北村笑店と寺ギンが対立 / わろてんか 第72話

2017年12月23日(土)第12週「お笑い大阪春の陣」

あらすじ

てんと藤吉が寺ギンによって追い詰められたその時、思わぬ事態が発生します。オチャラケ派の芸人たち総勢150人を連れて風太が北村笑店にやって来たのです。寺ギンに対して反旗をひるがえした芸人たちは、自分たちを北村笑店で雇って欲しいと懇願します。

それに対して寺ギンも黙ってはいませんでした。借金を返済し終わるまで自由にはできないと寺ぎんが芸人たちを脅かしたのです。しかし、芸人たちの借金は全て自分が返すとてんは宣言。てんには、着物を新調もせずにコツコツと溜めていたヘソクリがあったのです。

始末に徹して窮地を乗り越えようとするてんの才覚に心から感動した文鳥も伝統派の芸人50名を北村笑店で雇ってもらいたいと宣言。ついに観念した寺ギンは北村笑店にすべてを引き継ぐと、再び僧侶に戻り旅立ってゆきました。

一方、てんと藤吉は風太を北村笑店の番頭として迎え入れました。北村笑店はその後、大躍進を遂げ10軒の寄席を所有。勢いの止まらぬ北村笑店は、ついに千日前にある大阪一の寄席を手中に収めるのでした。

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予習レビュー

北村笑店が導入した芸人の月給制がきっかけとなり、激しい対立が続くことになったてん・藤吉の北村笑店と太夫元の寺ギン。

両者の対立が今回、ついにピークに達します。

寺ギンのオッチャンは北村笑店への芸人の差支配をストップ。

北村笑店の3軒あるうちの2軒の寄席が廃業に追い込まれるまでに締め上げた末に、その2軒を買い取ろうと画策。

てんちゃんと藤吉くんも、寺ギンの圧力に屈するしかないところまで追い詰められてしまいます。

しかし、月給制導入をめぐって寺ギンと対立し、寺ギンにクビを切られていた風太くんがまさかの行動に出ました。

いつも男前だった風太くんが、久しぶりに痛快な男前ぶりを披露してくれます。

さて、風太くんやオチャラケ派の芸人さんたちのまさかの反乱にも動揺することのない寺ギンのオッチャンでしたが、てんちゃんが意外な手で反撃。

以下、ネタバレが含みます。

これは始末に徹していた啄子さん仕込みなのでしょうか。てんちゃんは、切り詰めた出費をヘソクリとして貯め続けていました。

そのヘソクリはかなりの額にのぼり、そのヘソクリでオチャラケ派の芸人さんたちの借金を自分が肩代わりすると宣言。

寺ギンのオッチャンの芸人さんたちへの恫喝を骨抜きにしてしまいます。

そして、このてんちゃんの機転を文鳥師匠が大いに気に入り・・・

以上が、今回の結末にして『わろてんか』前半のクライマックス回収の瞬間です。

感想

今週は『わろてんか』前半の締めくくり。前半のクライマックスを飾るのにふさわしい、質の高い充実した一週間でした。

そしてその一週間の最後となる今回。質の高さが際立っていました。

風太くん、最大の見せ場

風太くんの男前にしびれ、そして涙する回でした。

総勢150人の芸人さんたち引き連れて北村笑店にやって来た風太くんの目的はただ一つ。それは芸人さんたちを救うためだけにありました。

自分のことは顧みず、ただただ芸人さんのためだけに。風太くん泣かせてくれます。男前の極みでした。

そして、かつては憧れていた寺ギンのオッチャンがすべてを失った瞬間を目撃してもなお、かつての師匠への礼節を失わないところもまた風太くんの素敵なところです。

そんな男前の姿を見せながらも「番頭」という言葉の響きに少年みたいに憧れを持ち続け、それが手に入ったことで涙する風太くんに、思いっきりもらい泣き。

席主とごりょんさんに深々と頭を下げる姿も立派でした。

追伸:すべてが終わりトキちゃんと二人きりになった風太くんが言いました。

「お前(トキちゃん)のためにやったんじゃない!」

この風太くんの言葉に「わかってるって!」とこたえたトキちゃんの気持ちを思うと、ちょっと気の毒になりました。風太くん、早くトキちゃんに気持ちに気づいて欲しい。

立派なごりょんさん

いつだったか当ブログに、てんちゃんの衣装がいつまで経っても変わらないとのコメントをちょうだいしていました。

僕はそこにまったく気がつきませんでしたが、その鋭いご指摘の理由が文鳥師匠によって、今回のドラマの中で明らかにされました。

六年間もの間、てんちゃんは着物を新調していなかったとは!

そして、前回のドラマの中でてんちゃんがヘソクリの溜まったツボに触れながら、啄子さんから引き継いだ扁額を見つめていた理由もよくわかりました。

始末、才覚、算用。

てんちゃんはきっと啄子さんの教えを思い返していたのでしょう。そして、啄子さんの教えを今こそ大胆に実行に移すときなのだと。

文鳥師匠が感じ入るだけのことはあります。てんちゃんはいつの間にか立派なごりょんさんになりました。

今回のてんちゃんの姿をアメリカにいる啄子さんと天国にいる儀兵衛お父はんに見せてあげたかったです。

寺ギンのオッチャン、さようなら

あの風太くんが憧れを抱くほどの人物・寺ギンのオッチャンを単なる悪役のまま終わらせて欲しくない。そんな願いが早くも叶いました。

オチャラケ派の芸人をすべて奪われ、何もかも失った寺ギンのオッチャンが最後の悪あがきをするのかと思いきや・・・

意外にも寺ギンのオッチャンは目の前の厳しい現実を素直に受け入れました。

『ひよっこ』の登場人物のほとんどすべてが心優しい人ばかりだったので、それに慣れしまった目には寺ギンのオッチャンのアクの強さはつらく感じることすらありました。

しかし、そんな寺ギンのオッチャンの強烈キャラを実にキレイに回収してくれました。

今回描かれた寺ギンのオッチャンの改心。一歩間違えればあまりにも良く出来すぎた、あり得ない話になりかねません。

そんなにいとも簡単に改心できるものではないだろうと。

しかし、寺ギンのオッチャンを決して責めたてたりなどしない文鳥師匠の「あんたも昔の気持ちを思い出してみたらどうや」という慈愛に満ちた言葉。

また今週のどこかのタイミングで風太くんが口にした、風太くんの寺ギンのオッチャンへの憧れと敬意。

それらが、寺ギンのオッチャンの改心を決して不自然なものに見せなかったのは、寺ギンのオッチャンというキャラクター造形がしっかり出来ていたからなのでしょう。

笑の心を取り戻すために全国行脚の求道の旅に出た寺ギンのオッチャン。今度はとびっきりの笑顔でドラマの中に戻ってきて欲しいものだと思います。

寺ギンのオッチャンはずっと気になるキャラでしたが、今回から大好きなキャラの一人となりました。

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コメント

  1. ひるたま より:

    続きです。
    「千日前にある大阪一の寄席」吉本興業といえば『なんばグランド花月』。(あくまでも関東人から見たイメージですが)
    その『なんばグランド花月』が12/21にリニューアルオープンしたとの事…ちょうどドラマとのタイミングも絶妙でしたね。(偶然だったのか合わせたのかは???ですけれども^^;)

  2. ひるたま より:

    番組公式インスタグラムには「寺ギン」を演じられた兵動大樹さんが花束を受け取られていたお写真がアップされていました。…寺ギンさんの出番が今回で終わりという事で…個人的にはかなり寂しいです。

    「笑いの方が、現世で迷っている者の救いになる」という動機から始めた太夫元稼業でしたが、それが大当たりしてお金がガッポリと入るようになるにつれて、いつしか金の亡者になってしまった寺ギンさん…本当に、良くも悪くもきわめて人間臭いキャラクターだったように感じられます。無論兵動大樹さんが好演された事も非常に大きかったですが。
    かつて風太くんに対して「ここにも、迷い人がおるようやが」と指摘した寺ギンさんでしたが、いつしか彼自身が「迷い人」に陥ってしまっていたのかな?
    「あんたも昔の気持ちを思い出してみたらどうや」朝蔵さんもレビューで触れていらっしゃいますが、その寺ギンさんも文鳥師匠の言葉で「迷い人」から解放されたのかもしれませんね。
    寺ギンさんの最後の笑顔は…素の兵動大樹さんに最も近い笑顔だったように、私には感じられました。

    ついつい、寺ギンさんについて長くなっちゃいましたが…旅から戻って再登場してくれる事を切に願っています。(実際問題としては、演じる俳優さんのスケジュールその他諸々の絡み=「大人の事情」でそう簡単には行かないのでしょうけれども…)

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      寺ギンさん、もう出番はもう終わりですか!?しかし最後をキレイに収めてもらったのでそれでよしとしましょう。

  3. あみ より:

    昨日もおとといも寺ギンさんがとにかく憎たらしくて、ほとんど泣きそうでした(笑)
    しかしてんちゃんが見事にぎゃふんと言わせてくれて、今日は快哉を叫ばせてもらいました。
    それにしても先日の、風太に対する「心配してくれてありがとな」に続き、
    今日も、あれほど泣かされた寺ギンさんなのに、「一緒に仲良うやっていきませんか」とは参りました。てんちゃん、なんと懐の深い人なのでしょうか。
    そして、風太が番頭さんとなってこれからも出続けることが確定し、とても嬉しいです。
    番頭さんという役職は『あさが来た』に頻繁に出てきましたが、実ははっきりとは定義が分かっていませんでした(恥ずかしい…)今日調べてみたら、商家で雇われている人の中で一番偉い人なんですね。なるほど!風太、本当におめでとう!さらなる活躍に期待していますよ(^^)/

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      『あさが来た』の亀助さんもずっと番頭さんと呼ばれることに憧れ続けていましたが、当時の人たちの憧れだったんでしょうね。

  4. きゅうぽん より:

    なるほど、てんちゃんはこつこつ始末してはったんですね!
    うちの親もそんな感じでしたが、ドラマはなかなか衣装とか替えないと年をそれなりに取っているので
    どうかなと思ったら、一貫していて納得です!ちょこちょこ赤で着物は替わっていましたが(^_^;)

    寺ギンのおっちゃんは最後はめっちゃいい人で。この前、綾瀬はるかの適役の玉山鉄二が、すんなり引き下がって行くのにドン引きでしたが、これはちょっと良かったです。寺ギンも心底悪くなくて良かったです。

    これは吉本の話ですが、松竹はいつ頃からできるのか、そう言えばよく知らないなと。映画…伊能様???関係ないですかね???(きちんと調べていないので憶測ですみません)
    昔は日曜日に藤山寛美率いる舞台を放送されていましたが、子どもはやっぱり土曜日学校から帰って見る吉本の方が好きでした♪

    早くおトキちゃんに春が来てほしいです。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      てんちゃんの「始末」は、グッとくるまさかのオチでしたね。そんなてんちゃんを仕込んだ啄子さんの喜ぶ顔を見たかったです。

  5. よるは去った より:

    「お笑い大阪春の陣」は、「山内千代」の勝利ってわけですな。大河ドラマ「功名ヶ辻」で「山内千代」を名演した仲間由紀恵ちゃんがBS 再放送の「花子とアン」に出ているのも偶然かな? それとは別に文鳥「わしの好きな噺に『貧乏花見』ゆうのが・・・・・。」 「貧乏花見」は確かに「北村笑店」に例えることが出来ますな。これを関東に移入した「長屋の花見」はどちらかと言うと寺ギンさんの世界に近いように思えます。店賃を払えずにいる長屋の住人たちが大家に逆らえず「やむ無く」なところがありますからね。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      『貧乏花見』の世界観、『ひよっこ』のあかね荘にも通じるところがありますね。