北村屋で啄子に会うしず / わろてんか 第23話

2017年10月27日(金)第4週「始末屋のごりょさん」

あらすじ

藤吉と楓の祝言準備を、啄子が本気になってすすめはじめました。そんな啄子に反発した藤吉は、てんとの結婚を啄子に認めさせようと動きはじめました。藤吉は米を産地から直接買い付けるという、その頃の米問屋としては斬新な仕入れ方法に挑んだのです。

藤吉が仕入れた米は味は良かったものの、あまりにも高価なものでした。藤吉の目論見もむなしく北村屋の番頭は藤吉の仕事を認めはしませんでした。そんなある日、北村屋にしずがやってきました。座敷に通されたしずは啄子と対面し口を切りました。

啄子と話がしたいというしずの目的は意外なものでした。てんを商人として北村屋で鍛えてほしい。しずは啄子にそう頼んだのです。そしてしずは、藤吉と一緒になる覚悟を固めろとてんに告げ、北村屋を去って行きました。

啄子はしずの頼みを受け入れたものの、てんを嫁として認めるつもりはありませんでした。それを察した藤吉は、楓に出て行って欲しいと懇願。楓を激怒させます。その日の夜、しずがてんのために持ってきた着物が何者かによって盗まれてしまうのでした。

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予習レビュー

今週に入ってから、事前に予告されているストーリーを見る限り藤吉くんの姿が見えないことが気がかりでした。

てんちゃんは啄子さんからのイケズに直面し、米を売る競争で勝利を納めているにも関わらず嫁として認めてもらえることはない。

そんな状況から考えて、てんちゃんのことを諦めたはずの風太くんが、今もなおてんちゃんのことを気にかけ、わざわざ京都から駆けつけてくる。

トキちゃんも、しずさんに送り込まれて来たとはいえ、てんちゃんの心の支えとなって働いています。

その一方で藤吉くん、一体何やってるの?

そんな気がしています。

そして、前回あたりにようやくその名が出て来た藤吉くんは、名前が出て来て早々に京都からやって来た風太くんに一喝される始末。

ちょっと残念な藤吉くん。

でも風太くんからの一喝によって藤吉くんもやっと目を覚ましたのでしょうか。

藤吉くんがやっと行動を開始しました。

今回、藤吉くんは新機軸の仕入れルート開拓には失敗しました。

しかし、それはやる気がなくての失敗ではなく、新しいことにチャレンジした上での失敗です。得るものがたくさんあったはず。

この度の失敗の経験も、今後の寄席経営に活かされて行くのでしょうか。

感想

鈴木対決「京都から討ち入りや」

時間が経つのも忘れてしまうような対決場面でした。そして、期待を大きく上回る場面でもありました・・・今回の鈴木対決は素晴らしい。

たたき上げの船場のごりょさん・啄子さんと、婿をとっておっとりと暮らしてきた良家の奥様・しずさん。

こんな二人が対決しても、しずさんに勝ち目はないだろう。貫禄負けにするに違いない。もしかすると対決にもならないかも知れない。

そんな不安さえ抱いて今回の鈴木対決に臨みましたが、しずさんが思いがけず強い!

二人の鈴木の駆け引きの潮目が変わったのは、しずさんが今は亡き新一くんのことを口にしたその瞬間からでしょうか。

「私にも後継の息子がいました」

この一言で啄子さんの顔色がさっと変わったのを僕は見逃しませんでした。わずかに動揺が走りました。あの微細な表情の変化。神レベルの演技です。

そして、この一言がきっかけになって、それまでしずさんの言葉をことごとく突っぱね続けてきた啄子さんの突っぱね方に力がなくなってきたように思います。

その後は、あの啄子さんがじわじわと静かに土俵際まで追い詰められてゆく。

ところがしずさんは、たとえ啄子さんを土俵際まで追い詰めても土俵の外に追い出そうとは決してしない。

その呼吸の取り方、間の取り方が計算され尽くしているようで怖いことこの上ない。

ところで、今回の鈴木対決場面を実際に見るまではしずさんに勝ち目があるのかと疑ってかかっていました。

しかし、よくよく考えてみるとしずさんは覚悟を固め、しかも啄子さんと対峙した時の問答も想定してやってきたはずです。準備万端の討ち入りです。

最愛の娘のことを「あの子は勘当した身」と平然と涼しい顔をして言ってのけることが出来たのは並々ならぬ覚悟があったはずです。

一方で啄子さんは不意打ちを食らった格好です。想定外の奇襲攻撃です。実ははじめから啄子さんに勝ち目がなかったのかも知れません。

と言うわけで、今回の鈴木対決。しずさんの圧勝でした。

啄子さんを土俵の外には追い出さず、勝ち負けをはっきりさせない決着のつけ方をする余裕を見せるほどにしずさんは圧勝しました。さすが京都人です。

そんな勝負のつき方だと、にぶい人なら自分が負けたという自覚もないでしょう。でも、啄子さんもたたき上げの人なので自分が負けたことははっきりと自覚しているはずです。

しかし、この鈴木対決の直前に啄子さんは藤吉くんに言いました。

「負けるが勝ち」と。

負けるが勝ち。実質的には勝ったのだと自分に言い聞かせているに違いない啄子さんの反撃が怖すぎます。

藤吉くんの出て行ってくれと頼まれて激怒した楓ちゃんも怖かったけれど、誰の目にもよくわかる怖さの楓ちゃんよりも、ずっと怖い二人の鈴木の静かな静かな対決でした。

「死ぬまで商人になれなかったボンクラ」

前回、頼子ちゃんがてんちゃん語った内緒話の「お父ちゃんはボンクラ」発言があっという間に回収されましたね。

そして、愛する藤吉くんだけはあんなボンクラにしたくないという啄子さんの焦る気持ちもよくわかりました。

でも、そんな焦りがともすれば藤吉くんをボンクラにしかねないんだよ。そう言ってあげたかったのは僕だけでしょうか。

「貞女二夫に見えず(ていじょじふにまみえず)」

貞女二夫に見えず。浅学非才にして初めて知りました。忘れないためにメモしておきます。

ていじょじふにまみえず【貞女二夫に見えず】
貞女は夫が死んだあとも、再婚することはない。貞女は二夫じふ・にふを並ならべず。
引用:コトバンク(三省堂『大辞林』)

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コメント

  1. kg21 より:

    若かりし頃、トレンディードラマに出演し始めた頃のダブル鈴木さんは、二人とも清楚で大人しい役柄が目立ちましたが、年月を経て、大女優の貫禄が備わった説得力のある演技をするようになっていたことを、改めて思い知りました。
    今回のダブル鈴木さんの共演は、わろてんか屈指の名場面だと思いながら見ておりました(笑)
    朝蔵さんが「しずさんは、たとえ啄子さんを土俵際まで追い詰めても土俵の外に追い出そうとは決してしない」、「勝ち負けをはっきりさせない決着のつけ方」と感想に書かれていましたが、まさにそのとおりだと思いました。相変わらずうまいこと書かれますね!さすがです!(笑)
    ドラマの中では、この方法がお互いにベターな方法ですし、演じているダブル鈴木のネームバリューにも支障をきたさない、全方位で素敵な落としどころだと思いました(笑)
    朝蔵さんの感想を読んで思い出したのが、吉野弘さんの詩「祝婚歌」の一説でした。
    「正しいことを言う時は、少しひかえめにする方がいい 
     正しいことを言う時は、相手を傷つけやすいものだと気付いている方がいい」
    私は夫婦間だけの話ではなく、物事を前に進めるための会議や議論等では、日頃からこの一説を心がけていますが、今日のしずさんは堂々としながらも、相手を傷つけ過ぎないという姿勢(というかこの場面を実現させた脚本と保奈美さんの演技)に、私は心から感動してしまいました(笑)

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      吉野弘さんの詩、これは深いですね。思わずメモを取りました。この詩を知ることで、鈴木対決の場面がさらに輝きを増してよみがえってきます。人間関係の極意ですね。

  2. いつも有難う(^^)v より:

    鈴木保奈美さんの表情や仕草に毎回くぎ付けです。普段はおっとりしている雰囲気のしずだけど、実は芯のある人なんだろうなと思っていましたが、今回の凛とした佇まいや話し方に痺れました。保奈美さんの着物も毎回素敵で、いつも目を奪われています。今日の放送は何度でも繰り返し見たいと思います。

    ※朝蔵さんへ。いつも楽しく拝見させてもらっています。これからも更新を楽しみにしています。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      しずさんの姿を見て思いました。この人の娘だからてんちゃんはこれから大きな仕事ができるんだろうって。本当に凛々しいしずさんでしたね。

  3. たこやき より:

    コメントごぶさたしております。たこやきと申します。
    鈴木対決、流石でしたね。
    ところで、てんちゃんが「ひよっこ」の愛子さんに重なって見えます。苦労を幸せに昇華する、あのパワーです。続きが楽しみな4週目です。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      てんちゃんは今は大変ですが、てんちゃんの未来もきっとすごい事ばかり起こることになりそうですね。

  4. ※※けい より:

    鈴木さん同士の演技に引き込まれました。
    京香さんのドラマを欠かさず見てきた私には鈴木さん同士の出演とても楽しみにしていました。素晴らしいです!!

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      見た目は静かな対話なのに壮絶な火花が散るさまが本当に素晴らしかったですね。

  5. ひるたま より:

    今日の冒頭、「値段が高いけれども味が良い」お米を仕入れて来た藤吉くんの場面を見ながら感じた事。
    彼のモデルとなった吉本吉兵衛氏は、芸人の目利き担当だったとの事ですね
    現時点では「ダメ男」良い所殆ど無しの藤吉くんですが(^^;)…良い物を見極める力は決して悪くないのでは?と感じました。
    もっとも次週では、その藤吉くんが騙されるエピソードが用意されているようですけれども。(^^;)

    そして「鈴木対決」=啄子さんとしずさんを見ながら、良家のお嬢様感溢れるしずさんに対して啄子さんがコンプレックスを抱いたように私は感じたのですが…考え過ぎでしょうか。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      藤吉くんが良質の米を仕入れきた場面。将来の目利きのフラグだったのかもしれませんね。

  6. よるは去った より:

    しず「煮るなり焼くなり・・・・・・。」啄子「ほな遠慮のう・・・・・。」こういう場面は同年輩の女優さん同士だとまるで火花を散らすが如しですな。私らの年代のようにダブル鈴木を二十歳代の時から見ているものには尚更です。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      お二人の若い頃を見てきただけに、この対決は感慨深いものがありましたね。