伊能商会を立ち去る伊能 / わろてんか 第135話

2018年3月13日(火)第24週「見果てぬ夢」

あらすじ

伊能が伊能商会の社長を辞任しました。赤字が続いていた映画事業の売却を進言する役員たちと伊能は対立。伊能商会の中に自分の居場所を失った伊能は、社長を辞め伊能商会を去る決意をかためたのです。

伊能商会からは去ったものの、伊能の願いは映画の制作を続けることでした。伊能は、東京まで行ってそのチャンスを探りました。しかし、伊能と組んで映画を制作する人物を見つけることはできず、伊能は、深く失望して大阪に戻ってきました。

その頃、てんと風太は北村笑店で映画制作をはじめることを検討していました。てんと風太は、伊能に協力を要請するものの、深く失望したままの伊能はてんの頼みを聞き入れようとはしません。

伊能はてんと風太の頼みを聞くどころか、北村笑店の役員すら辞任するつもりでいました。そんな伊能に、てんはあらためて頭を下げました。北村笑店に映画部を設置するにあたって伊能の力を貸してほしいと。

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予習レビュー

佐藤少佐という名の軍人さんが『わろてんか』に初めて登場した前週の月曜日の回。

国への協力を北村笑店の面々に求めてきた佐藤少佐、その足で今度は伊能商会を訪問。伊能さまにも国への協力を求めました。

その席で伊能さまは、大衆のためになる映画もこれから作り続けると言葉をにごして応えるものの、その伊能さまの言葉を佐藤少佐は面白くは思っていない様子でした。

さて、佐藤少佐にいい印象を与えることをしなかったあの時の伊能さまの言動。

この言動は小さなフラグだったようです。伊能さまの苦悩、今週のサブタイトルになっている「見果てぬ夢」の物語のいよいよはじまりです。

佐藤少佐への対応のしかたが原因になるのかどうかはわかりませんが、伊能さまは役人から目をつけられてしまったようです。

この男は自分たちに素直に従うつもりはないらしいと。

また、この頃の伊能さまはライバル会社からの密告などにも苦しまされる模様です。

ライバル会社が、伊能はよからぬことをたくらんでいるらしいと。

また、伊能さまが手がける映画が次々と検閲にひっかかり、内容の修正命令を受け入れずに映画の公開を中止するなどした措置も役人を怒らせてしまうようです。

そして、ついに伊能さまは伊能商会の社長を辞任。

困難な時代が本格的にはじまってしまいました。

感想

伊能さまがここまで深く落ち込んだ姿ははじめて見ました。ここまで追い詰められた伊能さまの今回までの歩みを振り返ってみました。

伊能さまの苦悩のフラグ

伊能さまの苦悩のフラグがはじめて立ったのは、やはり前週の月曜日の回。佐藤少佐が伊能さまの事務所を訪問したあの場面でしょうか。

この場面の直前、佐藤少佐が北村笑店を訪ね軍への協力を要請した時のこと。風太くんや芸人さんらは、喜んでその頼みを引き受けると意思表示をしました。

それに対して、同じく協力を要請された伊能さまは、佐藤少佐の言葉に対してのらりくらりと曖昧な返事を返すのみ。

この時に佐藤少佐が伊能さまのことを「なんだこいつ!」と言わんばかりににらみつけたのが印象的でした。

この時の佐藤少佐の「なんだこいつ!」的な反応。この反応がその後の伊能さまのフラグだったような気がします。

『わろてんか』はいつも月曜日にフラグを立てますが、伊能さまのフラグもまた月曜日の放送回に立ちました。

伊能さまの弱気な一面

伊能さまの苦難の日々のフラグが立ったのが前週の月曜日。

そして、伊能さまがはじめて弱気な一面をてんちゃんに対して(そして視聴者に対して)見せたのが前週の木曜日でした。

検閲が年々厳しくなり、自由に映画をつくる環境が失われてゆく中、こんな時に藤吉くんならどうするだろうと、藤吉くんの仏壇で弱音を吐く伊能さまが忘れられません。

そして、伊能さまにとって藤吉くんという存在がどれほど大切で大きかったのか、痛いほど伝わってくる切ない場面でした。

普段、めったやたらと弱音を吐かない人の弱音は、見ていてつらいものがありますね。

この藤吉くんの仏前の場面では、僕はこんなことを願っていました。

てんちゃんの前に繰り返し出てくるように、伊能さまの前にも藤吉くんの幽霊がその姿をあらわして、伊能さまを元気づけてほしいと。

余談:てんちゃんは藤吉くんの幽霊に慣れっこになってますが、まだ幽霊慣れしていないはずの伊能さまは、もしかして腰を抜かすかも。

風太くんと伊能さまの立ち位置の逆転

前週の土曜日の回。わろてんか隊の面々が日本に帰国しました。

わろてんか隊の活動は世の中の注目を集め、第二次わろてんか隊の派遣を求められるほど。久しぶりに躍動感いっぱいの回でした。

そんな中、北村笑店と伊能商会の明と暗を分けるフラグともいうべき、風太くんと伊能さまとの間で交わされた会話が忘れられません。

第二次わろてんか隊の派遣に前向きな風太くんに対して、軍に近寄らないほうがいいと伊能さまが忠告。

その伊能さまの忠告に対して、風太くんがきっぱりと言い返しました。

「これは行ったもんにしかわからん」と。

この場面で僕は思いました。

風太くんと伊能さまの考え方の食い違い。その本質は、軍への協力への有無ではなく、現場を見た者と見ていない者との違いかなと。

かつての伊能さまは、世の中の流行の移り変わりを常に観察するリアリストでした。その一方で風太くんは、リアルに背を向けたロマンチストな一面があったと記憶しています。

しかし、この風太くんと伊能さまの立ち位置が逆転。

世の中の人たち=兵隊さんたちが喜ぶものを現場で観察していた風太くんのリアリストぶりに対して、伊能さまはあまりにも夢追い人だったような気がします。

伊能さまが現場感覚を失ったとは思えません。

しかし、もし伊能さまが現実を観察していれば、風太くんのように時代に迎合せずに人々を喜ばせる落とし所を見つけることができたような気もします。

この時の風太くんと伊能さまの立ち位置の逆転。

そして今回。風太くんが伊能さまを励ますポジションに立つにいたりました。

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コメント

  1. こひた より:

    伊能さん、妥協を一切許さない揺るぎなきスタイル。凛とした佇まい。とにかく男前。

    身軽になった分、どこまでも突っ走ってほしいです。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      腹にイチモツを抱えてそうな部下と縁を切れたのは伊能さまにとって幸運でしたね。

  2. 夕顔 より:

    「大きな流れに巻かれる」方が良いのか、
    「自分の主張を貫き通す」べきなのか、
    どっちが良いのか、先週から考えさせられていた。

    だけど、物事を正しいか間違っているかだけで判断しようとしたことが、間違いだと分かった。
    状況に応じた、臨機応変な対応が大事。
    対応している内に、見えてくるモノもあるんですね。

    栞さんの主張は間違っていないと思う。
    でも、いくら正しくても、遣りようが不味いとダメなのね・・。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      時代がどう変わろうと、お客さんのためその一点を貫き通す北村笑店の姿勢。とても新鮮に映ります。