藤吉の行動にてんが激怒 / わろてんか 第52話

2017年11月30日(木)第9週「女のかんにん袋」

あらすじ

藤吉が、隼也の子守をリリコに託しました。しかし、藤吉のとったその行動はてんには無断のことでした。だからてんはそのことが不満でした。一方の藤吉は、二軒目の寄席の買収に奔走していました。

子守も満足にできない。そのことを藤吉に訴えたくても聞いてもらえない。てんの不満は募る一方でした。そんなてんの怒りや不満も、伊能が耳を傾けてくれたことで収まります。ところが藤吉の行動が再びてんを激怒させました。

買い取れそうな寄席を見つけた藤吉は、その寄席を手にいれるために芸人たちに給金として渡すはずだった現金を持ち出してしまったのです。アサリら芸人たちは給金を受け取ることが出来るのかで激しく動揺。てんの必死の説明でその動揺は収まります。

しかし、てんの藤吉への怒りは収まりませんでした。てんは藤吉を責め立てるものの、藤吉はすべては家族のための行動だという一点張り。ついに堪忍袋の緒が切れたてんは、藤吉と一切口をきかなくなってしまうのでした。

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予習レビュー

リリコちゃんが教えてくれた落語「堪忍袋」の知恵によって、藤吉くんへの不満を巾着袋の中に吐き出して一度はスッキリしたはずのてんちゃんの不満がまたしても募ってきます。

残念ながら「堪忍袋」は気休めに過ぎませんでした。

ところで、今回のてんちゃんの二度にわたる怒りのうちの一つ目の理由は、藤吉くんがリリコちゃんに隼也くんの子守りを託したことにあります。

藤吉くんなりのてんちゃんへの気遣いだったのでしょう。

しかし毎度のことですが藤吉くんは脇が甘かった。隼也くんのことをリリコちゃんに預けたことを伝えていなかった。

伝え忘れたのか。伝えなくてもいいと思ったのか。どちらかは定かではありませんが藤吉くんの脇が甘いことだけは確かです。

そしてそれがてんちゃんを激怒させます。

一方、てんちゃんが独身の頃から、てんちゃんが窮地におちいると決まって登場した伊能さまが今回もてんちゃんを支えます。

藤吉くんへのてんちゃんの怒りを鎮めたのは伊能さまでした。

しかし伊能さまがてんちゃんの怒りを収めたその直後。まだわずかながらくすぶっていた火に油を注ぐようなことを藤吉くんがする。

伊能さまと藤吉くん。

ドラマの中とはいえここまで差をつけてしまって、てんちゃんと藤吉くんの夫婦関係はこの先も安泰なままでいられるのでしょうか。

感想

「笑いの方が現世で迷っているものの救いになる」

てんちゃんが藤吉くんに対して強い不満を持っていることはよ〜くわかります。

藤吉くんに対して反論のスキを与えないほど、不満を畳み掛けるてんちゃんの苦しい気持ち、本当に気の毒だと思います。

しかし今回は、わずか数分間だけの風太くんと寺ギンのオッチャンの密談場面の凄みにすべてを持っていかれてしまった。

そう思わずにはいられない、二人の男の場面でした。

ところで、寺ギンのオッチャンが坊主から転身して太夫元になったというプロフィルは、たしか亀井さんが語ったはずです。

その日以来、寺ギンのオッチャンの転身の理由が気になっていました。

その理由がつい見えてきました。

「笑いの方が現世で迷っているものの救いになる」

寺ギンのオッチャンに、こんな立派な大義があったとは!

正論が正論に聞こえなくなる

寺ギンのオッチャンは見た目も悪い。口も悪い。藤吉くんとの取引条件の約束は平然とたがえる。

いいところが一つもないように見えて、寺ギンのオッチャンが話す言葉は時にドキリとさせられるほどの正論です。

特に前回の「面白くなくなった役者は別の道を歩ませるのが仏心」。

この言葉は正論そのものです。

しかし、寺ギンのオッチャンが語ると正論が正論に聞こえなくなるのが不思議です。

寺ギンのオッチャンは口だけの偽善者でないことだけは明らか。だから、寺ギンのオッチャンの「正論」は嘘ではないはずです。本心から出た言葉なのでしょう。

にも関わらず正論に聞こえない。

「笑いの方が現世で迷っているものの救いになる」

この寺ギンのオッチャンの大義も、寺ギンのオッチャン以外の人が言ったら泣かせるような言葉です。

もし同じ言葉を伝統派の重鎮・文鳥師匠が言ったとしたら、さすが重鎮ならではの立派な言葉だと感心させられることになるはず。

そんな気持ちに何故かならない寺ギンのオッチャン。おもしろ過ぎます。

「お前は何のためにここにおるんや?」

正論が正論に聞こえなくなる寺ギンのオッチャンの言葉の数々。

しかし、寺ギンのオッチャンの本質を鋭く洞察し、正論を正論として受け止めているすごい男が一人だけいます。

風太くんです。

売れなくなった芸人を放り出す理由を語る寺ギンのオッチャンに対して風太くんが一言。

「芸人をモノ扱いするだけのクソ坊主やない」

風太くんは、寺ギンのオッチャンのことを深く理解しているようです。そして理解しているからこそ風太くんは寺ギンのオッチャンに心酔し、身を寄せているのかと。

一方、自分のことを珍しく理解しているからこそ寺ギンのオッチャンも風太くんに一目置いているに違いありません。

そして寺ギンのオッチャンもまた風太くんの腹の底を見抜いている。こいつは俺のことを理解している。そして、迷っている。

さて今回、寺ギンのオッチャンが風太くんに言いました。

「ここにも迷い人がおる。お前は何のためにここにおるんや?」

寺ギンのオッチャンのこの言葉は風太くんへの質問のように見えて質問ではありません。寺ギンのオッチャンには、風太くんがここにいる理由などお見通しのはず。

風太くんの迷いを整理させるための質問だったに違いありません。

以上、寺ギンのオッチャンと風太くんのことで長くなりすぎました。でもこの二人、面白すぎてワクワクが止まりません。

「風太のアホ!」

話が前後してしまいますが、てんちゃん・トキちゃん・歌子さんの三人がそれぞれの心に溜まった不満を巾着袋に吐き出す場面。

トキちゃんの不満の対象にびっくり半分、やっぱり半分。

「風太のアホ!」

関心のない者に対して不満など持つはずがありません。まして「堪忍袋」に吐き出さずにはいられないほどの不満なんて心に抱いたりはしないはず。

トキちゃんの不満は裏返せば、風太くんのことをいつも考えていることの何よりのあらわれです。

てんちゃんの祝言の席で涙を流す風太くんに対して複雑な表情を見せるトキちゃんの姿、そして今回の「風太のアホ!」。

トキちゃんの風太くんに対する気持ち、ほぼほぼ確定ですね。

そしてトキちゃんの秘めた想いがほぼほぼ見えてきたところで、安心できたことがひとつだけあります。

今、自分の人生に迷っている風太くんは一歩間違えたらダークサイドに転落しかねないような不安定な心の状態です。

最悪の場合、寺ギンのオッチャンの魔力によってブラック風太に変身するかもしれません。

しかし、そんな風太くんをトキちゃんがダークサイドから救い出す。そんな展開が見えてきました。

追伸:前回、風太くんの様子がおかしいことに気がついたのはリリコちゃん一人だけと書きましたが訂正します。

トキちゃんも気がついていたんですね。ただそれを本人の前では口に出さなかっただけで。

本人の前で口に出さなかっただけに、風太くんを案じるトキちゃんの気持ちが痛いほど伝わってきます。

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コメント

  1. こひた より:

    風太は寺ギンのおっちゃんの後継者となるような展開なんでしょうか。
    もしそうならば、将来寺ギンのおっちゃん亡き後の活躍大いに期待したいです。
    そしてトキとの絡みにも!

    藤吉の頑張りは痛いほどわかるし、家族が犠牲になるのもある意味仕方がないと思うんやけど、芸人さんの給料まで手出したらあかんと思う。社員あっての会社ですよね。てんちゃん、フォローよろしく!

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      給金として準備した現金に手を出す藤吉くんの振る舞いを見て、彼は経営には向いてないなと確信しました。そして、啄子さんが藤吉をよろしくみたいなことを言った理由がわかったような気がします。

  2. ひるたま より:

    続きです。
    朝蔵さんも長く言及されていた寺ギンのオッチャンと風太くんの場面…冒頭画面に映った美味しそうなすき焼き効果(?^^;)も相まって、私も見入ってしまった1人です。(あの位の御馳走を振舞っておけば相手は悪い方には決して行く事は無いだろう、という人間心理をなかなか突いていたような?(^^;)
    それにしても繰り返しますが、本当に美味しそうなすき焼きでした。画面に映っていた和牛と思しきお肉を見ながらふと、『とと姉ちゃん』に登場した赤羽根社長を思い出しました。(赤羽根社長が社長室で蟹などの高級そうな御馳走を豪快に食べていた場面のインパクトがいまだに強くて…きっと和牛も食べていたんだろうな~(^m^;)

    少なくとも、風太くんが一方的に寺ギンのオッチャンにロックオンされた訳では無いように私には感じられます。太夫元になる前の寺ギンのオッチャンで1本ドラマが出来るかも??

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      風太くんが寺ギンのオッチャンに心酔したというよりは、風太くんが芸のことを学ぶのに最適な人物を見つけたと言った方が正しいみたいですね。風太くん、なかなかしたたかです。

  3. ひるたま より:

    藤吉くんは昨日から、そして今日も地雷踏みまくっていましたね…!(^m^;)
    特に従業員=芸人さん達のお給金に手を付けちゃうのはいくら何でもアカンやろ!と思いながら見ていました。良い‘箱’=新しい寄席を買ったところで、箱の中身=芸人さん達=従業員を大切にしない組織はNG。しかも自ら従業員達の説得に当たるならばまだしも、説得も奥さん=てんちゃん任せとは…ごじゃっぺやってんじゃねぇ!!ってTVに向かって言いたくなりましたよ。(;^_^A
    てんちゃんがブチ切れた翌朝、それでもちゃんと朝食の支度を整えて、ご飯までよそってあげて…優しいなぁ。(もっとも、劇中の明治~大正時代は平成の現在のような‘イクメン’は殆どいなかったでしょうけれども)

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      藤吉くんも彼なりに気をつかってるみたいなので、気持ちのすれ違いが気の毒でなりません。

  4. よるは去った より:

    てん「もう何も言いたくありまへん・・・・・・。」 落語の「堪忍袋」の本来は、「堪忍袋」の緒を引きちぎってしまった酔っ払いの友だちをポカポカ殴り付けて、熊五郎「『堪忍袋』が切れた。」というオチなんですが、ラジオで三代目・三遊亭金馬師演を聴いた時は、酔っ払いの友だちが無理矢理に「堪忍袋」を奪い取ろうと引っ張る途端に「堪忍袋」の緒がぶっつり切れる。途端に中に大勢の人が吹き込んだ小言が逆に回って「〇※×#〇×¥#※◎*●※・・・・・・。」←三代目・金馬師はこの部分を録音テープを高速で逆回し再生した時の音を見事に口頭で表現していて最高に面白かった。しかし、ドラマの中であんな風に「堪忍袋」が破裂しちゃうとはねえ。