借金取りが北村屋に来る / わろてんか 第29話

2017年11月3日(金)第5週「笑いを商売に」

あらすじ

藤吉に金を貸した高利貸しが北村屋にやってきました。金を返せ。金がないのなら担保に入れた店を明け渡せと迫る借金取りから店を守ろうとする啄子の姿を見て、藤吉は一芝居売ちました。藤吉の鬼気迫る姿を芝居とは気づかぬ高利貸しは退散しました。

高利貸しが去った後、藤吉は本心をはじめて啄子に語りました。子供の頃から啄子から一度も褒められたことがなかったこと。だからこそ、啄子に認められたい一心でキースの儲け話に乗ったことを。

その翌日から藤吉は、店に残った米をすべて売り切ろうと覚悟を決め、てんの助けを得て大阪を売りあるくことになりました。そんな中、藤吉とてんは万丈目の店でキースと遭遇。最後に残った米をキースはすべて買い取ってくれました。

北村屋に残った最後の米を完売した藤吉が家に戻ると、藤吉はてんに告げました。もう実家に帰れ。時分のような者と結婚すべきではないと。しかし、てんは藤吉の言葉を拒み、笑いを商売にして再起をはかったらどうかと提案するのでした。

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予習レビュー

藤吉くんが北村屋の土地を担保に入れて金を借りた高利貸しが借金の返済を迫りに北村屋に押しかけてきます。

藤吉くんが借りた金で買ったパーマ機は不良品で売れませんでした。だから藤吉くんの手元に現金はありません。北村屋にもきっとないのでしょう。

結果として高利貸しが取り返せるのはただ一つ。北村屋の家屋敷だけです。

さて、今回はいつもクールな啄子さんが家屋敷を借金取りから守り抜こうと珍しく取り乱すようです。藤吉くんも、啄子さんともども騒ぎを起こし、ついに借金取りは退散。

この母と息子の騒動は、二人揃っての芝居でした。

上手いか下手かはともなく芝居慣れしている藤吉くんならともなく、啄子さんまもでが借金取りを追い返そうとひと芝居を打つ。

咄嗟にこんな行動を出れるなんて、これまでにも似たような場面があったんでしょうか。

それはともかく借金取りを追い返す場面で忘れられないのは『ちりとてちん』のB子ちゃんが大阪一の名うての借金取り「哀れの田中」を追い返す場面です。

『ちりとてちん』の数ある笑いの名場面の中でも、とりわけ僕の大好きな場面です。この回だけ繰り返し見てしまうほど大好きです。

「哀れの田中」を期せずして追い返すことに成功し、「哀れのチャンピオン」と賞賛されてもその賞賛の言葉でB子ちゃんは深く落ち込むという悪循環。

この笑いの名場面を超えることは難しいかもしれませんが、お茶目な啄子さんの一芝居が大いに笑わせてくれることを期待せずにはいられません。

▼B子ちゃんが「哀れの田中」を追い返す回
ちりとてちん 17話 あわれの田中を追い返す

感想

北村家の母と息子の関係

前回から今回にかけての、斧を手に持った藤吉くんの騒ぎが芝居であることは事前の情報で承知していました。

しかし、啄子さんが息子の行動を芝居と思っていなかったのは意外でした。てっきり、親子で阿吽の呼吸のもと、一芝居打つものとばかり思い込んでいましたので。

斧を振り上げた藤吉くんの姿に恐れおののく啄子さん、本気で怖がってたんですね。

怖い思いをした啄子さんは気の毒でしたが、啄子さんが藤吉くんの芝居を本気の行動と勘違いしたおかげで、いいことが一つだけありました。

啄子さんと藤吉くんの母と息子の間のわだかまりが完全とは言わないまでもある程度は清算できたのではないでしょうか。

北村家の母と息子。母は息子を溺愛し、息子も母に対して特段の反発などはしていませんでした。パッと見は仲が悪くは見えないけれど、何かがすれ違っている。

そのすれ違いが何なのかが今日までずっとわからずにいましたが、やっとそれが見えてきました。

啄子さんが藤吉くんに対して抱いていた期待や愛情は、藤吉くんにとっては負担でしかありませんでした。

一方の啄子さんは、藤吉くんへの期待や愛情が息子の負担になっているとは夢にも思っていませんでした。

そのズレが年々大きくなり、そのズレから逃れようとしたり埋めようと試みたりしたのが、ドラマの中で今日まで描かれてきた藤吉くんの行動の数々だったのでしょう。

そのズレが今回でほぼ埋まりました。

しかしズレが解消されたとき、北村屋はすでに再起不能な状態にまで陥っていました。皮肉な展開です。

ズレが解消された中で、啄子さんと藤吉くんが心を合わせて北村屋の再建に取り組めば、倒産を避けられたかどうかはわかりませんが、もう少し違う結果になっていたかと思います。

しかし母と息子の心のズレが藤吉くんに焦りを生じさせ、ズレを埋めようとする努力が北村屋の寿命を縮めてしまったようです。

「婦唱夫随」

落語のオチをどうするかで議論を戦わせるキースたち。

結論が出ないオチを藤吉くんは「夫唱随」で上手にまとめましたが、てんちゃんと藤吉くんの夫婦関係は「夫唱随」ならぬ「唱夫随」になる。

そんなフラグが立ちました。

「あなたには商売の才覚がないかも知れない」

てんちゃん、ずいぶんとはっきり言いましたね。藤吉くんが一番触れて欲しくないところ、特に北村屋を倒産に追い込んでしまった今のタイミングでは避けて通りたかった現実。

そこを真正面から突いたこの瞬間に「唱夫随」確定です(笑)

里へ帰れという藤吉くんの言葉をてんちゃんは一蹴。しかも「結婚してあげる」の一言で、北村家に嫁ぎながらもまるで婿をとったようなポジションをてんちゃんはゲット。

藤吉くん、自分の生家にいながら実質的にマスオさん状態です。

そして、家業の再建プランまでもがてんちゃんの口から出てきてしまいました。

ちょっとネタバレになりますが、次週の一週間はてんちゃんと藤吉くんが寄席経営をはじめるための準備期間。

翌々週あたりからは寄席経営の物語が本格的に始まります。

その時、てんちゃんと藤吉くんの関係がどのように描かれるのかが今から楽しみです。やっぱり「唱夫随」になるのでしょうか。

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コメント

  1. よるは去った より:

    「雄の『首長鳥』が『つー』と飛んできて浜辺の木の枝に『る』と泊まって、後から雌の『首長鳥』が・・・・・・。」「雌の『首長鳥』が?」「黙って飛んできたの。」現在東西の落語家さんがこういうサゲで「つる」を演じてます。何気に聞いて笑っていたサゲですけど、藤吉郎「後から雌が何も言わんと寄り添って付いてくる。これぞ『夫唱婦随』・・・・・・。」なんて解釈も有りかななんて思っていまいました。最後の場面の藤吉郎君とてんちゃんのやり取り視てて、この二人は先述の「つるの夫婦」かな?とも思いましたけど、てん「『笑い』を商売にするんです。」と妻が先に言い出しているようですから、案外「鶏の夫婦」かなとも思っていまいました。え~、良く昔から「『雌鶏』突いて『雄鶏』時を告ぐ。」なんてことを申しましなて~。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      てんちゃんと藤吉くん、「つるの夫婦」の逆になりそうですね(笑)

  2. よるは去った より:

    すみません。芸を疲労→芸を披露かな? 記事通りの藤吉郎君なら疲労もありえるでしょうけど。朝蔵さんもちょっと「疲労」気味?

  3. ざっくりぱぱ より:

    『哀れの田中』、懐かしすぎる。ちりとてちんは、落語をオマージュした小話が秀逸でしたね。