2018年2月16日(金)第20週「ボンのご乱心」
あらすじ
『マーチン・ショウ』の興行権を得るために、隼也が手付金を支払った代理人を名乗る男は詐欺師でした。そして、隼也が多額の手付金に当てたお金は、藤吉が隼也のために遺していた遺産でした。
伊能や風太、そして北村笑店の面々は口を揃えて隼也の失敗は自分の責任にあると言いました。しかし、てんは怒りを抑えることができません。伊能の会社で、伊能の部下として働いていた隼也を、てんは再び北村笑店に戻しました。
そして、隼也を商人として一からきたえなおすと宣言。しかしその一方で、てんは自分の子育ては失敗だったと深く落ち込んでいました。隼也を甘やかしすぎた自分の子育てを悔いるてんを励ましたのはリリコでした。
隼也の失敗は、てんの子育てのせいではなく藤吉に似たのではないか。そのリリコの言葉に、てんは救われる思いをします。そんな中、『マーチン・ショウ』の代理人を名乗る男の通訳をつとめていたつばきが、北村笑店にやってくるのでした。
予習レビュー
隼也くんが、亡きお父ちゃんと同じ過ちを繰り返す。
「マーチン・ショウ」の日本公演の実現のために、隼也くんが巨額の手付金を支払った代理人の男は詐欺師でした。
ちなみに、ドラマの中で代理人に隼也くんが渡すお金の金額は5000円。
昭和9年当時の1円を現在の貨幣価値に換算すると2000円から2500円説が有力なので、この数字で計算するとおおよそ1000万円から1250万円です。
ちなみに、藤吉くんがキーちゃんの儲け話に安易にのり、不良品のパーマ機をだまされて買わされた時の被害総額は推定で数千万円レベルのものでした。
もし上の計算が正しければ、藤吉くんの失敗で比べれば、被害は小さい方です。
さらに藤吉くんのケースでは、藤吉くんは北村屋の土地と屋敷を担保に入れていた上に、当時の北村屋そのものが多額の借金を抱え、経営が傾きはじめていた頃でした。
藤吉くんに比べたら、隼也くんがだまし取られた金額は決して小さくはないものの、北村笑店にダメージを与えるほどのものではない。
そして北村笑店の経営も盤石です。
隼也くん「高い授業料を払わされた」と言ったところでしょうか。
というわけで今週のお題だった隼也くんの「ご乱心」はおさまる見通しです。
追伸:そして、隼也くんとニセ代理人の交渉の際に通訳をつとめたつばきちゃんが、この騒動の責任を感じる。
その一方で、傷心の隼也くんは、つばきちゃんにひかれはじめ・・・
次週のサブタイトルは「ちっちゃな恋のものがたり」です。
感想
大人たちはみんな優しい
てんちゃんと藤吉くんが今よりずっと若かった頃の大人たちはみんな厳しかった。
てんちゃんの父親・ギョロ目の鬼さんとまで呼ばれた儀兵衛お父はんは、いささかの失敗も許さない、いつも重箱の隅にまで目を光らせているような人でした。
リトル風太くんの不穏な動きも背中で察することができるほど、儀兵衛お父はんは厳しく、いつも儀兵衛お父はんのまわりの空気は緊張感がみなぎってました。
藤吉くんのお母ちゃん・啄子さんもまた厳しかった。そして啄子さんも、藤吉くんから鬼と揶揄されていました。
啄子さんはとりわけ、北村家に入ったばかりのてんちゃんに情け容赦がなかった。あの頃のてんちゃんはいつも笑っていましたが、実際は針のむしろ状態だったはずです。
しかし時代は変わりました。
隼也くんが大失敗しても、大人たちはみんな優しい。
隼也くんの失敗を伊能さまは自分の責任と引き受ける。その伊能さまが、自分が父親なら殴っているところだと言ったその言葉に風太くんは反応したのでしょうか。
父親代わりとは言いながら、父親の役割を果たしきれなかった。
「悪いのは俺や。こんな風に突っ走ったのは押さえつけすぎたら俺のせいや」
そう言って伊能さまに頭を下げる風太くん。普段は厳しすぎるほど厳しい男ですが、いざという時には優しくなれる。風太くん、本当に素敵です。
人に騙されるのは「北村のボンの証」という亀井さんのフォローも心に沁みました。
自分の実家の米屋までつぶしてしまった先代のボンの大失敗で笑いをとり、落ち込む隼也くんを励まそうとする大人たち。
一方、もしかすると隼也くん以上に深く落ち込んでいるかも知れないてんちゃんの気持ちを察して、さりげなくフォローを入れるリリコちゃんもまた優しい大人です。
『わろてんか』前半、あの頃の大人たちはしばしば怒鳴り声をあげていました。
前作『ひよっこ』が、心優しいキャラばかりで怒鳴り声など皆無に等しかったので、『わろてんか』前半の大人たちの怒鳴り声はつらいものがありました。
しかし『ひよっこ』で馴染んだ心優しいキャラたちによる癒しの空気。それが今回の『わろてんか』に戻ってきたかな。そんな気がしています。
朝から優しい空気に癒される回でした。
母と息子
みんなから優しくフォローしてもらえた隼也くんのことを、怒鳴り声はあげないまでもただ一人厳しい表情を崩さなかったのはてんちゃんでした。
てんちゃん、母親の貫禄が出てきましたね。
「みなさんが許してくれてもお母ちゃんは許すわけにはゆかない」
「あんたのことは一から叩き直します。雑巾掛けからやり直しや」
唯一厳しいてんちゃんの「雑巾掛けからやり直し」発言に、隼也くんは反発するのかなとドキドキしましたが、とても素直に受け入れました。
よかった・・・
史実では、リアルてんちゃんとリアル隼也くんの母と息子の間には深い心の溝があったようです。
だから、『わろてんか』の中で母子確執ドラマが展開することを予想したりもしました。
しかし、リアルでは確執のあった母と息子でしたが、ドラマの中のてんちゃんと隼也くんの母と息子の関係については、この先も問題は起きなさそうです。
「雑巾掛けからやり直し」を隼也くんが素直に受け入れたことで、隼也くんについてはもう心配がないかな。
一方のてんちゃんも、リリコちゃんが絶妙なフォローを入れてくれたおかげで、隼也くんを見つめる厳しい目も少しだけ穏やかになったような気がします。
ボンのご乱心もこれで一件落着といったところでしょうか。
てんちゃんは隼也くんの実力を信頼し、隼也くんはてんちゃんのこれまでの努力に心からの敬意を払う。
そんな母と息子の姿を一日も早く見ることができますように。
追伸:今回のドラマの後半の伊能さまの一言にしびれました。
「この企画書のまとめ、よくできてた」
この一言で、隼也くんは再び前に向かって歩き出せそうですね。
コメント
てんちゃん、リリコちゃん、そして楓さん。みんな才女ですよね。
いやーそう考えるとある意味藤吉くんて凄い人だったんですね(^O^)
たしかにすごいです!
そして、まだ誰に目にもポンコツだった藤吉くんの秘めた才能を見抜いていた三人の才女はやっぱり才女です!
初めてコメントさせていただきます。毎朝楽しみに拝見しております。
周りの大人たちの優しいフォローにほっこりしたことろですが、隼也くんにとっては自分の甘さを恥じ、自己嫌悪の極みだったのではないでしょうか。
そんな時にやさしくされると、かえって辛く感じてしまうことってありませんか?
一から鍛えなおすと言ってくれたてんちゃんの厳しさにこそ救われた隼也くんではないかと思いました。
てんちゃん、いい母親だなあと感心してみてました。
初コメントありがとうございます!
おっしゃる通り、北村笑店の事務所の中で、伊能さまや風太くんに頭を下げさせてしまった時は、てんちゃんの厳しい態度が救いになったと思います。
おてんちゃん、お母ちゃんになってますね!
葵わかなさんは実年齢は19才⁉ いや、貫禄でてきたと思います。お母ちゃんにしか見えない。
今回のてんちゃん、見事なお母ちゃんぶりでしたね。本当は年長の隼也くんが子供っぽく見えたほどです。
当時の1円が2000~2500円だとすると2000円×5000=1000万円~1250万円だと思います。
ご指摘ありがとうございます!計算間違いしてました。早速、訂正させていただきました。
1円(当時)が2000円(現在)なら5000円(当時)は1千万円(現在)ですね。
ご指摘ありがとうございます!計算間違いしてました。早速、訂正させていただきました。