風鳥亭がついに開業する / わろてんか 第38話

2017年11月14日(火)第7週「風鳥亭、羽ばたく」

あらすじ

てんと藤吉は悲願だった風鳥亭の開業する日を迎えました。てんは、寄席の前に立っては客を呼びあつめ寄席の中にあっては客にお茶を振る舞うお茶子をつとめ、席主の藤吉ともども忙しく働いていました。

しかし、その一方で風鳥亭が出す落語や芸は客にはまったく受けませんでした。キースやアサリが懸命に笑いをとろうととしても空回りするばかり。藤吉が出演を頼んだ落語家も客をシラけさせるだけでした。

落語家の玄白は、新しい寄席は三日目で賑わいを見せるものだと言いました。しかし、期待していた三日目にはさらに客足は遠のき、ついに落語家の玄白も激怒して風鳥亭から去って行きました。

日を経るほどに風鳥亭の客の数は減り、てんと藤吉は焦りを募らせます。そんな中、風鳥亭で忙しく働くてんと藤吉の前に、意外な人物が姿を表します。てんが寄席を開業したという噂を聞きつけた伊能がやって来たのです。

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予習レビュー

てんちゃんと藤吉くんによる寄席がついに開業。寄席は「風鳥亭、ふうちょうてい」と名付けられました。

寄席の名前の由来は、大空の風に乗って飛ぶ鳥のごとく大阪中に笑いを広めるという願いが込められているのだそうです。

ところで、寄席に込めたもう一つの願いは北村屋の再興だったはずです。だから、当初は「北村亭」を名乗るつもりだったものの啄子さんがその案を却下。

てんちゃんの実家・藤岡屋からの借金の返済が終わらないうちは「北村屋」を名乗ることは許さない。それが啄子さんの言い分です。

啄子さんの考え、いつも筋が通ってます。

しかし、ようやく開業にまでこぎつけたものの客の反応は芳しくありません。それもそのはず、売れない芸人仲間を引っ張り出したところで笑いを取れるはずなどないかと。

藤吉くんが連れてきた玄白という名の落語家も、トリをつとめたものの空振り。

寄席という箱ばかりに気を取られ、その箱に入れるものをしっかりと仕込まないまま開業を急いだツケが、開業してほどなくまわってきました。

そんな中、てんちゃんと藤吉くんを訪ねてきた人物とは?

ちょっとネタバレになりますが、いつぞやてんちゃんに本業の貿易だけでなく、自分もいつか芸能に関するビジネスを手掛けたいと打ち明けたあの方。

てんちゃんの祖母・ハツさんが「恋」したあの方です。

これまでずっと物語の外側にいたあの方ですが、そろそろ物語の真ん中近くに入ってくるのでしょうか。

感想

目利きの藤吉くんが残念な落語家を呼んだワケ

藤吉くんは落語家や芸人の目利きができるはず。てんちゃんもそれを認めていたし、藤吉くん自身も芸の良し悪しを見抜く自信があると言い切っていました。

にも関わらず玄白師匠みたいな残念な落語家を、藤吉くんが連れてきてしまったのは何故?

疑問に思いながら今回の『わろてんか』を観ていたのですが、自分で自分を納得させる理由を見つけました。

結論から言うと藤吉くんは芸の目利きができて、しかも興業界を知り尽くしていたからこそ玄白師匠みたいな落語家に出演依頼をしてしまったのではないか。

これが僕が考えた、藤吉くんが玄白師匠を連れてきてしまった理由です。

藤吉くんは興業の世界を知り尽くしています。だから「端席」と呼ばれる場末の寄席のステイタスの低さもよく理解しています。

そして「端席」にいっぱしの落語家を呼んだところで見向きもされないことも、誰よりも深く分かっています。

しかし小屋を買い取ることが出来た以上は、いかなる形でも寄席を開かなければいけない。お客さんを集めて売り上げを立て、借金を返さなければいけない。

藤吉くんにはそんなプレッシャーがかかっています。

前回、藤吉くんが番組作りに頭を悩ませていましたが、一番の悩みは落語家を集められないことでした。

ちなみに、この時代の芸の世界について書いた本によれば、この当時のお笑いの主流はあくまでも落語だったようです。

現代のように漫才がお笑いの主役となるのはまだずっと後のことです。

落語家を呼ばなければ寄席は成り立たない。寄席が成り立たなければお客さんを呼ぶことはできない。そしてお客さんが集まらなければ借金は返せない。

そこで苦肉の策として、たとえ「端席」であっても呼べば来るような落語家に出演依頼することにした。

藤吉くんならば、簡単に呼べる落語家などすぐにわかるのでしょう。なにしろ藤吉くんは目利きです。残念な落語家のことも知り尽くしているはずです。

そして寄席としての体裁を整えるために「とりあえず」呼んだのが玄白師匠だった・・・というわけです。

ところで藤吉くんは目利きなので玄白師匠の実力はよく分かっています。分かっているからこそ「端席」の風鳥亭に呼びました。

しかし、藤吉くんには商才がまったくと言っていいほどなかった。残念な落語家を読んで体裁だけ取り繕うとお客さんがどう反応するかまでは想定外だった。

お客さんの反応を想像できないというのは、商才がない何よりの証拠です。

藤吉くんの目利きと商才の無さが、玄白師匠に出演依頼するという残念な行動に結びついてしまったのではなかろうか。

それが今回の玄白師匠騒動の感想です。

大きなフラグと小さなフラグ

玄白師匠の落語がつまらな過ぎて帰った客の一人が、金さえあれば本物の落語を見たいと言いながらてんちゃんに見せたチラシに「文鳥」の名前。

この「文鳥」が、窮地の風鳥亭を救うことになるそうです。

そして「文鳥」と風鳥亭をつなぐきっかけとなるのが、今回の最後にいきなりやってきた伊能さまです。

伊能さまのお父上は「文鳥」とはお知り合い。

伊能さまご自身も「文鳥」との接点があり、閑古鳥が鳴く風鳥亭に「文鳥」を紹介する運びとなるようです。(ただし、紹介後も紆余曲折が描かれます)

というわけで今回、数回先の展開への小さなフラグがさりげなく仕込まれました。

ところで京都時代、藤吉くんへの気持ちに区切りをつけようと大阪に行ったてんちゃんが、おっかないお兄さんたちに絡まれた窮地でも登場した伊能さま。

てんちゃんがピンチに陥ると伊能さまが姿を表すというパターンが繰り返されるのは、将来にきっと起こるてんちゃんの本格的なピンチの時へのフラグでしょうか。

こちらは大きなフラグかもしれません。

史実から予想すると、これまでのてんちゃんのピンチとは比較にならないほどの大きなピンチに、将来のてんちゃんは見舞われるはずなので。

数あるピンチの中でも最たるピンチは夫の急死。

伊能さまというキャラの存在。やっぱり、「夫の急死」のその後のてんちゃんの物語につながってくるような気がしてなりません。

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コメント

  1. こひた より:

    吉兵衛さんが亡くなった後、せいさんを支えたのは弟の林正之助さんだったと思うんですが、てんちゃんには弟がいないんですよね。その役割になるのは親族でもあるしトキとの絡みも含めてですが、風太ではないかと思ってるんですが、伊能さまなのかもしれないですね。

    いずれにせよ、てんちゃんの生涯頼れる方であることは間違いなし。

    それにしても、いちいち出方がカッコ良すぎますよね。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      風太くんあたり、押しが強い性格なので芸人さんたちを取り仕切るのがあってそう。幼少期の風太くんはてんちゃんから「弟」呼ばわりされていた時期もあるので、彼が実在の「弟」の役割を担うような気がしています。

  2. よるは去った より:

    玄白「客が重い・・・・・。」→「じゃなくてお前が空気読めないだけだろ。」なんて反論が聞こえてきそうな・・・・・・・。「天王寺詣り」「三十石」「高津の富」みっちり聴いたら三十分以上ありますからね。あの淡々とした調子で演られたら誰でもダレますやろな。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      玄白師匠の単調な落語を聞いていて、30年以上前に観た落語を題材とした映画『の・ようなもの』に登場した「テクノ落語」なるものを思い出していました。