てんと藤吉が再び不仲に / わろてんか 第61話

2017年12月11日(月)第11週「われても末に」

あらすじ

てんと藤吉が再び口も聞かない不仲の状態におちいりました。風鳥亭への到着が遅れた落語家に変わって、てんが独断で団真を高座に上げたことに藤吉が立腹。それがもとで二人はケンカになったのです。

二人の気持ちがすれ違う中でも、藤吉は精一杯の思いやりを見せました。仕事と子守りで目のまわるような忙しさのてんに対して、しばらく仕事を休んで隼也と一緒に過ごすことをすすめたのです。

しかし藤吉のこの言葉をてんは誤解して受け止めました。てんは、自分が仕事をやめさせられたと思いこみ、二人の間の溝はますます深くなってしまいます。一方の藤吉は、不慣れな仕事に追われることになりました。

そんな中、リリコがてんに会いにやって来ました。リリコはてんに言いました。藤吉の考えは正しい。団吾のような花形の芸人がいるから他の芸人の人気も上がるのだ。てんはまだ、そのことをまったくわかっていないと。

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予習レビュー

前々週・第9週で、口も聞かない不仲 → 仲直りのジェットコースターを演じたてんちゃん・藤吉くん夫婦が再びジェットコースターです。

きっかけは団真を高座に上げたこと。

おそらく二人の間に再び亀裂が入りはじめるのは今回ではなく、前回の最後になるかと思います。

また、今回はてんちゃんと藤吉くん夫婦に加えて、もうひと組の夫婦の間にも亀裂が生じます。しかもこちらの亀裂の方が深そうです。

もうひと組の夫婦とは団真とお夕さん。

前回、風鳥亭の高座に上がったものの失敗し失意の団真をお夕さんが励まそうとするものの、失敗して半ば破れかぶれになっている団真はお夕さんの励ましに反発。

団真のそんな姿に深く失望したお夕さんは、駆け落ち後十年以上連れ添った団真と別れる決意を固め、手紙を残して風鳥亭を立ち去る。

そんな深刻な状態に陥った団真・お夕さんの夫婦関係の一方で、てんちゃんと藤吉くんもまた口も聞かない状態に。

話変わって今週のサブタイトルは「われても末に」。当初、発表されていたサブタイトルは「われても末に逢わんとぞ」でした。

このサブタイトルは『小倉百人一首』の中の崇徳院が詠んだ一首ですが、たしか『ちりとてちん』にも重要な役割をはたした歌だったと記憶しています。

 瀬をはやみ(せをはやみ)
 岩にせかるる(いはにせかるる)
 滝川の(たきがはの)
 われても末に(われてもすゑに)
 あはむとぞ思ふ(あはむとぞおもふ)

現代語訳:岩によって流れを割かれてしまった川のように、仲をさかれても将来もう一度めぐり会って一緒になろう。

本作『わろてんか』ではこの和歌がどんな役割を果たすのでしょうか。

感想

リリコちゃんが女義太夫をやめた理由

リリコちゃんの言葉が深い!リリコちゃんがさらに好きになりました。そして、リリコちゃんが女義太夫をやめてしまった理由も少しだけ見えてきたような気がします。

いつだったか藤吉くんが東京にいるリリコちゃんに電話をかけた際、大人気の女義太夫であるはずなのにどこか浮かない表情を浮かべているリリコちゃんが気になりました。

あの浮かない表情の理由は、藤吉くんへの未練もあるのかなとも思いましたが、それは的外れだったようです。

以下、リリコちゃんの気持ちの憶測バージョン2です。

今回のドラマの中でリリコちゃん言った「一番の花形が引退して、自分の高座に客が集まらなくなった」のが、藤吉くんから電話がかかってきた頃のことだった。

それまで自分は大人気の女義太夫だと思い込んでいた。しかし、実は一番の花形があっての自分だという厳しい現実を思い知らされた。

そして女義太夫を続けてゆくことに限界を感じ始めたのもその頃。

その後も客足は遠のくばかり。自分の実力を思い知り明るい未来を見出せなくなったリリコちゃんはついに女義太夫引退を決意する。

以上、藤吉くんが電話をかけた時にちょっと影のある表情を浮かべたときから大阪に戻って来るまでの間のリリコちゃんの心の移り変わりの憶測です。

リリコちゃんの言葉が重い

さて、そんな苦い思いをしたらしいリリコちゃんだけに言葉がズシリと重い。

「団吾師匠のような芸人が他の芸人の人気を底上げする」

リリコちゃんがてんちゃんに告げたこの言葉に潜む真理を、藤吉くんも芸事大好き人間として肌感覚で理解しているのでしょう。

花形の芸人がいるところにはお客さんが大勢集まり、その大勢のお客さんに引きずられる形で他の芸人さんたちの人気も上がるに違いない。

しかし藤吉くんはその逆のパターンは知らない・見たことがないものと思われます。

逆のパターンとはリリコちゃんが経験したことです。花形の芸人がいなくなることで、客が集まらなくなり、他の芸人さんたちの人気も失われるという逆のパターンを。

だから藤吉くんは、団吾師匠を看板として雇い入れる理由を説得しきれなかったのかもしれません。

ところがリリコちゃんは花形の芸人の存在の有無の影響を誰よりもよく知っています。誰よりも痛い思いをした分だけ、花形の芸人がいることの大切さを知っています。

知っているからこそ、藤吉くんのとった行動は正しいと言い切れたのでしょう。

続けてリリコちゃんはてんちゃんに言いました。

「あんた、なんもわかっとらんな。芸のことも、芸人のこともよくわかっていない」

手厳しい一言ですが、この言葉は裏も表もありません。

てんちゃんに藤吉くんを取られてしまったという複雑な感情も、リリコちゃんのこの言葉にはいささかも含まれていない・・・というのが僕の観察です。

それだけにリリコちゃんの言葉はてんちゃんにはなおさらのこと手厳しい。

しかし、てんちゃんが完全に見落としていたことに気づくきっかけにもなりました。寄席のごりょうさんとして見落としてはいけないことを、てんちゃんはリリコちゃんの言葉によって気がつくことができました。

第1週でアナウンスされた、てんちゃんとリリコちゃんが親友になるという展開。そのきっかけとなるのが、今回のてんちゃんとリリコちゃんの会話場面となるかもです。

亀井さんとトキちゃん

話が前後しますが、再び口を聞かなくなったてんちゃんと藤吉くんのコミュニケーション術がずいぶんと進歩しましたね(笑)

亀井さんとトキちゃんを伝言役に使ったコミュニケーション。

特に亀井さんが、藤吉くんの言葉も聞かないまま藤吉くんの「言葉」をてんちゃんに伝えるところを見て、ふと思いました。

藤吉くんの次の言葉を予想できるほどに、亀井さんは伝言係を繰り返し演じてきたのかなって。

ドラマの中で描かれないだけで、てんちゃんと藤吉くんも口も聞かない不仲状態はこれが二度目ではなく、これまでに数限りなく繰り返されてきたのかもしれません。

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コメント

  1. よるは去った より:

    リリコ「花形の売れっ子がいてこそ・・・・・。」関東の落語も初代・林家三平師他界後、やや低迷気味だったのは否めませんなあ。そして長男の現・林家正蔵師が一つのきっかけとなって再び活気づいたことも。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      なるほど、リリコちゃんの言った言葉はかなりいいところを突いているんですね。