志乃の記憶がよみがえる / わろてんか 第84話

2018年1月12日(金)第15週「泣いたらあかん」

あらすじ

頭を打った衝撃で記憶を取り戻した志乃が、東京に戻りたいと言い出しました。てんはそのことを伊能に伝え志乃との和解をすすめるものの、伊能はてんの言葉を受け入れようとはしません。伊能は、子供の頃に受けた母の仕打ちを許せずにいたのです。

そんな中、東京に残ったままの風太から電話がありました。風太は、東京の師匠たちが無事であることを藤吉に報告。それを聞いたてんは提案しました。東京の芸人を風鳥亭の高座に上がってもらってはどうかと。

一方、伊能と志乃を和解させたい一心の藤吉とてんは、キースに頼みました。伊能と志乃を笑わせることで二人を和解に導いて欲しいと。藤吉の頼みを受け入れたキースは、再びアサリとコンビを結成することを決意します。

しかし伊能と志乃の気持ちは相変わらずでした。自分は母親に見捨てられたと思い込んでいる伊能は志乃を許すことができず、志乃もまた伊能に対して負い目を感じ、東京に帰らせてほしいとてんに頭を下げるのでした。

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予習レビュー

伊能さまと志乃さんの親子関係が一歩だけ前に進みました。前に進んだというより一歩後退したと言うべきでしょうか。

前回までは志乃さんが記憶を失っていたので伊能さまとしてもある意味で安心でした。他人として相手をしていられたので。

しかし、記憶を取り戻した志乃さんは、もはや伊能さまにとっては他人ではありません。

しかし、事態が最悪の状況におちいるのは好転の兆しというのはドラマの定石の展開です。次回あたり、伊能さまと志乃さんの関係のドラマは回収されるのかもしれません。

ただし、てんちゃんからの和解のすすめをきっぱりと拒絶し、志乃さんに二度と会うつもりはないと言い切る伊能さまの心の闇が深い!

この深すぎる伊能さまの心の闇にどうやって光が差し込むのでしょうか。

ところで今回、藤吉くんが風太くんに対してある指示を出しました。

寄席が被災して壊滅状態となり、仕事を失った東京の芸人さんたちを大阪に呼び寄せるよう交渉をせよと。

この東京の芸人を大阪に呼び寄せるというエピソードは史実にもとずいたものです。

まだテレビがなかった当時、東京の芸人たちの芸を大阪で見ることができる機会ができて、大阪の人々の間ですこぶる注目を集めたとか。

ドラマの中の北村笑店も、風太くんがこれから連れてくるはずの東京の芸人さんたちでますます賑わいを見せることになるかもしれませんね。

感想

東京のお母ちゃんと実の息子の関係

伊能さまがこれほどまでに感情を表に出すのは今回がはじめてのことでしょうか。しかし、それも無理もありません。子供の頃にお母ちゃんにあそこまで言われてしまったら。

「お前がいると邪魔なんだ」
「お前を厄介払いしてせいせいした」

でも、ここまで言ってしまった志乃さんの気持ちもわからないでもありません。

愛する息子を貧しい家で育てるよりは裕福な伊能家で育ててもらったほうが、息子の将来のためになる。志乃さんはそう信じたのでしょう。

妾の子としてでなく、伊能家の子として育てられたほうが息子の幸せにつながるとも考えたはずです。

だから、幼い息子に「こんな貧しい家を出てせいせいした」と思わせるために。母親のもとに帰りたいと思わせないために、ここまで厳しい言葉を浴びせかけたものと思われます。

でも志乃さんには誤算があったようです。

立派な人物である伊能さまのこと。志乃さんから追い出された中学生の頃には、貧しかろうが妾の子と蔑まれようが、母親を支えて生きてゆくくらいの覚悟があったのではないでしょうか。

貧しい暮らしの中を女手一つで自分を育ててくれた母親への愛情は、恵まれた環境で自分を育ててくれた母親への愛情よりも深いはず。

もちろん例外もあるでしょうが、伊能さまのような人柄なら女手一つで自分を育ててくれた母親への愛情と尊敬の念は人並みはずれたものだったと思います。

だからこそ伊能さまの母親への深い愛情は深い憎しみに反転しました。

そして、そんな息子の心の葛藤を志乃さんは読みきれなかったのでしょう。あまりにもつらすぎる気持ちのすれ違い。

アサリとのコンビを再結成したキーちゃんが、東京のお母ちゃんと実の息子の関係を修復することができますように。

アサリとのコンビを再結成したキーちゃん

キーちゃんがアサリとのコンビをどこかのタイミングで再結成するだろうことは予想していました。

予想していましたが、東京のお母ちゃん・志乃さんと伊能さまの母と息子の確執がコンビ再結成のきっかけになるのは予想外でした。

実にうまいところに結びつけたなと思います。

東京のお母ちゃんの苦悩を機に、これまではただひたすらに残念なキャラだったキーちゃんがたまらなく愛おしく、そして男前に見えてきました。

アサリとのコンビ再結成を願い出るときのキーちゃんの言葉にもぐっときました。

「どうしても笑わせたい人がおるんや。もう一遍俺の相方になってくれ」

こんな言葉を言われてしまったら、すねていたアサリといえどもむげに断るわけにはゆきません。再結成のきっかけとなる言葉も本当にいい。

脚本家の吉田さんのお仕事がますます好きになりました。

明日にはキーちゃんとアサリが心から仲直りする姿を披露し、その姿が伊能さまと志乃さんの間にある深い心の溝を埋めてくれますように。

てんちゃんが伊能さまを説得!

頑なな態度を崩そうとしない伊能さまを、てんちゃんが半ば叱りつけるかのように説得する。そしてその説得の言葉が重いのにびっくりしました。

「言いたいことがあるのなら、それが恨みつらみであっても今言うしかない」

言いたいことを口に出さずに心の中に抱えたままにしておくつもりか。いつになく語気を強めて伊能さまに迫るてんちゃんの言葉の強さにびっくりしました。

ごりょんさんとしての風格が、てんちゃんに完全に備わった瞬間を見たような気がしました。

てんちゃんと伊能さまが初めて会った場面では、伊能さまがヒーロー然として登場したのに対して、てんちゃんは朝ドラヒロインらしからぬ頼りない少女に過ぎませんでした。

でも今回、そのポジションが完全に逆転してしまったような気がします。

トキちゃんが可愛すぎて泣ける

「連絡もせんとこのアホ!」

風太くんへのトキちゃんの第一声に、風太くんのことが心配で心配で不安を募らせていたトキちゃんの気持ちがたっぷり詰まっていて泣かされました。

そんなトキちゃんの気持ちをしっかりと察して、トキちゃんの言葉を受けいれる風太くんの穏やかな笑顔がまた実にいい。

トキちゃんが風太くんのことがどれほど好きかがよくわかる場面でした。

そして風太くんもトキちゃんの気持ちをしっかり理解したものと信じたい。そんな素敵な場面でもありました。

大阪に戻ってきた風太くんとトキちゃんの再会を、次回には見ることができますように。

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コメント

  1. こひた より:

    もう耐えるのしんどいゎ。
    早く開放してくれっ!

    頼むよ キース!!

  2. ひるたま より:

    「東京の芸人さんら、うちの高座に上がってもろたら…やっぱり、笑いは人を癒す薬です…」
    てんちゃんのセリフと同時に、番組主題歌『明日はどこから』のインストゥルメンタル版がBGMに流れていました。おそらく、今作全体の「肝」である故に使われたのでしょう。
    前々作『べっぴんさん』では‘第二部’の終了回(ジャズ喫茶「ヨーソロー」での歓送迎会の場面)、そして明美ちゃんに対する栄輔くんの‘事実上のプロポーズ’の時に、主題歌『ヒカリノアトリエ』のインスト版が流れていた事が強く印象に残っています。
    前作『ひよっこ』では、『若い広場』のインスト版こそ使われなかったものの…ちょうど‘折り返し点’といえる回で『若い広場』(無論桑田さんが歌っているバージョン)が挿入されていましたね。これまた印象(&味わい)深かったです。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      劇中での楽曲の使い分け。そこまで気がつきませんでした。さすがの観察力ですね!(『ひよっこ』折り返し地点の『若い広場』はよく覚えています。あれは画期的でした)

  3. もんばび より:

    栞くんほどの子が、お母さんの断腸の思いを察することができないわけがないと思って、ずっと考え続けてたんですけども、栞くんもまた、母の海より深い思慮を察した上で、それに呼応しようとわざと邪険な態度を取ったとは考えられないでしょうか?
    愛する母が心を鬼にして私を遠ざけようとしている。その理由も充分理解できる。だとしたら、今自分がすべきことは、母の意向に従って母を憎む(ことを演じる)こと。
    あまりにも考え過ぎでしょうかね。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      伊能さまの本心は僕にはまったく読めませんが、母親のつらさをわずかな部分でもいいのでわかっていてほしいものです。

  4. 天満康博 より:

    初めてコメントします。風太とトキちゃんのすれ違い、焼きモキしてましたが、今日の二人のやり取りを見て安心しました!ススだらけになって走り回って頑張ってる風太を早くトキちゃん癒してあげて欲しいですm(__)m明日は居能さんと志乃さんの関係回復で涙腺崩壊必至ですね!楽しみですm(__)m

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      初コメントありがとうございます。風太くんとトキちゃん、ずいぶん距離が縮まってきましたね。次週は二人の距離がさらに縮まるみたいです。

  5. たいとうみほ より:

    てんちゃんはお金を借りに1度実家に戻ったきり
    お父さんの死に目にも会えなかったんですね。
    てんちゃんにもお父さんに言いたい事が
    恨みつらみではないでしょうがたくさんあったはず。
    だからこそ栞氏にも
    「これっきりおかあさんと会えなかったら後悔する」
    と本心から言えたのでしょう。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      てんちゃんの言葉の重さは、儀兵衛お父はんとの関係に裏打ちされた重さだったんですね!そこを忘れていました。