にいるのが辛い」って
    言ってた。美代子さんもお父ちゃんじゃなく実さんの心が心配なんだろなーって
    言う表情だと思いました。