団吾がラジオ番組に出演 / わろてんか 第89話

2018年1月18日(木)第16週「笑いの新時代」

あらすじ

風太の努力もむなしく、団吾が新聞紙上でラジオ番組への出演を宣言しました。風太は団吾のラジオ番組出演を止めようとするものの、風太の動きを察した団吾は行方をくらまし、風太は団吾を見つけることができません。

同じ頃、病に倒れ入院している藤吉のもとにリリコが見舞いにやってきました。藤吉を献身的に看病をしていたてんの姿に心を打たれていたリリコは、自分もてんを見習って笑って生きてゆくことにすると、決意を藤吉に語ります。

リリコが見舞いにやってきたその日、しずが見舞いにやってきました。しずは藤吉に告げました。藤吉がてんを一生笑わせる夫になると、亡くなった儀兵衛が信じていたこと。だからこれからもてんのことをよろしくと。

リリコとしずが見舞いにやってきたその日の夜、藤吉のもとに意外な人物がやってきました。雲隠れ中の団吾でした。団吾は翌日の夜にラジオ番組に出演し極上の落語を披露する。それが新しい時代の幕開けになると宣言するのでした。

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予習レビュー

今回のドラマの中で描かれる団吾がラジオ番組に出る出ないの騒動は史実で実際にあった事実がもとになっています。

団吾の実在モデルは桂春団治という名の落語家です。

桂春団治は吉本興業との契約の中でラジオ番組への出演は固く禁じられていました。

芸人たちのラジオ番組への出演に対して会社側が制限をかけたのは、ドラマの中で風太くんが懸念していたのと同じ理由です。

当時、影響力を増してきたラジオを通して落語を無料で聞けるようになってしまったら、わざわざ寄席まで足を運んで落語を聞きに来る客がいなくなってしまうのではないか。

そんな理由から桂春団治はラジオ番組への出演を契約によって制限されていました。

しかし、歴史にその破天荒ぶりが残されているような桂春団治は、その契約を真っ正面から無視してラジオ番組に出演。

てんちゃんと藤吉くんの実在モデルはこの暴挙に激怒し、桂春団治の財産差し押さえまで行ったと記録に残されています。

しかしフタをあけてみれば、桂春団治のラジオ番組出演直後から、桂春団治の落語を見ようと寄席に客が殺到。

この一件で吉本興業は、ラジオ(そして後にテレビ)を上手に活用することで、寄席への来客数を増やすことが出来ると学習したと言われています。

ドラマの中でもそのような展開になるものと予想されます。

感想

『わろてんか』の途中で脱落してしまった人はもったいないことをした。今回もまたそう思わずにはいられない大満足の回となりました。

長年連れ添うた夫婦みたいな藤吉くんとリリコちゃん

風鳥亭にやってきたしずさんが、風太くんとトキちゃんに「長年連れ添うた夫婦みたいや」と言いましたが、病室での藤吉くんとリリコちゃんの息の合い方もまた長年連れ添った夫婦みたいでした。

そして「長年連れ添うた夫婦みたい」な藤吉くんとリリコちゃんを見ながら思い出したのは『梅ちゃん先生』です。

藤吉くんを演じる松坂桃李さんは『梅ちゃん先生』でもヒロインの相手役として出演。

ただし物語前半では松坂桃李さんとヒロインは単なる幼なじみ。しかも松坂桃李さんには可愛い彼女もいました。

そして、松坂桃李さんはその可愛い彼女に対して最大限の気づかいを見せるものの、その彼女にとっては松坂桃李さんとヒロインがお互いに思ったことを言いたい放題の「長年連れ添うた夫婦みたい」な仲であることに嫉妬。

傷ついた可愛い彼女は、ついに松坂桃李さんのもとを去って行く。そんな場面があったはずです。

この『梅ちゃん先生』の中での松坂桃李さんとヒロインの、お互いに思ったことを言いたい放題の「長年連れ添うた夫婦みたい」な関係が、今回の『わろてんか』の中での藤吉くんとリリコちゃんにそっくりでした。

「今まで言うたことなかったが、笑った顔が一番べっぴんや。あんまり見してもろうたことないけどな」

この最後の余計な一言(笑)。こんな言葉、藤吉くんはてんちゃんに対してはこれまで一度も口にしたことがありません。

てんちゃんが嫉妬しかねないレベルだったというのは考え過ぎでしょうか。

そして、そこまで「長年連れ添うた夫婦みたい」なだけに、夫婦になれなかったリリコちゃんの切なさ。

切ない中でも藤吉くんからべっぴんと言われたリリコちゃんの嬉しさが心にしみます。

リリコちゃんが良かったね。

それにしても鏡の中の自分の笑顔に見とれるリリコちゃんは可愛かった。リリコちゃん、こんなに可愛らしいキャラだったのかと朝から新鮮な驚きでした。

しずさんの珠玉の言葉

「あんたさんなら守ってくださる。そう信じたから(儀兵衛お父はんは)駆け落ちも放っておいた」
「好いたお人と苦労するの苦労しない」
「子供の苦労は苦労のうちには入らない」

短い出演場面ながらも、しずさんが心に沁みる言葉をこれでもかというくらいに朝からプレゼントしてくれました。

しずさんが、てんちゃんと藤吉くんにこれらの言葉を語りかける場面。この場面を見て、途中で脱落した人は本当にもったいないことをしたと改めて思います。

そして団吾師匠の慧眼

ラジオ番組への出演を宣言した団吾師匠の先を見通す洞察力が鋭い!

そしてその洞察した未来の姿を抽象的な言葉を一切使わず、目に見えるように語ってしまうところに団吾師匠の天才を感じずにはいられません。

美味い蕎麦を食べさせる店なら、どんなに遠くにある店でも自分は食べに行く。だから、自分はラジオでおもろい落語を聞かしたる。

これだけの言葉で団吾師匠の言わんとするところがよーくわかりました。

山奥の人も笑わしたると宣言したのは、山奥の人ですらも寄席に足を運ばずにはいられなくさせてみせるということなのでしょう。

また、こんなシンプルな言葉だけで団吾師匠の天才を語り尽くしてしまう脚本家の先生の力量に驚かされるばかりです。

団吾師匠いわく「新しい時代の幕開けや!」

幕開けのその瞬間が待ち遠しくてなりません。

追伸:ノックもせずに夜の病室にそおっと入ってきて「死神が来たで」と相手を驚かせたり、ラジオに出演すると宣言して相手を動揺させたり・・・

驚かし動揺させる相手が元気な人なら何ら問題はありません。

しかし急な血圧上昇が命取りになりかねない微妙な状態にある藤吉くんに対して、それをやったらまずい!

真剣にハラハラしてしまったのは僕だけでしょうか?

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コメント

  1. ひるたま より:

    「死神がお迎えに来ましたで…」団吾師匠がロウソク(燭台)を片手に登場。
    見終わった後いつものようにTL検索していた所…落語の演目「死神」を恥ずかしながら初めて知りました。慌てて&急ぎ足で調べてみました…どうやらルーツを辿るとグリム童話に行き着く噺のようですね。
    人間の考える事&行動そして欲求は、洋の東西を問わず根本的には一緒なのかな?とも感じました。
    その「死神」の中に、「死神がその人の枕元にいたら(見えたら)見込みなし、足元にいたらその人は助かる」という件があります。団吾師匠が藤吉くんのベッドのどの位置にいるのか再放送の時に気をつけて見直してみました。…少なくとも、藤吉くんの頭からは少し離れた場所≒枕元というよりはむしろ、足の方に近い場所に立っていたように見受けられました(仮に頭の傍だったならば…ヒヤヒヤものでしたね)。一命は取り留めたという事を端的に表していた…と思いたいです。
    (なお余談ながら…実際に当時の桂春団治がラジオで演じたのは「祝い酒」だったとの事)

    「わしは、ラジオに出んで」
    風太くんに対しては頑なな態度を崩さなかった団吾師匠ですが、社長(総席主)である藤吉くんに対しては面と向かってきちんと断りを入れる事で筋を通した事が印象的です。出会ったばかりの頃には藤吉くんをあれこれ振り回した(おそらく実は現在も翻弄し続けている?^^;)団吾師匠ですが、自身がやりたい放題やっても温かく見守り(耐え?)続けている藤吉くんに対して実は心を許している部分もあるのかもしれない…と私は感じました。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      団吾師匠が贅沢三昧をつくして北村笑店から多額の借金をしていることは藤吉くんもよ〜く知っているはず。にもかかわらず好き勝手にさせてくれる藤吉くんに対して団吾師匠は恩義を感じているのかもしれないですね。

  2. たいとうみほ より:

    月給制・昼夜興行という「新しい」手法で
    業績を伸ばした北村笑店が
    ラジオという「より新しい」手法に足元をすくわれるのは
    皮肉とも、必然とも取れますね。
    それにしても対照的だったのが
    寄席まで足を運べない遠方在住者や病人を
    藤吉は顧客としては考えず
    団吾師匠の方が
    「新メディアを使えば新規マーケット開拓」と
    認識していたという事。
    現在のIT企業と旧来業界のようです。
    そういえば昼興行のきっかけになった
    女性客や高齢者=新規客層の存在に気が付いたのも
    啄子さんや栞氏でしたね。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      新メディアによる新規マーケット開拓の行き過ぎによって、目の前のお得意様を忘れてしまうというのが昨今の企業が抱えている課題の一つですが、バランスを取ることの大切さを考えさせられる藤吉くんと団吾師匠の会話でした。

  3. よるは去った より:

    団吾「落語と万才どっちが面白い?」藤吉「それ言うたらうどんとそばとどっちがうまい・・・・・・。」 五七五にある通り「芸人は上手も下手もなかりけり行く先々の水に合わねば」の時代になって来たんですなあ。団吾「旨いうどんがあったら遠くまでも喰いに行く。」 現代なんかテレビ・ラジオ・ネットで面白いと思うものがあったら逆に「ナマ」で見聞きして仲間内やネットで自慢する時代ですからなあ。風太「絶対に(ラジオに団吾師匠を)出させへん!」藤吉「(団吾師匠がラジオに出たら)寄席に客が来んようになってしまう。」とか「杞憂」に思えないこともないんですがね。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      吉本せいさんも春団治師匠のラジオ出演には猛反対だったようですね。風太くんのとった行動はそのまま吉本せいさんが実際にとった行動だったようです。しかし、吉本せいさんの心配は完全な杞憂に終わったとか・・・

  4. わろてね より:

    「藤吉」という名前。
    桂春団治の本名が由来のような。
    ウィキペディアを見ると、「藤吉」は「木下藤吉郎(豊臣秀吉)」が由来と。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      情報提供ありがとうございます。桂春團治の本名「岩井藤吉」なんですね。