蔵に閉じ込められるてん / わろてんか 第16話

2017年10月19日(木)第3週「一生笑わせたる」

あらすじ

リリコが藤岡屋で起こした騒動により、てんが蔵の中に藤吉をかくまっている事実が儀兵衛の知るところとなりました。儀兵衛は藤吉とキースを蔵の中から追い出すと、二人とてんを厳しく問い詰めました。

儀兵衛は藤吉とキースを追い出すと、今度は蔵の中にてんを閉じ込めました。しずはてんに同情するものの儀兵衛はてんを決して許そうとはせず、失意のてんもまた母のしずの呼びかけにも応じず、食事にも見向きもしませんでした。

その日の夜。蔵の中に閉じ込めらたままのてんに話しかける声が聞こえてきました。それは藤吉の声でした。蔵の外から藤吉が呼びかけてきたのです。藤吉の呼びかけにてんは応えました。自分はこれから婿をとり家を継ぐことだけを考えて生きてゆくつもりだと。

その次の日の夜も再び藤吉が蔵の外に姿をあらわしました。藤吉が差し入れた柿の実を口にしたてんの顔にようやく笑いが戻りました。しかしその光景を目撃し激怒した風太は、ついに藤吉と対峙するのでした。

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予習レビュー

藤岡屋の倒産の危機。藤吉が手紙の中で重ねつづけてきた嘘。

これら二つの事情が重なったことで、てんちゃんの藤吉くんへの気持ちは揺らぎはじめていました。

もし次のような事態にならなければ・・・

藤吉くんの喧嘩にはじまり、藤岡屋の蔵の中に藤吉くんをかくまいそれがバレて今度はてんちゃんが蔵の中に閉じ込められる。

そして蔵の中で笑顔を失ったてんちゃんを励まそうと、藤吉くんが蔵の外に姿をあらわす。

もしこのような一連の出来事が起こっていなければ、てんちゃんは儀兵衛お父はんの望み通り縁談を受け入れ、結婚が決まっていたかもしれません。

もしそうなっていたら藤吉くんとも永遠の別れ。

そして何よりこれからはじまる「笑い」の物語は始まっていませんでした。あぶないところでした。

というわけで第3週の前半で描かれた一連の騒動を経て、いよいよてんちゃんと藤吉くんの物語のスタートです。

しかし・・・ちょっとネタバレになりますが、次週は儀兵衛お父はんよりもおっかないらしいキャラクターが登場します。

感想

今回のお話、『わろてんか』が始まってから今日までの中で一番好きです。これまでのどの回よりも、登場人物たちの気持ちが僕の心に沁みました。

いよいよ、登場人物たちへの本格的な感情移入が僕の心の中ではじまったようです。

ちなみに僕は人見知りをする性格のせいなのか、朝ドラの登場人物たちへの感情移入にものすごく時間がかかります。

例外だったのは『あさが来た』と『ひよっこ』。

この二作品だけは第1週のかなり早い段階から、登場人物たちに馴染んでしまいました。しかし、この二作品以外の感情移入スタートの平均は第3週です。

『わろてんか』は平均のペースのようです。

歴史に「もし」はないけれど、ドラマに「もし」は?

激怒した儀兵衛お父はんによって蔵の中に閉じ込められたてんちゃんが、夜な夜な蔵の外にやって来た藤吉くんに言いました。

「きちんとお別れを言えてよかった。自分はお婿さんをとってこの家を継ぐ身。これからはそのことだけを考えて生きてゆく」

てんちゃんのこの言葉のその奥にある本心は大いに揺らいでいるでしょうが、それでもてんちゃんのこの覚悟は本物でしょう。

藤吉くんへの想いを断ち切って、婿をとり藤岡屋の後を継ぐ。

まだ揺らぎのあるこの決意を、揺らがない確固たるものにしようと心の中で大いに葛藤しているのが今のてんちゃんの状態ではないかと思います。

しずさんにはそんなてんちゃんの気持ちがわかっているみたいです。

しずさんが儀兵衛お父はんに言った「お別れだけさせてやってください」という言葉が、しずさんのてんちゃんの気持ちへの理解の確かさをよく物語っていました。

もし、しずさんがそんなてんちゃんに言葉少なに寄り添い続けていたら。

もし、儀兵衛お父はんがしずさんに代わって蔵の中に閉じ込めたてんちゃんを見張ろうとしていなければ。

もし、風太くんが藤吉くんと対決していなければ。

そしてもし、藤吉くんが蔵の外に姿を表していなければ・・・

きっとてんちゃんは婿をとって家を継ぐという決意を固め、藤吉への気持ちを胸の奥の方に封印することですべては終わり。

『わろてんか』の物語は成り立たなくなります。

しずさんに代わっててんちゃんの見張りをすることになった儀兵衛お父はんは、娘の恋路に立ちはだかるつもりが、おそらく娘の恋路を開く役回りを演じることになるのでしょう。

藤吉くんを京都から追い出し、てんちゃんに二度と近寄らせたくないと考える風太くんは、その行動がかえっててんちゃんと藤吉くんの距離を縮めてしまうのかもしれません。

今回はこれまでの『わろてんか』の中で、しっとりとした場面が一番多かった回でしたが、そのしっとりとした場面場面のその奥に、物語の急展開のフラグがいっぱい見え隠れしていたような気がします。

まるで人生が終わったかのような失意のてんちゃんですが、実はてんちゃんの人生はまだはじまってもいません。

てんちゃんの人生がはじまるのはもう間も無くのことです。

育ちの良い「藤吉郎」くん

これまでになく心に沁みた『わろてんか』でしたが、これまでになく藤吉くんの凛々しさがまぶしく映った回でもありました。

儀兵衛お父はんに問い詰められた藤吉くん。自分の素性を自分の口から姿勢を正して語った彼の姿を見て思いました。

さすが、老舗のボンだけに育ちがいいと。

そして、その夜に再び藤岡屋の蔵の外にやってきた、てんちゃんを励ます藤吉くんの心意気が嬉しい。

藤吉くんはこれまで残念な姿ばかり見せられてきましたが、はじめて彼の男前で礼儀正しい一面を見ることができて、藤吉くんに対する好感度は急上昇。

「嘘の手紙」を通して、藤吉くんとてんちゃんは心を通いあわせ、また二人ともその手紙によって励まされそれぞれの心の支えになっていたのが深く納得できました。

てんちゃんが藤吉に恋した理由。藤吉くんがてんちゃんに恋した理由。それがやっとはっきりわかったような気がします。

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コメント

  1. GATTO より:

    こんばんは。

    このお父ちゃんはダメだな。いや、時代は関係ないです。逃げ場の無い人間のこわさをわかっていない。
    それと、ドイツ人とのホーム・パーティの失敗から全然学んでいません。人間、押しつけられれば爆発します。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      『あさが来た』のお父ちゃんも自らを省みることができたのは最晩年だったので、儀兵衛お父ちゃんも「父親として」成長の途上にあるのかもしれませんね。

  2. 安ママ より:

    まだ決めつけるのは早計だと思いますが、朝蔵さんもそうだったように、前作のように心揺さぶられるまでには至っていません。
    この作品の方が、山あり谷ありのサクセスストーリー、王道の朝ドラなのかもしれませんね。
    でもまだ、ひよっこの第1話の初めの数秒で虜にされた衝撃がまだ訪れてくれません。

    でもまだまだ序の口ですよね。
    これからの展開に期待して毎日見続けます!

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      他作品と比べていたらキリがないですからね。今は目の前の展開に集中するだけです。